LANケーブル

2025.02.23

LANケーブルの正しい配線方法とは?壁内・床下・天井ルートも解説

 

LANケーブルの配線方法とは?失敗しないための基礎知識と注意点

LANケーブルの配線は、家庭でもオフィスでも「安定したインターネット接続」を得るために欠かせない作業です

しかし、見よう見まねで適当に配線してしまうと、通信速度の低下・断線・ノイズ干渉・感電事故といったトラブルを招く恐れがあります

ここでは、LAN配線を行う際に最低限押さえておきたい基礎知識と、よくある失敗を防ぐための注意点を、具体的にわかりやすく解説します。

正しいLAN配線を行うための基礎知識

LANケーブルの種類と選定

まず最初に重要なのが、「どの規格のLANケーブルを使用するか」という点です。

LANケーブルには「Cat5e」「Cat6」「Cat6A」「Cat7」など複数の種類が存在し、それぞれ対応する通信速度・周波数・ノイズ耐性が異なります。

一般家庭での使用であれば、Cat6以上のケーブルを選ぶことで、1Gbps以上の高速通信を安定して確保できます。

【LANケーブルの規格比較】

規格最大通信速度周波数帯域用途の目安
Cat5e1Gbps100MHz一般家庭の基本ネット接続
Cat61Gbps250MHz高画質動画・リモートワーク
Cat6A10Gbps500MHzオフィスや高速回線契約の家庭
Cat710Gbps600MHzサーバー用途・高ノイズ環境

 

LAN配線においては、将来的な拡張性も見据えてCat6A以上を選定しておくと安心です。

配線距離の制限と伝送性能

LANケーブルは、長さが100mを超えると信号の減衰や通信の不安定化が発生します。

特に長距離を通線する場合は、中継器(ハブ)やリピーターの導入を検討することが重要です。

また、ケーブルの曲げやすさ・外皮の耐久性も確認し、通線経路に合わせて柔軟性のあるタイプを選びましょう。

接続端子(RJ45)の正しい処理

LANケーブルの先端は「RJ45」というコネクタで終端処理します。

市販の完成品を使用することもできますが、壁内配線や床下配線ではケーブルを必要な長さで切って加工するケースも多くあります。

この際、結線の順番(T568AまたはT568B)を間違えると接続不良や断線の原因になります。

専用の工具(かしめ工具やLANチェッカー)を使って確実な終端処理を行うことが肝心です。

配線作業で失敗しないための注意点

配線ルートの選定ミス

LANケーブルは、電源ケーブルや家電の近くを通すとノイズの影響を受ける可能性があります。

また、無理に曲げたり、角に沿わせたりすると内部導線が断線するリスクがあります。

配線時には緩やかなカーブを保ちつつ、保護モールやケーブルクリップで固定するようにしましょう。

ケーブルの引っ張りや踏みつけによる劣化

LANケーブルは意外にも繊細な構造でできており、強く引っ張る・踏む・重い家具の下を通すといったことは厳禁です。

とくに床下配線や家具の背後を通す際には、保護チューブや床面モールを使用してケーブルを守る必要があります。

コンセント付近の施工ミスによる感電リスク

LAN配線は基本的に電源とは無関係ですが、壁内や天井内に通線する際に電源ケーブルと誤って交差・接触してしまうことがあります。

特に金属製の通線工具(フィッシュテープなど)を使用する場合は、ブレーカーを落として作業するのが鉄則です。

また、感電防止のための絶縁手袋・ゴーグルなどの安全装備も忘れてはいけません。

プロの業者が重視する3つの施工ポイント

LAN配線に慣れた業者が必ず行っているのが、次の3点です。

1. ルート設計:建物の図面や構造を確認し、最短かつ安全な経路を設計

2. ノイズ対策:他の配線との距離やクロストークの影響を計算

3. 将来の拡張性を考慮:余長ケーブルの確保、配管内の空配線対応

こうしたノウハウは、DIYでは見落としがちですが通信トラブルや再工事の発生を防ぐために非常に重要です。

正しい知識と段取りが成功の鍵

LANケーブルの配線は一見シンプルに見えますが、通信品質・安全性・将来性を考慮すると、事前の計画と基本知識の理解が不可欠です

・ 適切なケーブルの選定

・ 電源ケーブルからの距離確保

・ 曲げや引っ張りに対する保護施工

・ 終端処理と配線チェックの確実性

これらのポイントを押さえることで、失敗しないLAN配線が実現できます。

インターネットが生活や仕事の基盤となった今だからこそ、「見えない通信環境」にこそ、しっかりとした品質と配慮を注ぎましょう

 

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LAN配線の基本とは?壁内・天井内・床下での通し方を解説

