屋外 有線LAN

2024.06.22

屋外の有線LAN配線方法|ケーブル選び・防水対策・DIYの範囲

 

「離れの仕事部屋でWi-Fiが途切れて、オンライン会議に集中できない」「ガレージの防犯カメラを有線にして、録画を安定させたい」。こうした悩みを解決する手段として、屋外へのLAN配線を検討する方が増えています。

有線接続は電波の届き方に左右されにくく、通信が安定しやすい方法です。ただし屋外では、雨、紫外線、夏と冬の温度差、強風、雷といった室内にはない負担が、ケーブルと接続部にかかり続けます。

屋外配線のトラブルは、ケーブル本体よりも「接続部」「外壁の穴」「管の中にたまる水」から起きることが少なくありません。 屋外用ケーブルに替えたことで安心してしまうと、数か月後に「雨の日だけ通信が切れる」といった不調につながることがあります。

この記事では、外壁沿い・地中・建物間といった屋外の経路を対象に、ケーブルの選び方、防水と結露への対策、雷サージ対策、PoE給電の確認、施工手順、完成後の試験、費用の考え方までを順に解説します。

最初に、屋外配線で押さえたい3つの原則を整理しておきます。

原  則具体的に意識すること
1. ケーブルは「通信性能」と「屋外での耐久性」を分けて選ぶCat6などのカテゴリー表示は速度の目安であり、雨や紫外線への強さは別の仕様で確認する
2. 防水は「ケーブル・接続部・外壁貫通部」の3か所で考えるケーブルが屋外用でも、端子や壁の穴が濡れれば弱点が残る
3. 別棟へつなぐなら、短い距離でも光ファイバーと比較する建物どうしを銅線でつなぐと、雷や電位差の影響を受けるおそれがある

 

なお、室内の壁に沿わせる配線や壁内・天井裏の経路選びは<LANケーブルの壁配線方法>で、新築時の空配管の計画は<LANケーブルの空配管計画と既設管への通し方>で解説しています。本記事では、屋外ならではの判断に絞って掘り下げます。

 

屋外にLANを引く前に決めておきたい3つのこと

何をつなぎ、止まったら何が困るのかを整理する

最初に決めたいのは、ケーブルの種類ではなく「何を、どこで、どのように使うか」です。用途によって、必要な速度や給電の有無、許容できる停止時間が変わるためです。

例えば、防犯カメラなら夜間も録画を続けられることが重要になります。離れの仕事部屋ならオンライン会議や社内システムへの接続、倉庫なら在庫管理の端末やアクセスポイントの設置位置が判断の材料になります。

用途の例優先したいこと計画段階で確認すること
外壁の防犯カメラ24時間の録画継続PoE給電の可否、夜間の消費電力、録画装置までの経路
離れの仕事部屋会議中の安定した通信建物間の接続方式、離れ側の電源、室内でのWi-Fi
ガレージ・倉庫端末や機器の常時接続車両や工具との接触、温度変化、点検しやすい位置
庭のアクセスポイント屋外でのWi-Fi利用散水・植栽の影響、屋外対応の機種かどうか

 

また、屋外に配線を引いても、回線契約やプロバイダー側の混雑までは解消できません。母屋のルーターの近くで有線接続しても遅い場合は、屋外工事の前に回線や機器の状態を確認しましょう。 屋外配線の目的を「届かない場所へ通信を届けること」と「その区間の品質を確保すること」に分けて考えると、必要な工事の範囲が見えてきます。

銅線LAN・光ファイバー・無線ブリッジを比べる

屋外へ通信を届ける方法は、銅線のLANケーブルだけではありません。現地の条件によっては、光ファイバーや屋外用の無線ブリッジのほうが適している場合もあります。

接続方法向いている場面主なメリット先に確認すること
屋外用の銅線LAN同じ建物の外壁にある機器、PoE対応カメラ機器へ給電もできる、部材を入手しやすい距離、接続部の防水、サージ対策
屋外用の光ファイバー母屋と離れ、長い敷地内の経路建物間を電気的に切り離せる、長距離に強い両端の変換機器、相手側の電源、ケーブルの構造
屋外用の無線ブリッジ掘削や配線が難しく、見通しを確保できる場所配線工事を大幅に減らせる見通し、設置位置、屋外で使える周波数帯か、技適表示

 

これらの方式は組み合わせることもできます。例えば、建物間は光ファイバーでつなぎ、離れの中ではWi-Fiを使う構成です。ケーブルを敷設できる経路があるか、相手側に電源があるか、天候や季節で条件が変わるかを並べて比較してください。

「同じ建物の外回し」と「別棟への配線」を区別する

外壁を経由して1階から2階へ戻る経路と、庭を横断して別棟へ向かう経路では、注意すべき点の重みが変わります。

比較項目同じ建物の外回し別棟への配線
中心になる課題外壁の防水、固定、屋内への再引き込み左記に加え、建物間の電位差、長い露出区間
雷への配慮経路と機器に応じて検討銅線なら特に重要。光ファイバーとの比較が必要
経路の選択肢外壁沿いが中心地中、架空(空中)、無線も候補
工事の規模比較的小さい掘削や高所作業を伴うことがある

 

「30mしかないから銅線で十分」と、距離だけで判断しないことが大切です。 施工業者へ相談するときも、同じ建物か別棟か、地面と空中のどちらを通すかを最初に伝えてください。この区別が、接続方式と保護方法を選ぶ出発点になります。

 


▼ LAN配線に関するご相談や工事の依頼をお考えの方はコチラをチェック!! <電気工事110番> ▼


 

屋外用LANケーブルの選び方|通信性能と耐久性を分けて考える

カテゴリーは「必要な速度」と「交換のしにくさ」で決める

Cat5e、Cat6、Cat6Aといったカテゴリーは、伝送性能を示す区分です。雨や紫外線への強さを表すものではありません。まずは通信性能の面から、どのカテゴリーが必要かを決めましょう。

カテゴリー1Gbps10Gbps屋外配線での考え方
Cat5e最大100mのチャネルで対応対象外1Gbpsで足りる用途なら候補になる
Cat6最大100mのチャネルで対応条件付きで短い距離に限られる一般的な住宅・小規模事業所の屋外配線で選ばれやすい
Cat6A最大100mのチャネルで対応最大100mのチャネルで対応将来の10Gbps化や交換の難しい経路に向く

