2024.06.19
複合機をLAN接続する方法とは?手順・機器・トラブル対処まで解説

「複合機を購入したものの、LAN接続の設定でつまずいてしまった」「オフィスのネットワーク環境と複合機がうまく連携せず、印刷トラブルが頻発している」——このようなお悩みを抱えている方は、決して少なくありません。
複合機は、もはや単なる「コピー機」ではなく、オフィスのネットワークインフラの一部として機能する重要な機器です。しかし、いざLAN接続をしようとすると、専門用語の多さや設定項目の複雑さに戸惑ってしまう方が非常に多いのが実情です。
「そもそもLAN接続とは何なのか」「USB接続と比べて何が優れているのか」「有線と無線、どちらを選ぶべきなのか」——こうした基本的な疑問から、「設定は完了したはずなのに印刷できない」「特定のパソコンからだけ接続できない」といった実践的なトラブルまで、複合機とネットワークをめぐる悩みは多岐にわたります。
複合機を適切にLAN接続できれば、オフィス内にある複数のパソコンから同時に印刷やスキャン、コピーの指示を出せるようになり、日々の業務効率は飛躍的に向上します。逆に、設定が不十分なままだと、せっかく高機能な複合機を導入しても、その性能を十分に活かしきれないまま宝の持ち腐れになってしまいかねません。
この記事では、複合機のLAN接続について、基本的な仕組みから具体的な設定手順、よくあるトラブルの原因と対処法、さらにはオフィス新設や移転にともなうLAN工事の必要性まで、初心者の方でも理解できるよう、順序立てて丁寧に解説していきます。
これから複合機をLAN接続しようと検討している方はもちろん、すでに接続はしているものの動作に不安を感じている方、あるいはオフィスのネットワーク環境そのものを見直したいと考えている方にとっても、実務にすぐ役立つ内容となっています。ぜひ最後までじっくりとご覧ください。
複合機をLAN接続とは?基本知識をわかりやすく解説
複合機を導入する際、まず理解しておくべきなのが「LAN接続」という仕組みそのものです。言葉としては聞いたことがあっても、正確な意味や仕組みまで説明できるという方は、意外と多くありません。ここでは、LAN接続の基礎知識について、順を追って丁寧に見ていきましょう。
LAN接続とは
LANとは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の略称であり、オフィスや家庭など、限られた範囲内にある複数の機器同士をつなぐネットワークのことを指します。
インターネットのように世界中に広がるネットワークとは異なり、LANはあくまで「限定された空間内」で完結するネットワークです。オフィスであれば、その建物やフロア単位で構築されるネットワークが、まさにLANにあたります。
複合機を「LAN接続する」ということは、この社内ネットワークに、複合機を構成機器の一つとして参加させるということを意味しています。
一度ネットワークへの接続が完了すれば、同じLAN内に存在するパソコンやサーバー、さらにはスマートフォンやタブレットからも、複合機へ自由にアクセスできるようになります。従来のように「複合機の前まで行かないと印刷できない」という制約から解放され、自分の席に座ったまま印刷指示を出せるという利便性は、LAN接続ならではの大きな魅力といえるでしょう。
複合機がネットワークにつながる仕組み
複合機がネットワークにつながる際には、IPアドレスという識別番号が非常に重要な役割を果たしています。
ネットワークに参加するすべての機器には、それぞれ固有のIPアドレスが割り当てられており、このアドレスをもとにデータのやり取りが行われる仕組みになっています。たとえるならば、IPアドレスは「ネットワーク上の住所」のようなものです。
パソコンから印刷を指示すると、印刷データはネットワークを経由して、複合機に割り当てられたIPアドレス宛てに送信されます。複合機側はそのデータを正しく受け取り、指示された通りに印刷やコピー、スキャンといった処理を実行するという流れになっています。
このとき、複合機とパソコンが同一のネットワーク(同一のセグメント)に属していなければ、通信自体が成立しません。オフィス内で「なぜか複合機が見つからない」というトラブルの多くは、実はこのネットワークセグメントの不一致が原因となっているケースが少なくないのです。
USB接続との違い