LANケーブルの配線を美しく、かつ安全に行うためには、どこにどのように通すかという“通線ルートの選定”が極めて重要です

家庭やオフィスの構造に応じて、配線方法には「壁内」「天井内」「床下」の3つの基本的な方式があります。

この章では、それぞれの配線方法についてメリット・デメリット・施工時の注意点を具体的に解説します。

壁内配線:見た目と安全性を両立できるスタンダード方式

特長と利点

壁内配線は、建物の壁の中にLANケーブルを通してケーブルを完全に隠す方法です。

最も美観に優れており、配線後に室内の印象を損なわないのが最大の魅力です。

また、物理的な接触や引っ掛かりの心配もなく、安全性が高いのも特長の一つです。

通線方法と注意点

壁内配線には、既存の空配管を利用する方法と、壁に穴を開けて新たに通線する方法の2パターンがあります。

・ 空配管の活用
 → 新築住宅やリフォーム時に配備されることが多く、通線ワイヤーを使ってLANケーブルを通します。

・ 壁貫通工事
 → 電動ドリルで壁に穴を開けて通すが、構造壁・配線・水道管への干渉リスクに注意。

【施工時のチェックポイント】

・ 壁材の種類(石膏ボードや合板など)を把握

・ 壁内にある電源線や配管の位置を事前に調査

・ 必ず絶縁対策された通線工具を使用

【メリット】

・ 外観が非常に美しい

・ ケーブルの劣化が少ない

・ 感電リスクが低い

【デメリット】

・ 工事の難易度が高い

・ 壁内構造に制限を受ける

天井内配線:柔軟性の高い配線方法で後付け工事にも対応

特長と利点

天井内(天井裏)の空間を利用して配線する方法は、配線ルートの自由度が高く、分岐や延長にも柔軟に対応可能です。

とくに、ダウンライトや点検口がある住宅・事務所では、比較的容易に施工できます。

また、LANハブやPoEスイッチを天井裏に設置して複数部屋に配線することも可能です。

通線方法と注意点

天井内配線では、点検口から天井懐(ふところ)にアクセスしてケーブルを這わせる方法が一般的です。

・ 通線ルートには照明器具やダクトを避けるようにルートを設計

・ モールや結束バンドで固定し、落下防止

・ 天井裏の埃、熱、湿度対策も忘れずに行う

【施工時の必須道具】

・ 通線ワイヤー

・ 絶縁手袋や防塵マスク

・ ヘッドライトや作業灯

【メリット】

・ 配線ルートの自由度が高い

・ 施工後の変更や追加が比較的容易

・ スイッチングハブとの連携に向いている

【デメリット】

・ 高所作業による落下リスク

・ 天井内の構造把握が難しい

・ 作業スペースが狭く、体力を使う

床下配線:戸建て住宅でよく使われる省スペース工法

特長と利点

戸建て住宅で1階に限定してLANを敷設する場合、床下スペースを活用した配線が非常に効果的です。

床下点検口や収納庫などからアクセスでき、壁や天井を傷つけずに施工可能です。

また、ケーブルが見えないため見栄えもよく、コストを抑えた施工が可能です。

通線方法と注意点

床下に入る際は、まず床下の高さ・換気状態・障害物の有無を確認しましょう。

・ 湿気が多い場合は防湿施工(床下シートやパイプ養生)を行う

・ ケーブルは床下支持材(クリップや吊り金具)でしっかりと固定

・ 害虫や小動物による被害を防ぐための対策も重要です

【作業時の装備】

・ つなぎ(作業着)、マスク、ライト、膝パッド

・ 床下用の小型ヘッドランプ

・ 防虫スプレー

【メリット】

・ 工事費用が比較的安価

・ 室内の美観を損なわない

・ 配線距離が短くて済む

【デメリット】

・ 作業空間が狭く、身体的負担が大きい

・ 湿気やカビ、虫害のリスク

・ 二階への配線には不向き

施工方法別の特徴比較

【配線方法ごとの特徴一覧】

配線方式美観作業難易度メンテナンス性安全性適した環境
壁内配線新築・リフォーム住宅
天井内配線点検口のある住宅
床下配線中〜高戸建て1階部分

構造に応じた通線方法を選び、快適なネット環境を構築しよう

LAN配線は、単にケーブルを引くだけの作業ではなく、建物構造に応じた「通線戦略」が求められる作業です

・ 壁内配線は美観重視、構造把握が重要

・ 天井内配線は柔軟性重視、作業安全対策が必須

・ 床下配線はコスト重視、湿気や虫害に注意

このように、各方式にはそれぞれのメリットとリスクがあり、適材適所の選択が成功のカギを握ります。

LAN配線の基本を正しく理解し、適切な工法を選ぶことで、家庭でもオフィスでも快適で信頼性の高い通信インフラを実現することが可能です

次章では、この配線方法を実際の住空間にどう展開していくのか、「ルーターから各部屋へLANを引く最適解」についてさらに深掘りしていきます。

 

 

LANケーブルについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください

そもそもLANケーブルって何?用途と必要性をわかりやすく解説

 

ルーターから各部屋へ!LANケーブルを家中に配線するベストな方法とは?

インターネットルーターをリビングなどの限られた場所に設置している家庭は多いですが、実際の生活では「寝室でもオンライン会議をしたい」「子供部屋でもゲームをしたい」といったニーズが広がっています。

