
はじめに|LAN配線の悩みは「どこで何を使いたいか」から整理できます
「仕事部屋に有線LANの差し込み口がほしい」「オフィスの席を増やしたいのに配線が足りない」「LANのことを電気工事会社に相談してよいのかわからない」。こうした悩みをお持ちではないでしょうか。
在宅勤務に合わせて部屋を変えたり、事務所のレイアウトを見直したりすると、これまでのネットワークでは不便な点が目につくようになります。近くに差し込み口がないため、隣の部屋から長いケーブルを床に這わせている方も多いのではないでしょうか。そのままでは掃除がしにくく、足を引っかけたり、ドアでケーブルを挟んだりするおそれもあります。
こうした悩みは、LAN配線に対応している電気工事会社に相談することで解決できます。まずは「どこで使いたいのか」「何に困っているのか」を伝えてみましょう。
ただし、ケーブルの配線、LANコンセントの設置、ルーターなどの機器設定、電源コンセントの増設のうち、どこまで対応しているかは会社によって異なります。この違いを知らずに依頼すると、工事が終わってから「設定は別料金だった」「電源工事は別の業者に頼む必要があった」と気づくことにもなりかねません。
この記事では、電気工事会社に依頼できるLAN配線工事の内容、ケーブルと機器の選び方、費用の内訳と見積もりの比べ方、相談から引き渡しまでの流れを、具体例と表を交えて解説します。
| この記事でわかること | 判断できるようになること |
|---|---|
| 電気工事会社に依頼できる工事の範囲 | どの会社に何を頼めばよいか |
| LAN配線工事の施工方法と試験 | 見た目・費用・品質のどれを優先するか |
| Cat6・Cat6Aなどケーブルの選び方 | 今の用途に合った性能と、将来への備え方 |
| 費用の内訳と見積もりの比べ方 | 見積もりの金額差がどこから生じているか |
| 相談から引き渡しまでの流れ | 事前に準備する情報と、各段階で決めること |
専門用語をすべて覚えておく必要はありません。「どこで、どの機器を、どのように使いたいか」を思い浮かべながら読み進めていただくと、必要な工事や見積もりで確認すべき点が自然と見えてきます。
LAN配線工事は電気工事会社に依頼できる?
結論からいうと、LAN配線工事は対応している電気工事会社に依頼できます。住宅や店舗、事務所の電気設備を手がける会社のなかには、コンセントや照明の工事とあわせて、LANケーブルの配線やLANコンセントの設置を請け負っているところが少なくありません。
ただし、電気工事会社であれば、どこでもLAN工事に対応しているわけではありません。依頼先を選ぶ際は、電気工事と通信工事、それぞれの対応範囲を確かめておくことが欠かせません。
電気工事会社でも得意分野は異なります
電気工事会社と一口にいっても、得意とする工事は会社ごとに違います。照明や分電盤など電源設備を中心に扱う会社もあれば、オフィスのネットワーク配線を日常的に手がけている会社もあります。
ホームページに「LAN工事対応」と書かれていても、住宅の1部屋にLANコンセントを追加する小規模な工事と、サーバーや複合機が稼働している事務所で数十本の配線を切り替える工事とでは、求められる準備も経験もまったく異なります。施工事例の写真や工事内容の説明が掲載されていれば、自分の建物や用途に近い工事の実績があるかを見ておくとよいでしょう。
問い合わせの際は、「2階の仕事部屋に有線LANの差し込み口を1か所設けたい」「事務所の席を4席増やすので配線を追加したい」のように、場所・差し込み口の数・使い方を具体的に伝えると、対応できるかどうかをすぐに判断してもらえます。あわせて、ケーブルを通すだけでなく、両端の接続処理や施工後の試験まで任せられるかも確認しておきましょう。
LAN配線と電源工事では必要な資格が異なります
LAN配線を依頼するうえで知っておきたいのが、資格の違いです。LANケーブルは通信用の配線であり、その配線や接続処理は電源の配線工事とは扱いが異なります。一方、コンセントの増設や回路の追加など、電源の配線に手を加える工事は、電気工事士の資格を持つ人でなければ行えません。
経済産業省は、電気工事士が必要な工事について、住宅や小規模な店舗などの「一般用電気工作物等」と、ビルや工場などの「自家用電気工作物」を区別して案内しています。詳しい区分は、<経済産業省「電気工事士」>で確認できます。
| 工事の種類 | 主な作業 | 確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| LAN配線工事 | ケーブルの配線、端末処理、LANコンセントの設置 | 施工実績、試験方法、配線記録の有無 |
| 電源工事(住宅・小規模店舗など) | コンセントの増設、回路の追加 | 第二種以上の電気工事士が施工するか |
| 電源工事(ビル・工場など) | 自家用電気工作物に関わる配線 | 建物の設備に対応できる資格と施工体制があるか |
つまり、LAN配線ができるかどうかと、その建物の電源工事ができるかどうかは、分けて確認する必要があります。 両方を1社にまとめて依頼したい場合は、特にこの点を最初に確かめておくと安心です。
依頼できる作業を4つに分けて確認しましょう
LAN環境を整える作業は、大きく配線工事・機器の設置・ネットワーク設定・電源工事の4つに分けられます。見積もりに「LAN工事一式」としか書かれていないと、ケーブルとLANコンセントの設置までなのか、パソコンがインターネットにつながる状態まで仕上げてもらえるのかがわかりません。
次の表のように作業を分けて確認すると、依頼内容の食い違いを防げます。
| 作業の区分 | 主な内容 | 相談時に確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| 配線工事 | ケーブルの配線、端末処理、LANコンセントの設置 | 両端の処理や施工後の試験まで含まれるか |
| 機器の設置 | ルーター、スイッチ、アクセスポイントの取り付け | 機器は依頼者と業者のどちらが用意するか |
| ネットワーク設定 | IPアドレスやWi-Fi、必要に応じてVLANなどの設定 | 既存の設定を引き継ぐか、誰が管理するか |
| 電源工事 | 電源コンセントや回路の増設 | 資格を持つ施工者が担当するか |
配線だけを電気工事会社に依頼し、機器の設定は普段ネットワークを管理しているIT担当者や保守会社に任せるという分担も可能です。誰がどこまでを担当するのかが明確であれば、複数の会社に分けて依頼しても問題ありません。
ケーブルの配線とLANコンセントの設置
