LAN配線工事 資格

2024.07.04

LAN配線工事に資格は必要?電気工事士・工事担任者が必要なケース

 

プロローグ|その作業、自分でしても大丈夫ですか?

「書斎のパソコンを有線でつなぎたい」「リビングの反対側にもLANの差し込み口が欲しい」「ルーターの横にコンセントを増やして、電源タップを減らしたい」。在宅勤務や動画配信の利用が広がり、自宅や事務所のLAN環境を見直したいという声は珍しくなくなりました。

このとき多くの方が迷うのが、「この作業に資格は必要なのか」という点です。壁に付いたLANコンセントは電源コンセントとよく似ていますし、どちらも「配線工事」と呼ばれます。インターネットで調べると「LANは資格不要」という説明と「電気工事士が必要」という説明が両方見つかり、かえって判断しにくくなることもあるでしょう。

先に結論をお伝えします。LAN配線工事に資格が必要かどうかは、「LAN」という名前ではなく、実際に何を触るかで決まります。 完成品のLANケーブルを自分の機器につなぐだけなら、通常は資格はいりません。一方、電源コンセントの増設のように建物の電気設備に手を加える作業には電気工事士が、通信事業者の回線に機器をつなぐ工事には工事担任者が関わります。

この記事では、LAN配線にまつわる作業を一つずつ取り上げ、資格が必要になる境界を具体的に整理します。あわせて、資格が不要な作業でも見落としやすい「施工技能」と「建物側の許可」についても解説します。読み終えるころには、自分で進めてよい範囲と専門業者に任せるべき工程を、無理なく区別できるようになるはずです。

 

結論|LAN配線工事の資格は「何を触るか」で決まります

3つの設備を分けて考えると迷いません

LAN配線の周りには、性質の異なる3つの設備が集まっています。

1つ目は、ルーターからパソコンやハブへ延びる構内LANの通信配線です。建物の中で情報をやり取りするための配線で、電力を届けるためのものではありません。2つ目は、ルーターやパソコンを動かすための電源設備です。壁のコンセント、その奥に固定された電線、分電盤などが当てはまります。3つ目は、通信事業者から建物へ引き込まれる回線設備です。光ファイバー、ONU(回線終端装置)、集合住宅の共用設備などが含まれます。

見た目は一続きの設備でも、適用されるルールはそれぞれ違います。資格の要否を考えるときは、まず自分の作業がこの3つのどれに関わるのかを切り分けることが出発点になります。

早見表|資格が関わる作業・関わらない作業

作業の内容関わる設備資格の目安
完成品のLANケーブルでルーターとパソコンをつなぐ構内LAN通常は不要
室内のLANケーブルを整理し、配線カバーに収める構内LAN通常は不要(固定方法は要確認)
LANコンセント(通信用ジャック)の取り付け・成端構内LAN電気工事士は一律には不要(施工技能が必要)
壁内・天井裏・床下に通信ケーブルを通す構内LAN+建物場所だけでは決まらない(建物調査と許可が必要)
電源コンセントの増設・交換・移設電源設備電気工事士が必要
光回線の引き込みやONU周りの変更回線設備工事担任者の制度が関係(通信事業者に確認)

 

この表は、一般的な住宅や小規模な事務所を想定した目安です。複数の工程が組み合わさる現場では、工程ごとに判断し直す必要があります。

資格とは別に「技能」と「許可」も確かめましょう

資格が不要と分かっても、それだけで「自分でやってよい」ことにはなりません。作業前には、次の3つを順番に確認することをおすすめします。

確認すること具体的な内容よくある思い込み
資格法令上、その作業に資格が求められるか「LANだから全部いらない」
技能と安全正しく施工・確認できるか、安全に作業できるか「資格不要だから簡単」
権限と許可所有者・管理者・会社から変更を認められているか「自分が使う部屋だから自由」

 

3つはそれぞれ独立した確認事項です。資格のいらないケーブル整理でも、会社の設備を無断で変えれば問題になりますし、電気工事士が行う工事でも、賃貸物件の壁に穴を開けるなら貸主の承認が必要です。この3つを分けて考えるだけで、「誰に何を確認すればよいか」が見えやすくなります。

 

LANが「弱電」と呼ばれる理由と、電気工事士の対象範囲

弱電と強電の違い

設備業界では、LANや電話、テレビアンテナ、インターホンなどの配線を「弱電」、100Vや200Vのコンセント・照明・動力などの配線を「強電」と呼び分けることがあります。弱電は主に信号や情報を伝える配線、強電は機器を動かす電力を送る配線、とイメージすると分かりやすいでしょう。

「LAN配線は弱電なので資格不要」という説明をよく見かけるのは、この区分に由来しています。大まかな方向性としては間違っていませんが、弱電・強電はあくまで業界の呼び方です。法令は「弱電かどうか」ではなく、対象となる設備と作業の内容で資格の要否を定めています。弱電工事の全体像については、<弱電工事とは?>の記事を参考にしてください。