そんなときに活用されるのがLANケーブルによる部屋間の配線です。

ただし、各部屋へのLAN配線には物理的制約・通信品質・安全性・施工性といった複数の課題が絡むため、「どのように配線するか?」が成功の鍵を握ります

ここでは、ルーターから家中にLANケーブルを伸ばす具体的な方法と、その中でベストな手法を解説します。

配線方式は2つある!スター型接続とカスケード接続の違い

スター型接続

スター型接続とは、ルーターから各部屋へLANケーブルを1本ずつ個別に引き込む方式です。

電気の配線方式にも似ており、トラブル発生時の切り分けが容易で通信品質が安定する点が大きなメリットです。

例えば、ルーターのすぐ近くにある情報分電盤から各部屋へLAN配管が通っている住宅でよく採用されます。

【メリット】

・ 通信速度や安定性ともに非常に高い

・ 1部屋に不具合が起きても他部屋には影響しない

・ 増設や変更がしやすい

【デメリット】

・ ケーブルの本数が多くなり、コストも増える

・ 配管や通線ルートが確保できないと難しい

カスケード接続

一方、カスケード接続とは、ルーター→1部屋→2部屋…というように中継していく方式です。

簡単に施工でき、モールや壁沿いに沿わせて配線することも可能なため、特に後付け工事や賃貸住宅などではよく選ばれる方法です。

【メリット】

・ ケーブル総延長が短く、施工が簡単

・ 必要最小限の配線で済むため見た目がすっきりする

【デメリット】

・ 1部屋で障害が起きると他の部屋にも影響が出る

・ 通信速度が部屋ごとに分散されるため遅延が起きやすい

家中にLANを張り巡らせるための具体的な配線戦略

それでは、実際にルーターから家全体にLAN配線を展開する方法を、施工シーン別に詳しく見ていきましょう。

事例 1:一戸建て(情報分電盤あり)の場合

新築や築浅住宅に多いのが、マルチメディア情報分電盤が設置されているケースです。

この場合、情報盤にルーターを収納し、そこから天井裏または壁内を通じて各部屋に配線するスター型構成が理想です。

・ 既存の空配管を通してLANケーブルを配線

・ 各部屋には壁付けのLANコンセントを設置

・ スイッチングハブを情報盤に設置し、最大8部屋まで同時配線が可能

【おすすめ構成図】
ルーター → スイッチングハブ → 各部屋のLANジャック

事例 2:マンションや賃貸住宅の場合

既設の配管がなく自由な施工が難しい場合は、モール配線+フラットケーブル+ルーム内中継器の併用が有効です。

・ ルーターを起点に壁や巾木(はばき)沿いにモールを使って配線

・ ドアの下にはフラットケーブルを通して隣室に展開

・ 必要に応じてPoE対応ハブを用い、電源不要でLAN機器を延長

【補助的な機器】

・ フラットLANケーブル(ドアやカーペット下を通す)

・ スイッチングハブ(4ポート、8ポート)

・ ケーブルモール(壁沿い、天井沿いなど)

事例 3:配管ルートがない住宅の場合

壁や床に配線が通せない場合は、「天井裏配線」または「床下配線」が検討されます。

点検口があるならそこからアクセスし、LANケーブルを支持材やワイヤーで固定しながら配線します。

・ 天井裏から一部屋ずつ通線し、各部屋にLANコンセントを設置

・ スイッチングハブはルーターの近くまたは天井裏に設置可能

・ 床下ルートは、1階部分に限定して配線可能な経済的選択肢

ベストな方法は環境によって異なる!配線方式別の選び方ガイド

【配線方式と選び方】

住居タイプおすすめ方式備考
新築戸建て壁内スター型配線情報分電盤と空配管を活用
築浅マンション天井内 or 壁沿いモール配線配管構造の確認が必要
賃貸アパートフラットケーブル+モール原状回復可能な簡易施工がポイント
築古一戸建て天井裏 or 床下配線点検口の有無と作業空間の確保が重要
オフィスや事務所OAフロア+LANハブ業務用の通信安定性とセキュリティを確保可能

使いやすくトラブルの少ないLAN配線を実現しよう

家中にLAN配線を展開するには、「どの方式が自宅に合っているかを見極めること」が最も大切です

・ スター配線なら安定性重視で通信品質が確保できる

・ カスケード配線なら後付けで簡易施工に適している

・ 配管、天井、床下の構造に応じた通線ルート選定が不可欠

また、通信速度・安全性・将来の拡張性を総合的に考えることで、単なる“配線”ではなく、快適なネットワークインフラ構築が実現します。

次章では、「LAN配線工事を自分でやるべきか?それとも業者に依頼すべきか?」について、メリットとリスクを踏まえた具体的な判断基準を解説します。

 

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LAN配線工事を自分でやる?業者に依頼する?メリットとリスクを比較解説