複合機の接続方式には、LAN接続のほかに「USB接続」という選択肢もあります。両者の違いを理解しておくことは、自社に適した接続方式を選ぶうえで欠かせません。
USB接続は、パソコンと複合機をケーブル一本で直接つなぐシンプルな方式であり、特別なネットワーク知識がなくても、比較的簡単に設定できるというメリットがあります。ドライバーをインストールしてケーブルをつなぐだけで、すぐに印刷できるようになる手軽さは大きな魅力です。
しかし、USB接続には基本的に一台のパソコンとしか接続できないという大きな制約があります。オフィス内に複数の従業員がいる場合、それぞれが別々の複合機を用意しなければならず、コストの面でも非効率になってしまいます。
一方、LAN接続であれば、複数のパソコンから同時に一台の複合機を共有できるため、複数人が利用するオフィス環境には圧倒的にLAN接続が適しているといえるでしょう。以下の表で、両者の違いを整理してみます。
| 比較項目 | LAN接続 | USB接続 |
|---|---|---|
| 同時利用可能台数 | 複数台(制限なし) | 基本的に1台のみ |
| 設定の手間 | やや複雑(ネットワーク設定が必要) | 簡単(ケーブル接続のみ) |
| 設置場所の自由度 | 高い(ネットワークが届く範囲) | ケーブルの長さに依存 |
| リモートワーク対応 | 対応しやすい | 対応が困難 |
| コスト効率 | 高い(1台を複数人で共有) | 低い(人数分の機器が必要) |
| おすすめの環境 | オフィス・複数人利用 | 個人事務所・自宅利用 |
このように比較してみると、小規模な個人利用を除き、オフィス環境ではLAN接続の方が圧倒的に合理的であることがわかります。
有線LANと無線LAN(Wi-Fi)の違い
LAN接続には、さらに「有線LAN」と「無線LAN(Wi-Fi)」という二つの方式が存在します。この違いについても、あらかじめ押さえておきましょう。
有線LANは、LANケーブルを使って物理的に機器同士をつなぐ方式です。ケーブルという確実な経路を通じて通信が行われるため、通信が安定しやすく、速度も速いという特徴があります。大量の印刷データを扱うオフィス環境においては、この安定性が大きなメリットとなります。
一方、無線LANはケーブルを使わず、電波によってネットワークに接続する方式です。配線の手間がかからず、設置場所の自由度が高いというメリットがある反面、電波干渉や壁などの障害物によって通信が不安定になりやすいという弱点も抱えています。
どちらの方式を選ぶべきかは、オフィスの規模や利用状況、レイアウトの変更頻度などによって変わってきます。この点については、後の章で詳しく比較していきますので、ぜひ参考にしてください。
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複合機をLAN接続するメリット
複合機をLAN接続することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、実際の業務に直結する四つの利点を、具体例を交えながら紹介していきます。
オフィス全体で共有できる
LAN接続の最大のメリットは、一台の複合機をオフィス全体で共有できるという点にあります。
たとえば、従業員が20名いるオフィスを想定してみましょう。もしLAN接続を活用せず、各部署や各デスクに個別の複合機やプリンターを設置しようとすれば、機器の購入費用だけでなく、トナーや用紙といった消耗品の管理コストも人数分かかってしまいます。
LAN接続を導入すれば、部署をまたいだ一台の高性能な複合機を、全従業員が共有して利用できるようになります。機器導入や維持にかかるコストを大幅に削減できるうえ、消耗品の管理も一元化できるため、備品担当者の負担軽減にもつながるでしょう。
印刷・コピー・スキャンを効率化できる
ネットワークにつながった複合機は、印刷・コピー・スキャンといった一連の作業を大きく効率化してくれます。
たとえば、紙の書類をスキャンした後、そのデータをメールに添付して送信したり、社内サーバーの共有フォルダへ直接保存したりといった運用が、複合機の操作パネルから直接行えるようになります。
従来であれば、「スキャンしたデータをUSBメモリで移動させ、パソコンに取り込んでからメールに添付する」といった手間のかかる作業が必要でした。しかしLAN接続環境であれば、複合機からダイレクトに目的の場所へデータを送信できるため、紙の書類を手渡しする手間も省け、業務全体のスピードが目に見えて向上します。