配線工事とは、ルーターやスイッチのある場所から、使いたい部屋や席までLANケーブルを通す作業のことです。壁ぎわにモールを取り付けてケーブルを収める方法や、壁の中の既存の配管を利用する方法など、建物の構造に合わせて通し方を選びます。
LANコンセントは、壁のプレートなどに取り付ける通信用の差し込み口です。見た目は電源コンセントに似ていますが、役割はまったく異なります。使う際はLANコンセントからパソコンまで短いLANケーブルでつなぐため、家具の配置や机の高さ、機器までの距離を考えて取り付け位置を決めましょう。
たとえば、机の後ろにLANコンセントを設けても、あとから大きな収納棚でふさいでしまうと、ケーブルの抜き差しが不便になります。同じ部屋でパソコンとプリンターを使う場合は、LANコンセントを2つ設ける方法と、1つのLANコンセントから小型のスイッチで分岐させる方法を比べ、電源の位置や管理のしやすさも踏まえて決めるとよいでしょう。
ルーター・スイッチの設置と設定
ルーターは異なるネットワークどうしを中継する機器で、インターネットと家庭や社内のネットワークをつなぐ役割を担います。スイッチ(スイッチングハブ)は、同じネットワーク内で複数の機器を接続するために使います。
家庭では、回線事業者から提供された機器にルーターやWi-Fiの機能がまとめて搭載されていることも珍しくありません。今お使いの機器の型番と接続状況を先に確認しておけば、不要な機器を買い足さずに済みます。
機器の設置場所は、電源が近くにあるだけでなく、熱がこもらないことや、ランプやケーブルの状態をあとから確認しやすいことも条件になります。戸棚の奥に押し込んだり、ケーブルに引っ張られる位置に置いたりすると、点検や交換のたびに手間がかかってしまいます。
事務所では、社員用と来客用のネットワークを分ける設定や、既存の複合機を引き続き使うための設定が必要になる場合もあります。機器の購入、取り付け、設定、動作確認のうち、どこまでを依頼するのかを、工事の前に共有しておきましょう。
インターネット回線の開通工事とは別の工事です
LAN配線工事と混同されやすいのが、インターネット回線の開通工事です。この2つは目的も依頼先も異なります。
| 項 目 | 回線の開通工事 | LAN配線工事 |
|---|---|---|
| 目的 | 建物の外からインターネット回線を引き込む | 建物内の各部屋や各席まで配線する |
| 主な作業 | 光ケーブルの引き込み、ONUの設置など | LANケーブルの配線、LANコンセントの設置、試験 |
| 主な依頼先 | 契約している回線事業者 | LAN配線に対応した電気工事会社・通信工事会社 |
| 工事後の状態 | ONUを設置した場所で回線が使える | 使いたい部屋や席で有線接続ができる |
ここで注意したいのは、回線が開通しても、使いたい部屋までLANが届いているとは限らないという点です。たとえば、1階のリビングにONU(光回線の終端装置)があり、2階の仕事部屋でパソコンを使いたい場合、回線の引き込みが済んでいても、2階までの室内配線は別途必要になります。
回線事業者が室内配線のオプションを用意していることもありますが、対応範囲は契約内容や建物の条件によって異なります。引っ越しや事務所の移転の際は、回線の開通日と室内配線の工事日をそれぞれ確認し、いつから使えるのかを把握しておくと安心です。
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現代の生活において、インターネットは水道や電気と同じくらい欠かせない存在となりました。動画配信、リモートワーク、オンライン授業、IoT家電の利用など、安定した通信環境が日常に直結しています。しかし、意外と見落とされがちなのが「LAN配線の品質」です。
「Wi-Fiが不安定」「通信速度が遅い」「会議中に音声が途切れる」…そんなお悩みを抱えている方は、ぜひLAN配線の見直しを検討してみてください。そして、その工事を信頼できるプロに任せるなら、【電気工事110番】が圧倒的におすすめです。
なぜLAN配線が重要なのか?通信トラブルの多くは“配線”が原因
多くのご家庭やオフィスでは、Wi-Fiルーターのスペックや通信プランばかりに注目しがちですが、「LAN配線の劣化」や「不適切な配線方法」が原因で通信速度が落ちているケースも少なくありません。
よくあるLAN配線のトラブル事例
・ 築年数の経った住宅で使用されている古いLANケーブル
・ 天井裏や床下での断線・接触不良
・ 無理な分岐や延長による信号劣化
・ 外部ノイズによる通信エラー(特に電源ケーブルと並行に配線されている場合)
こういった問題は、通信機器をいくら高性能にしても解決できません。根本から快適な通信環境を整えるには、適切なLAN配線工事が必要不可欠です。
LAN配線を見直すメリットとは?
LAN配線工事をプロに依頼して改善すると、以下のようなメリットがあります
✅ 通信速度の向上:光回線本来のスピードを最大限に引き出せる
✅ Wi-Fiの安定化:メッシュWi-Fiやアクセスポイントとの相性も◎
✅ 業務効率アップ:オンライン会議やクラウド業務がスムーズに
✅ 防犯カメラやIoT機器との連携が快適に
✅ 将来の回線増設やリフォーム時の拡張性も確保
「電気工事110番」のLAN配線サービスが選ばれる理由
LAN工事は、単にケーブルを通すだけではなく、建物構造や配線経路、ネットワーク機器との整合性を熟知したプロの知識が求められます。
「電気工事110番」は、全国対応・最短即日対応可能なうえ、以下のような安心の特徴を持っています。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| ✅ 明朗な料金体系 | 事前見積で追加費用なし(※現地調査あり) |
| ✅ 全国対応 | 都市部から地方まで対応可能 |
| ✅ 年中無休・24時間受付 | 急なトラブルにもスピーディに対応 |
| ✅ 有資格者による施工 | 電気工事士資格を持つプロが対応 |
| ✅ 累計相談実績30万件以上 | 多くのユーザーから高評価 |
LAN配線工事の具体例:こんなシーンで活用されています
戸建て住宅
・ リビング、書斎、子供部屋にLANを分配して快適ネット環境を構築
・ 防犯カメラのPoE接続やNAS設置にも対応
賃貸マンション
・ 原状回復に配慮した露出型モール工事
・ Wi-Fiの届かない部屋への有線接続
オフィス・店舗
・ 社内ネットワークの設計、配線、ハブ設置まで一括対応
・ POSレジや監視カメラの安定接続工事も
LAN配線はプロに任せて、安心・快適な通信環境を!
