
プロローグ|「壁に配線したい」の中身を先に整理しましょう
パソコンを有線LANでつなぎたいのに、床のケーブルに足を引っかけてしまう。2階の書斎まで有線を引きたいけれど、壁に穴を開けてよいのか分からない。LANケーブルの「壁への配線」を調べる方の多くは、こうした悩みを抱えています。
ひとくちに壁への配線といっても、実際の工事は大きく3種類に分かれます。壁の表面にモールを取り付けてケーブルを収める方法、壁の中にケーブルを通して見えなくする方法、そして天井裏や床下を経由して別の部屋へ届ける方法です。どれが適しているかは、距離、建物の構造、賃貸か持ち家か、仕上がりへのこだわりによって変わります。
たとえば、同じ部屋にあるルーターから机まで数メートルなら、壁沿いのモール配線で十分に解決できます。一方で、1階のルーターから2階の書斎にLANコンセントを設けたい場合は、建物の中にケーブルを通せる道があるかを調べるところから始まります。「見た目をきれいにしたいから」という理由だけで壁に穴を開けても、柱や配管に阻まれて通せないことは珍しくありません。
この記事では、すでに住んでいる住宅や小規模なオフィスで、LANケーブルをどの経路で配線するかに焦点を当てて解説します。3つの方法の違いと選び方、工事前に決めておくこと、自分でできる露出配線の手順、業者へ依頼するときの伝え方、費用の目安と見積もりの見方まで、順を追って説明していきます。
なお、新築時の空配管の計画や、既存の空配管にケーブルを通す具体的な作業については、別記事<LANケーブルと空配管>で詳しく扱っています。
この記事でわかること
・ LANケーブルを壁に配線する3つの方法と、それぞれの向き、不向き
・ 距離や建物の条件から、自分に合う方法を選ぶ手順
・ 壁沿いの露出配線をDIYできれいに仕上げる5つのステップ
・ 壁内配線や別階への配線を業者に依頼するときの確認ポイント
・ 費用の目安と、見積書で必ず確認したい項目
LANケーブルを壁に配線する3つの方法
最初に押さえておきたいのは、「完成後にケーブルがどこに見えるか」と「ケーブルをどこに通すか」を分けて考えることです。壁内配線と天井裏・床下経由は、どちらか一方を選ぶものではありません。天井裏を横方向に通し、目的の部屋では壁の中へ下ろしてLANコンセントに仕上げる、という組み合わせもよく行われます。
まずは3つの方法の特徴を一覧で比べてみましょう。
| 項 目 | 1. 壁沿いの露出配線 | 2. 壁内配線 | 3. 天井裏・床下経由 |
|---|---|---|---|
| 主な通り道 | 巾木・ドア枠・壁面に取り付けたモールの中 | 通信線用の既存配管、壁の中の空間 | 点検口から入れる天井裏・床下 |
| 向いている場面 | 同じ部屋、賃貸、短距離 | 仕上がり重視、既存の配管がある | 離れた部屋、階をまたぐ配線 |
| 完成後の見た目 | モールが見える | ケーブルはほぼ見えない | 室内側はすっきりしやすい |
| DIYのしやすさ | 比較的やりやすい | 条件次第。穴あけを伴うなら業者向き | 基本的に業者向き |
| 後からの交換 | しやすい | 配管の有無で大きく変わる | 経路と点検口の状態による |
| 事前調査の負担 | 小さい | 壁の構造や既存設備の確認が必要 | 点検口・作業空間・貫通部の確認が必要 |
方法 1:モールで壁に沿わせる露出配線
配線モールとは、壁や巾木に沿って取り付け、中にケーブルを収める樹脂製のカバーです。床を横切らない経路を選べば、つまずきの危険がなくなり、見た目も整います。ケーブルが壁の外側にあるため、傷んだときに点検や交換がしやすい点も大きな利点です。
たとえば、リビングのルーターから同じ部屋のテレビまでなら、巾木の上に沿わせるだけで短くまとまることが多いでしょう。家具を動かす予定がある場合は、机や本棚の背後に無理に通すより、手が届く壁際を選ぶほうが後々安心です。
ただし、露出配線は「床にあったケーブルを壁に貼り替えるだけ」の作業ではありません。ドアの開閉範囲、家具の脚、掃除機が当たりやすい角、暖房器具などの熱源を避け、ケーブルに継続的な圧力がかからない経路を選ぶことが大切です。モールは壁紙の色だけで選ばず、収めるケーブルの本数と太さに合ったサイズを選びましょう。
方法 2:壁の中に隠す壁内配線
壁の中にケーブルを通し、両端をLANコンセント(情報コンセント)で仕上げる方法です。室内に出てくるのはコンセントから機器までの短いケーブルだけなので、見た目は最もすっきりします。家具の配置が決まっていて、長く同じ場所で使う部屋に向いています。
既存の通信線用の空配管が目的の部屋までつながっていれば、その中にケーブルを通せる可能性があります。ただし、「配管らしきものがある」というだけでは判断できません。配管の入口と出口、管の中の空き具合、曲がりの数、すでに入っている線の種類を確かめる必要があります。配管がなくても壁の中の空間を使える場合はありますが、柱や間柱、断熱材、防火上の処理が障害になることがあります。
この段階では、「通信線用の経路が使えそうか」「将来ケーブルを交換できる形で仕上げられるか」の2点を確認できれば十分です。具体的な通線作業については、先ほどの空配管の記事をご参照ください。
方法 3:天井裏や床下を経由する配線
別の部屋や別の階へ配線する場合は、壁の中だけを横方向に進むのではなく、天井裏や床下を主な通り道にすることがあります。たとえば、1階のルーターから離れた部屋へ送る場合、天井裏を経由して目的の部屋の壁内へ下ろし、LANコンセントで仕上げるといった形です。