リモートワークにも対応しやすい
近年、働き方の多様化にともなって普及が進んでいるリモートワークにおいても、LAN接続された複合機は重要な役割を果たします。
VPN(仮想プライベートネットワーク)など、適切なセキュリティ環境を整えることで、社外からでも社内の複合機を通じて印刷指示を出すといった運用が実現できます。
たとえば、自宅で作業をしている社員が契約書のデータを作成し、そのまま社内の複合機へ印刷指示を送信、出社した別の社員がその印刷物を受け取って郵送するといった、柔軟な働き方にも対応しやすくなります。オフィスへの出社が難しい状況であっても、業務の停滞を最小限に抑えられる点は、大きな安心材料となるでしょう。
業務効率と生産性の向上につながる
以上で紹介したようなメリットが積み重なることで、最終的には組織全体の業務効率と生産性の向上へとつながっていきます。
印刷待ちの時間が短縮され、書類の受け渡しにかかる手間も減るため、社員一人ひとりが本来集中すべき業務にエネルギーを注げる環境が整います。
複合機のLAN接続は、単なる機器設定という枠を超えて、オフィス全体の生産性を左右する重要な経営課題の一つであると捉えることもできるのです。

★ LANケーブルの接続について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください!!
LANケーブルが接続できない!今すぐできる原因チェックと解決法
複合機をLAN接続するために必要なもの
実際に複合機をLAN接続するためには、いくつかの機材や基礎知識が必要になります。ここでは、必要なものを一つずつ、丁寧に確認していきましょう。
ネットワーク対応複合機
まず大前提として、ネットワーク機能を搭載した複合機が必要です。
近年販売されている複合機の多くはネットワーク対応となっていますが、古い機種や廉価版のモデルの場合、そもそもネットワーク機能自体が搭載されていないこともあります。導入前には、必ず製品の仕様書やカタログでネットワーク対応の有無を確認しておきましょう。
LANケーブル
有線LAN接続を行う場合には、LANケーブルが必要になります。
現在主流となっているカテゴリーは「CAT6」ですが、既存のオフィス環境によっては、一世代前の規格である「CAT5e」が使われているケースもあります。カテゴリーの違いによって、対応可能な通信速度が異なるため、後述する比較表もあわせて確認しておくとよいでしょう。
ルーター
ルーターは、インターネットと社内ネットワークを中継する役割を担う機器です。
複合機をはじめとした社内の各機器は、このルーターを経由してインターネットや、同一ネットワーク内の他の機器と通信を行います。オフィスの規模に見合った処理能力を持つルーターを選定することが、快適なネットワーク環境の土台となります。
スイッチングハブ
接続する機器の台数が多い場合には、スイッチングハブが必要になることもあります。
ルーターに搭載されているLANポートの数には限りがあるため、パソコンや複合機、その他のネットワーク機器を増やしたい場合は、ハブを追加してポート数を増設するという方法が一般的です。
パソコン・サーバー
複合機に印刷指示を出したり、スキャンデータを受け取ったりするためのパソコンやサーバーも、当然ながら欠かせない要素です。
社内で複数のパソコンを共有フォルダやファイルサーバーを通じて連携させることで、より効率的な運用が可能になります。
IPアドレスとは
IPアドレスとは、先述の通りネットワーク上の機器を識別するための番号です。
「192.168.1.100」のように、数字の組み合わせによって表現され、同一ネットワーク内で番号が重複しないように割り当てる必要があります。
IPアドレスには、機器を接続するたびに自動で割り当てられる「動的IPアドレス」と、常に同じ番号を使い続ける「固定IPアドレス」の二種類が存在します。複合機のように、パソコン側から常に同じ場所を指定してアクセスする必要がある機器については、固定IPアドレスを設定しておく方が運用上のトラブルを避けやすいとされています。
以下の表に、必要な機材と役割を整理しておきます。
| 必要な機材 | 主な役割 |
|---|---|