電気工事士法が対象にするのは「電気工作物」の工事です

電気工事士の資格は、電気工事士法に基づくものです。この法律は、一般住宅や小規模店舗などの電気設備(一般用電気工作物等)や、ビル・工場などの電気設備(自家用電気工作物)について、一定の工事を有資格者に限っています。

具体的には、壁や天井に電線を固定する、電線どうしを接続する、コンセントやスイッチを壁に取り付けるといった作業が、電気工事士でなければ行えない工事に当たります。LAN機器の周辺でいえば、ルーター用のコンセントを新しく設ける、既存のコンセントを別の位置へ移すといった作業がこれに該当します。

一方、構内LANの通信ケーブルを扱う作業については、電気工事士の資格が一律に求められるわけではありません。つまり、電気工事士はLANケーブルのための資格ではなく、LAN機器を動かす電源設備の工事に関わる資格と考えると整理しやすくなります。

なお、コードの先にプラグを取り付ける作業など、法令で「軽微な工事」と定められたものは資格なしで行えます。ただし、この例外は範囲が細かく決められているため、「小さな作業だから軽微な工事だろう」と自分で判断するのは避けましょう。

第一種・第二種の違いは建物の設備区分で決まります

電気工事士には第一種と第二種があり、扱える範囲が異なります。

資 格主に扱える範囲免状取得の条件
第二種電気工事士一般住宅・小規模店舗などの一般用電気工作物等試験合格などで免状を申請
第一種電気工事士上記に加え、最大電力500kW未満の自家用電気工作物試験合格に加え、所定の実務経験が必要
認定電気工事従事者自家用電気工作物のうち600V以下の簡易な工事所定の要件を満たして認定を受ける

 

ここで注意したいのが、オフィスビルや商業施設のテナントです。室内のコンセントが家庭と同じ100Vでも、建物全体が高圧で受電し、敷地内にキュービクル(受変電設備)がある場合は、自家用電気工作物として扱われます。この場合、第二種電気工事士の資格だけでは工事ができません。

資格の区分を決めるのは、部屋の広さやコンセントの形ではなく、建物の電気設備の区分です。依頼する側が制度の細部まで覚える必要はありませんが、「この建物の電源工事に対応できる資格ですか」と一言確認しておくと安心です。区分が分からないときは、ビルの管理会社や電気設備の管理担当者に問い合わせましょう。

自宅・無償・短時間でも資格の扱いは変わりません

「自分の家だから」「家族に頼まれて無償で手伝うだけだから」「5分で終わる交換だから」という理由で、資格の要否が変わることはありません。電気工事士が必要かどうかは、作業の内容と対象設備によって判断されます。

また、ブレーカーを落とすことは感電を防ぐための安全対策の一つですが、資格が必要な作業を無資格で行えるようにするものではありません。部品が通販で手に入ることや、作業動画が公開されていることも、その作業を誰でもしてよい根拠にはならない点に注意が必要です。

 

 


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現代の生活において、インターネットは水道や電気と同じくらい欠かせない存在となりました。動画配信、リモートワーク、オンライン授業、IoT家電の利用など、安定した通信環境が日常に直結しています。しかし、意外と見落とされがちなのが「LAN配線の品質」です。

「Wi-Fiが不安定」「通信速度が遅い」「会議中に音声が途切れる」…そんなお悩みを抱えている方は、ぜひLAN配線の見直しを検討してみてください。そして、その工事を信頼できるプロに任せるなら、【電気工事110番】が圧倒的におすすめです。

なぜLAN配線が重要なのか?通信トラブルの多くは“配線”が原因

多くのご家庭やオフィスでは、Wi-Fiルーターのスペックや通信プランばかりに注目しがちですが、「LAN配線の劣化」や「不適切な配線方法」が原因で通信速度が落ちているケースも少なくありません。

よくあるLAN配線のトラブル事例

・ 築年数の経った住宅で使用されている古いLANケーブル

・ 天井裏や床下での断線・接触不良

・ 無理な分岐や延長による信号劣化

・ 外部ノイズによる通信エラー(特に電源ケーブルと並行に配線されている場合)

こういった問題は、通信機器をいくら高性能にしても解決できません。根本から快適な通信環境を整えるには、適切なLAN配線工事が必要不可欠です。

LAN配線を見直すメリットとは?

LAN配線工事をプロに依頼して改善すると、以下のようなメリットがあります

✅ 通信速度の向上:光回線本来のスピードを最大限に引き出せる

✅ Wi-Fiの安定化:メッシュWi-Fiやアクセスポイントとの相性も◎

✅ 業務効率アップ:オンライン会議やクラウド業務がスムーズに

✅ 防犯カメラやIoT機器との連携が快適に

✅ 将来の回線増設やリフォーム時の拡張性も確保

「電気工事110番」のLAN配線サービスが選ばれる理由

LAN工事は、単にケーブルを通すだけではなく、建物構造や配線経路、ネットワーク機器との整合性を熟知したプロの知識が求められます。

「電気工事110番」は、全国対応・最短即日対応可能なうえ、以下のような安心の特徴を持っています。

特徴内容
✅ 明朗な料金体系事前見積で追加費用なし(※現地調査あり)
✅ 全国対応都市部から地方まで対応可能
✅ 年中無休・24時間受付急なトラブルにもスピーディに対応
✅ 有資格者による施工電気工事士資格を持つプロが対応
✅ 累計相談実績30万件以上多くのユーザーから高評価