通信トラブルの原因がWi-Fiや回線プランではなく、「LAN配線の問題」だったという事例は少なくありません。正しく配線された有線LAN環境こそが、真に安定したネットワークの基盤となります。
「LAN配線工事をプロに任せたい」「どこに相談すればいいか分からない」――そんなときは、「電気工事110番」にご相談ください。
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LAN配線工事が必要になる5つのケース
LAN配線を見直すきっかけは、通信速度への不満だけではありません。使う場所が増えたとき、ケーブルが通行のじゃまになっているとき、移転によって機器の配置が変わるときなども、工事を検討するよいタイミングです。
何に困っているのかを具体的に切り分けてみると、配線工事で解決できることと、機器や設定の見直しが必要なことを区別できるようになります。
1. 使いたい部屋や席にLANの差し込み口がない
仕事部屋や会議室にLANコンセントがないと、別の部屋から長いケーブルを引いてくることになります。一時的な利用なら問題ありませんが、毎日ケーブルを出し入れする使い方では片づけが面倒になるうえ、ドアや家具に挟んで傷めてしまうこともあります。
いつも使う場所までLANケーブルを固定して配線しておけば、使うたびに短いケーブルを差し込むだけで済みます。
LANコンセントの数は、今あるパソコンの台数だけで決めないようにしましょう。プリンターやテレビ、NAS、IP電話など、有線でつなぎたい機器をまとめて数えておくと、あとから追加工事をする手間を減らせます。なお、NASとはネットワークに接続してファイルを保存・共有する機器のことで、事務所で大容量のデータを扱う場合などによく使われています。
将来、席を増やすことが決まっている場合は、その場所まで先に配線しておく方法と、あとからケーブルを通せるよう配管だけを用意しておく方法を比べてみるとよいでしょう。
2. 移転・増設・レイアウト変更に合わせて配線を見直したい
事務所の移転や席替えでは、机の配置とネットワーク機器の位置をあわせて考える必要があります。以前の配置のままケーブルだけを延長していくと、床を横切るケーブルや中継箇所が増え、どのケーブルがどこにつながっているのかわからなくなってしまいます。
まずは平面図に机、複合機、会議室、ネットワーク機器の置き場所を書き込み、LANの接続が必要な場所を把握しましょう。受付の決済端末や、会議室のWeb会議用機器など、通常の席とは別に通信が必要な場所も忘れずに洗い出しておきます。
たとえば8席を増やす場合は、各席のLANコンセントだけでなく、スイッチの空きポートや既存ネットワークとの接続方法も見直す必要があります。スイッチのポートのうち1つは上位の機器との接続に使うので、8ポートのスイッチに8台の端末をつなげるとは限らない点にも注意してください。
内装工事の前にLAN配線について相談しておけば、壁や床が仕上がる前にケーブルのルートを確保できます。 内装が完成したあとでは、露出配線にしたり壁に穴を開けたりする必要が出てきて、見た目や費用に影響することがあります。
3. 床を這うケーブルや傷んだ配線を整理したい
床に出ているケーブルは、人が通ったりいすを動かしたりするたびに踏まれやすく、足を引っかける原因にもなります。整理する際は見た目だけでなく、人の通り道を避けること、機器に無理な力がかからないこと、あとから点検できることを意識しましょう。壁ぎわにモールを取り付けたり、机の下にケーブルをまとめたりするだけでも、通路をすっきりさせられます。
傷んだケーブルがある場合は、被覆の破れ、コネクターのツメの折れ、差し込み口のぐらつきなど、どこが傷んでいるのかを確認する必要があります。家具に強く挟まれて変形したケーブルをそのままモールに収めても、傷みが直るわけではありません。
使わなくなったケーブルを撤去するときは、先に接続先をたどり、現在使用している配線と区別したうえで作業してもらうようにしましょう。あわせて、行き先のわからないケーブルに番号や接続先のラベルを付けておくと、あとで機器を増やすときにも迷わずに済みます。
4. 通信が途切れる・遅いといった不具合がある
「会議中だけ音声が途切れる」「1台のパソコンだけつながらない」「特定の席で接続が切れる」といった症状がある場合は、まず不具合が起きる条件を整理してみましょう。すべての機器で起きているのか、一部の機器だけで起きているのかによって、確認すべき箇所が変わってきます。
| 症状の出方 | 原因として考えられる主な箇所 | まず試したいこと |
|---|---|---|
| 1台だけつながらない・遅い | 端末、接続用ケーブル、スイッチのポート | 別のケーブルやポートに差し替えて改善するか |
| 特定の席や部屋だけで起きる | その席までの配線、LANコンセント | 同じ席で別の端末を使っても起きるか |
| すべての機器で起きる | ルーター、スイッチ、回線 | 時間帯による違いはあるか、機器のランプは正常か |
| Wi-Fiだけで起きる | 電波の届き方、混雑、アクセスポイントの位置 | 有線に切り替えると改善するか |
不具合が起きた時刻、使っていたサービス、画面に表示されたメッセージ、ほかの端末の状態などを記録しておくと、相談先が原因を絞り込むための手がかりになります。
ここで押さえておきたいのは、配線に問題があるかどうかを調べる「点検」と、配線を交換する「工事」は別物だという点です。原因がわからないまま配線をすべて交換しても、ルーターや回線に問題があれば症状は改善しません。点検の結果をもとに、交換するのか、端末処理をやり直すのか、機器の設定を見直すのかを判断すれば、必要な作業だけに費用をかけられます。
5. Wi-Fiが届きにくい部屋がある
意外に思われるかもしれませんが、Wi-Fiの悩みがLAN配線で解消できる場合もあります。ルーターから離れた部屋や、壁や床を隔てた部屋では電波が弱まり、通信が不安定になりがちです。
そのような場合は、電波が届きにくい部屋の近くまで有線LANを配線し、そこにアクセスポイント(Wi-Fiの電波を発信する機器)を設置する方法があります。スマートフォンやノートパソコンは無線のまま使いつつ、ルーターからアクセスポイントまでは有線で安定した通信を確保できるのがこの方法の利点です。
中継機を使う方法もありますが、中継機は親機の電波をいったん受信してから再送信する仕組みのため、設置場所や環境によっては速度が落ちることがあります。戸建ての2階・3階や広いオフィスで安定した通信を確保したい場合は、アクセスポイントまでの有線配線もあわせて検討するとよいでしょう。

★ LAN配線について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください!!