 

ここで注意したいのは、接続する機器が1Gbpsまでの対応なら、ケーブルをCat6Aにしても10Gbpsでは通信できないことです。一方で、地中や高所など、後から交換するのが難しい経路では、将来の機器更新を見越して上位のカテゴリーを選ぶ考え方もあります。用途と交換のしやすさを比べて決めてください。

屋外用の表示は「耐候・耐水・地中」を個別に確認する

屋外用LANケーブルには、紫外線に強いポリエチレン系の外被を採用したものや、外被を二重にしたものがあります。ただし、「屋外用」と書かれた製品がすべて同じ環境に対応しているわけではありません。製品名だけで判断せず、仕様書の適用場所を確認しましょう。 参考:<サンワサプライ「屋外用LANケーブル」> <サンワサプライ「屋外用カテゴリ6Aケーブルの製品仕様」>

仕様書で見る項目確認する理由
耐候性・耐紫外線性直射日光が当たる区間に使えるかを判断する
耐水性・湿潤環境への対応雨が当たる場所や、湿気が残る管内に使えるかを確認する
地中配管・直接埋設への適合管に通すのか、土へ直接埋めるのかで、必要な構造が異なる
使用温度・施工時の温度真夏の壁面や冬の施工など、使用中と施工中の条件を確かめる
最小曲げ半径・許容張力曲げすぎや引っ張りすぎで性能を落とさないようにする
導体の材質・PoEへの対応給電を含めた用途に適合するかを確認する

 

特に避けたいのが、「屋外用だから地面に埋めてもよい」「防水だから水に浸かったままでもよい」という読み替えです。地中配管に対応する製品と、土へ直接埋設できる製品は、同じ条件とは限りません。 敷設する環境を仕様書の記載と照らし合わせてください。

導体は銅を選び、CCAケーブルは避ける

安価なLANケーブルの中には、アルミの芯線を銅で覆った「CCA(銅被覆アルミ)」を使った製品があります。CCAは銅の導体より電気抵抗が大きく、規格で想定された性能を満たさない場合があります。

特にPoEで給電する場合、抵抗が大きいと発熱や電圧降下が起こりやすくなります。屋外の長い固定配線や、カメラ・アクセスポイントへの給電に、価格だけでCCAケーブルを選ぶのは避けましょう。導体の材質、試験の情報、製造元を確認できる製品を候補にすると安心です。

単線・より線とプラグの適合をそろえる

建物に固定する配線には主に単線、機器どうしをつなぐパッチコードには柔軟なより線が使われます。ただし、単線であれば無条件に屋外へ向いているわけではありません。カテゴリー、外被、導体、施工方法を合わせて選びます。

見落としやすいのが、プラグやジャックとの適合です。プラグには、対応する導体の太さ、単線用かより線用か、適合するケーブル外径といった条件があります。二重被覆の太いケーブルに手元のプラグを無理に取り付けると、端子の接触や外被の保持が不十分になることがあります。 メーカーが指定する適合部品と加工方法を確認してから施工しましょう。

シールド付きにするかは、機器と接地の条件で決める

UTPはシールドのないケーブル、STPやFTPはシールドを備えたケーブルです。「屋外だからシールド付きが正解」と一律に決まるものではなく、カメラやスイッチ、サージ保護器の施工指示と、周囲の電気的な環境によって判断します。

機器によっては、屋外配線にシールド付きケーブルと所定の接地を求めています。反対に、ケーブルだけをシールド付きに替えても、プラグや機器側が対応していなければ、期待した保護効果は得られません。接地先を自己判断で作らず、設備全体の条件を施工者と確認してください。

 

配線経路の選び方|外壁・地中・空中・既設管の注意点

屋外の経路は、主に4つに分けられます。それぞれ確認すべき点が異なるため、まず全体像を比べておきましょう。

経 路向いている場面主な注意点
外壁沿い同じ建物の外回し、外壁のカメラ日差し、雨の当たり方、固定方法、壁の穴の防水
地中庭や駐車場を横断して別棟へ埋設物の調査、管の強度、管内の湿気、位置の記録
架空(空中)掘削できない建物間風、たるみ、支持点の強度、通行への影響
既設管の利用通信用の配管がすでにある場合屋外部分の割れ、水たまり、出口の埋没

外壁沿いは、壁面の環境と固定方法を確認する

外壁に沿って配線する場合は、直射日光が強く当たる面、雨が吹き込みやすい場所、エアコン室外機の排気が当たる場所を事前に確認します。雨どいや既存の配管に沿わせると目立ちにくくなりますが、それらを支えとして自由に使えるとは限りません。

固定には、屋外対応のサドルや支持金具を、壁材と下地に合った方法で取り付けます。室内用の粘着クリップは、温度変化や荷重で保持力が落ちやすいため、屋外の長い区間には向きません。

保護管や金具を付けると、その重さと風を受ける力も建物側にかかります。固定する間隔は一律の数値で決めず、使用する管や支持材の施工要領に合わせてください。 また、外壁に固定用のビス穴を開ける場合は、その穴も防水を考える対象になります。

保護管は「PF管なら何でもよい」と考えない

保護管には、日差しや接触からケーブルを守り、後の交換をしやすくする役割があります。ただし、屋外で使えるかどうかや耐候性は、製品ごとに異なります。PF管という名称だけで判断せず、露出する場所、日照、衝撃、施工条件に合う型番を選びましょう。

VE管などの硬い管を使う場合は、継手や支持方法に加えて、温度変化による伸び縮みにも配慮します。曲がりの箇所を増やしすぎると、施工時だけでなく将来の交換時にもケーブルが通りにくくなります。

また、保護管の中は、雨水の侵入や結露によって湿ることがあります。 管を設けることと、管内の環境に合うケーブルを選ぶことは、別々に確認が必要です。

地中経路は、掘る前の調査と埋めた後の記録が重要

庭や敷地を横断する場合、地中経路は見た目をすっきりさせられる有力な方法です。ただし、給排水管、ガス管、既設の電線などの位置が分からないまま掘削するのは危険です。図面や現地調査で埋設物を確認し、必要に応じて各設備の管理者へ照会しましょう。