LAN配線工事の具体例:こんなシーンで活用されています

戸建て住宅

・ リビング、書斎、子供部屋にLANを分配して快適ネット環境を構築

・ 防犯カメラのPoE接続やNAS設置にも対応

賃貸マンション

・ 原状回復に配慮した露出型モール工事

・ Wi-Fiの届かない部屋への有線接続

オフィス・店舗

・ 社内ネットワークの設計、配線、ハブ設置まで一括対応

・ POSレジや監視カメラの安定接続工事も

LAN配線はプロに任せて、安心・快適な通信環境を!

通信トラブルの原因がWi-Fiや回線プランではなく、「LAN配線の問題」だったという事例は少なくありません。正しく配線された有線LAN環境こそが、真に安定したネットワークの基盤となります。

「LAN配線工事をプロに任せたい」「どこに相談すればいいか分からない」――そんなときは、「電気工事110番」にご相談ください。

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工事担任者とLAN配線|回線とつなぐ場面で関わる資格

工事担任者は「回線への接続工事」を担う資格です

工事担任者は、電気通信事業法に基づく国家資格です。利用者が、通信事業者の電気通信回線に端末設備や自営の通信設備を接続するとき、その工事を工事担任者が行うか、実地で監督することが求められています。

電気工事士とは根拠となる法律も対象も異なるため、どちらか一方を持っていればもう一方の代わりになる、という関係ではありません。電気工事士が「電源側」の資格だとすれば、工事担任者は「通信回線とつなぐ側」の資格と考えるとイメージしやすいでしょう。

工事担任者の資格区分

工事担任者の資格は、扱う回線の種類や規模によって5つに分かれています。

資格区分主な対象
第一級アナログ通信アナログ回線・ISDN回線への接続工事全般
第二級アナログ通信アナログ回線・ISDN回線のうち、比較的小規模なもの
第一級デジタル通信デジタル回線(光回線など)への接続工事全般
第二級デジタル通信デジタル回線のうち、主にインターネット接続用で一定の速度以下のもの
総合通信アナログ・デジタルの両方の接続工事全般

 

利用者が資格区分から工事内容を逆算する必要はありません。回線の種類と接続したい設備を伝え、担当者に対応できる区分かどうかを確認すれば十分です。

ルーターにケーブルを挿すたびに資格が必要なわけではありません

工事担任者の制度には、総務省令による例外があります。たとえば、技術基準に適合した機器を、定められたプラグ・ジャック方式などで接続する場合は、工事担任者でなくても接続できます。家庭で、ルーターの利用者向けLANポートに完成品のケーブルを差し込むたびに工事担任者を呼ぶ必要がないのは、このためです。

ただし、例外は法令上の条件に基づくものです。「差し込み式なら何でも資格不要」と一律に考えることはできません。光ファイバーを切断・接続する、回線の引き込み位置を変える、集合住宅の共用盤から分岐させるといった作業は、利用者向けのケーブル接続とはまったく別のものとして扱いましょう。

「ONUより内側なら自由」と決めつけないでください

ネットワークの説明では、ONUやルーターを境にして「ここから先が家の中」と示されることがよくあります。仕組みを理解するには便利な考え方ですが、資格の要否や作業してよい範囲を、機器の名前だけで確定するためのルールではありません。

ONUとルーターが一体になったホームゲートウェイ、通信事業者から借りている貸与機器、マンションに備え付けの共用通信設備など、構成は建物や契約によってさまざまです。見た目が似た箱でも、利用者が接続してよい端子や変更してよい設定は異なります。

特に、貸与機器の内部を開けたり、光コネクターの端面をのぞき込んだりする行為は避けてください。回線がつながらないときは、契約先のサポートに症状を伝え、利用者が確認してよい範囲の案内を受けるのが確実です。問い合わせる際は「ONUの近くの作業」とまとめず、「利用者向けLANポートにケーブルを差し込みたい」「光ケーブルの接続部分を移したい」のように、触りたい箇所を具体的に伝えるとスムーズです。

作業別チェック|この作業に資格は必要ですか?

ここからは、LAN配線でよくある作業を一つずつ取り上げ、資格・技能・許可の観点から確認していきます。

完成品のLANケーブルを差し込む・交換する

プラグ付きの市販LANケーブルで、ルーターのLANポートとパソコンをつなぐ作業は、通常、資格なしで行えます。テレビ、ゲーム機、プリンター、スイッチングハブなど、自分が管理する機器をつなぐ場合も同じ考え方です。

ただし、差し込める形だからといって、どこにつないでもよいわけではありません。ルーターには、インターネット側のWANポートと、機器をつなぐLANポートがあります。管理専用の端子や電話用の端子が並んでいる機器もあるため、機器の表示と説明書を確認し、利用者が接続するための端子を使ってください。接続の手順や、つながらないときの確認方法は、<LANケーブルの接続方法>を解説した記事で詳しく紹介しています。