LAN配線とは?ネットが遅い・不安定を解決する有線化のすすめ
LAN配線工事の内容と施工方法
LAN配線工事では、ケーブルを通したあとにLANコンセントを取り付け、配線と機器が正しく使えるかを試験で確認します。長く安心して使うためには、仕上がりの見た目だけでなく、どのようなルートで配線したのか、ケーブルを丁寧に扱ったか、どのような試験を行ったかも大切なポイントになります。
工事は5つの工程で進みます
LAN配線工事は、基本的に次の流れで進みます。
| 工 程 | 作業内容 | この段階で確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| 1. ルートの確認 | 機器からLANコンセントまでの配線経路を決める | 見た目と施工のしやすさのどちらを優先するか |
| 2. ケーブルの配線 | 決めたルートにケーブルを通す | 無理な曲げや引っ張りがないか |
| 3. 端末処理 | ケーブルの端をジャックやパッチパネルに接続する | 部材の性能がケーブルと合っているか |
| 4. LANコンセントの取り付け | 壁のプレートなどに差し込み口を設ける | 家具や机の配置と合っているか |
| 5. 試験・記録 | 導通や性能を確認し、配線番号を記録する | 何を測定し、どの結果を残すか |
端末処理とは、ケーブルの端をLANジャックやパッチパネルなどに接続し、通信できる状態に仕上げる作業のことです。固定配線では、壁のLANコンセントと機器側の接続口の間を固定のケーブルで結び、それぞれから短い接続用ケーブル(パッチケーブル)で機器につなぐ構成が一般的です。
露出配線・壁内配線・床下配線・天井配線の違い
LANケーブルの配線方法には、主に次の4種類があります。どれが適しているかは、建物の構造、利用できる配管、仕上がりの希望によって変わります。
| 配線方法 | 配線の通し方 | 主な利点 | 確認しておきたい条件 |
|---|---|---|---|
| 露出配線 | 壁ぎわや天井面にモールを取り付けて収める | 比較的施工しやすく、あとから点検しやすい | モールの目立ち方、扉や家具と干渉しないか |
| 壁内配線 | 壁の中や既存の配管に通す | 室内にケーブルが見えず、すっきり仕上がる | 配線できる空間、点検口、壁の補修が必要か |
| 床下配線 | 床下の空間やOAフロアの中に通す | 席の配置に合わせて差し込み口の位置を決めやすい | 床を開けられるか、差し込み口をどこに出すか |
| 天井配線 | 天井裏に通して必要な場所で下ろす | 長い距離をまとめて配線しやすい | 点検口の有無、天井裏の広さや障害物 |
壁内配線を希望しても、壁の中に柱や断熱材があったり、配管が途中で途切れていたりすると、そのままでは配線できないことがあります。床下配線も、住宅の床下とパネルを外して配線できるオフィスのOAフロアとでは、作業のしやすさが大きく異なります。
1つの方法にこだわらず、場所に応じて組み合わせると、見た目と施工のしやすさを両立しやすくなります。
見た目・費用・変更のしやすさで比べてみましょう
「ケーブルを見せたくない」という場合は、見えてもよい場所と隠したい場所を分けて相談しましょう。部屋の中心からよく見える壁は壁内配線にし、収納の裏や天井ぎわはモールで配線するなど、場所によって方法を使い分けることもできます。
露出配線でも、壁紙に近い色のモールを選ぶ、出っ張りの少ないルートを通す、差し込み口の周りをきれいに仕上げるといった工夫をすれば、それほど目立たなくなります。反対に、すべてを壁の中に隠そうとすると、壁に穴を開けて補修する箇所が増え、費用も作業時間もかさむことがあります。
賃貸住宅やテナントの場合は、モールを固定するネジや両面テープも、退去時の原状回復に関わってきます。穴を開けない方法であっても、事前にオーナーや管理会社に確認しておきましょう。
既存の配管や建物の構造を確認します
壁に何も付いていないプレート(空きプレート)があると、そこにLANコンセントを取り付けられそうに思えるかもしれません。しかし、プレートの奥に配管があるのか、その配管が機器のある場所までつながっているのかは、外から見ただけではわかりません。
既存の配管を利用する場合は、配管の太さ、曲がりの数、すでに通っているケーブル、配線のしやすさを現地で確認します。Cat6Aのような太いケーブルに替えると、以前は通せた配管に収まらないこともあるため、ケーブルの種類と配管の条件はあわせて検討しなければなりません。
また、空いているからといって、電源の配線とLANケーブルを同じ配管に通すのは避けるべきです。原則として別々の配管に収め、設備に応じた離隔距離を確保してもらいましょう。防火区画の壁や床を貫通する場合には、防火性能を損なわないための処理も必要です。外壁や共用部分に手を加える場合は、建物の管理者との調整も含めて、工事前にどこまで確認を済ませておくのかを明確にしておきます。
施工品質を左右する3つのポイント
LANケーブルは、見た目には同じように配線されていても、扱い方次第で通信性能が変わることがあります。施工の際に次の点へ配慮しているかを確認しておくと安心です。
1つ目は、無理な曲げや引っ張りを避けることです。ケーブルを急な角度で折り曲げたり、強く引っ張ったり、結束バンドできつく締め付けたりすると、内部の構造が崩れて性能が低下するおそれがあります。曲げる際の半径は、一般にケーブル外径の4倍程度以上が目安とされていますが、実際には使用する製品の施工条件に従います。
2つ目は、ケーブル・ジャック・接続用ケーブルの性能をそろえることです。ケーブルにCat6Aと表示されていても、ジャックやパッチケーブルがCat5e相当であれば、配線全体としてはCat6Aの性能を発揮できません。
3つ目は、両端に同じ番号を付けて記録することです。複数の配線を設ける場合、「会議室のLANコンセントは機器側の何番につながっているのか」がわかるようにしておけば、故障時の原因の切り分けや席替えの際にも作業がスムーズに進みます。
施工後の試験と動作確認
配線が終わったら、まず各線が正しくつながっているか、断線していないかを確認し、必要に応じてケーブルの長さや通信性能を測定します。ここで知っておきたいのは、簡易的な導通確認と、規格に沿った認証試験とでは、確認できる内容が大きく異なるということです。
| 試験の種類 | 確認できる内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 導通確認 | 各線がつながっているか、配列の誤りや断線がないか | 住宅など小規模な配線 |
| 認証試験 | Cat6・Cat6Aなどの規格どおりの通信性能を満たしているか | 特定の性能が求められる事務所や施設の配線 |
見積もりに「LANテスターで確認」としか書かれていない場合は、何を測定し、どの結果を書面で残してもらえるのかを質問しておきましょう。事務所で10Gbpsなど特定の性能が必要な場合は、認証試験を実施するのか、配線番号ごとの試験結果を提出してもらえるのかを、見積もりの段階で相談しておきます。
配線の試験に合格したら、実際に使うパソコンや複合機を接続し、社内の共有フォルダーやインターネットにアクセスできるかを確かめます。配線に問題がなくても、IPアドレスや機器の設定が合っていなければ、目的のサービスを利用できないことがあるからです。配線の試験と、普段の使い方での動作確認の両方を行っておけば、引き渡し後の行き違いを防げます。
LANケーブルとネットワーク機器の選び方
ケーブルや機器は、数値の大きい製品を選べばよいというわけではありません。必要な通信速度、配線の距離、接続する機器、将来の変更予定などを踏まえ、ネットワーク全体で考えることがポイントです。
Cat5e・Cat6・Cat6Aの違いと選び方