注意したいのは、「点検口がある」ことと「作業できる」ことは別だという点です。天井裏には踏んでよい部材と踏み抜いてしまう部分があり、床下には基礎や設備配管、狭い区画があります。調査の結果、経路が確保できなければ、露出モールに切り替えることもあります。
また、外壁を伝わせて屋外から回す案が出た場合は、室内配線とは別の検討が必要です。外壁貫通部の防水、紫外線や雨への対策、屋外用ケーブルの選定などは、<屋外の有線LAN配線方法>で詳しく解説しています。
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現代の生活において、インターネットは水道や電気と同じくらい欠かせない存在となりました。動画配信、リモートワーク、オンライン授業、IoT家電の利用など、安定した通信環境が日常に直結しています。しかし、意外と見落とされがちなのが「LAN配線の品質」です。
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なぜLAN配線が重要なのか?通信トラブルの多くは“配線”が原因
多くのご家庭やオフィスでは、Wi-Fiルーターのスペックや通信プランばかりに注目しがちですが、「LAN配線の劣化」や「不適切な配線方法」が原因で通信速度が落ちているケースも少なくありません。
よくあるLAN配線のトラブル事例
・ 築年数の経った住宅で使用されている古いLANケーブル
・ 天井裏や床下での断線・接触不良
・ 無理な分岐や延長による信号劣化
・ 外部ノイズによる通信エラー(特に電源ケーブルと並行に配線されている場合)
こういった問題は、通信機器をいくら高性能にしても解決できません。根本から快適な通信環境を整えるには、適切なLAN配線工事が必要不可欠です。
LAN配線を見直すメリットとは?
LAN配線工事をプロに依頼して改善すると、以下のようなメリットがあります
✅ 通信速度の向上:光回線本来のスピードを最大限に引き出せる
✅ Wi-Fiの安定化:メッシュWi-Fiやアクセスポイントとの相性も◎
✅ 業務効率アップ:オンライン会議やクラウド業務がスムーズに
✅ 防犯カメラやIoT機器との連携が快適に
✅ 将来の回線増設やリフォーム時の拡張性も確保
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LAN工事は、単にケーブルを通すだけではなく、建物構造や配線経路、ネットワーク機器との整合性を熟知したプロの知識が求められます。
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LAN配線工事の具体例:こんなシーンで活用されています
戸建て住宅
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賃貸マンション
・ 原状回復に配慮した露出型モール工事
・ Wi-Fiの届かない部屋への有線接続
オフィス・店舗
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LAN配線はプロに任せて、安心・快適な通信環境を!
通信トラブルの原因がWi-Fiや回線プランではなく、「LAN配線の問題」だったという事例は少なくありません。正しく配線された有線LAN環境こそが、真に安定したネットワークの基盤となります。
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自分に合う配線方法を選ぶ手順
3つの方法の違いが分かったら、次は自分の状況に当てはめて選びます。ポイントは、見た目から決めるのではなく、「機器の位置 → 通せる経路 → 仕上がりと費用」の順に考えることです。順番を逆にすると、見た目を優先した結果、施工できない案の見積もりを何度も取り直すことになりかねません。
条件別の第一候補
| あなたの状況 | 第一候補 | 次に検討する方法 |
|---|---|---|
| 同じ部屋で10m以内 | 壁沿いのモール配線 | 機器の配置変更で距離を縮める |
| 賃貸住宅で穴を開けられない | 壁沿いのモール配線(取り外しやすい固定方法) | 管理会社の許可を得て既存配管を利用 |
| 隣の部屋へ、既存の情報コンセントがある | 既存配管を使った壁内配線 | ドア枠を回るモール配線 |
| 隣の部屋へ、配管が見当たらない | 天井裏経由+壁内への立ち下げ | ドア枠を回るモール配線 |
| 1階から2階へ | 既存配管、または天井裏・収納内の縦経路 | 外壁経由(防水対策込み) |
| 見た目を最優先したい | 壁内配線(現地調査が前提) | 壁の色に合わせたモール配線 |
迷ったときの考え方
同じ部屋で数メートルの距離なら、まずは壁沿いのモール配線を第一候補にしてください。費用を抑えられ、失敗してもやり直しがききます。
別の部屋へ引く場合は、既存の通信線用配管があるかを最初に確認します。壁にテレビ端子や電話の差し込み口、LAN端子がある部屋は、配管が通っている可能性があります。配管が使えれば壁内配線、使えなければ天井裏や床下の経路を業者と一緒に調べます。どれも難しければ、ドア枠を回る露出配線に戻って比較しましょう。
業者に相談する際は、「隠したい」と伝えるだけでなく、「壁はできるだけ開けたくない」「将来ケーブルを交換できるようにしたい」「予算は〇万円以内」といった条件まで伝えると、提案が具体的になります。

★ マンションのリフォーム時のLAN配線見直しについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください!!