ケーブルを交換するときは、抜く前に接続先を写真やメモで記録しておくと、元に戻すのが簡単になります。事務所の場合は、1本の抜き差しで電話やレジ、決済端末が止まることもあるため、資格とは関係なく、利用者への連絡や設備管理者の承認が必要です。

室内のケーブルを整理し、配線カバーに収める

完成品のLANケーブルを机の下でまとめたり、既存の配線カバーに収めたりする作業にも、通常は資格はいりません。通信ケーブルだけを扱い、電源配線や建物の内部に手を加えない範囲であれば、利用者が取り組みやすい作業です。

気を付けたいのは、配線カバー(モール)の固定方法です。ねじで留める場合は、ねじの先に電線や配管が通っていないか、壁の下地が固定に適しているかを確かめる必要があります。両面テープで貼る場合も、はがすときに壁紙を傷めないか事前に確認しましょう。「モールの取り付けに資格はいらない」という説明を、穴あけの安全性にまで広げて考えないことが大切です。

床に這わせるタイプのカバーは、扉の開閉や通路の幅に影響することがあります。つまずきにくい形状と位置を選び、避難経路をふさがないように配置してください。

LANコンセントを取り付ける・成端する

LANコンセントは、通信ケーブルの接続口を壁面に設けるための器具です。構内LANの通信部分だけを成端し、LANジャックを取り付ける作業には、電気工事士の資格が一律に求められるわけではありません。

とはいえ、資格の要否と「正しく施工できるか」は別の問題です。LANジャックへの結線には、ケーブルとジャックの規格の組み合わせ、芯線の並び順、よりの戻し方など、専門的な知識が必要になります。見た目上はつながっていても、施工が不適切だと速度が出ない、通信が不安定になるといった不具合が起こります。

さらに注意したいのが、LANの口と電源コンセントが同じプレートに並んでいるタイプです。通信側だけを交換するつもりでプレートを外しても、すぐ近くに100Vの電源部分があります。電源器具を取り外す、固定された電線に触れるといった工程が含まれるなら、それは電気工事です。内部の構成が分からない設備は、自分で分解せず専門業者に確認しましょう。

壁内・天井裏・床下に通信ケーブルを通す

ケーブルを壁の中に隠して配線するからといって、それだけで電気工事士の資格が必要になるわけではありません。通信線だけを通し、電源設備や回線設備に手を加えない範囲であれば、資格の制度とは別に考える余地があります。

しかし、隠蔽配線は「見えない場所」を扱う作業です。壁の中には電線、給排水管、ガス管、断熱材、筋かいなどがあり、どこに何があるかは開けてみるまで分からないこともあります。既存の配管(空配管)が通っていても、行き先や通線の可否を確かめなければ使えません。天井板は人の体重を支える構造ではなく、床下は狭く湿気がこもりやすい空間です。

このため、隠蔽配線のDIYを「資格が不要かどうか」だけで判断するのは適切ではありません。経路が確認できない、電源線に近づく、建物を貫通する、高所や狭い場所に入るといった条件が一つでも当てはまるなら、その工程は専門業者に任せるのが現実的です。壁への配線方法の種類とDIYの可否は、<LANケーブルの壁配線方法>を解説した記事でも整理しています。

電源コンセントを増やす・移す・交換する

住宅の固定配線から分岐して電源コンセントを新設する作業は、電気工事士が行う電気工事です。LANケーブルを通すついでであっても、電源側の資格要件がなくなることはありません。

既存のコンセントを交換する、固定配線を外して位置を変える、分電盤から専用回路を増やすといった作業も同様です。これらは、利用者が資格なしで試してよい範囲には含まれません。

一方、市販の電源タップやACアダプターを、使用方法に従って既存のコンセントに差し込むことは、電気工事には当たりません。同じ「電源を用意する」でも、既製品を使うのか、建物の電気設備を変えるのかで扱いが大きく変わる点を押さえておきましょう。

PoEでカメラやアクセスポイントを動かす

PoE(Power over Ethernet)は、LANケーブルを通じて機器へ電力を送る仕組みです。防犯カメラや無線LANのアクセスポイントでよく使われ、機器の近くにコンセントを設けなくても設置できる点が特長です。

適合するPoE対応機器と完成品のLANケーブルを、利用者向けの端子に接続するだけの作業は、100Vの固定配線を新設する電気工事とは区別して考えられます。一方で、「電力が流れるのだから必ず電気工事士が必要」と決めるのも、「PoEなら設置全体に資格も専門知識もいらない」と決めるのも、どちらも適切ではありません。

天井への機器の固定、屋外への配線、壁の貫通、給電用スイッチのためのコンセント増設などが含まれるなら、それぞれの工程を個別に判断します。また、PoEには給電能力の異なる規格があり、機器とスイッチの組み合わせによっては十分に給電できないことがあります。規格の分からない簡易的な給電器具を、標準的なPoE機器と混同しないよう注意してください。