埋設する深さや管の強度、車が通る場所での保護は、敷地の使われ方によって変わります。「何cm掘ればどこでも大丈夫」という決め方は避け、将来の庭の手入れや舗装のやり直しまで見越して計画してください。

地中配管を選んでも、管の中が乾いた状態を保つとは限りません。湿潤環境に適したケーブル、点検できる箇所、建物へ立ち上げる部分の保護をセットで考えます。

埋め戻す前に経路の写真を撮り、建物の角など動かない目印からの距離を記録しておきましょう。 数年後に庭を掘り返す際、ケーブルを誤って切断する事故を防ぐ手がかりになります。

架空配線は、ケーブルを張るだけでは成立しない

母屋から倉庫へ空中を渡す場合は、風によるゆれ、たるみ、支持点の強度、人や車の通行を考慮します。通常のLANケーブルを両端から強く引っ張り、ケーブル自体に重さを支えさせる方法は避けてください。

架空配線では、架空用の支持線と一体になったケーブルや、別に張った支持線に固定する方法など、対応する製品と支持方法を選びます。高所作業を伴うことが多いため、節約のためのDIYとして安易に選ぶのは危険です。架空、地中、無線接続を現地の条件で比べたうえで決めましょう。

既設管を使う場合は、屋外部分の状態を確かめる

通信用の配管がすでにあっても、屋外に出た部分で管が割れていたり、低い場所に水がたまっていたり、出口が土に埋もれていたりすることがあります。入口と出口だけでなく、露出部、継手、途中のボックスも確認してください。

配管の太さの選び方や、呼び線を使った通線の手順は、<LANケーブルの空配管計画と既設管への通し方>で詳しく解説しています。本記事では、既設管が見つかった後に「屋外の湿気や傷みに耐えられる経路かどうか」を確認することを重視します。

 


▼ LAN配線に関するご相談や工事の依頼をお考えの方はコチラをチェック!! <電気工事110番> ▼


 

防水・結露対策|水の入り口を3か所に分けてふさぐ

経路図に「水の入り口」を書き出す

防水を考えるときは、ケーブルの途中だけでなく、屋内の起点から屋外の機器までを順に追っていきます。水が入りやすいのは、主に次のような場所です。

水の入り口になりやすい場所起こりやすい問題主な対策
RJ45の接続部(プラグとジャック)端子の腐食、接触不良適合する防水カバーやボックスで保護する
ボックスの引込口穴のすき間からの浸水ケーブル外径に合うケーブルグランドを使う
保護管の端管内への雨水の流入端部の処理、下向きの納まり
外壁の貫通部建物内部への漏水建物の防水を優先した止水処理
機器本体の導入口機器内部への浸水機器付属の防水部品を説明書どおりに使う

 

例えば、ケーブルの被覆に傷がなくても、上向きになった接続部に雨がかかれば、端子から不具合が起きることがあります。ボックスのふたを閉めていても、ケーブルを通す穴が大きすぎれば、そこが水の入り口になります。

防水部材を増やすだけでなく、接続箇所そのものを減らせないかも検討しましょう。 接続部が少ないほど、水が入る可能性のある場所と点検の手間を減らせます。

IP等級は「どの部品の性能か」を確認する

屋外機器や防水部品には、IP65やIP67といった保護等級が表示されていることがあります。1桁目は粉じんへの保護、2桁目は水への保護の程度を示します。

表示(2桁目)水に対する保護の目安
IPX4あらゆる方向からの水の飛まつに耐える
IPX5あらゆる方向からの噴流水に耐える
IPX6あらゆる方向からの強い噴流水に耐える
IPX7一定の条件で一時的に水中に沈めても浸水しない

 

ここで重要なのは、その等級が「どの部品に対する性能か」を確認することです。カメラ本体がIP67でも、本体から伸びる接続ケーブルの先端まで同じ性能を持つとは限りません。また、IP等級は、指定の相手部品と正しく組み付けた状態を前提にしています。部品の組み合わせや取り付け方がメーカーの条件から外れれば、表示どおりの性能は期待できません。

RJ45の接続部は、適合する保護部材で守る

一般的なRJ45の接続部を、雨が直接当たる状態で放置しないようにしましょう。機器付属の防水カバー、防水コネクター、適切なボックスなどを使い、説明書に沿って組み立てます。

確認したいのは、カバーにプラグが収まるかどうかだけではありません。次の点もあわせて確かめてください。

・ ケーブルの外径が、防水パッキンの適合範囲に入っているか
・ パッキンがねじれたり、はみ出したりしていないか
・ 付属の部品がすべて正しい順番で装着されているか

指定より細いケーブルを使うと、締め付けてもすき間が残ることがあります。また、製品によっては、プラグを付ける前に防水部品をケーブルへ通しておく必要があります。

防水ボックスは、引込口まで含めて選ぶ

防水ボックスを設置するときは、箱本体の性能に加えて、引込口に使うケーブルグランドや管用コネクターの適合も確認します。現場で穴を追加したり、パッキンを切って広げたりすると、製品の防水条件から外れるおそれがあります。

ボックスの中は、プラグや中継部品を無理に曲げずに収められる広さを確保しましょう。配線を押し込んでふたを閉めると、ケーブルに力がかかるうえ、パッキンに異物を挟みやすくなります。点検のときに接続状態を確認しやすい配置にしておくことも大切です。

なお、室内用のスイッチやACアダプターをボックスに入れただけでは、屋外で使える状態になるとは限りません。 雨を防げても、内部の温度上昇、結露、放熱、電源の安全性は別に確認する必要があります。

外壁貫通部は、建物の防水を最優先にする

外壁を貫通する部分は、通信の不具合だけでなく、建物内部への漏水につながるおそれがあります。表面の穴を埋めるだけで十分かどうかは、壁の構造、防水シートの有無、既存のスリーブなどによって変わります。

新たに穴を開ける場合は、壁の中の電線や配管、柱などの構造材の位置を確認してから、貫通部の保護と止水の方法を決めます。次の点を施工者に確認しておきましょう。

・ 室外側へ向けて下り勾配をつけ、水が外へ抜ける納まりになっているか
・ スリーブ(さや管)を使うか、その周囲をどう止水するか
・ 外壁材に適合するシーリング材を使うか