マンションのリフォームでLAN配線を見直そう!ネット速度改善方法
配線前に決めておきたい5つのこと
どの方法を選ぶにしても、工事や作業の前に決めておくべきことがあります。ここを曖昧にしたまま始めると、完成してから「コンセントの位置が使いにくい」「ケーブルが足りない」といった問題が起こりがちです。
1. 有線LANを引く目的
在宅勤務のパソコンを安定させたいのか、テレビとゲーム機をつなぎたいのか、別の部屋に無線LANのアクセスポイントを置きたいのか。目的によって、LANコンセントの位置も必要な本数も変わります。アクセスポイントを天井付近に設置する場合は、電源をどう取るか(PoE給電を使うかなど)まで考えておく必要があります。
「ネットが遅いからケーブルを引きたい」という場合は、先に原因を切り分けてください。Wi-Fiだけが遅いなら、有線化で改善する可能性は高いでしょう。しかし、ルーターに有線で直結しても遅いなら、原因は契約回線やルーター、時間帯による混雑にあるかもしれません。LANケーブルを新しく引くだけで、インターネットの速度が必ず上がるわけではない点に注意しましょう。
2. 起点・終点・機器の置き場
起点が光回線の終端装置(ONU)なのか、ホームゲートウェイなのか、ルーターやスイッチングハブなのかを確認します。壁にすでにLAN端子があっても、どこにつながっているか分からないケースは少なくありません。
終点も「子ども部屋」だけでは不十分です。机のどちら側にコンセントがあれば使いやすいか、ベッドや収納で隠れてしまわないかまで具体的に決めておきましょう。机の真裏など抜き差しできない位置は避け、点検しやすい場所を選ぶのが基本です。ルーターやハブにも、放熱のためのすき間と電源、再起動のために手が届く余地が必要です。
3. 直線距離ではなく「経路長」
ケーブルの長さは、機器同士の直線距離ではなく、実際に通す経路の長さで考えます。例を見てみましょう。
| 経路の区間 | 長さの例 |
|---|---|
| ルーターから部屋の角まで(巾木沿い) | 2.5m |
| 角からドア枠まで(巾木沿い) | 2.0m |
| ドア枠を上がる | 2.0m |
| ドア枠の上を横断 | 1.0m |
| ドア枠を下りる | 2.0m |
| 机まで(巾木沿い) | 1.5m |
| 両端の接続用の余裕 | 1.0m |
| 合計 | 12.0m |
直線距離ではわずか5mでも、ドア枠を回るだけで倍以上の長さが必要になることが分かります。この例なら、市販の15mのケーブルを選ぶのが現実的です。経路を紙に描き、水平の長さだけでなく上下の立ち上がりと曲がりも測っておきましょう。
ただし、長すぎるケーブルを買って余りをきつく巻いておくのは避けてください。巻いた部分に負担がかかるうえ、見た目も乱れます。機器を動かすための余裕は、壁側の固定配線ではなく、交換しやすい短いケーブル(パッチケーブル)側で確保すると扱いやすくなります。
4. 壁材と管理規約
石膏ボード、コンクリート、タイル、木材では、モールの固定方法が異なります。壁紙の表面を見ただけでは、中の構造までは分かりません。
マンションでは、共用部分や構造躯体にかかわる穴あけが管理規約で制限されていることがあります。賃貸住宅なら、原状回復の範囲や、両面テープによる壁紙の傷みも確認が必要です。作業前に、管理会社や管理組合へ確認しておくと安心です。
5. 壁の中にある既存設備
電源コンセントの周辺、スイッチの上下、キッチンや洗面所など水回りに近い壁の中には、電線や配管が通っている可能性があります。市販の下地センサーは補助にはなりますが、壁の中のすべての設備を確実に見つけられるわけではありません。図面や点検口で確認できない場所に、試しに穴を開けることは避けてください。
壁沿いのLANケーブルをきれいに配線する手順
ここからは、壁に穴を開けない露出配線の具体的な手順を紹介します。短い距離であればDIYで十分に対応できますが、作業前に賃貸契約や管理規約、壁の材質を必ず確認してください。
用意するもの
| 道具・部材 | 用途とポイント |
|---|---|
| 配線モール | ケーブル本数と太さに合う幅を選ぶ。粘着テープ付きが手軽 |
| コーナー・ジョイント部品 | 角や曲がりを無理なく通すために使う |
| メジャー | 経路長とモールの必要本数を測る |
| カッターまたは金ノコ | モールを必要な長さに切る |
| 中性洗剤・乾いた布 | 貼り付け面のほこりと油分を落とす |
| LANケーブル | 経路長に合ったもの。カテゴリーは後述 |
| マスキングテープ | 仮止めや位置決めの目印に使う |
手順 1:ケーブルを仮置きして通信を確かめる
モールを固定する前に、ケーブルを予定の経路に仮置きし、機器が問題なく接続できるか確認します。あわせて、机やドア、家具を普段どおりに動かし、ケーブルが引っかかる場所がないかも見ておきましょう。すべて貼り終えてから不具合に気づくと、モールを剥がしてやり直すことになります。
仮置きしてみると、機器の置き場所そのものを見直せることもあります。壁沿いに長く回すより、ルーターや机の位置を少し動かすほうが簡単に解決する場合もあるので、最短経路だけにこだわらず、生活動線と点検のしやすさをあわせて考えましょう。
手順 2:モールの経路とサイズを決める
巾木に沿わせるか、天井と壁の境目に沿わせるか、ドア枠の上を回すかを決めます。腰の高さで壁を横切る経路は目立ちやすいため、床際や天井際など部屋の「境界線」に寄せると、仕上がりがすっきりします。