作業別の一覧表

作業の例資格の基本的な考え方別に確認すること
自分のパソコンとルーターをつなぐ通常は不要端子の用途、機器の説明書
室内でケーブルを整理する通常は不要固定方法、管理権限
LANジャックを成端する電気工事士は一律には不要施工技能、電源部分との区分
壁内に通信線を通す場所だけでは決まらない経路調査、建物の許可、安全
電源コンセントを新設・交換する電気工事士が必要建物の電気設備の区分
PoE機器を設置する接続だけなら電気工事と区別できる規格の適合、固定・貫通・電源工事の有無
回線設備との接続点を変える工事担任者の制度を確認例外の適用、契約、責任分界

 

 


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LAN工事に関わるその他の資格と技能

LAN配線の業者を探していると、電気工事士や工事担任者以外にもさまざまな資格名を目にします。それぞれが何を示すものなのかを知っておくと、業者の説明を理解しやすくなります。

情報配線施工技能士|配線の技能を示す国家検定

情報配線施工技能士は、国家検定である技能検定に合格した人に与えられる称号で、1級から3級まであります。LANケーブルや光ファイバーの施工技能を評価する制度であり、通信配線の腕前を判断する材料の一つになります。

ただし、この称号を持っていなければLAN工事ができない、という仕組みではありません。また、称号があるからといって、電源工事や回線設備への接続まで行えるわけでもありません。業者を見るときは、資格に加えて、施工後にどのような測定・確認を行うのかも聞いておくと安心です。

電気通信工事施工管理技士|工事全体を管理する資格

電気通信工事施工管理技士は、電気通信工事の工程・品質・安全などを管理する立場の国家資格で、1級と2級があります。一定規模の工事では、建設業法に基づく技術者の配置とも関係します。

この資格は「工事全体を管理する能力」を示すもので、電源コンセントを施工するための電気工事士や、回線に接続するための工事担任者とは役割が異なります。家庭でケーブルを1本つなぐ場面と、複数の業者が関わる施設工事とでは、求められる体制も変わります。

ネットワーク系の資格は「設定」の知識です

ネットワーク機器の設定や運用に関する資格は、通信の仕組みを理解しているかを判断する参考になります。しかし、設定に詳しいことと、建物の電源設備を工事できることは別の話です。

反対に、電気工事士の資格を持っていても、VLANやルーティングといったネットワーク設定に詳しいとは限りません。機器の設定、通信配線、電源工事、建物の改修は、それぞれ別の分野として整理しておきましょう。

資格・技能の分野主に確認できること別に確認が必要なこと
電気工事士対象範囲の電気工事に従事できるLANの成端・測定の経験
工事担任者回線への接続工事を行う・監督する電源工事や建物改修への対応
情報配線施工技能士情報配線の施工技能他の制度の資格、作業権限
電気通信工事施工管理技士電気通信工事の施工管理個々の作業に必要な資格
ネットワーク関連資格機器設定・運用の知識固定設備を施工する要件

 

資格名がたくさん並んでいることよりも、「その工事で、誰がどの工程を担当するのか」が説明されていることのほうが重要です。

資格が不要でも確認したい建物側の条件

持ち家でも、建物を自由に傷めてよいわけではありません

持ち家であれば管理会社への申請が不要な場面は多いでしょう。しかし、構造・防水・断熱などの性能を考えずに加工してよいわけではありません。壁の中に空間があるように見えても、筋かいや配管、電線が通っていることがあります。

「LAN配線に資格はいらないと聞いた」という情報は、壁に穴を開けても安全だという根拠にはなりません。住宅の図面や既存設備の情報を確認し、判断できない部分は開けないことが基本です。新築時の保証やリフォームの保証条件が関わる場合もあるため、特に外壁や屋根の近くは慎重に扱いましょう。

賃貸・マンションでは設備の所有者を確かめましょう

賃貸住宅では、壁や既存の端子、配管などが貸主の設備であることがほとんどです。資格が不要な通信作業であっても、貸主や管理会社の承認が必要になる変更はあります。「住んでいること」と「設備を変更する権限があること」は分けて考えてください。

分譲マンションでも、住戸の中にあるものがすべて専有部分とは限りません。構造躯体、共用配管、共用通信設備に関わる変更には、管理規約に沿った工事申請が必要になることがあります。承認が必要な設備に先に手を加えてしまうと、施工そのものが適切でも、原状回復を求められるおそれがあります。

会社・テナントでは社内ルールとビルの許可の両方が必要です

会社の構内LANでは、ケーブルを1本差し替えるだけの変更でも、社内の運用ルールに従う必要があります。無断でハブを追加したり、つなぐポートを変えたりすると、通信ループやセキュリティ上の問題を引き起こすことがあるためです。

壁のLAN口や床下の配線を変える場合は、会社の資産だけでなく、ビルの設備に関わる可能性もあります。社内の情報システム担当者の承認、ビル管理会社の許可、設備の所有区分をそれぞれ確認しましょう。事業所でのLAN配線計画の立て方は、<LAN配線工事の進め方>を解説した記事も参考になります。