| ネットワーク対応複合機 | LAN接続の中心となる機器本体 |
| LANケーブル | 有線接続時の物理的な通信経路 |
| ルーター | インターネットと社内LANの中継 |
| スイッチングハブ | 接続ポート数を増設する機器 |
| パソコン・サーバー | 印刷指示やデータ保管を行う端末 |
| IPアドレス設定 | 機器同士を識別するための番号管理 |
複合機をLAN接続する方法【初心者向け】
ここからは、実際に複合機をLAN接続する具体的な手順を、初心者の方にもわかりやすいよう、段階を追って解説していきます。
有線LAN接続の手順
有線LANで複合機を接続する場合、基本的な流れは以下の通りです。
ケーブルを接続する
まずは、複合機のLANポートとルーター(またはスイッチングハブ)を、LANケーブルでつなぎます。
ケーブルの端子がしっかりと奥まで差し込まれているか、「カチッ」という音が鳴るまで接続できているかを確認しましょう。接続部分がゆるんでいると、通信が不安定になる原因となります。
IPアドレスを設定する
次に、複合機本体の操作パネルからネットワーク設定画面を開き、IPアドレスを設定します。
多くの複合機では、自動でIPアドレスを取得する「DHCP」機能が標準で備わっています。しかし、オフィス環境によっては、印刷設定が予期せず解除されてしまうことを避けるため、固定IPアドレスを手動で設定した方が安定するケースも少なくありません。
ドライバーをインストールする
複合機を利用する各パソコンには、専用のプリンタードライバーをインストールする必要があります。
多くの場合、メーカーの公式サイトから、使用しているOSに対応した最新のドライバーをダウンロードし、案内に従ってインストールを進めていきます。付属のCD-ROMを使う方法もありますが、最新版はインターネット上の公式サイトで配布されていることが多いため、そちらを利用する方が確実です。
印刷テストを行う
設定が完了したら、必ず印刷テストを実施して、正常に動作するかどうかを確認しましょう。
テスト印刷がうまくいかない場合は、後述するトラブルシューティングの項目を参考にしながら、原因を一つずつ切り分けていくことが大切です。
無線LAN(Wi-Fi)接続の手順
無線LANで複合機を接続する場合には、以下の手順を踏んでいきます。
SSIDを設定する
複合機の操作パネルから、接続したいWi-FiのSSID(ネットワーク名)を選択します。
一覧に表示されない場合は、SSIDを手動で入力する必要があります。オフィスで複数のWi-Fiネットワークが稼働している場合は、間違ったSSIDを選ばないよう注意しましょう。
パスワードを入力する
SSIDを選択したら、そのネットワークのパスワードを正確に入力します。
大文字・小文字の区別や、記号の入力ミスがないよう、慎重に確認しながら入力していきましょう。一文字でも間違えると接続が確立されないため、入力後は必ず確認画面で内容をチェックすることをおすすめします。
接続確認を行う
パスワードを入力した後、複合機の画面に接続完了の表示が出るかどうかを確認します。
接続に成功すると、電波状況を示すアイコンや「接続済み」といった文言が表示されるのが一般的です。表示がされない、あるいはエラーメッセージが出る場合は、パスワードの再入力やルーターの再起動を試してみましょう。
Windowsで複合機を追加する方法
Windowsパソコンで複合機を追加する場合は、「設定」から「デバイス」、そして「プリンターとスキャナー」の画面を開き、「プリンターまたはスキャナーを追加する」を選択します。
ネットワーク上に複合機が表示されれば、それを選択するだけで自動的に追加が完了します。
一覧に表示されない場合は、複合機のIPアドレスを手動で指定して追加する方法もあります。この際、複合機本体の操作パネルからIPアドレスを事前に確認しておくとスムーズです。
Macで複合機を追加する方法
Macの場合は、「システム設定」から「プリンタとスキャナ」を開き、「+」ボタンをクリックして複合機を追加します。
ネットワーク上の複合機が一覧に表示されるので、該当する機種を選択し、ドライバーが自動的にインストールされるのを待ちましょう。
自動でドライバーが見つからない場合は、メーカーの公式サイトからMac用のドライバーを別途ダウンロードし、手動でインストールする必要があります。
有線LANと無線LANはどちらがおすすめ?