モールの幅は、今通すケーブルの本数だけでなく、太さも考慮して選びます。目安として、一般的なCat6ケーブルの外径は6mm前後、Cat6Aは7〜9mm程度と太めです(製品によって異なります)。将来ケーブルを1本追加する可能性があるなら、ひと回り大きいサイズを選んでおくと安心です。
太いケーブルを細いモールに押し込むと、ふたが閉まりにくくなり、角でケーブルを強く曲げる原因にもなります。
手順 3:貼り付け面を整える
粘着テープ付きのモールは、貼り付け面の状態で仕上がりが大きく変わります。壁面のほこりや油分を中性洗剤を含ませた布で拭き取り、しっかり乾かしてから貼りましょう。
凹凸の大きい壁紙や傷んだ塗装面、ざらついた材質では、十分に密着しないことがあります。かといって強力な接着剤を使うと、取り外すときに壁紙や下地まで傷めてしまうおそれがあります。
ねじで固定する場合は、下地の位置と壁の中の設備を確認してから作業します。石膏ボードにそのままねじを打っても効きが弱く、モールが外れる原因になります。固定方法に迷ったら、管理者や施工業者に先に相談しましょう。
手順 4:角とドアまわりを無理なく通す
LANケーブルの中には、細い銅線が8本入っています。角で直角に折り曲げる、ドアに挟む、結束バンドで強く締め付けるといった扱いは、断線や通信品質の低下につながります。
曲げてよい半径(最小曲げ半径)は製品ごとに異なりますが、一般的なLANケーブルでは外径の4倍程度がひとつの目安とされています。外径6mmのケーブルなら、半径2.4cm程度より急に曲げないということです。モールのコーナー部品を使う場合も、中でケーブルが急に折れていないか確認してください。
ドアの下を横切る配線は、開閉や歩行で踏まれやすく、傷みやすい経路です。ドア枠の上を回せないか、別の経路はないかを先に検討しましょう。
手順 5:固定後に動作を再確認する
すべて固定したら、機器がきちんと接続できるか確認します。このとき、「つながったから終わり」ではなく、リンク速度が期待どおりか見ておくことが大切です。
| 機 器 | リンク速度の確認方法(例) |
|---|---|
| Windows 11 | 設定 →「ネットワークとインターネット」→「イーサネット」で表示される「リンク速度」を確認 |
| Mac | システム情報 →「ネットワーク」または「Ethernet」の項目で速度を確認 |
| ルーター・ハブ | 本体のランプ色や管理画面のポート表示を確認 |
1Gbps対応の機器同士なのに100Mbpsと表示される場合は、ケーブルの傷みや接続不良が疑われます。なお、速度測定サイトで出る数値は回線の混雑にも左右されるため、配線そのものの良し悪しとは分けて考えましょう。
最後に、家具がケーブルを押さえつけていないか、モールのふたがきちんと閉まっているかも確認します。どの経路を通したか写真を残しておくと、将来の模様替えや取り外しのときに役立ちます。
壁内配線を選ぶときの確認事項
壁内配線は完成後の見た目が美しい反面、通り道が外から見えません。見積もりを取る前に、何を調べてもらう必要があるのかを整理しておきましょう。
通信線用の空配管が使えるか
図面や、壁にある情報コンセント・電話端子・テレビ端子の位置から、既存の配管を探します。電話線の通り道が使えることもありますが、入口と出口、管の中の空き、既存の線への影響を確認する必要があります。
特に注意したいのは、電源線が入っている配管にLANケーブルを追加してはいけないという点です。電源線と通信線を同じ管に収めることは原則として避けるべきで、ノイズの影響や安全面でも問題があります。
使える配管があれば、新たに壁へ穴を開けずに目的の部屋まで通せる可能性があります。ただし、配管の曲がりが多い場合や、既存の線で詰まっている場合は通せないこともあります。
配管がない場合に確認すること
壁の中が空洞でも、目的の場所までつながっているとは限りません。柱、間柱、胴縁、断熱材、梁などが経路をふさいでいることがあります。開口を増やせば通せる場合もありますが、そのぶん補修の手間と費用がかかります。経路の調査、開口の位置、仕上げの補修までを一つの工事として考えましょう。
あわせて、希望の経路が使えなかった場合に露出モールへ切り替える条件も決めておくと安心です。工事中に「壁をもっと開けるか」「予定と違う壁にコンセントを出すか」を急に判断するより、あらかじめ工法ごとの見積もりを比較しておくほうが納得のいく選択ができます。
LANコンセントの位置と交換のしやすさ
壁内の固定配線は、室内で何度も抜き差しすることを想定していません。部屋側はLANコンセントで仕上げ、機器までは短いパッチケーブルでつなぐのが基本です。こうすることで、日常の抜き差しによる負担が壁内のケーブルにかからず、傷んだときもパッチケーブルの交換だけで済みます。
コンセントの位置は、机の脚やテレビ台の真裏を避け、プラグを差し替えられる場所を選びましょう。将来のケーブル交換まで考えるなら、配管の中に通すか、点検できる経路を優先してください。壁の中に直接固定したケーブルは、後から交換するのが難しくなります。
別室・別階へ配線する場合のポイント
同じ部屋の配線と違い、別の部屋や階へ配線する場合は、ルーターから目的の部屋までを一本の連続した経路として確認する必要があります。壁の一部を通せても、途中の梁や防火上の区画で止まってしまうことがあるためです。
隣の部屋へ引く場合
廊下を挟んだ隣の部屋へLANを引く場合、主に2つの案が考えられます。
| 比較項目 | ドア枠を回るモール配線 | 天井裏から壁内へ下ろす配線 |