LAN配線工事を検討する際、多くの方がまず悩むのが、「自分でやるべきか?それとも業者に頼むべきか?」という選択です

最近では、DIY人気の高まりやYouTubeなどの情報発信の影響で、自力でLAN配線に挑戦する人が増えています。

一方で、建物構造・配線ルート・安全性の確保など、専門的な知識とスキルが求められる場面も多く、無理に作業して失敗するリスクも少なくありません。

ここでは、自分で配線を行う場合と、業者に依頼する場合のメリットとリスクを比較しながら、それぞれの適性を整理します。

自分でLAN配線を行う場合のメリットとリスク

メリット 1:コストが抑えられる

最大のメリットは、工事費用を削減できることです。

業者に依頼すれば数万円かかるところを、DIYなら必要な資材と工具代のみで済みます。

特に簡易なモール配線やフラットケーブルの設置であれば、1,000円〜5,000円程度で環境を整えられることもあります。

メリット 2:自分のペースで作業できる

日中の空いた時間や休日を活用して、自分のスケジュールで作業が進められる点もDIYの魅力です。

また、配線後に機器の接続・動作確認まで一貫して行えるので、ネットワークへの理解も深まります。

リスク 1:構造把握の不足による施工ミス

DIY最大の課題は、「壁や天井の中がどうなっているかが見えないこと」です。

配線ルートを誤ると、電源ケーブルとの接触によるノイズ障害や感電事故が起きる可能性もあります。

また、石膏ボードや構造材を破損してしまうと、修復に高額な費用がかかるケースもあります。

リスク 2:工具と知識が必要不可欠

LANケーブルの末端処理には、「かしめ工具(RJ45コネクタの取り付け用)」や「LANチェッカー」などの専用道具が必須です。

工具を揃える手間だけでなく、結線規格の理解や施工ミスの検出スキルも必要になります。

特にCat6A以上のケーブルは太く硬いため、結線ミスや折り曲げによる信号劣化が起きやすい点にも注意が必要です。

業者に依頼する場合のメリットとリスク

メリット 1:プロの知識で安全・確実な配線

電気通信工事に精通した業者であれば、建物構造を把握し、最適なルートと施工方法で確実に配線してくれます。

通線ワイヤー・天井点検口作業・LANコンセントの設置までワンストップで対応できるため、施工ミスや後悔のリスクが格段に下がります。

また、配線後の通信速度・接続安定性・ノイズ干渉の診断まで対応してくれるのも業者依頼の強みです。

メリット 2:保証・アフターサービスが受けられる

信頼できる業者に依頼すれば、施工後の不具合や追加工事にも対応してもらえる保証がついてくる場合があります。

また、トラブル時の責任の所在が明確なので、家庭やオフィスにおけるネットワークの長期安定稼働を見込むなら業者依頼が最も安心です。

リスク 1:コストが高くなる

当然ながら、業者に依頼すると材料費+工賃+出張費などで総額が高くなります。

特に複数部屋へ配線を展開するケースや、天井裏・床下の作業を伴う場合は、総額で10万円以上になることもあります。

リスク 2:日程や作業時間の調整が必要

依頼から工事完了までには、現地調査・見積もり・施工スケジュールの調整が必要です。

「今すぐに使いたい」と思っても、施工までに数日〜数週間かかる場合もある点を考慮しましょう。

自分でやる?業者に頼む?判断基準のチェックリスト

以下のチェック項目を使えば、自分がどちらの方法に向いているか判断できます。

【チェックリスト】

質問YESなら「DIY向き」/NOなら「業者依頼向き」
配線したい部屋数は1〜2部屋程度ですか?YES or NO
建物の図面や構造が把握できていますか?YES or NO
電動ドリルや通線ワイヤーを使い慣れていますか?YES or NO
万が一、壁や天井を傷つけても自分で修復できますか?YES or NO
速度や品質より費用を優先したいですか?YES or NO
複数部屋・天井裏・床下の作業が発生しますか?YES or NO
保証やサポートを重視していますか?YES or NO

 

YESが多ければDIYに挑戦、NOが多ければ業者依頼が安心です。

無理のない方法を選び、長く使えるLAN環境を整えよう

LAN配線は、一度設置すれば10年以上は使い続けられる通信インフラです

だからこそ、最初の施工段階でミスがあると、後々大きなトラブルやコスト負担につながりかねません

・ DIYは「少人数、短距離、簡易配線」に向いている

・ 業者依頼は「多箇所、高難度、安全性重視」に適している

ご自身のスキル・住居環境・予算・重視ポイントに応じて、最適な方法を選ぶことが成功への第一歩です

次章では、「賃貸住宅でLAN配線はどうする?」というテーマに沿って、原状回復が可能な施工アイデアや工夫をご紹介していきます。

 

 

LANケーブルの工事業者について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください

LAN配線工事の依頼先はどこに?業者選びのポイントと手順

 

賃貸住宅でLANケーブルを配線する方法!原状回復OKな施工アイデア

賃貸住宅におけるLANケーブルの配線は、「原状回復義務」という制約の中で行わなければなりません。

多くの賃貸物件では、壁に穴を開けることやビス・ネジの打ち込みが禁止されており、自由な配線が難しいのが実情です

しかしながら、現代の暮らしでは高速かつ安定したインターネット環境が不可欠であり、特にテレワークやオンライン授業を行う世帯では、Wi-Fiだけでは対応しきれないシーンも増えています。