防火区画や外壁を貫通する場合は特に慎重に

防火区画となっている壁や床をケーブルが貫通する場合は、建物の防火性能を保つための処理が必要です。求められる仕様は建物や貫通部の条件によって異なり、市販の材料で隙間を埋めればよいとは限りません。

この工程を「LANの配線だから自分でできる」と扱うのは避けてください。外壁や既存の配管穴を利用する場合も、防水・気密・結露・虫の侵入などへの配慮が必要になります。通信ケーブルの知識だけでは判断できない工程なので、建物の性能を確認できる業者に相談しましょう。

壁材を削る工事では石綿(アスベスト)の確認も関係します

既存の建物で壁や天井を切ったり削ったりする改修工事では、石綿(アスベスト)の事前調査が必要になる場合があります。「小さな穴だから関係ない」「LANの工事だから対象外」と、工事の名前や見た目の規模だけで判断しないことが大切です。

特に築年数の古い建物では、建材の種類と加工する範囲を業者に伝え、調査や手続きが必要かどうかを確認してください。完成品のケーブルを室内に置くだけの作業と、既存の建材を削る作業とでは、確認すべき事項がまったく違います。

 


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身近なケースで考える|どの工程から確認が必要になる?

ケース 1|書斎のパソコンを有線にしたい

ルーターとパソコンが同じ部屋にあり、完成品のLANケーブルでつなぐだけなら、通常は資格なしで対応できます。机や家具に沿ってケーブルを這わせ、建物の設備に手を加えない範囲で進められます。

ところが、作業を始めてから「机の近くにコンセントがない」と気付くことがあります。このとき、既存のコンセントから電源タップで電気を取る方法と、机の横にコンセントを新設する方法とでは、資格の扱いが変わります。新設を選ぶなら、それは電気工事として電気工事士に依頼する工程です。

判断のポイント

最初の目的は「パソコンの有線接続」でも、途中で電源工事が加わるなら、その工程を切り出して考えます。「パソコンをつなぐための作業だから全部資格不要」とひとまとめにしないことが大切です。

ケース 2|壁の電話用の端子をLAN用に変えたい

壁に端子があると、差し込み口だけ交換すればLANとして使えそうに思えるかもしれません。しかし、電話用のケーブルとLAN用のケーブルは構造が異なり、そのまま置き換えられないことがほとんどです。ケーブルの種類や、反対側がどこにつながっているかを確認する必要があります。

また、その電話線が通信事業者の回線につながっているのか、すでに使われていない配線なのかによっても、確認先が変わります。用途の分からない線を切ったり、共用盤から外したりする作業を、構内LANの成端と同じように考えないでください。

判断のポイント

端子の見た目からは、ケーブルの所有者や行き先は分かりません。既存設備の用途が確認できるまでは交換作業に進まず、管理者への確認や既存配線の調査から始めましょう。

ケース 3|LANと電源が同じプレートに並んでいる

一つのプレートにLAN、テレビ、電話、100Vの電源が並んでいると、どれも同じ種類の設備に見えます。しかし、用途も取り扱いのルールもそれぞれ異なります。LANジャックだけを交換するつもりでも、プレートの外し方によっては電源部分に手が近づきます。

「LAN側しか触らないから大丈夫」と決める前に、内部を安全に区分できるかを確認してください。内部の配線が分からない、電源器具を動かす必要がある、固定された電線が露出しそうだといった場合は、自分で作業を進めないほうが安全です。

判断のポイント

資格はプレートの名前ではなく、実際に行う作業に結び付きます。完成後に通信口が増えただけに見えても、途中の工程に電気工事が含まれていることがある点に注意しましょう。

ケース 4|PoEで防犯カメラを設置したい

PoE対応の防犯カメラとスイッチを用意し、完成品のケーブルでつなぐだけなら、100Vの電気工事とは区別して考えられます。ただし、実際の設置では、カメラを軒下や天井に固定する、屋外にケーブルを出す、外壁に穴を開ける、スイッチ用のコンセントを増設するといった工程が加わりがちです。

これらはそれぞれ、高所作業の安全、外壁の防水、電気工事の資格といった別の確認事項を伴います。「PoEだから簡単」と考えず、工程を分けて検討してください。

判断のポイント

PoEの規格や給電能力は機器側の確認事項であり、建物の加工や電源工事の資格とは別に扱います。取り付けと配線に建物の加工が伴うなら、その部分は専門業者に任せるのが無難です。

ケース 5|テナントのLAN配線を社員が変更したい

社員が自分の席のLANケーブルを差し替える場合でも、会社の設備管理ルールを確認します。特定のポートにだけ接続する運用や、機器を追加するときの承認手順がある場合は、資格不要の接続だからといって自由に変更できるわけではありません。

壁のLAN口や床下の配線を変える場合は、ビル側の設備に関わる可能性があります。社内担当者の承認、管理会社の許可、設備の所有区分を確認し、電源工事が加わるなら建物の電気設備の区分も確かめましょう。

判断のポイント

「社員が作業する」か「外注する」かでは、資格の要否は決まりません。作業の内容、対象の設備、承認の範囲を整理し、社内で判断できない工程は適切な担当者に引き継ぎます。