|---|---|---|
| 見た目 | モールが室内に見える | 室内側はほぼ見えない |
| 費用 | 比較的抑えやすい | 調査・開口・補修で高くなりやすい |
| 経路の確認 | 目で見て確認できる | 点検口と作業空間が必要 |
| 後からの変更 | しやすい | 経路と仕上げ方による |
業者に依頼する際は、どちらか一方を指定するより、「どの位置ならLANコンセントを設けられるか」「モールならどのくらいの長さが見えるか」を両方の案で聞くと比較しやすくなります。完成後に写真や簡単な経路図をもらえるかも確認しておきましょう。
1階から2階へ引く場合
階をまたぐ配線では、既存の情報配線の経路、階段まわりや押し入れなど収納内の縦方向の空間、天井裏などが候補になります。見た目の距離が短くても、階と階の間には梁などの構造材や断熱材があり、防火上の処理が必要な部分もあります。建物の部材を削ることを前提にせず、使える通り道があるかを先に調査してもらうことが大切です。
マンションや防火区画を貫通する場合は、所定の防火措置が必要になります。こうした工事は専門業者に任せましょう。
途中でケーブルを継ぎ足してもよいか
長さが足りないとき、中継コネクターで延長したくなるかもしれません。機器の近くなど目に見える場所であれば、用途に合った中継部品を使うことも考えられます。しかし、壁の中や天井裏など見えない場所に接続部を増やすと、故障したときに原因を探しにくくなります。
固定配線を新設する場合は、起点から目的のLANコンセントまでの経路長を先に測り、必要な長さのケーブル1本で施工するのが基本です。なお、LANケーブルは規格上、機器間の通信距離を100m以内に収める前提で設計されています。一般的な住宅で問題になることはまずありませんが、経路が長く複雑な場合や途中で分岐させたい場合は、スイッチングハブの設置場所と電源の確保も含めて計画しましょう。

壁配線に使うLANケーブルの選び方
ケーブルはカテゴリーの数字だけで選ぶと、太くて曲げにくい製品がモールや配管に収まらないことがあります。壁配線では、通信性能と施工のしやすさの両方から選ぶことが大切です。
カテゴリーごとの目安
| カテゴリー | 最大通信速度(目安) | 外径の目安 | 壁配線での使いどころ |
|---|---|---|---|
| Cat5e | 1Gbps | 5mm前後 | 既存の住宅配線に多い。新設なら上位規格が無難 |
| Cat6 | 1Gbps(短距離なら10Gbpsに対応) | 6mm前後 | 一般家庭の新設配線で選びやすい |
| Cat6A | 10Gbps | 7〜9mm程度 | 10Gbps回線や機器を使う予定がある場合 |
※外径は製品によって異なります。購入前に製品仕様を確認してください。
一般的な家庭で1Gbpsの回線を使う場合は、Cat6が扱いやすい選択肢です。将来10Gbpsの回線や機器を使う予定があるなら、Cat6Aも検討しましょう。ただし、Cat6Aのケーブルを選んでも、回線契約やルーター、ハブ、パソコン側のポートが対応していなければ、速度は上がりません。細い既存配管にCat6Aが無理なく通るかも、製品の外径と経路によって変わります。
完成品ケーブルと固定配線用ケーブルの違い
両端にプラグが付いた完成品ケーブルは、モール配線や機器の接続に向いています。一方、壁の中に通して両端をLANコンセントで仕上げる固定配線では、専用のケーブルと部材を使って施工するのが一般的です。
プラグ付きの完成品を細い配管に押し込もうとすると、先端のプラグが引っかかって通らないことがあります。モール配線と壁内配線では、ケーブルの選び方を分けて考えてください。
薄型(フラット)ケーブルの注意点
厚さ1〜2mm程度の薄型ケーブルは、すき間を通しやすく見た目も目立ちにくい反面、踏まれたり挟まれたりすると傷みやすい面があります。短い距離の露出配線やモール内で使う分には便利ですが、長期間使う固定配線には、標準的な丸型ケーブルのほうが安心です。
電源線や水回りとの位置関係
電源ケーブルとLANケーブルを同じ束にまとめたり、電源用の配管にLANケーブルを追加したりすることは避けてください。水回りの壁や外壁を通る場合は、通信性能だけでなく、漏水や結露への対策も必要です。具体的な離隔や施工方法は現場の条件によって異なるため、施工業者に確認しましょう。
DIYできる範囲と業者に依頼すべき範囲
壁沿いの短距離配線は、経路を目で確認でき、やり直しもしやすいためDIYに向いています。一方で、見えない場所での作業や建物の構造にかかわる作業は、専門業者に任せるのが安全です。
| 作業内容 | DIY | 業者依頼 | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| 同じ部屋のモール配線 | ◎ | ― | 管理規約と壁材を確認すれば取り組みやすい |
| ドア枠を回るモール配線 | ○ | ― | 経路が長くなるため、角の処理に注意 |
| 既存空配管への通線 | △ | ○ | 既存線を動かしてしまうと復旧が難しい |
| 壁への穴あけ・LANコンセント新設 | × | ◎ | 壁内の電線・配管の確認が必要 |
| 天井裏・床下での通線 | × | ◎ | 踏み抜きや部材損傷のリスクがある |
| 階をまたぐ配線・防火区画の貫通 | × | ◎ | 構造と防火処理の知識が必要 |
| 電源コンセントの新設・移設 | × | ◎ | 電気工事士の資格が必要 |
資格が必要になるのはどこから?