Cat5e、Cat6、Cat6Aは、LANケーブルや接続部材の性能区分(カテゴリ)を表す名称です。数字やアルファベットが大きいほど高い周波数に対応しており、より高速な通信に適しています。
| カテゴリ | 主な対応速度 | 主な用途の目安 | 選ぶ際の注意点 |
|---|---|---|---|
| Cat5e | 1Gbps | 既存の配線を活かせるかどうかの確認対象 | 傷みや接続部分も含めて使えるかを調べる |
| Cat6 | 1Gbps(条件付きで10Gbps) | 1Gbpsで新設・更新する場合の選択肢 | 10Gbpsでは距離や周囲の配線条件に制約がある |
| Cat6A | 10Gbps | 将来の10Gbps利用を見据えた新設・更新 | 太さや曲げにくさ、接続部材、施工条件を確認する |
一般的な構成では、Cat5eやCat6は最大100mまで1Gbpsで、Cat6Aは最大100mまで10Gbpsで通信できる配線として設計されます。1Gbpsは1,000Mbpsに相当し、10Gbpsはその10倍ですが、いずれも規格上の数値であり、インターネットの実際の速度を保証するものではありません。
Cat6で10Gbpsを使う場合、周囲のケーブルから受ける影響によって通信できる距離が変わります。「55mまでなら必ず使える」と考えるのは避けましょう。
また最近は、1Gbpsと10Gbpsの中間にあたる2.5Gbpsや5Gbpsに対応したパソコンやアクセスポイントも増えてきました。これらの規格は、Cat5eやCat6の既存配線を活かしたまま高速化することを想定して作られています。「10Gbpsまでは必要ないが、1Gbpsでは物足りない」という場合は、配線を交換せずに機器の更新だけで対応できる可能性もあります。
これから壁の中に配線を新設し、将来10Gbpsの機器を使う可能性があるなら、今Cat6Aを選ぶ場合の費用と、あとから壁を開けて交換する場合の手間を比べて判断するとよいでしょう。一方、既存のCat5eの配線で必要な通信ができているなら、カテゴリだけを理由にすべて交換する必要はありません。ケーブルの被覆に印字された表示を確認し、試験や機器の状態も踏まえたうえで、残す部分と更新する部分を決めましょう。
通信速度は「いちばん遅い区間」で決まります
通信速度を考えるときは、インターネットを利用するための通信と、建物内でのデータのやり取りを分けて考えると整理しやすくなります。Webの閲覧やWeb会議が中心の場合と、NASに大容量の動画ファイルを保存する場合とでは、速くしたい区間が異なるからです。
たとえば、次のような構成を考えてみましょう。
| 区 間 | 対応速度の例 |
|---|---|
| 回線契約 | 10Gbps |
| ルーター | 10Gbps対応 |
| スイッチ | 1Gbps対応 |
| 配線 | Cat6A |
| パソコンのLANポート | 10Gbps対応 |
この構成では、回線も配線もパソコンも10Gbpsに対応していますが、途中のスイッチが1Gbpsまでしか対応していないため、パソコンとの通信は1Gbpsにとどまります。つまり、通信速度は経路のなかでいちばん遅い区間によって決まるのです。
回線契約、ルーター、スイッチ、端末、配線を順に確認し、どこを更新すれば目的の速度に近づくのかを見極めることが、無駄のない投資につながります。
配線の距離は「実際のルート」で考えます
配線の長さは、部屋と部屋の直線距離ではなく、天井裏や壁ぎわを通る実際のルートで考えます。2階の部屋まで直線では近くても、階段を回り込んで天井裏を通し、そこから下ろすと、思った以上に長くなることがあります。
一般的な構内配線では、壁の中などの固定配線を90m以内、両端の接続用ケーブルを含めた全体を100m以内に収めて設計するのが基本的な考え方です。
短い接続用ケーブルも全体の長さに含まれるため、固定配線だけで100mまで延ばせるわけではない点に注意しましょう。離れた建物どうしや広い工場など、100mを超える距離をつなぐ場合は、光ファイバーや中継用のスイッチを含めた構成を相談し、屋外の環境条件や電源の確保もあわせて検討します。
有線LANとWi-Fiは使い分けるのが基本です
有線LANとWi-Fiは、どちらか一方に統一する必要はありません。機器の使い方に合わせて使い分ければ、配線が必要な場所を絞り込めます。
| 機器の使い方 | 適した接続方法 | 機器の例 |
|---|---|---|
| 決まった場所で使う | 有線LAN | デスクトップパソコン、NAS、複合機 |
| 持ち運んで使う | Wi-Fi | スマートフォン、タブレット、ノートパソコン |
| 通信が途切れると困る | 有線LAN(または有線で接続したアクセスポイント) | Web会議用の端末、決済端末、防犯カメラ |
前述のとおり、アクセスポイントまで有線LANで配線しておけば、端末側は無線のまま、安定した通信環境を整えられます。アクセスポイントの設置場所は、電波を届けたい範囲や壁・家具の配置、同時に接続する台数を考えて決めましょう。
PoE対応機器なら電源工事を減らせる場合があります
PoE(Power over Ethernet)とは、LANケーブル1本でデータ通信と電力の供給を同時に行える仕組みです。天井に取り付けるアクセスポイントや防犯カメラなど、近くにコンセントを設けにくい場所の機器に適しています。PoEを利用すれば、設置場所の近くにコンセントを増設しなくても機器を使える場合があります。
ただし、LANケーブルでつなぐだけで、どの機器にも電力を送れるわけではありません。PoEには規格ごとに給電できる電力の上限が定められています。
| 規 格 | 給電側の出力(1ポートあたりの目安) | 受電側で使える電力の目安 |
|---|---|---|
| IEEE 802.3af(PoE) | 15.4W | 12.95W |
| IEEE 802.3at(PoE+) | 30W | 25.5W |
| IEEE 802.3bt(Type 3) | 60W | 51W |
| IEEE 802.3bt(Type 4) | 90W | 約71W |
導入する際は、機器とスイッチが対応しているPoE規格、1ポートあたりの給電能力、スイッチ全体で供給できる電力の合計を確認しておきましょう。たとえば、1ポートあたり30Wまで給電できるスイッチであっても、全体の給電容量が小さければ、すべてのポートで同時に30Wを使えるとは限りません。
PoEの給電条件については、パナソニックの<PoE解説>や<給電距離に関する解説>も参考になります。購入前に、機器の型番をもとに組み合わせを確かめておくと安心です。
LAN配線工事の費用と見積もりのチェックポイント
LAN配線工事の費用は、ケーブルの長さだけで決まるものではありません。配線のルート、LANコンセントの数、壁や床を開ける作業、機器の設定、施工後の試験など、さまざまな要素によって金額が変わります。総額だけでなく、その金額にどの作業が含まれているのかもあわせて確認すると、見積もりの違いが理解しやすくなります。
費用を構成する主な項目
見積もりには、ケーブル代のほか、配線や端末処理の作業費、ジャックやモールなどの部材費が含まれます。ルーターやスイッチを新しくする場合は、機器代に加えて取り付けや設定の費用もかかります。
材料費だけを見て、工事費が高いか安いかを判断するのは避けましょう。たとえば同じ2本の配線でも、モールで通せる場合と、壁に穴を開けて補修が必要な場合とでは、作業の手間が大きく異なります。施工・試験・設定の範囲を比べてみることが大切です。
次の表は、見積もりの考え方をイメージしやすくするために金額を仮定した例です。実際の相場や特定の会社の料金を示すものではありません。
【仮定例】戸建て住宅で、1階のルーターから2階の仕事部屋まで2本の配線をモールで通す場合