 

 

自分で進める範囲と、作業を止める基準

DIYで取り組みやすいのは「接続・整理・記録」

資格なしで取り組みやすいのは、自分が管理する機器に完成品ケーブルをつなぐ、傷んだケーブルを交換する、机の周りのケーブルを整理する、接続先を記録する、といった作業です。建物の固定設備を変えず、いつでも元に戻せる範囲から始めましょう。

作業の前には、「どの機器の、どの端子に、何をつなぐか」を明確にしてください。まず短いケーブルで仮につないでみて、機器が正常に認識するかを確かめるだけでも、本当に工事が必要かどうかを判断する材料になります。配線ルートの考え方やケーブルの通し方は、<LANケーブルの配線方法>を解説した記事で詳しく紹介しています。

成端や隠蔽配線は「不良を見つけて直せるか」で考える

コネクターを取り付ける、LANジャックに結線する、既存の配管にケーブルを通すといった作業は、資格が一律に求められない場合でも、経験と適切な工具が必要です。

判断の目安になるのは、「工具を買えるか」ではなく「不良を見つけて直せるか」です。簡易的な導通チェックで信号が通っていても、規格どおりの性能が出ているとは限りません。リンクが確立しても、想定した速度や安定性が得られないこともあります。壁の中に隠してから不具合に気付くと、原因の場所を探すだけでも大きな手間がかかります。

作業を止める条件を先に決めておく

DIYで判断を誤りやすいのは、途中で想定外の状況に出会ったときです。「もう少しだけ」と作業範囲を広げると、最初に想定していたものとは別の工事になってしまいます。作業を始める前に、次のような「止める条件」を決めておきましょう。

・ 固定された電源配線やコンセントの内部に触れる必要が出てきた
・ 通信事業者の機器や共用設備を分解、移動する必要が出てきた
・ 配管の行き先が分からない、ケーブルが途中で通らない
・ 壁や天井の内部が確認できず、穴を開ける必要が出てきた
・ 高所や狭い場所での作業が必要になった
・ 設備の所有者や管理者が分からなくなった

これらは資格の代わりになるものではなく、自分が想定した作業範囲を守るための約束です。途中で作業を止めたときは、外した部品や変更した箇所を記録しておくと、業者に引き継ぐ際に確認のやり直しを減らせます。

 


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業者に確認するときは、工事を工程ごとに分けて伝えましょう

「LAN工事一式」の中身を言葉にする

業者に相談するとき、「LAN工事はできますか」と聞くだけでは、お互いの前提がそろいません。次のように工程を分けて伝えると、必要な資格や担当者が整理しやすくなります。

伝え方の例主に関わる分野
完成品ケーブルで機器をつなぎ直したい構内LAN(設定・接続)
壁に新しいLAN口を設けたい構内LAN(通線・成端)+建物
ルーターの近くにコンセントを増やしたい電源設備(電気工事)
光回線の引き込み位置を変えたい回線設備(通信事業者・工事担任者)

 

作業内容をうまく説明できない場合は、機器や端子の型番、触りたい場所の写真を見せるのが効果的です。通信工事と電源工事を同時に計画しているなら、それぞれを誰が担当するのかを見積もりの段階で確認しておきましょう。

作業者の資格と、事業者としての要件は別です

個人が作業に必要な資格を持っていることと、事業者として工事を請け負うための登録や許可は、別の制度です。電気工事を事業として行うには電気工事業法に基づく登録などが必要で、一定規模以上の建設工事を請け負うには建設業法の許可が関係します。

依頼する側としては、通信配線だけの依頼なのか、電気工事も含むのかを整理したうえで、必要な工程に対応できる体制かどうかを確かめれば十分です。依頼先の種類や費用の比較については、<LANケーブル配線の依頼先>を整理した記事で詳しく扱っています。

工事後の記録は、次の作業の判断材料になります

工事が終わったら、変更した設備と変更していない設備が分かるように記録を残しておくと便利です。「通信線だけを新設」「電源設備は既存のまま」「回線事業者の設備は変更なし」のように工程ごとに残しておけば、次に配線を見直すときに「この線は自由に変えてよいのか」「誰に確認すべき設備なのか」をすぐに判断できます。

特別な書式は必要ありません。間取り図や写真に書き添えるだけでも十分に役立ちます。担当者が替わりやすい事務所では、特におすすめです。

 

 

LAN配線工事の資格に関するよくある質問(FAQ)

Q1. LAN配線をするには第二種電気工事士が必要ですか?

すべてのLAN配線に必要なわけではありません。自分が管理する機器を完成品のLANケーブルでつなぐ作業には、通常、資格はいりません。一方、住宅の電源コンセントを新設するなど、電気工事が含まれる場合は電気工事士の資格が必要です。通信配線と電源工事を分けて判断してください。

Q2. LANコンセントを増やすだけでも資格は必要ですか?

構内LANの通信用ジャックだけを施工する場合、電気工事士の資格が一律に求められるわけではありません。ただし、壁の加工、近くにある電源器具、既存配線の用途、建物の許可、成端の技能は別に確認が必要です。電源と一体のプレートを扱う場合は、電気工事が含まれることがあります。

Q3. 壁の中にLANケーブルを通すと資格が必要になりますか?