ここでは、工事不要かつ退去時に現状復旧できるLAN配線の方法を、具体的にご紹介します。

賃貸で使える!原状回復可能な3つの配線方法

1. 配線モールを活用した壁沿い配線

「粘着式の配線モール」を活用すれば、壁に穴を開けずに美しく配線することができます。

配線モールは、両面テープで壁や床に貼り付けるだけで設置可能。

LANケーブルを中に収納し、室内のインテリアにも馴染むようにホワイト・木目調・アイボリーなど多彩な色が用意されています。

【ポイント】

・ モールの剥がし跡が残らないよう、壁紙対応の低粘着テープ付きモールを選ぶ

・ コーナー部用パーツ(曲がり・分岐・終端)を併用すると仕上がりが美しい

・ ケーブルのたるみを避けるため、こまめにクリップやテープで固定

2. フラットLANケーブルでドアの隙間を通す

「フラットLANケーブル」は、一般的に厚さ1.5mm程度の極薄形状で、ドアや窓の隙間・カーペットの下を通すことができる便利なケーブルです。

柔軟性が高く、玄関から各部屋への配線を壁内工事なしで実現できます。

【使用シーン例】

・ ルーターをリビングに設置し、寝室や仕事部屋へフラットケーブルを引く

・ 廊下の幅が狭い物件でも、壁に沿ってモール+フラットケーブルで対応

【注意点】

・ 耐久性がやや低いため、家具で踏みつけないよう注意

・ 隙間が狭すぎる場合、扉が閉まらなくなる恐れがあるため事前に確認が必要

3. PLC(電力線通信)アダプターを使う

配線がどうしても難しい場合は、電力線を使ってインターネット通信を行う「PLCアダプター」という手段もあります。

コンセントに挿すだけで、ルーターのLAN信号を屋内の電気配線経由で他の部屋へ伝送できるため、物理的なケーブルの延長が不要です。

【使用方法】

・ ルーターにPLC送信機を接続し、目的の部屋のコンセントに受信機を接続

・ 受信機のLANポートからPC、テレビ、NAS等へ接続

【利点と注意点】

・ 電源経由のため工事不要で即時導入可能

・ ただし、同一分電盤内でないと通信できない

・ 電源ノイズや電子レンジの影響を受けやすく、通信速度は有線LANより劣る

実例紹介:原状回復OKな配線アイデア集

以下は、賃貸住宅で実際に使用されている原状回復型配線のアイデアです。

ケース 1:1LDK賃貸マンション

・ ルーター設置場所:リビングのテレビ横

・ 配線先:寝室のデスク

・ 対応方法:ドア下にフラットケーブル+巾木沿いに配線モールを設置

・ 撤去時:モールはゆっくり剥がし、接着面を中性洗剤で清掃

ケース 2:築年数が古いアパート

・ ルーター設置場所:玄関近く

・ 配線先:奥の和室

・ 対応方法:PLCアダプターで2部屋間の通信を確保

・ メリット:工事不要、配線レス、和室でも見た目を損なわない

ケース 3:ワンルームの配線整理

・ ルーター設置場所:キッチン上

・ 配線先:テレビボード

・ 対応方法:粘着モール+ケーブルボックスで美観を重視した収納

・ 備考:一人暮らしでも簡単に施工できる、女性にも人気の方法

原状回復トラブルを防ぐための注意点

賃貸でのLAN配線は、原状回復を前提として「後で元に戻せる工法」を選ぶことが最も重要です。

以下の点に注意しておけば、退去時のトラブルも防げます。

【注意すべきポイント】

・ 壁にネジ、釘、穴を開けない(必要があれば事前に管理会社へ相談)

・ 両面テープは剥がしても壁紙を傷めないタイプを使用

・ 配線モールの剥離跡は中性洗剤+布でやさしく拭き取る

・ ルーター設置場所を変更しない(光コンセントや情報分電盤の位置に注意)

賃貸でもできるLAN配線で快適ネット環境を実現

賃貸住宅だからといって、LAN配線をあきらめる必要はありません

工夫次第で、壁や床を傷つけずに、安定したインターネット接続を実現できる方法が豊富に存在します

・ 配線モール+フラットケーブルは、DIY初心者でも扱いやすく、仕上がりも綺麗

・ PLCアダプターは、工事不要でLAN環境を構築できる便利なツール

・ 原状回復の工夫と管理会社への配慮を忘れずに進めることが重要

正しい方法を選べば、賃貸住宅でもストレスのないネットライフが手に入ります。

次章では、「オフィスのLAN配線はどうする?業務効率を高めるネットワーク設計術」と題して、業務環境における配線戦略と設計ノウハウをご紹介します。

 

LAN配線に関するご相談や工事の依頼をお考えの方はコチラをチェック

 

オフィスのLAN配線はどうする?業務効率を高めるネットワーク設計術

現代のオフィスにおいて、インターネット接続は業務の根幹を支えるインフラです

ファイル共有・クラウドサービス・リモート会議・VPN接続など、通信環境の安定性は、生産性や信頼性に直結する要素になっています。

そのため、オフィスにLANを配線する際には、単なる「つなぐ」配線ではなく、「設計されたネットワーク環境の構築」が求められます

ここでは、業務効率を高めるためのLAN配線の考え方・構築方法・レイアウトの工夫を、具体的に解説します。

オフィスLAN設計の基本方針:ただ配線するだけでは不十分

LAN配線におけるトラブルの多くは、「とりあえずつなげばいい」という短絡的な設計に起因しています。

しかし実際のオフィスでは、次のような要素を事前に計画・設計することが極めて重要です。

【オフィスLAN構築の基本方針】

・ 通信品質の確保:部署ごとの使用帯域や機器数に応じて回線とルートを最適化

・ 拡張性の担保:増席・部署変更に柔軟に対応できる配線ルートとハブ設計

・ セキュリティの確保:業務区分ごとにネットワークを分割(VLAN)し、不正アクセスを遮断

・ 視認性と保守性の両立:ケーブルが整理されており、障害時に素早く特定並びに対応できる

オフィスLAN配線の代表的な方式とレイアウトパターン

フロア直配線(小規模オフィス向け)

最も基本的な方式で、ルーターやハブから直接各デスクへLANケーブルを配線する方法です。

小規模オフィスや10人以下の事務所で、コストを抑えつつシンプルに運用したい場合に有効です。

【メリット】

・ 初期費用が安く、即日施工が可能

・ 配線ルートが単純でメンテナンスが容易

【デメリット】

・ 配線が露出しやすく、見た目に雑然とする

・ 将来的なレイアウト変更に弱い

OAフロア配線(中〜大規模オフィス向け)

OAフロア(床下にケーブルを通せる二重床構造)を活用し、LANケーブルや電源コードを床下に収納する方式です。

床にLANコンセントを設けることで、配線の見た目がスッキリし、転倒や断線のリスクを回避できます。

【活用例】

・ ワークスペースを頻繁にレイアウト変更するコワーキングスペース

・ フリーアドレス制を導入しているICT企業

【メリット】

・ すっきりとしたオフィスデザインを維持できる

・ レイアウト変更時にも柔軟に対応可能

【デメリット】

・ 初期施工にコストがかかる

・ OAフロア対応の家具や配線パーツが必要

スイッチングハブとVLANの使い方で効率化とセキュリティを強化

LAN配線の中心機器として、「スイッチングハブ」と「ルーター」の正しい選定と活用が重要です。

スイッチングハブの役割と選定

スイッチングハブは、複数の機器を同時にネットワークへ接続するための分岐装置です。

ポート数や速度に応じて、以下のような使い分けができます。

【スイッチングハブの比較】

ハブ種別ポート数通信速度適用規模特徴
小型ハブ5〜81Gbps小規模設置が簡単、安価
中型ハブ16〜241Gbps中規模VLAN設定可能な製品あり
L3ハブ24〜4810Gbps大規模セグメント分割可能