| 費用の項目 | 仮の金額 | この例に含まれる内容 |
|---|---|---|
| ケーブル・接続部材 | 8,000円 | 2本分のケーブルと両端のジャック |
| モールなどの部材 | 4,000円 | 壁ぎわにケーブルを収めるための部材 |
| 配線・端末処理の作業費 | 24,000円 | 2本の配線と接続処理 |
| 試験・記録の作業費 | 6,000円 | 合意した内容の試験と配線番号の記録 |
| 出張費などの諸経費 | 3,000円 | 移動などにかかる費用 |
| 合計(税抜) | 45,000円 | 機器の購入・設定、電源工事、撤去、壁の補修は含まない |
このように項目ごとに分けてもらえば、「アクセスポイントの設置を追加するといくら増えるか」「試験を認証試験に変えるとどうなるか」など、具体的に質問できるようになります。
実際の見積もりでは、税込か税抜か、現地調査に費用がかかるか、最低工事料金が設定されているかもあわせて確認してください。
金額が変わる主な条件
同じ本数・同じ距離の工事であっても、建物の条件や作業環境によって金額は変わります。主な条件は次のとおりです。
| 条 件 | 金額への影響 | 相談時に伝えておきたいこと |
|---|---|---|
| 配線の本数 | 本数が増えるほど端末処理や試験の箇所も増える | 今必要な本数と、近いうちに必要になる本数 |
| 配線方法 | 壁内配線や床下配線は、開口や補修で手間が増えやすい | 見た目の希望と、露出を許容できる範囲 |
| 配線ルート | 距離が短くても、通しにくいルートは手間がかかる | 点検口や既存の配管があるか |
| 作業環境 | 天井が高い、大型家具がある、作業時間に制限があると手間が増える | 作業できる時間帯、移動が必要な家具 |
| 営業中の工事 | 夜間・休日の作業や段階的な切り替えで費用が加わる | 止められない業務とその時間帯 |
本数が増えれば費用も増えますが、複数のケーブルを同じルートでまとめて通せる場合は、1本ずつ別の日に工事するよりも効率的です。今必要な本数と、近いうちに必要になる本数をまとめて伝えておけば、分けて工事する場合と一度に工事する場合を比較できます。
「長さが同じなら料金も同じ」とは考えず、配線ルートや作業条件が金額にどう反映されているのかを説明してもらいましょう。
電源コンセントの増設も必要な場合
LANコンセントを増やしても、近くに電源がなければ、パソコンやネットワーク機器は使いにくいままです。電源工事も必要な場合は、LAN配線とあわせて現地を見てもらうと、LANコンセントの位置と機器の置き場所をまとめて計画できます。
ただし、電源コンセントは近くの配線から自由に増やせるとは限りません。接続する機器の消費電力、既存の回路の使用状況、分電盤からの配線方法を確認し、必要であれば回路の増設も検討します。
見積もりには、コンセントの数だけでなく、配線ルート、回路を追加するかどうか、停電が必要な範囲も記載してもらいましょう。LAN工事と電源工事を同じ日に行う場合は、両方に共通する養生費や出張費がどのように計上されているかも確認しておきます。
ネットワーク機器をまとめて置く棚を用意する場合は、棚の寸法だけでなく、コンセントの数と、熱を逃がすためのすき間も含めて相談しておくと、使い始めてから置き直す手間が省けます。
見積もりを比較するときにそろえておきたい条件
複数の会社に見積もりを依頼する場合は、同じ図面と同じ希望条件を渡すのが基本です。ある会社は配線のみ、別の会社は機器設定まで含めた見積もりになっていると、総額を並べても正しく比較できません。
| そろえておきたい条件 | 具体的な確認内容 |
|---|---|
| 配線の本数 | 何本を、どこからどこまで配線するか |
| ケーブルのカテゴリ | Cat6かCat6Aか、接続部材も同じ性能か |
| LANコンセントの位置 | 壁面か床面か、どの高さに設けるか |
| 試験の内容 | 導通確認か認証試験か、結果を提出してもらえるか |
| 機器と設定 | 機器を誰が用意するか、設定をどこまで含めるか |
| 撤去・補修 | 既存配線の撤去や壁の補修が含まれるか |
条件をそろえるといっても、すべての会社に同じ施工方法を求めるわけではありません。目的を共有したうえで、建物に合ったルートや費用を抑える方法を提案してもらえば、選択肢が広がります。会社によって提案内容が異なる場合は、その理由を聞いてみましょう。 各社の考え方や経験の違いが見えてきます。
使用部材・施工範囲・試験内容を確認しましょう
見積もりの部材欄では、ケーブルのカテゴリ、ジャックの仕様、モールの数量、機器の型番などを確認します。固定配線の両端を仕上げるところまでなのか、接続用ケーブルを用意して機器につなぐところまでなのかも、はっきりさせておきましょう。
ここで押さえておきたいのは、「Cat6Aのケーブルを使う」ことと「Cat6Aの性能を確認したうえで引き渡す」ことは、意味が異なるという点です。必要な性能が決まっている場合は、使用する部材の組み合わせ、試験の基準、結果の提出方法まで相談しておきます。
複合機やNASを使う事務所では、インターネットへの接続確認だけでなく、どの機器にアクセスできれば完了とするのかも決めておくと安心です。
追加費用・既存配線の撤去・施工後の対応
現地調査を行っていても、壁を開けてみたら障害物があったなど、作業を始めてから判明する条件もあります。そのような場合に、いったん作業を止めて説明を受けるのか、変更内容と金額を承認してから進めるのかを、契約前に取り決めておきましょう。
追加費用の条件が「現場の状況による」としか書かれていないと、どのような場合に費用が増えるのかがわかりません。配線ルートの変更、壁の補修、既存配線の撤去、夜間作業など、発生しうる項目を具体的に確認しておきます。
あわせて、施工後に接続できなかった場合の連絡先、工事が原因の不具合への対応、機器の故障や設定変更が別対応になる条件も聞いておけば、困ったときに迷わず相談できます。
相談からLAN配線工事完了までの流れ
LAN配線の相談は、専門用語を覚えてからでなくても始められます。使いたい場所と機器、現在の配線状況がわかれば、現地調査を通じて必要な工事を絞り込んでいけます。
全体の流れは、次の5つのステップです。
| ステップ | 主な内容 | 依頼者側で決めること・準備すること |
|---|---|---|
| 1. 希望の整理 | 使いたい場所と機器を書き出す | 利用場所、機器、仕上がりの希望 |
| 2. 現地調査 | 配線ルートと施工条件を確認する | 調査への立ち会い、管理会社への確認事項の整理 |
| 3. 見積もり・日程調整 | 工事内容と作業日を決める | 通信が止まっても支障のない時間帯 |
| 4. 施工・試験 | 配線、LANコンセントの設置、試験を行う | 家具の移動、作業スペースの確保 |
| 5. 引き渡し・確認 | 動作確認と資料の受け取り | 実際の使い方での確認、資料の保管 |
ステップ 1|接続したい機器と利用場所を整理する
まず、どの部屋で、どの機器を、何台使いたいのかを書き出してみましょう。「通信環境をよくしたい」という漠然とした希望よりも、「寝室の机でWeb会議をするため、有線でつなぎたい」と具体的に伝えるほうが、相談先も必要な配線を考えやすくなります。
次のような情報を用意しておくと、初回の相談がスムーズに進みます。
| 用意する情報 | 記入例 |
|---|---|
| 利用場所 | 2階の仕事部屋、1階の会議室 |
| 接続したい機器 | パソコン2台、複合機1台 |
| 現在使っている機器 | ONU、ルーター、スイッチの型番 |
| 仕上がりの希望 | 床を横切る配線はなくしたい、壁のモールは見えてもよい |