壁の中という場所だけで決まるわけではありません。通信線だけを通すのか、電源配線を変えるのか、回線設備との接続に関わるのかで扱いが変わります。資格が求められない場合でも、壁内の調査や建材の加工には注意が必要です。経路が分からないまま作業を進めないでください。

Q4. ブレーカーを落とせば、コンセントを自分で交換してもよいですか?

ブレーカーを落としても、資格が必要な作業を無資格で行えるようにはなりません。固定配線につながった電源コンセントの交換は、電気工事士に任せる作業です。見た目の似ているLANジャックの交換と混同しないようにしましょう。

Q5. 自宅の工事や、家族を無償で手伝う場合なら資格はいりませんか?

自宅であることや無償であることで、資格の要件がなくなることはありません。資格の要否は、どの設備にどのような作業をするかで決まります。持ち主の了承があっても、法令上必要な資格の代わりにはならない点に注意してください。

Q6. 工事担任者がいないと、ルーターにLANケーブルを挿せませんか?

一般的な家庭で、利用者向けのLANポートに完成品ケーブルを差し込むたびに工事担任者が必要になるわけではありません。ただし、光回線の引き込み部分や共用盤、貸与機器の内部など、利用者向けの範囲かどうか分からない場所に手を加える場合は、契約先の通信事業者に確認してください。

Q7. 電気工事士の資格があれば、工事担任者の代わりになりますか?

なりません。電気工事士は電気工事士法に基づく電源側の資格、工事担任者は電気通信事業法に基づく回線接続の資格で、対象となる制度が異なります。通信と電源の工事を組み合わせる場合は、それぞれの工程に適した担当者がいるかを確認しましょう。

Q8. 情報配線施工技能士がいないとLAN工事はできませんか?

その称号がなければLAN工事が禁止される、という制度ではありません。情報配線施工技能士は、配線の技能を示す国家検定です。資格が不要な作業でも施工品質は求められるため、業者を選ぶ際は、施工後にどのような測定や確認を行うかもあわせて聞いてみてください。

Q9. PoE対応機器の設置に電気工事士は必要ですか?

適合するPoE機器を完成品ケーブルで利用者向けの端子につなぐだけなら、通常、100Vの電気工事とは区別して考えられます。ただし、コンセントの増設や外壁への穴あけ、高所への機器の固定が加わる場合は、それぞれの工程を別に判断してください。

Q10. 賃貸で大家さんの許可があれば、自分で何でも工事できますか?

大家さんの許可は、建物や設備を変更してよいかについての確認です。電気工事士などの資格が必要な工程を、許可だけで無資格施工できるようにはなりません。反対に、資格のいらない作業でも許可が必要な場合があります。管理側の承認と法令上の資格は、それぞれ確かめましょう。

Q11. LAN配線は「弱電」だから資格不要と聞きましたが、本当ですか?

大まかな方向性としては誤りではありませんが、弱電・強電は業界での呼び方であり、法令上の区分ではありません。LANの通信線そのものには電気工事士の資格が一律に求められない一方、同じ作業の中に電源工事や回線接続が含まれれば、それぞれの制度が関わります。

Q12. 資格が必要かどうか分からないときは、誰に聞けばよいですか?

電源工事は電気工事業者、回線接続は契約している通信事業者、建物の変更は所有者や管理会社が主な確認先です。「LAN工事」とひとまとめにせず、触りたい設備と作業内容を伝えてください。型番や写真を添えると、より正確な回答を得やすくなります。

 

まとめ|資格・技能・許可を分けて考えれば、LAN配線の判断は難しくありません

LAN配線工事に資格が必要かどうかは、ケーブルの名前や施工する場所だけでは決まりません。完成品ケーブルで機器をつなぐ作業、構内LANの通信配線、電源設備の工事、回線設備との接続工事を分けて考えることが基本です。

一般的な完成品LANケーブルの接続には、通常、資格はいりません。一方、電源コンセントの新設や交換には電気工事士が、回線との接続工事には工事担任者が関わります。そして、資格が求められない通信配線であっても、建物の調査、正しく施工する技能、設備を変更する許可は欠かせません。

作業を始める前には、「何を触るのか」「どこまで変えるのか」「それは誰の設備なのか」の3点を確認しましょう。途中で電源工事や建材の加工が必要になったら、最初の判断をそのまま広げず、その工程だけを切り出してあらためて考えてください。自分の手に負える範囲を見極めることが、安全で快適な通信環境を整えるいちばんの近道です。

参考資料・出典

<経済産業省:電気工事士>

<経済産業省:電気工事士法・電気工事業法等>

<e-Gov:電気通信事業法>

<e-Gov:工事担任者規則>

<日本データ通信協会:電気通信の工事担任者>

<国土交通省:電気通信工事施工管理技術検定>

<厚生労働省:情報配線施工技能士>

<厚生労働省:小規模工事等の着工前に必要な手続き>

 


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