VLANでセキュリティと効率を向上

VLAN(Virtual LAN)は、物理的に同じネットワーク内にある機器を、論理的にグループ分けする技術です。

部署ごとにVLANを分ければ、外部からのアクセス制限・通信帯域の制御・トラブル時の影響縮小が可能になります。

【VLAN導入事例】

・ 総務部、営業部、開発部をそれぞれ別VLANで構成

・ サーバーやNASなどの重要機器は専用VLANで運用し、セキュリティ確保

・ 来客用Wi-Fiは社内LANと切り離し、VLAN分離で安全性を担保

ケーブル整理術でトラブルとストレスを回避する

どれほど高性能なLAN設備を導入しても、配線が絡まり、ラベルがない状態ではトラブル時に対応できません。

そこで重要になるのが「ケーブルマネジメント」です。

【効果的なケーブル整理術】

・ ケーブルラベル:各LANケーブルの両端に接続先の機器名を明記

・ 結束バンド:余分なケーブルは等間隔で束ねて固定

・ ケーブルダクト、配線トレー:机の下や壁沿いに美しく収納

・ 色分け:部署ごとや用途ごとにLANケーブルの色を分けると視認性が向上

【ワンポイント】

・ 「通信トラブルが起きたら、すぐに原因を特定できる構成」を常に意識しましょう。

オフィスLAN配線は「設計力」と「管理力」が成否を分ける

オフィスLANの配線は、単なる物理的な配線作業ではなく、通信の命脈を支えるネットワークインフラの設計です

・ フロア構成や業務内容を踏まえた配線ルートと方式の選定

・ 安全で快適な作業環境を維持するためのOAフロアや配線整理

・ セキュリティ強化と効率運用を実現するVLANの導入

・ トラブル発生時に即時対応可能なマネジメント体制の構築

こうした設計と管理を適切に行うことで、業務効率の向上・トラブルの低減・社員満足度の向上という好循環を生み出せます

次章では、「マンションでLANケーブルを配線する際の注意点とおすすめの手法」と題し、集合住宅特有の制約を踏まえた配線ノウハウを詳しく解説します。

 

 

LANケーブルの使用長について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください

LANケーブルの長さに限界はあるのか?最適な使用長を解説

 

マンションでLANケーブルを配線する際の注意点とおすすめの手法

マンションにおけるLAN配線は、戸建て住宅とは異なる構造的・管理的な制約があるため、慎重な設計と施工が求められます

特に分譲マンションや賃貸マンションでは、壁や床に手を加えることが難しく、共有部と専有部の取り扱いにも注意が必要です。

ここでは、マンション特有の構造的な課題と管理規約の制約を踏まえた上で、実践的かつおすすめのLAN配線手法をご紹介します。

マンションLAN配線のよくある課題とは?