防火区画や断熱・気密に関わる部分では、その性能を損なわない処理も必要です。市販のパテやシーリング材を詰め込めば完成、というものではありません。 新築や保証期間中の住宅では、建築会社とも施工範囲を共有しておくと安心です。

ドリップループで、雨水を接続口へ向かわせない

ケーブルを伝って流れてきた雨水が、そのままボックスや機器の接続口に入り込むことがあります。これを防ぐために、引込口の手前でケーブルをいったん下へたらし、U字を描いてから上げる方法があります。これを「ドリップループ(水切り)」と呼び、雨水はU字のいちばん低い位置から落ちていきます。

ただし、ループを作るためにケーブルを小さく折り曲げてはいけません。最小曲げ半径を守り、風でゆれて外被がこすれないように支持します。ドリップループは、適合する引込部品と組み合わせてはじめて効果を発揮する点も覚えておきましょう。

管の中の結露と残水を前提にする

雨が直接入らなくても、昼と夜の温度差によって、管やボックスの内側に結露が生じることがあります。地中区間や日陰の区間では、一度入った水が抜けにくい場合もあります。管の中は「いつも乾いている空間」ではないと考えておくことが大切です。

対策は、湿潤環境に適したケーブルを選ぶことと、管の端部や排水・換気の納まりを設計することの両方で考えます。ただし、自己判断でボックスに水抜き穴を開けると、防水性や防虫性を損なうことがあります。

結露が繰り返し起きる場合は、乾燥剤の交換だけで済ませず、ボックスの設置場所、温度差、配管から流れ込む空気や水の経路を調べてください。内部を乾かして一時的に復旧しても、原因が残っていれば再発する可能性があります。

テープを巻くだけの防水に頼らない

接続部にビニールテープを巻くだけでは、長期間の防水処理として十分とはいえません。いったん水分が入り込むと抜けにくくなるほか、劣化した粘着剤のせいで、端子の状態を確認しにくくなることもあります。

自己融着テープの使用を指定する施工方法もありますが、使える部位や巻き方、下地の状態は製品ごとに異なります。メーカーが認める処理を選び、交換のときに部品を傷めずに開けられるかも確認しておきましょう。防水は施工した日で終わりではなく、点検と交換まで含めて維持していくものです。

 

 

★ 新築住宅におけるLAN配線について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください!!

新築でLAN配線は本当に必要?費用と後悔しないポイントを解説

 

雷サージ対策|建物間は光ファイバーを第一に比較する

直撃しなくても、近くの落雷で機器が壊れることがある

雷の被害は、建物への直撃だけで起こるわけではありません。近くに落雷すると、地面や周囲の電線を通じて一時的な過電圧(雷サージ)が発生し、LANケーブルを伝って機器に入り込むことがあります。

「LANケーブルは電源コードではないから雷とは関係ない」と考えて検討を省くのは危険です。特に、別棟まで銅線を渡す場合は、建物ごとの接地や電源設備との関係も確認が必要です。

また、保護管は紫外線や接触への対策としては役立ちますが、雷サージへの対策にはなりません。「樹脂管に入れているから安全」「土の中だから影響を受けない」とは考えず、経路全体で必要な保護を検討してください。

LAN用サージ保護器は、規格と接地をセットで計画する

LAN用サージ保護器を使う場合は、対応する通信速度、PoEの規格、設置環境、接地方法を確認します。屋外機器の近くや建物への引き込み付近など、守りたい機器に応じて設置場所を決めます。

機器の施工指示によっては、シールド付きケーブルと適切な接地を組み合わせる必要があります。保護器を取り付けて終わりにせず、接地の状態を誰が確認するのかまで決めておきましょう。 水道管や近くの金属物を、自己判断で接地先にしてはいけません。

また、サージ保護器は、想定を超える大きな雷の影響まで防げるとは限りません。導入時には、保護できる範囲とあわせて、点検や交換の条件も確認しておきます。通信線だけでなく、機器へつながる電源側の保護もあわせて考えると、設備全体を守りやすくなります。

光ファイバーなら、建物間を電気的に切り離せる

光ファイバーは、電気ではなく光で信号を送ります。そのため、建物どうしを銅の通信線で結ばずに済み、雷サージや建物間の電位差の影響を受けにくくなります。別棟への配線では、距離が短くても光ファイバーは有力な選択肢です。

母屋と離れを光ファイバーでつなぐ場合の、基本的な構成は次のとおりです。

位 置必要になる主な機器・部材確認すること
母屋側光ポート付きスイッチ、またはメディアコンバータールーターとの接続、設置場所の電源
建物間屋外用の光ファイバーケーブル非金属構造か、保護管や支持の方法
離れ側メディアコンバーターやスイッチ、電源電源の確保、機器の放熱、Wi-Fiの設置位置

 

光ファイバーを選ぶ際には、次の点にも注意しましょう。

ケーブルの構造

金属製の支持線や外装を含む製品では、その金属部分の扱いを別に考える必要があります。電気的に切り離すことが目的なら、非金属構造の製品を選び、施工者にも目的を伝えてください。

両端の規格をそろえる

シングルモードとマルチモード、コネクターの形状(LCやSCなど)、光モジュールの規格を両端で合わせます。

離れ側の電源

一般的な光ファイバーでは、相手側の機器へPoE給電ができません。離れ側にも電源が必要です。

 

また、光ファイバーにしたからといって、離れの電源設備や建物そのものの雷対策が不要になるわけではありません。電源側の対策は別に確認しておきましょう。

 


▼ LAN配線に関するご相談や工事の依頼をお考えの方はコチラをチェック!! <電気工事110番> ▼


 

PoE給電|屋外カメラ・アクセスポイントの電力を照合する

給電側と受電側の規格をそろえる

PoE(Power over Ethernet)は、LANケーブル1本で通信と電力供給を同時に行う仕組みです。屋外の防犯カメラやアクセスポイントでは、機器のそばにコンセントを設けずに済むため、広く使われています。