| 作業上の条件 | 平日は会議室を使うため、休日に切り替えたい |
| 今後の予定 | 半年以内に2席増やす予定 |
機器の型番がわからない場合は、本体のラベルや現在の接続状況を写真に撮って送るだけでも十分です。
なお、Wi-Fiやルーターのパスワードなどの設定情報は、必要になった段階で適切な方法で伝えるようにしましょう。 初回の問い合わせフォームやメールに書き込むのは避けてください。
ステップ 2|現地調査で配線ルートと施工条件を確認する
現地調査では、機器の置き場所からLANコンセントを設ける位置まで、どこを通して配線できるかを確認します。点検口、配管、壁や床の構造、家具の配置などを見ながら、希望する方法で施工できるかを調べてもらいます。
調査の結果は、対応できること、追加の作業が必要なこと、まだ判断できないことに分けて説明してもらうと、見積もりの前提がはっきりします。壁内配線ができるかどうかがその場で判断できない場合は、露出配線で対応する代案や、追加調査の方法も聞いておきましょう。
賃貸住宅やテナントでは、オーナーや管理会社に確認すべき事項を整理し、工事の申請や共用部分への立ち入りの手配を誰が行うのかも決めておきます。工事当日に備えて、移動が必要な家具や養生の範囲も共有しておくと、当日の作業がスムーズに始められます。
ステップ 3|見積もりと作業日程を決める
見積もりの内容に納得できたら、作業日と、ネットワークを切り替える時間帯を決めます。ケーブルを通す作業と、既存の機器から新しい配線に切り替える作業を分けられる場合は、先に配線だけ済ませておき、利用の少ない時間帯に切り替えるという方法もあります。
このとき、作業にかかる時間と、通信が止まる時間は分けて確認しておきましょう。 作業自体は丸一日かかっても、通信が止まるのは切り替え時の数十分だけ、ということもあります。
事務所では、Web会議、決済、受付、社内サーバーの利用など、止まると困る業務を事前に伝えておきます。設定変更を伴う場合は、作業前に現在の設定を控えておき、うまく切り替えられなかったときに元に戻す方法も相談しておきましょう。回線事業者やIT担当者の立ち会いが必要な場合は、関係者全員の予定を調整してから日程を決めてください。
ステップ 4|施工と試験を行う
工事当日は、決めたルートに沿ってケーブルを配線し、LANコンセントの取り付けと端末処理を行ったあと、事前に合意した内容の試験を実施します。
作業中に想定外の状況が見つかった場合は、契約前に決めた取り決めに沿って説明を受け、進め方を判断します。「現場の判断でお任せします」と丸投げするのではなく、変更の内容と費用を確認してから承認することが、あとのトラブルを防ぐポイントです。
ステップ 5|引き渡しと動作確認
引き渡しの際は、LANコンセントの位置、配線番号、試験結果、機器の接続状況を確認します。各部屋のLANコンセントを1つずつ使ってみて、必要な機器が正常に動くかをその場で確かめれば、確認漏れを防げます。
インターネットの閲覧だけでなく、印刷、共有フォルダーへのアクセス、Web会議など、工事の目的に沿った使い方で試してみることが大切です。その場で確認できない業務がある場合は、誰がいつ確認し、結果を誰に連絡するのかを決めておきましょう。
工事後に家具を元の位置に戻すときは、ケーブルを挟まないこと、機器の通気口をふさがないことに注意してください。配線図や試験結果、連絡先などの資料は、1か所にまとめて保管しておくと、あとで困ったときに役立ちます。
LAN配線を依頼する業者の選び方
工事費の安さだけで依頼先を選ぶと、必要な作業が含まれていなかったということにもなりかねません。建物や用途に合った経験があり、工事内容や施工後の確認方法をきちんと説明してくれる会社を選びましょう。
比較する際の主なポイントは、次の4つです。
| 確認ポイント | 見るべきところ | 質問の例 |
|---|---|---|
| 施工経験 | 自分の建物や用途に近い事例があるか | 「営業中の事務所で工事した経験はありますか」 |
| 説明のわかりやすさ | 工事が必要な理由や代案を示してくれるか | 「壁の中に通せない場合はどうしますか」 |
| 対応範囲 | 電源工事や機器設定まで対応できるか | 「電源工事はどなたが担当しますか」 |
| 引き渡し資料 | 配線図や試験結果を提出してもらえるか | 「配線番号と試験結果は書面でいただけますか」 |
同じ用途・同じ種類の建物での施工経験があるか
住宅の1部屋にLANコンセントを追加する工事と、営業中の事務所で数十本の配線を切り替える工事とでは、準備も進め方も異なります。自分の依頼内容に近い工事の経験があるかを尋ね、その際にどのようなルートや手順で施工したのかも聞いてみましょう。
施工事例の写真を見る場合は、仕上がりの美しさだけでなく、配線に番号が付いているか、機器が点検しやすい場所に設置されているかにも注目してください。実績の件数だけで判断するのではなく、今回の条件について具体的に答えてくれるかどうかを確かめることが大切です。
工事内容や見積もりの説明が具体的か
相談先が、こちらの希望を聞いたうえで必要な作業を説明してくれるかどうかも、重要な判断材料です。「このケーブルにすれば速くなります」といった説明だけでは、機器や回線に原因がある場合に、本当に目的を果たせるのか判断できません。
信頼できる会社は、その工事がなぜ必要なのか、ほかにどのような方法があるのか、何を確認できれば完了とするのかを説明してくれます。たとえば、壁内配線とモール配線の両方を提案し、それぞれの費用や見た目、補修の有無の違いを示してくれれば、希望に合わせて選べます。
見積もりにわからない項目があれば、契約前に遠慮なく質問しましょう。口頭で決めた変更点も書面に反映してもらえば、工事当日の行き違いを防げます。
電源工事や機器設定の対応体制がはっきりしているか
電源コンセントの増設やネットワーク設定も必要な場合は、その作業を誰が担当するのかまで確認しておきます。1社がまとめて受注する場合でも、電源工事と通信設定は別の担当者や協力会社が行うことがあります。
工事の窓口、作業ごとの担当者、引き渡し後の連絡先がわかっていれば、複数の担当者が関わる工事でも安心して相談できます。
すでにネットワークの保守を任せている会社がある場合は、機器の交換や設定変更をどこまで任せてよいのかを事前に共有しておきましょう。配線業者が独自の判断でルーターを交換すると、必要な設定が引き継がれないこともあります。配線と機器管理の役割分担を、関係者のあいだでそろえておくことが大切です。
配線図・試験結果・アフターフォローが用意されているか
工事が終わってから役に立つのは、どこに何を配線したのかがわかる記録です。小規模な工事であれば、部屋の簡単な図にLANコンセントの位置と配線ルートを書き込んだものでも、あとで配線を確認する際の手がかりになります。
事務所では、配線番号、接続先、使用部材、試験結果を記録として残しておくと、席の変更や故障時の原因の切り分けがスムーズに進みます。どこまでの資料を提出してもらえるのかは、見積もりの段階で確認しておきましょう。
あわせて、施工の不具合を相談できる期間や条件、機器のメーカー保証との違い、あとから設定変更を依頼する場合の扱いも聞いておきます。引き渡し後の連絡先を配線図と一緒に保管しておけば、問題が起きたときにも状況を正確に伝えられます。

電気工事とLAN配線に関するよくある質問(FAQ)
LAN配線を相談する際には、「小さな工事でも頼めるのか」「壁に穴を開けずに済むのか」「工事中に通信は止まるのか」など、事前に知っておきたい疑問が多く寄せられます。ここでは、代表的な質問にお答えします。実際に自分の建物に当てはまるかどうかは、写真や現地調査をもとに確認してもらうと確実です。
Q1. LANケーブルを1本追加するだけでも依頼できますか?