LANケーブルは弱い電流で通信する線のため、LANケーブルの配線そのものには電気工事士の資格は不要とされています。しかし、アクセスポイントやハブのために電源コンセントを新設・移設する工事は電気工事にあたり、電気工事士の資格が必要です。「LAN配線だから自分でできる」と考えて、電源まわりまで手を出さないよう注意しましょう。資格の範囲については<LAN配線工事に必要な資格>の記事でも解説しています。
賃貸・分譲マンションの場合
賃貸住宅では、釘やねじを使わなくても、両面テープが壁紙を傷めることがあります。管理会社には「LAN工事をしたい」と大まかに伝えるのではなく、「この位置にモールを貼り、退去時には撤去します」「既存の配管を使いたい」など、具体的な方法を示して相談しましょう。
分譲マンションでも、専有部分だと思っていた壁や床のコンクリート部分に、管理規約上の制限がかかることがあります。工事前に管理組合へ確認しておくと安心です。
業者に相談する前に用意しておく情報
| 準備する情報 | 具体例 |
|---|---|
| 建物の種類 | 木造戸建て/鉄骨造/マンション(分譲・賃貸)など |
| 起点と終点 | 「1階リビングのルーター → 2階書斎の机の右側」 |
| 既存設備の位置 | 情報コンセント、電話端子、点検口の場所(写真があると確実) |
| 間取り図 | 手書きでもよいので、部屋の位置関係が分かるもの |
| 希望する仕上がり | 完全に隠したい/モールでもよい |
| 制約条件 | 壁に穴を開けられるか、作業中にネットを止められるか |
| 予算感 | 上限額や、工法ごとに比較したい旨 |
「LANを1本お願いします」だけでは、天井裏を通すのか、露出させるのか、両端にコンセントを付けるのかが伝わりません。条件を整理して伝えると、現地調査と見積もりが具体的になります。

LANケーブルの壁配線にかかる費用の目安
費用は、ケーブル1本の価格よりも、経路が使えるかどうかとどこまでを工事範囲に含めるかによって大きく変わります。また、工事会社の公開料金は「1か所」「1経路」「1mあたり」「基本料金」など単位がばらばらなため、単純に金額を並べて比べることはできません。
参考までに、実際に公開されている料金の例を紹介します。ある工事会社では、既存の空配管を利用するLAN配線工事を1か所15,000円から(部材費込み)と案内しています。別の施工会社では、Cat6ケーブルを既存配管に10m通し、両端を端子で仕上げる例を税込24,200円からとしています。これらは各社の施工条件に基づく価格であり、全国共通の相場や、どの建物にも当てはまる金額ではありません。
工事内容ごとの費用を左右するポイント
| 工事の例 | 費用を左右する要素 | 見積もり時に聞きたいこと |
|---|---|---|
| 同じ部屋のモール配線 | モールの長さ、角の数、固定面の状態、出張費 | m単価と基本料金はいくらか、部材費は含むか |
| 既存空配管への通線 | 経路長、管の空き、端子の取り付け | 「1経路」の起点と終点はどこか、両端の仕上げは何か |
| 配管なしの壁内配線 | 経路調査、開口、補修、壁材 | 通せなかった場合の調査費と代替案の金額 |
| 天井裏・床下経由 | 点検口の有無、作業空間、ケーブルの支持 | 点検口の新設費や追加作業費は含まれるか |
| 階をまたぐ配線 | 経路、貫通処理、防水・防火処理 | 補修と通信試験は含まれるか |
既存の配管があれば安く済むという印象を持たれがちですが、LANコンセントの追加や試験費用が別になっていれば、総額は増えます。反対に、複数の部屋を一度に工事すれば、出張費を分散できることもあります。金額だけで判断せず、起点・終点・本数・規格・仕上げ・試験の条件をそろえて比較してください。
見積書で確認したい項目
見積書では、次の項目がどのように計上されているかを確認しましょう。
・ 配線の距離と本数、ケーブルの規格(Cat6、Cat6Aなど)
・ LANコンセントとプレートの種類、個数
・ モールや保護管の長さ
・ 穴あけと補修の範囲
・ 天井裏、床下での作業費
・ 通信試験の内容
・ 出張費、諸経費
・ 工事ができなかった場合の調査費
・ 予定外の開口が必要になった場合の確認方法
「LAN工事一式」とだけ書かれた見積もりは比較が難しいため、何本をどこからどこまで通すのか、何をもって完了とするのかを明記してもらいましょう。通信がつながることに加えて、リンク速度や仕上がり、壁の補修の確認方法まで決めておくと、施工後の行き違いを防げます。
間取り別に考える配線プランの例
同じ「壁にLANケーブルを配線する」工事でも、住まい方によって最適な答えは変わります。ここでは、よくある3つの場面で考え方を紹介します。実際に施工できるかどうかは、建物の調査によって決まる点にご注意ください。
ケース 1:リビングのルーターから同じ部屋のテレビへ
ルーターとテレビが同じ部屋にあり、間にドアがないなら、まずは壁沿いのモール配線を検討します。テレビ台の背後にケーブルの端がくるよう経路を想定し、巾木沿いの長さを測りましょう。テレビ台を動かしたときにケーブルが引っ張られないよう、接続側には余裕を残しておきます。
テレビとゲーム機の両方を有線でつなぎたい場合は、ルーターから機器ごとに1本ずつ引くか、テレビ台の近くに小型のスイッチングハブを置くかを選べます。ハブを使えば壁沿いのケーブルは1本で済みますが、ハブの電源と置き場所が必要です。今後つなぐ機器が増えるかどうかも踏まえて決めましょう。
ケース 2:賃貸住宅の書斎へ配線したい
賃貸住宅では、「穴を開けない」だけでなく、「壁紙や塗装を傷めずに撤去できるか」が重要です。ルーターから書斎までの床にケーブルを這わせるのが危ない場合は、巾木やドア枠に沿う経路を探します。ただし、「剥がせる」とうたう固定具でも、壁材や使用期間によっては跡が残ることがあります。
部屋をまたぐ配線がどうしても難しい場合は、書斎の通信状況を測ったうえで、Wi-Fiのアクセスポイントやメッシュ機器の配置を見直すのもひとつの方法です。無理にドアの下へケーブルを通して傷めるより、住まいの条件に合う方法を選ぶことが大切です。