ただし、LAN端子があるからといって、どの機器でも給電できるわけではありません。機器の説明書で対応規格と必要電力を確認し、給電するPoEスイッチやインジェクターと照合します。

規 格給電側(1ポート)の出力受電機器で使える電力の目安主な用途の例
IEEE 802.3af15.4W12.95W一般的な固定カメラ、IP電話
IEEE 802.3at30W25.5W赤外線照明付きカメラ、アクセスポイント
IEEE 802.3bt(Type 3)60W51W高性能アクセスポイント、旋回型カメラ
IEEE 802.3bt(Type 4)90W71.3Wヒーター付きカメラなど電力の大きい機器

 

給電側の出力と受電機器で使える電力に差があるのは、ケーブルでの損失を見込んでいるためです。また、独自方式の「パッシブPoE」は、規格に準拠したPoEとは仕組みが異なります。方式の分からない機器どうしを接続すると、故障の原因になるため注意してください。

最大消費電力を基準に選ぶ

屋外カメラには、夜間に赤外線照明を点灯したり、冬にヒーターを動かしたりして、消費電力が大きく変わる製品があります。昼間の平常時の値ではなく、最大消費電力やメーカーが指定する給電条件を基準に選ぶことが大切です。

1ポートの出力とスイッチ全体の給電容量を分けて見る

複数の機器に給電する場合は、各ポートの出力に加えて、スイッチ全体で供給できる合計電力(給電容)を確認します。ポートに空きがあっても、給電容量に余裕がなければ、新しい機器を動かせないことがあります。

例えば、合計の給電容量が60WのPoEスイッチに、最大消費電力が13Wのカメラを4台つなぐと、それだけで52Wを使います。ここに5台目を追加すると、ポートは空いていても電力が足りなくなる可能性があります。将来カメラを増やす予定があるなら、その分の電力も見込んでスイッチを選んでおきましょう。

距離と温度の条件を、給電を含めて確認する

一般的なLAN配線(ツイストペアのEthernet)では、建物に固定する配線を最大90m、両端の接続コードを含めたチャネル全体を最大100mとする考え方が基本です。ただし、ケーブルの太さや周囲の温度、構成、通信規格によって、条件は変わります。

例えば、屋外区間が80mでも、室内側の配線や接続コードを足すと、100mまでの余裕はわずかになります。また、100m巻きのケーブルが市販されていることは、どの機器でも100m先まで通信できることを保証する意味ではありません。

真夏の外壁のように高温になる場所では、ケーブルの性能が低下し、PoEの発熱も加わります。上限に近い距離や高出力のPoEを計画する場合は、温度条件を含めて設計と試験を依頼しましょう。中継コネクターでケーブルをつないでも、信号を再生して距離を延ばせるわけではありません。100mを超える経路は、スイッチなどの中継機器や光ファイバーとの比較が必要です。

 

 

★ LAN配線工事の依頼について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください!!

有線LAN工事業者の選び方|家庭・オフィスで失敗しない依頼方法

 

屋外LAN配線の施工手順|計画から引き渡しまで5ステップ

屋外配線の施工は、次の5つの段階で進めます。各段階で確認すべき点を押さえておくと、業者に依頼する場合も、仕上がりを判断しやすくなります。

手 順内 容この段階で防げる失敗
 1機器・経路・保護方法を図にする接続方式や電源の考え漏れ
 2材料を照合し、仮接続する部品の不適合、PoEの給電不足
 3支持・通線・端末処理を行うケーブルの損傷、端子の接触不良
 4防水処理と通信試験を分けて確認する「つながるが濡れる」状態の見落とし
 5実際の使い方で試し、記録を受け取る夜間だけの不具合、将来の調査の手間

手順 1:機器・経路・保護方法を1枚の図にまとめる

ルーターやスイッチの位置、屋外へ出る場所、屋外機器の位置を1枚の図にまとめます。各区間の長さに加えて、日差しの方向、雨が当たる面、車や人の動き、作業できる高さも書き込みましょう。

この段階で、銅線にするか光ファイバーにするか、電源をどこから取るか、ボックスや保護器をどこに設けるかを決めます。室内の壁内を通す経路とも比べたい場合は、<LANケーブルの壁配線方法>もあわせて参考にしてください。

手順 2:材料を照合し、施工前に仮接続する

ケーブル、プラグ、ジャック、防水部品、ボックス、管の部品が互いに適合しているかを確認します。特に二重被覆のケーブルは太さがあるため、「管に通るか」と「防水部品で正しく保持できるか」を別々に確かめてください。

完成品のケーブルを使う場合は、外壁に取り付ける前に、予定している機器と仮接続して、通信とPoE給電を確認しておきます。この段階で問題が見つかれば、高所や壁面での作業をやり直さずに、機器の組み合わせや設定を調べられます。

手順 3:支持・通線・端末処理を行う

保護管やボックスを施工要領に沿って固定し、ケーブルを過度に引っ張らずに通します。一般的な4対のUTPケーブルでは、通線時に引っ張る力の上限を約110N(およそ11kg分の力)とする目安がありますが、使用する製品の許容張力を優先してください。通りにくいと感じたら、力を強める前に、曲がりや継手で引っかかっていないかを確認します。

現場でプラグを取り付ける場合は、対応する工具と部品を使い、芯線のよりを必要以上にほどかないようにします。端子に荷重がかからず、外被がプラグ内の所定の位置で保持される状態に仕上げましょう。導通が取れていても、被覆の傷や無理な曲がりが残っていないかを確認してください。

手順 4:防水処理と通信試験を分けて確認する

端末処理の後は、通信試験に加えて、防水部品の組み付け、ふたの閉まり具合、ケーブルの引き込み方向、ドリップループの形を確認します。通信できることは、防水できていることの証明にはなりません。

浸水の有無を確かめるために、高圧の水をかけるような自己流の試験は避けてください。製品が想定していない負荷を与えるおそれがあります。完成後の確認方法はメーカーの指示に従い、ふたを閉める前のボックス内部の写真も残してもらいましょう。

手順 5:実際の使い方で試し、記録を受け取る

防犯カメラなら録画が続いているか、離れの仕事部屋ならオンライン会議やファイル転送が問題なくできるかを、普段の使い方で確認します。PoE機器は、夜間の赤外線照明の点灯など、負荷が変わる時間帯の動作も確かめておきましょう。