はい、小規模なLAN配線に対応している会社であれば、1本だけの追加でも依頼できます。
ただし、1本だけでも現地への移動、配線、両端の処理、試験といった作業は必要です。そのため、本数にかかわらず最低工事料金を設けている会社もあります。配線したい場所、おおよその距離、LANコンセントも必要かどうかを伝えたうえで、費用の条件を確認しましょう。
近いうちに別の部屋でも有線LANを使う予定があるなら、同時に工事した場合の見積もりも出してもらうと、比較したうえで判断できます。
Q2. Wi-Fiを使っていてもLAN配線は必要ですか?
Wi-Fiで必要な通信ができているのであれば、必ずしも有線LANを追加する必要はありません。
ただし、デスクトップパソコンを有線で安定して使いたい場合や、電波の届きにくい部屋にアクセスポイントを設置したい場合には、LAN配線が役立ちます。電波が届きにくい場所、同時に接続する台数、使用している機器を確認し、アクセスポイントの位置を変えるだけで解決するのか、配線の追加が必要なのかを検討しましょう。
Wi-Fiの不具合を配線不足のせいだと決めつけず、電波の状況や機器の設定もあわせて確認することが大切です。
Q3. 壁に穴を開けずに配線できますか?
既存の配管やLANコンセント、モールを利用できる場合は、新たに穴を開けずに配線できることがあります。
ただし、既存の配管が目的の場所までつながっているか、ケーブルを安全に収められるかは、現地で確認してみなければわかりません。穴を開けたくないという希望とあわせて、配線がどの程度見えても構わないかを伝えておくと、代案を提案してもらいやすくなります。
賃貸住宅の場合は、両面テープや固定具を使う方法についても管理会社に確認しておきましょう。また、ドアのすき間にケーブルを通す方法はケーブルを傷めてしまうため、避けてください。
Q4. LAN配線と電源コンセントの増設を一緒に頼めますか?
両方に対応できる体制を持つ会社であれば、まとめて依頼できます。
LANコンセントと電源の位置を同時に決められるため、机や機器の配置に合わせた計画を立てやすいのが利点です。ただし、電源工事の担当者が必要な資格を持っているか、既存の回路に余裕があるか、停電が必要かどうかは、LAN配線とは別に確認してください。
見積もりも、通信工事と電源工事を分けて記載してもらうと、それぞれの作業内容と費用を把握しやすくなります。
Q5. 工事中はインターネットが使えなくなりますか?
工事の内容によって異なります。既存の配線に触れずに新しいケーブルを通すだけであれば、工事中も通信を使い続けられる場合があります。
一方、機器の入れ替えや設定変更、既存配線の切り替え、停電が必要な作業では、一時的に接続が途切れることがあります。通信が止まる範囲と予定時間を工事前に確認し、利用の少ない時間帯に切り替えられないか相談しましょう。
業務で通信を使う事務所や店舗では、決済や受付への影響も伝えたうえで、必要に応じてモバイル回線などの代替手段を用意しておくと安心です。
Q6. LANケーブルを交換すれば通信速度は必ず上がりますか?
必ず速くなるとは限りません。
ケーブルの傷みや性能不足が原因であれば、交換によって改善が見込めます。しかし、回線の混雑やルーター・スイッチの性能、端末のLANポート、接続先のサービスなどに原因がある場合は、ケーブルを交換しても改善しません。
まずは、ケーブルのカテゴリだけでなく、機器の対応速度や、どの区間で速度が落ちているのかを確認しましょう。工事後の速度についても、インターネットの実測値なのか、建物内の通信速度なのかを区別し、何が確認できれば目的を達成したといえるのかを事前に相談しておくと安心です。
Q7. 賃貸住宅やテナントでもLAN配線工事はできますか?
オーナーや管理会社の許可が得られれば、工事できる場合が多いです。
ただし、壁への穴あけ、共用部分の使用、外壁の加工などは、建物の規約で制限されていることがあります。モールの固定方法も退去時の原状回復に関わるため、工事の範囲や方法について、事前に書面などで確認しておくと安心です。
テナントの場合は、ビルの管理会社への工事申請や作業時間の制限があることも多いため、工事を依頼する会社と申請の段取りを共有しておきましょう。
まとめ|使い方と工事範囲を整理してからLAN配線を相談しましょう
LAN配線工事は、対応している電気工事会社に依頼できます。ただし、配線、機器の設置、ネットワーク設定、電源工事のどこまでに対応しているかは会社によって異なるため、依頼前に対応範囲を確認しておくことが大切です。
まずは、どこで何を使いたいのか、LANコンセントはいくつ必要なのか、今何に困っているのかを整理しましょう。そのうえで、建物に合った配線ルートや、ケーブルと機器の組み合わせを相談すれば、必要な工事を無駄なく選べます。
最後に、この記事のポイントを振り返っておきましょう。
| 検討の段階 | 押さえておきたいポイント |
|---|---|
| 依頼先を探す | LAN配線と電源工事の対応範囲をそれぞれ確認する |
| 工事内容を決める | 見た目・費用・変更のしやすさのどれを優先するかを決める |
| ケーブルを選ぶ | 通信速度は経路のなかでいちばん遅い区間で決まる |
| 見積もりを比べる | 部材、端末処理、試験、設定、撤去・補修の範囲をそろえる |
| 工事を終える | 実際の使い方で動作を確認し、配線図と試験結果を保管する |
通信の不具合は、原因を調べてから対処するのが費用を抑える近道です。工事が終わったら、実際の使い方で動作を確かめ、配線図や試験結果、施工後の連絡先をまとめて保管しておきましょう。将来、席を増やしたり機器を交換したりするときにも役に立ちます。
専門用語をすべて理解している必要はありません。部屋の写真や機器の型番を用意して、「この場所で、この機器を使いたい」という希望を伝えるところから、気軽に相談を始めてみてください。