1. 配管ルートが限られている

マンションは、戸建て住宅と比べて壁の中に配線用の空配管が通っていないことが多いです。

また、RC造(鉄筋コンクリート造)やALC造(軽量気泡コンクリート造)では、壁に穴を開けることが非常に困難であり、DIYでの壁内配線はほぼ不可能です。

2. 上下階への通線ができない

マンションの構造上、上下階の床・天井は共用部分に該当するため、原則として個人が勝手に工事することはできません。

そのため、ルーター設置位置から最短ルートで横方向(同一階内)へ配線する方法が主流となります。

3. 管理規約による制限がある

分譲マンションの場合、管理組合の許可なく配線工事を行うと規約違反となるケースがあります。

とくに「配線を通すために壁に穴を開ける」「配電盤や共有部を改造する」などの行為は、事前に申請・承認が必要です。

おすすめの配線手法:構造と管理規約を考慮した実践的アプローチ

方法 1:既存の電話線管を利用する

多くのマンションでは、古い電話線やテレビアンテナ線が通っていた配管が空いているケースがあります。

この既存の管路を流用すれば、壁に新たに穴を開けることなくLANケーブルを通すことが可能です。

【手順の一例】

1. 壁面のモジュラージャック(電話用)を外して中を確認

2. 空配管が通っていれば、通線ワイヤーを挿入してLANケーブルを通す

3. 新たにLANコンセントに交換、または中継用モジュラーに加工

【注意点】

・ 配線距離が長い場合はCat6A以上のケーブルを推奨

・ 配管内に他の線が通っている場合、ノイズ干渉の可能性があるため要注意

方法 2:情報分電盤から各部屋へモール配線

マンションによっては、情報分電盤(マルチメディアボックス)が玄関付近に設置されているケースがあります。

この情報盤にルーターを設置し、各部屋へ壁沿いにモールを使って露出配線を行えば、見た目を保ちつつ安全に施工できます。

【施工アイデア】

・ 巾木(壁の下端)や天井の際に配線モールを貼り、ケーブルを通す

・ 曲がり角やドア周辺には専用のコーナーパーツを活用

・ 色調を壁紙と合わせることで視認性を下げ、インテリアにもなじむ

【おすすめ資材】

資材名特徴
粘着式配線モール工具不要で簡単に設置・撤去可能
コーナーカバー美観とケーブル保護を両立
フラットLANケーブルドアの下やカーペット下にも通せる

方法 3:天井裏やクローゼット上部を経由する

マンションでも、天井点検口や収納スペースの上部に通線スペースがある場合は、そこを活用することで壁を傷つけずに配線できます。

【活用パターン】

・ 洗面所や廊下の点検口から天井裏にアクセス

・ 天井裏を通って各部屋の収納へ配線し、クローゼット内にLAN中継機を設置

・ そこからフラットケーブルで各デバイスへ接続

この方法なら、露出配線を最小限に抑えながら、安定した有線LAN接続を複数部屋に提供できます。

トラブルを避けるための注意点と施工のコツ

管理会社・組合への事前相談

LAN配線は見た目は小規模な工事でも、管理規約違反とみなされる可能性があります。

特に以下の場合は、事前に確認や申請を行いましょう。

・ 壁や天井に穴を開ける

・ 共用スペースにケーブルを通す

・ 配電盤や分電盤周辺の施工

ケーブルの選定とノイズ対策

マンションは家電製品や電源ケーブルが集中しやすく、ノイズ干渉が発生しやすい環境です。

【対策ポイント】

・ Cat6AまたはSTP(シールド付き)ケーブルを選定

・ 電源線と交差させない、一定の間隔をあける

・ 床や天井を通す場合は耐熱、難燃性のケーブルを使用

メンテナンス性の確保

将来的な機器交換やトラブル対応を考慮し、ケーブルを引っ張り出せるように余長(余分な長さ)を確保しましょう。

また、両端には必ずラベルを貼って、接続先を明記しておくことが重要です。

構造と管理規約を理解し、無理のない配線で快適ネット環境を

マンションにおけるLAN配線は、一戸建てよりも施工に制約が多い反面、構造さえ把握すれば、安全で効率的な配線が可能です

・ 既存の電話配管や情報分電盤を活用することで、壁に手を加えることなく配線可能

・ モールやフラットケーブルで露出配線を美しく整えることで、管理規約もクリア

・ 構造、素材、管理ルールに応じた柔軟な施工プランが、成功のカギを握ります

しっかりとした計画と事前の相談により、マンションでも快適で安定した有線LAN環境を構築することは十分可能です

次章では、「LAN配線時の安全対策。感電・火災リスクを防ぐための基本ルール」と題し、施工時に必ず押さえるべき安全確保のポイントを解説いたします。

 

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LAN配線時の安全対策。感電・火災リスクを防ぐための基本ルール

LANケーブルの配線工事は、一見すると電気工事とは関係がなさそうに思えるかもしれません

しかし実際には、壁の中や天井裏、床下など電源配線が通っている場所と隣接して作業を行うため、感電や火災などのリスクと常に隣り合わせです

特にDIYでLAN配線を行う場合には、知識不足や道具の扱いミスから重大な事故につながる可能性もあります。

ここでは、安全かつ確実にLAN配線を行うために必要な、基本的な安全対策と作業ルールについて具体的に解説します。

なぜLAN配線に安全対策が必要なのか?

電源ケーブルとの接近・交差が多い

LANケーブルは低電圧の信号線であり、感電するリスク自体は非常に低いですが、配線ルートが電源ケーブルやコンセント、分電盤の近くを通ることが多く、感電・ショートの危険性は無視できません。

また、電源ケーブルとLANケーブルが並走すると「誘導ノイズ」が発生し、通信エラーや機器トラブルの原因になることもあります。

配線中の破損が火災の引き金に

施工ミスによってLANケーブルの外皮が破れたまま接触し、断線や発熱を引き起こすと、最悪の場合は発火につながることもあります。

とくに床下や天井裏など、熱がこもりやすく点検が困難な場所では、このようなトラブルが致命的になることがあります。

感電や火災を防ぐための基本ルール5か条

1. 電源を必ず遮断してから作業する

壁内や天井内に配線する際は、必ず分電盤のブレーカーを切ってから作業を開始しましょう。

とくに電源線がどこに通っているかわからない場合や、通線工具を使用する場合は必須です。

【ポイント】

・ 壁の中に金属製フィッシュテープを入れる場合、絶縁型を使用する

・ 天井裏や床下にACケーブルがある場合、絶対に触れないように注意

・ 通電中のルーターやスイッチングハブには触れない

2. 電源線とLANケーブルは離す

LAN配線時の大原則として、電源ケーブルとは一定の間隔をあけることが求められます。

これは感電防止だけでなく、通信品質の確保(ノイズ対策)にもつながります。

特に配線が長距離になる場合や、高ノイズ環境(エアコン・冷蔵庫・電子レンジの近く)では、STP(シールド付き)ケーブルの使用も推奨されます。

3. 配線ルートの事前調査を怠らない

施工に入る前に、必ず下記項目をチェックしてから作業を開始してください。

【事前調査チェックリスト】

・ 壁の材質と構造(石膏ボード、木造、RCなど)

・ 電源ケーブルの通り道(分電盤からの距離)

・ 天井裏や床下の障害物(断熱材、ダクト、排水管)

・ 湿気やホコリの多い場所(火災や故障の原因)

また、金属探知機や壁裏センサーを使って配線の障害物を可視化することで、より安全に作業が行えます。

4. 配線ケーブルの取り回しと固定は丁寧に

LANケーブルは折り曲げ・圧迫・引っ張りに弱い構造です。

施工時には、以下のポイントを守ってください。

【取り扱いの基本】

・ 曲げ半径はケーブルの直径の4倍以上を確保(例:直径6mm → 最小曲げ半径24mm)

・ ケーブルが床に垂れたり浮いたりしないように、モールやステープルで固定

・ 結束バンドはきつく締めすぎない(断線の原因)