引き渡しの際には、次の記録を受け取っておくと安心です。

・ 経路図(埋設部分は目印からの距離を含む)
・ 使用した部材の型番
・ ケーブル両端の対応表(どの端子とどの機器がつながっているか)
・ 試験の結果
・ 施工日と施工者の連絡先

後から不調が出たとき、屋外の経路を一から調べ直さずに済む記録は、工事の品質を判断する材料にもなります。

 


▼ LAN配線に関するご相談や工事の依頼をお考えの方はコチラをチェック!! <電気工事110番> ▼


 

用途別に考える屋外LAN配線のプラン

外壁の防犯カメラは、撮影位置と点検位置を一緒に決める

同じ建物の外壁にPoEカメラを付ける場合は、屋内のPoEスイッチから、保護した屋外経路を通してカメラへ接続する構成が一般的です。カメラ付属の防水部品を使い、余った接続ケーブルは適合するボックスに収めるなど、端子まで含めて保護しましょう。

見落としやすいのが、撮影に適した高さと、点検しやすい高さが一致しないことです。プラグの状態を確認するたびに高所作業が必要になると、将来の点検や交換の費用が増えます。撮影範囲を確保しながら、ボックスや接続部をどこまで安全に確認できるかを、施工者と相談してください。

また、映像が一度表示されたことと、必要な時間帯に録画を続けられることは別です。夜間の照明の動作、録画の保存状態、停電後に自動で復帰するかもあわせて確認しましょう。カメラの選び方や設置工事全体の流れは、<防犯カメラの設置工事>の記事でも解説しています。

母屋から離れの仕事部屋へは、光接続と室内の使い方を比べる

別棟の仕事部屋へ通信を届ける場合は、母屋と離れを屋外用の光ファイバーで結び、離れ側のスイッチに接続する構成が候補になります。パソコンは有線で、スマートフォンはアクセスポイント経由のWi-Fiでつなげば、用途に応じて使い分けられます。

この構成では、離れ側の電源、機器の放熱、光の両端の仕様、ケーブルを保護する経路を確認します。既設の配管にコネクター付きの光ケーブルを通す場合は、コネクターが通るだけの余裕があるかも重要です。光ファイバーは細いから、どんな既設管にも通せるとは限りません。

銅線の案と比べるときは、ケーブル代だけでなく、接地、サージ保護器、変換機器、施工、試験、将来の交換までを含めた総額で比較しましょう。

ガレージ・庭の機器は、使われ方の変化まで考える

ガレージでは、シャッターの開閉、車の出入り、脚立や工具の動きに注意します。設置したときには当たらなくても、収納棚を増やしたり、大きな車に買い替えたりすると、配線の近くを物が通るようになることがあります。低い位置の配線は、必要に応じて金属管などで保護を強めましょう。

庭のアクセスポイントでは、雨に加えて、散水、植木の成長、草刈りや剪定の作業も条件になります。ホースの水が届く場所や、植物に隠れて点検できなくなる場所は避け、見た目と維持管理の両面から設置位置を選んでください。

屋外まで有線で届けても、そこから先のWi-Fiの品質は電波の条件に左右されます。予定している利用場所で通信を試し、金属製の扉や植栽による影響も確認しましょう。室内用のアクセスポイントを軒下に出す方法は、雨が当たりにくい場所でも、温度や湿気の面で使用条件を満たさない場合があります。

 

 

施工後の試験は「つながる」「性能が出る」「給電できる」を分けて確認する

簡易テスターの合格だけでは、カテゴリーの性能は証明できない

ケーブルテスターには、芯線の導通や配線の順序を調べる簡易的なものから、通信性能そのものを測定するものまで、さまざまな種類があります。

試験の種類分かること分からないこと
導通・配線順序の確認断線、誤配線、ショートの有無規格どおりの伝送性能が出ているか
通信性能の測定実際に対応できる通信速度の目安カテゴリー規格への適合の証明(機種による)
認証試験カテゴリー規格を満たしているか屋外での長期の耐久性
実機での動作確認実際の用途で使えるか規格上の余裕がどれだけあるか

 

工事を依頼するときは、見積書の「LANテスト込み」という表記だけで判断せず、何を測定し、どの結果を受け取れるのかを確認しましょう。長い固定配線や、規格どおりの性能を重視する工事では、認証試験を含めた測定方法を相談してください。

リンク速度と実際の通信速度を混同しない

リンク速度は、ケーブルで直接つながった機器どうしの間で成立している接続速度です。一方、インターネットの速度測定の結果は、契約回線、測定先のサーバー、時間帯などの影響も受けます。屋外ケーブルの品質を確かめたいときに、インターネットの速度測定の数値だけで判断すると、原因を見誤りやすくなります。

まず、予定したリンク速度で接続しているかを機器の画面やランプで確認し、そのうえで録画やファイル転送を試します。ネットワーク機器にエラーやリンク切断の履歴が残る場合は、それも確認しましょう。なお、機器自体が100Mbpsまでの対応であれば、100Mbpsで接続するのは異常ではありません。

PoE機器は、負荷の変わる時間帯も確認する

昼間の映像は安定していても、夜間に赤外線照明が点灯したタイミングでカメラが再起動することがあります。この場合は、カメラの消費電力、スイッチの給電容量、ケーブルや接続部の状態をあわせて確認します。

不具合が起きた時刻、機器の動作、天候を記録しておくと、原因を絞り込む手がかりになります。「毎晩、照明が切り替わるころに止まる」と分かれば、電力や設定を重点的に調べられます。一度に複数の条件を変えず、変更の前後で状態を比べると、原因を切り分けやすくなります。

 

屋外の有線LANが不安定なときの調べ方

症状が出る条件から、点検の順番を決める

屋外の通信不良には、水分、端末処理、機器の電源、温度、ネットワークの設定など、さまざまな原因が考えられます。「屋外だからケーブルが劣化したのだろう」と決めつけず、いつから、どの機器で、どんなときに起きるのかを整理しましょう。