ケース 3:戸建ての1階から2階へ有線LANを引く
まず、回線機器の位置、2階でLAN端子を設けたい位置、情報分電盤や点検口の場所を間取り図に書き込みます。既存の通信線用配管が2階までつながっていれば、その経路を検討します。配管がない場合は、天井裏や押し入れなど収納内の縦方向の空間を、業者と一緒に確認しましょう。
隠す配線ができる場合でも、希望の壁面に必ずコンセントを出せるとは限りません。業者には「机の近くで設置できる位置」「開口と補修の必要性」「配管が使えなかった場合のモール経路」を示してもらいましょう。
もし目的が「2階のWi-Fiを改善したい」なら、2階のパソコン1台に直接つなぐのか、有線でアクセスポイントを増設するのかを先に決めてください。両者では最適なコンセントの位置が異なります。機器の置き場所を決めずに工事だけを依頼すると、完成後に結局長いケーブルを室内に這わせることになりかねません。

施工後に起きやすいトラブルと対処法
配線を終えた後に「つながらない」「思ったより遅い」といったトラブルが起きることがあります。症状ごとに、確認する順番を整理しておきましょう。
| 症 状 | 考えられる原因 | 確認・対処の方法 |
|---|---|---|
| 固定後に接続できなくなった | 角での強い曲げ、ドアでの挟み込み、プラグの半挿し | 仮置き時に使ったケーブルに戻して比較し、力がかかった箇所を点検 |
| リンク速度が100Mbpsになる | ケーブルの損傷、結線不良、機器ポートの仕様 | 別のケーブル・別のポートで試し、機器の対応速度を確認 |
| リンクは1Gbpsだがネットが遅い | 回線の混雑、契約プラン、ルーターの性能 | 時間帯を変えて測定し、回線側の問題を切り分ける |
| 特定の壁端子だけ不安定 | 端子の施工不良、壁内ケーブルの損傷 | 施工業者に試験結果の提示と点検を依頼 |
| モールが浮く・剥がれる | 壁面の凹凸、容量不足、角に無理な力 | 固定面や経路、モールのサイズを見直す |
固定したら接続できなくなった場合
まず、ルーターと接続機器の電源、プラグの差し込み、使っているポートを確認します。次に、仮置きの段階で使えていた短いケーブルに戻して試してみましょう。固定後だけつながらないのであれば、モールの角やドアまわり、家具の下など、ケーブルに力がかかっている場所を点検します。
壁内配線の場合は、両端の端子処理や、接続先の情報分電盤も確認が必要です。見えている部分を何度抜き差ししても直らない場合は、施工業者に経路と試験結果を確認してもらいましょう。断線の見分け方については<LANケーブルの断線の見分け方>も参考になります。
つながるけれど想定より遅い場合
最初に、パソコンやルーターに表示されるリンク速度と、速度測定サイトで出るインターネットの実測速度を区別してください。リンク速度が100Mbpsになっている場合は、機器のポート仕様、結線、ケーブルの損傷を疑います。リンク速度が1Gbpsでもインターネットが遅い場合は、回線や時間帯の影響が考えられます。
「Cat6Aに替えたのに速くならない」というときも、回線契約や機器の上限を確認しましょう。上位カテゴリーのケーブルは、対応する機器と施工がそろって初めて性能を発揮します。
モールが浮く・ケーブルが目立つ場合
凹凸のある面に粘着モールを貼った、角に無理な力がかかっている、容量に対してケーブルが太いといった原因が考えられます。ふたが閉まらないからといってテープで押さえつけるのではなく、モールのサイズや経路を見直しましょう。賃貸住宅の壁紙なら、無理に剥がして補修範囲を広げる前に管理者に相談してください。
工事の引き渡し時に確認したいこと
壁配線は、ケーブルが見えなくなった時点で「完了」と考えがちです。しかし、引き渡しのときには、日常生活の中で問題なく使えるか、後から点検できるかまで確認しておくことが大切です。
| 確認項目 | チェックの内容 |
|---|---|
| 仕上がり(露出モール) | ふたの閉まり具合、角の処理、ドアの開閉、壁紙との取り合い |
| 仕上がり(壁内配線) | LANコンセントのぐらつき、位置、プレートまわりの補修 |
| 見えない部分 | 天井裏・床下・外壁でのケーブルの支持と保護(写真で確認) |
| 通信状態 | すべての端子での接続とリンク速度、試験の内容と結果 |
| ラベル表示 | どの端子がどの部屋・ポートにつながるか |
| 記録 | 経路の写真、ケーブルと端子の規格、保証の範囲 |
複数のポートがある場合は、すべての行き先を実際に試し、部屋名と番号の対応を控えておきましょう。回線の速度測定だけでは工事の品質を判断できないため、業者に試験の内容を説明してもらうと安心です。
施工経路の写真や使った部材の規格を記録しておくと、将来ルーターを交換したり模様替えをしたりするときに、不要な穴あけを防げます。特に壁の中に入った部分は工事後に目で確認できないため、記録の価値が高くなります。
家族や利用機器が増えたときの見直し
配線を終えた後も、必要な端子の数や機器の置き場所は変わっていきます。子ども部屋でゲーム機とパソコンを同時に使うようになった、在宅勤務用の机が増えた、別の階にアクセスポイントを追加したいなど、変化があったときは、まず既存のLAN端子とハブの空きポートを確認しましょう。
壁沿いのモールなら、ふたを開けてケーブルを追加・交換できることがあります。ただし、モールの容量に収まるか、角で無理な曲げが生じないかを確認してください。通信が不安定になったときは、インターネット回線、ルーター、パッチケーブル、固定配線の順に切り分けます。短いパッチケーブルを替えるだけで直る不具合に、壁内配線の引き直しは必要ありません。配線方法を選ぶ段階で交換のしやすさを考えておくことが、こうした維持管理のしやすさにつながります。

よくある質問(FAQ)
Q1. 壁に穴を開けずにLANケーブルを隠すことはできますか?