5. 火災対策として耐熱・難燃ケーブルを使用

配線場所が天井裏・床下・壁内など閉鎖空間である場合は、耐熱・難燃性のあるLANケーブルを使用することが推奨されます。

【おすすめ仕様】

・ 「CMR(Riser)」「CMP(Plenum)」のUL規格適合品

・ ケーブル外皮に「耐熱105℃」「難燃性PVC」と記載されているもの

また、配線ルート周辺の可燃物(布・紙・木屑)を事前に取り除いておくことも重要です。

安全装備と使用すべき工具・資材

【安全作業のための装備・ツール】

名称用途/理由
絶縁手袋電気との接触による感電防止
ゴーグル・防塵マスク天井裏や壁内でのホコリ・異物の吸引を防ぐ
絶縁ドライバー接地・通電部を触ってしまった際の安全確保
絶縁フィッシュテープ通線時に電源線と接触しても感電リスクがない
LANチェッカー施工後の通信チェック、結線ミスの早期発見に不可欠
LED作業灯/ヘッドライト暗所作業時の視界確保(天井裏・床下・収納内など)

安全な配線が「安心できるネット環境」の第一歩

LANケーブルは低電圧だからといって、安全対策を軽視してはいけません

むしろ、電源設備や可燃物が密集する環境での作業だからこそ、事故のリスクが潜んでいるのです

・ 配線前のブレーカーOFFは絶対

・ 電源線との距離の確保並びに交差を避ける

・ 耐熱性、難燃性のケーブルを選ぶ

・ 施工中は絶縁装備と安全工具を使用

・ 作業後は必ずLANチェッカーで通電確認

これらのルールを徹底することで、家庭でもオフィスでも、長期間にわたって安全・安定した通信環境が維持できます。

次章では、これまで解説してきた内容を総括し、「まとめ」として、LANケーブル配線における総合的なポイントと成功のコツを整理してご紹介します。

 

 

LAN配線における工事のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください

LAN配線とは?家庭やオフィスで活用する基本と工事のポイント

 

まとめ:失敗しないLANケーブル配線で、快適・安全なネットワーク環境を構築しよう

現代社会において、LANケーブルによる有線ネットワークは、生活や仕事を支えるインフラとして欠かせない存在です

Wi-Fi環境が整っている家庭も増えていますが、通信の安定性・速度・セキュリティ・遅延の少なさといった面では、やはり有線LANに軍配が上がります

しかし、その恩恵を最大限に活かすには、正しい知識と施工技術に基づいたLAN配線が不可欠です。

ここでは、本記事全体の内容を振り返りながら、LAN配線を成功させるための総合的なポイントを整理します。

LAN配線の基本を押さえ、構造と用途に合った方式を選ぶ

LAN配線の第一歩は、「どのような方法で、どこに通すか」を考えることです。

・ 壁内配線:美観に優れるが、高度な施工スキルが必要

・ 天井内配線:柔軟性があり、後からの変更も容易

・ 床下配線:主に戸建て向け、省スペースでコスト効率も良い

さらに、マンションや賃貸では原状回復義務を考慮した配線が求められ、粘着モール・フラットケーブル・PLCアダプターなどの工夫が必要になります。

施工はDIYか業者か?自分に合った方法を見極める

配線作業はDIYでも可能ですが、施工ミスや感電・断線・トラブル時の対応の難しさを踏まえると、環境によってはプロに依頼する方が結果的に安心・安全です。

【判断基準】

・ 少人数/短距離/低リスク:DIYも選択肢に

・ 複数部屋/天井裏や床下を含む/法人利用:業者依頼が無難

費用面・施工の難易度・使用する機器や建物構造を総合的に評価しましょう。

オフィスやマンションでは構成力と設計力が成否を分ける

特に複数人が同時に通信する環境(オフィス・共同住宅)では、単なる配線ではなく、「ネットワーク設計」の観点が重要になります。

・ スイッチングハブの選定と設置場所

・ VLANによる部署分割やセキュリティ確保

・ 将来の増設を見越した拡張性の確保

配線だけでなく、ネットワークの仕組みとしてどう機能させるかまで意識することが、快適な業務環境を構築する鍵です。

安全性は絶対条件。作業前・作業中・作業後すべてに注意を払う

LAN配線は感電や火災のリスクが少ないと思われがちですが、電源線との接触や通線工具の扱い、狭所での作業など、潜在的な危険が多くあります。

・ ブレーカーOFFの徹底

・ 金属探知機や絶縁工具の活用

・ ケーブルの引っ張り、曲げ、固定に注意

・ 火災リスクを防ぐ耐熱、難燃ケーブルの使用

こうした基本的な安全対策を講じることが、長期間にわたる安定運用につながるのです。

すべての配線は「使う人の快適さ」のためにある

LAN配線の目的は単にインターネットを接続することではありません

それは、「どの部屋でもストレスなくオンライン会議ができる」「大容量のデータも高速に送れる」「社員全員が同時に快適な通信環境を使える」といった、日常の快適さ・業務の効率性・通信の安全性を守るためのインフラです

だからこそ、「正しく」「安全に」「見た目にも美しく」LANを配線することが重要なのです。

最後に:プロに任せるという選択肢も検討しよう

もしも「自分では難しい」「天井裏や床下がどうなっているかわからない」「配線がごちゃごちゃしてしまいそう」といった不安があるなら、LAN配線のプロに相談することも1つの手段です

多くの業者は無料見積りや事前相談に対応しており、施工の計画から実施、保守管理まで一括で対応してくれます。

今後10年先まで安心して使えるLAN環境を作るためにも、無理をせず、必要に応じてプロの知識と技術を活用しましょう。

今後のステップ:ネットワーク環境の最適化へ

LAN配線は、ネット環境改善の「第一歩」に過ぎません。

この先、必要に応じて以下のような施策も検討しましょう。

・ Wi-FiルーターとLANの併用で家庭内通信を最適化

・ PoE機器の導入による防犯カメラやIP電話などの活用

・ スイッチングハブやNASの導入で業務効率化

正しいLAN配線が整えば、その上に様々な便利なネットワークサービスを構築していくことが可能になります。

 

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