症 状主な確認先最初にできる確認
雨の後だけ切れる接続部、引込口、管内の残水天候と発生時刻、外から見える浸水の跡を記録する
強風のときに切れる支持部、引っ張られている端子、こすれる箇所安全な地上から、ゆれや脱落がないかを見る
夜だけカメラが再起動するPoEの電力、照明の動作、給電の記録最大消費電力と給電側の条件を照合する
暑い日だけ止まるボックス内の温度、機器の使用温度範囲設置場所の日当たりと、発生した時間帯を確認する
施工直後から遅い対応速度、端末処理、芯線の配列機器の仕様、リンク速度、施工時の試験結果を確認する

 

この表は、原因の候補を示したものです。雨の日に切れる場合でも、停電や屋内機器の不調が関係していることがあります。条件を整理したうえで、順番に調べていきましょう。

屋内側を確認してから、屋外の経路を調べる

まず、母屋側の回線とルーターが正常に動いているか、ほかの屋内の端末でも不調が出ていないかを確認します。屋外側だけに症状がある場合は、手の届く屋内側のパッチコードやスイッチのポートを、正常なものと交換して切り分ける方法があります。

交換に使う機器やコードは、同じ規格と給電条件に対応したものを選んでください。PoEの方式が分からない機器を試しにつなぐのは避けましょう。また、サージ保護器などの保護部材を外したまま使い続けて、復旧したことにするのは適切ではありません。 ケーブルそのものの断線を疑う場合の見分け方は、<LANケーブルの断線の見分け方>も参考にしてください。

水分・腐食・被覆の損傷を見つけたら、原因を直してから交換する

濡れた接続部や腐食した端子を見つけた場合は、そのまま通電や抜き差しを繰り返さず、給電を止めたうえで点検を依頼しましょう。焦げ跡、異臭、異常な発熱がある場合も、すぐに使用を中止してください。

乾燥させて通信が戻っても、接点の傷みや水の侵入経路が解消したとは限りません。必要な部品やケーブルの区間を交換し、引込口や支持の方法も見直します。傷んだ部分をテープで隠して使い続けることと、原因を取り除いて復旧させることは、区別して考えましょう。

 


▼ LAN配線に関するご相談や工事の依頼をお考えの方はコチラをチェック!! <電気工事110番> ▼


 

屋外LAN工事の費用と、DIY・業者依頼の線引き

費用はケーブルの長さより「付帯作業」で大きく変わる

屋外LAN工事の費用は、配線の距離だけで決まるわけではありません。同じ距離でも、地上から作業できる外壁と、足場が必要な高所とでは、作業の条件が大きく異なります。

費用が上がりやすい条件理 由
2階以上の外壁や軒下での作業高所作業車や足場、作業員の追加が必要になる
地中を通す経路掘削、埋設物の調査、舗装や庭の復旧が加わる
別棟への光ファイバー接続メディアコンバーターなどの機器と、両端の電源が必要になる
雷対策を含む構成サージ保護器の設置と、接地の確認作業が加わる
外壁への新たな貫通穴あけに加えて、止水処理と仕上げが必要になる
認証試験を含む測定専用の測定器と、結果の報告書作成が加わる

 

現場の条件をそろえずに一律の金額で比べると、必要な防水処理や試験が別料金になっていることを見落としかねません。見積もりを比較するときは、次の内訳がそろっているかを確認しましょう。

項 目見積書でそろえたい条件
調査・配線起点と終点、経路の長さ、本数、既設設備の確認範囲
ケーブル・端末型番、カテゴリー、屋外への適合、導体の材質、端末部品
保護・防水管、支持材、ボックス、引込部品、貫通部の処理
付帯作業高所作業、掘削、舗装や外壁の補修、電源工事
接続・保護機器スイッチ、変換機器、サージ保護器、接地の確認
試験・引き渡し測定の内容、実機での確認、経路図、写真、保証の範囲

 

追加料金が発生する条件も、着工前に確認しておきます。既設管が使えなかった場合や、外壁の中に障害物があった場合、予定外の補修が必要になった場合に、いつ、どのように説明してもらえるのかを決めておくと、工事中の行き違いを防げます。

DIYでできる範囲と、専門業者に任せたい範囲

LANケーブルの配線自体には、一般的に電気工事士の資格は必要ありません。ただし、資格が要らないことと、安全に施工できることは別の問題です。

作業の内容DIYの目安理 由
完成品ケーブルを既存の経路で接続する対応できる場合がある足元が安定し、説明書どおりに作業できるなら難しくない
屋外用の防水カバーを説明書どおりに組む対応できる場合がある部品の適合と手順を守ることが前提
外壁への穴あけと止水処理業者に依頼する建物への漏水や、保証への影響のおそれがある
2階以上の高所作業業者に依頼する転落の危険がある
地中への埋設業者に依頼する埋設物の損傷や、深さ・保護の判断が必要
架空配線業者に依頼する支持の強度と、通行への影響を判断する必要がある
コンセントの新設、電源配線の変更必ず有資格者に依頼する

電気工事士の資格が必要な工事にあたる

参考:<経済産業省「電気工事士」>

 

賃貸住宅やマンションでは、外壁、共用部分、敷地内での工事について、所有者や管理会社の承諾が必要です。穴を開けない方法でも、外観や共用設備に影響する場合があるため、事前に確認しましょう。

業者へは「屋外の経路をどう維持するか」まで相談する

相談するときは、次の情報を伝えると、提案の精度が上がります。

・ 接続する機器の型番と用途
・ 希望する設置位置
・ 経路の写真(外壁、庭、建物の間など)
・ 同じ建物の外回しか、別棟への配線か
・ 相手側に電源があるかどうか

例えば、「母屋から離れまで、庭を横断して約25mです。離れには電源があります。雨と雷への対策、将来交換できる経路を含めて、銅線の案と光ファイバーの案を比べたい」と伝えると、検討の条件が具体的になります。

提案を受けたら、ケーブルを選んだ理由、防水の納まり、銅線と光の比較、試験の内容を説明してもらいましょう。紹介サービスを利用する場合も、実際に施工する会社、料金、対応地域、保証の内容は個別に確認してください。

 

 

設置後の点検で、劣化の兆しを早めに見つける

屋外の設備は、日差しや温度差、風雨の影響を受け続けます。点検の間隔はメーカーの推奨と設置環境に合わせ、強風や大雨の後、近くで工事があった後などにも、安全に見える範囲で確認しましょう。