できます。配線モールを巾木やドア枠に沿わせて取り付ければ、大きな穴を開けずにケーブルを目立たなくできます。完全に見えなくしたい場合は、既存の通信線用配管や壁の中の経路が必要になります。賃貸住宅では、粘着テープや小さなねじ穴も管理規約の対象になることがあるため、事前に確認してください。
Q2. LANケーブルを壁に直接テープで貼ってもよいですか?
短期間の仮止めであれば問題ありませんが、長く使うならモールに収めるのがおすすめです。直接貼るとケーブルがむき出しになり、掃除機や家具が当たって傷みやすくなります。また、ステップルや金属製の固定具をケーブルに打ち込む、強く縛る、鋭く曲げるといった方法は、断線や通信品質の低下につながるため避けましょう。
Q3. 壁の中にLANケーブルを通せるかどうか、自分で判断できますか?
図面や既存の情報コンセント、点検口の位置から候補を探すことはできます。ただし、壁の中の空間や配管の行き先、電線や水道管の位置を外から正確に判断するのは困難です。確認できない壁に試しに穴を開けることはせず、現地調査を依頼してください。空配管の調べ方は<LANケーブルと空配管>で詳しく説明しています。
Q4. 1階から2階への配線は、モールと壁内のどちらがよいですか?
隠せる通り道があるか、建物にどの程度の加工が必要かで判断します。既存配管や天井裏を使って壁内に通せれば見た目は整いますが、現地での経路確認が前提になります。露出モールは見える部分が増える一方、費用を抑えやすく、点検や変更もしやすいのが利点です。両方の案で見積もりを取り、施工範囲と費用を比較することをおすすめします。
Q5. 薄いLANケーブルならドアの下を通しても大丈夫ですか?
薄型ケーブルでも、ドアの開閉で繰り返し押されたり擦れたりすると傷む可能性があります。閉めた状態で隙間があるかだけでなく、開け閉めを繰り返したときにケーブルに負担がかからないかを確認してください。可能であれば、ドア枠の上を回すなど別の経路を優先しましょう。
Q6. Cat6Aのケーブルを選べば、通信速度は必ず上がりますか?
いいえ、必ず上がるわけではありません。通信速度は、回線契約、ルーター、ハブ、LAN端子、パソコンなど経路上で最も性能の低い部分に左右されます。今の速度に不満がある場合は、有線LANのリンク速度とインターネットの実測速度を分けて確認し、どこがボトルネックになっているかを特定してから交換する箇所を決めましょう。
Q7. LANケーブルの壁配線にはいくらくらいかかりますか?
既存の配管が使えるか、LANコンセントを何か所設けるか、モールが何メートル必要か、穴あけや補修があるかによって大きく変わります。公開されている料金の例では、既存配管を使う工事で1か所1万5,000円からといった価格が見られますが、条件によって総額は異なります。見積もりを比較するときは、工事範囲と追加条件をそろえ、総額で判断することが大切です。
Q8. LANケーブルを壁に配線するのに資格は必要ですか?
LANケーブルの配線そのものには、電気工事士の資格は不要とされています。ただし、アクセスポイントやハブ用に電源コンセントを新設・移設する場合は電気工事にあたり、電気工事士の資格が必要です。また、資格が不要な作業でも、壁の中の電線や配管を傷つけるリスクがあるため、穴あけを伴う作業は専門業者に任せるのが安心です。
Q9. モールの色はどのように選べばよいですか?
基本的には、壁紙や巾木の色に近いものを選ぶと目立ちにくくなります。白やアイボリー、ベージュ、木目調などの色が一般的です。巾木に沿わせる場合は巾木の色に、壁の中ほどを通す場合は壁紙の色に合わせるのがきれいに見せるコツです。塗装できるタイプのモールを選び、壁と同じ色に塗る方法もあります。
Q10. Wi-Fiが不安定なら、壁へのLAN配線が一番の解決策ですか?
オンライン会議に使うパソコンや、別の部屋のアクセスポイントを有線でつなぐ方法は有効な選択肢です。ただし、不調の原因が回線やルーターにある場合は、配線だけでは解決しません。まずルーターに有線で直結した状態で速度を確認し、目的の部屋まで有線LANを引く必要があるかを判断しましょう。部屋ごとの必要性については<自宅のLAN配線はどこに必要?>も参考にしてください。
まとめ|配線方法を決める前に、経路と条件を確認しましょう
LANケーブルを壁に配線する方法は、壁沿いのモール配線、壁内配線、天井裏・床下経由の3つに整理できます。同じ部屋の短い距離なら、モール配線が手軽で失敗の少ない方法です。別の部屋や別の階へ引く場合は、既存の配管や点検できる空間が使えるかどうかが判断の分かれ目になります。壁内と天井裏を組み合わせる方法もあります。
最後に、この記事のポイントを振り返っておきましょう。
| ポイント | 内 容 |
|---|---|
| 選ぶ順番 | 機器の位置 → 通せる経路 → 仕上がりと費用の順に考える |
| 長さの測り方 | 直線距離ではなく、上下の立ち上がりや曲がりを含めた経路長で測る |
| DIYの範囲 | 同じ部屋のモール配線が中心。穴あけや天井裏の作業は業者へ |
| ケーブル選び | 通信性能だけでなく、太さ・曲げやすさなど施工のしやすさも考える |
| 費用の比べ方 | 起点・終点・本数・規格・仕上げ・試験の条件をそろえて総額で比較する |
| 完成後 | リンク速度の確認と、経路の写真・記録を残しておく |
起点と終点、建物の条件、将来の交換のしやすさを先に確認してから、仕上がりと費用を比べることが、後悔しない配線につながります。見えない場所への穴あけや、構造にかかわる経路の工事は、無理をせず現地調査を依頼してください。空配管そのものの計画や通線については、<LANケーブルと空配管>もあわせてご覧ください。