点検する部分見るポイント
ケーブル・保護管ひび割れ、変色、こすれた跡、たるみの変化
固定部サドルや金具の緩み、外れ
ボックス変形、ふたの浮き、内部の水滴(停電作業中に業者が確認)
引込部品ケーブルグランドの緩みや脱落
周辺環境植栽の覆いかぶさり、散水の向き、物置や車の位置の変化

 

点検のために無理に高所へ上がったり、通電中のボックスを開けたりする必要はありません。 地上から見える範囲の変化に気づいたら、施工業者に相談しましょう。

ケーブルの両端には、対応が分かるラベルを付けておき、交換した日と部材の型番を記録します。施工時の経路写真と見比べると、傾きやたるみの変化にも気づきやすくなります。交換の時期は一律の年数で決めるより、製品の使用条件と実際の傷み具合から判断するのがおすすめです。

 

屋外の有線LAN配線でよくある質問(FAQ)

Q1. 軒下なら、屋内用のLANケーブルを使っても大丈夫ですか?

軒下でも、吹き込む雨、湿気、紫外線、温度変化の影響を受けます。屋内用のケーブルは外被がこうした環境を想定していないため、ひび割れや劣化が早まるおそれがあります。設置条件に適合する屋外用の製品を選び、接続部も別に保護してください。

Q2. 屋内用ケーブルをPF管に入れれば、屋外でも使えますか?

保護管に入れても、ケーブル自体が対応する環境は変わりません。管の中では結露や浸水が起こりうるため、その条件に合う屋外用のケーブルを選ぶ必要があります。管だけで雨と湿気を完全に防げるとは考えないようにしましょう。

Q3. 屋外用のLANケーブルなら、そのまま地面に埋められますか?

直接埋設に対応していることが仕様書に明記されているかを確認してください。地中の管に通せる製品と、土に直接埋められる製品は、同じ条件とは限りません。保護の方法、既存の埋設物、将来の交換経路まで含めて検討することが大切です。

Q4. 距離が短い離れでも、光ファイバーを検討したほうがよいですか?

別々の建物を結ぶ場合は、短い距離でも比較する価値があります。光ファイバーは建物間を電気的に切り離せるため、雷サージや電位差の影響を受けにくくなります。ただし、離れ側の電源や変換機器が必要になるため、総額と使い勝手で比べて判断しましょう。

Q5. 屋外のLAN配線は、最大で何mまで引けますか?

一般的なLAN配線では、両端の接続コードを含めて100mが設計の目安です。ただし屋外では、真夏の高温やPoEによる発熱で条件が厳しくなることがあります。上限に近い経路や100mを超える経路は、中継機器の設置や光ファイバーへの切り替えを含めて、個別に設計してもらいましょう。

Q6. PoEを使えば、屋外カメラの電源工事は不要になりますか?

対応する機器どうしで給電条件が合えば、カメラのそばにコンセントを増やさずに設置できる場合があります。ただし、PoEスイッチなどの給電元には電源が必要です。また、光ファイバーで別棟とつなぐ場合は、相手側での給電方法を別に考える必要があります。

Q7. 電源ケーブルと同じ管にLANケーブルを入れてもよいですか?

自己判断で電源用の配管にLANケーブルを追加するのは避けてください。電力線と通信線の間には、安全上の離隔や隔壁などの条件があります。屋外のLANは通信用の経路を別に計画し、交差や並走が必要な場所の扱いは施工者に確認しましょう。

Q8. 防水ボックスの中に水がたまっていたときは、どうすればよいですか?

まず給電を止め、点検を依頼してください。引込口、ふたのパッキン、管の中、結露の可能性を順に調べます。水を拭き取って通電を再開するだけでは、端子の傷みや水の侵入経路が残るおそれがあります。必要な部品の交換と、経路の改善までを行いましょう。

Q9. 屋外にLANを引けば、通信速度は必ず上がりますか?

Wi-Fiが届きにくい区間の改善には役立ちますが、契約回線やルーター、接続先のサーバーが原因であれば、配線だけでは解決しません。母屋のルーターの近くで有線接続したときの速度と比べ、屋内側と屋外の区間を分けて調べることが大切です。

Q10. 屋外LANの工事は、どこに相談すればよいですか?

LAN配線や防犯カメラの施工に対応する電気工事会社、通信工事会社に相談するのが一般的です。電源工事が必要な場合は、電気工事士の資格を持つ施工者が対応できるかも確認しましょう。相談時には、接続機器、経路の写真、同じ建物か別棟かを伝えると、具体的な提案を受けやすくなります。

 

まとめ|屋外の有線LANは、経路と保護を一体で設計する

屋外の有線LAN配線では、必要な通信性能を満たすことに加えて、雨、紫外線、温度変化、衝撃、雷への対策が欠かせません。ケーブル、保護管、接続部、外壁の貫通部を一つの経路としてとらえ、どこから水や力が加わるかを考えることが、長く安定して使うための基本です。

この記事のポイントを、あらためて整理します。

判断の場面押さえておきたいこと
接続方式同じ建物か別棟かを区別し、別棟なら光ファイバーと比較する
ケーブル選びカテゴリーと屋外での耐久性を分けて確認し、CCAは避ける
防水ケーブル・接続部・外壁貫通部の3か所で考え、管内の結露も前提にする
雷対策保護管では防げないため、サージ保護器と接地、光接続を検討する
PoE最大消費電力と、スイッチ全体の給電容量を照合する
完成後通信・性能・給電を分けて試験し、経路図と型番の記録を残す

 

工事を相談するときは、場所と用途を具体的に伝え、点検と将来の交換まで含めた提案を受けてください。施工した日の「つながった」だけでなく、数年後も安心して使い続けられる配線を目指しましょう。

 


▼ LAN配線に関するご相談や工事の依頼をお考えの方はコチラをチェック!! <電気工事110番> ▼


 

LANケーブルを犬が噛む!断線トラブルを防ぐ最適な工事と対策
一覧へ戻る
LANケーブルが火災の原因に?危険な「配線リスク」と安全対策

関連記事