複合機を接続する際、有線LANと無線LANのどちらを選ぶべきか、判断に迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、四つの観点から詳しく比較していきます。
通信速度
一般的に、有線LANの方が通信速度は安定しやすいとされています。
無線LANも近年の規格向上によって高速化が進んでいますが、電波干渉や障害物の影響を受けやすいという弱点があります。大量の印刷ジョブを扱うオフィス環境では、この速度差が業務効率に直結することもあるため、注意が必要です。
安定性
大量の印刷データを扱う複合機にとって、通信の安定性は非常に重要な要素です。
有線LANであれば、物理的なケーブルで接続されているため、通信が途切れるリスクは比較的低いといえるでしょう。一方、無線LANの場合は、電子レンジやコードレス電話などの電波干渉によって、一時的に接続が不安定になることもあります。
セキュリティ
セキュリティ面においても、有線LANの方が第三者からの不正アクセスを受けにくいという特徴があります。
無線LANの場合は、適切な暗号化設定(WPA2やWPA3など)を行わないと、外部から不正に侵入されるリスクが高まってしまいます。複合機は社内の機密情報を扱うことも多いため、この点は決して軽視できません。
配線のしやすさ
一方で、配線のしやすさという観点では無線LANに軍配が上がります。
オフィスのレイアウト変更が頻繁にある場合や、天井裏や壁の中への配線工事が難しい賃貸物件などでは、無線LANの方が現実的な選択肢となるでしょう。
比較表で違いを解説
| 比較項目 | 有線LAN | 無線LAN(Wi-Fi) |
|---|---|---|
| 通信速度 | 速く安定している | 環境により変動しやすい |
| 安定性 | 非常に高い | 電波干渉でやや不安定になりやすい |
| セキュリティ | 高い(物理的に傍受しにくい) | 設定次第で変動する |
| 配線の手間 | 工事が必要な場合がある | 基本的に不要 |
| コスト | 配線工事費がかかる場合あり | 初期費用が抑えやすい |
| おすすめ環境 | 固定配置・大量印刷を行うオフィス | レイアウト変更が多い環境 |
これらを踏まえると、大量の印刷やスキャンを日常的に行うオフィスには有線LAN、柔軟なレイアウト変更を重視する環境には無線LANが適していると考えられます。両者を併用し、複合機本体は有線で安定させつつ、モバイル端末からの接続には無線LANを活用するというハイブリッドな運用も、実務上はよく見られる選択肢です。
複合機がLAN接続できない原因と対処法
複合機を設定したにもかかわらず、正しく接続できないというトラブルは、決して珍しいものではありません。ここでは、代表的な原因とその対処法を、具体的に紹介していきます。
LANケーブルが故障している
LAN接続ができない場合、まず疑うべきなのはLANケーブル自体の断線や故障です。
見た目には異常がなくても、内部の配線が断線しているケースは意外と多く、別のケーブルに交換してみることで、あっさりと問題が解決するというケースも珍しくありません。
IPアドレスが重複している
同一ネットワーク内で同じIPアドレスが重複して割り当てられている場合も、接続不良の原因となります。
固定IPアドレスを手動で設定している場合は、他の機器と番号が被っていないかを必ず確認しましょう。パソコンやプリンターなど、複数の機器を固定IPで管理している環境では、この設定ミスが起こりやすいため注意が必要です。
ドライバーが古い
パソコンにインストールされているプリンタードライバーが古いバージョンのままだと、正常に通信できないことがあります。
OSのアップデートによってドライバーとの互換性が失われるケースもあるため、メーカーの公式サイトから最新版のドライバーをダウンロードし、再インストールを試してみてください。
ファイアウォールが影響している
セキュリティソフトやファイアウォールの設定が、複合機との通信をブロックしている場合もあります。
一時的にファイアウォールを無効にして接続を試し、問題が解決するようであれば、複合機との通信を許可する「例外設定」を追加しましょう。無効にしたままにしておくのはセキュリティ上望ましくないため、原因の切り分け後は必ず設定を戻すことが重要です。
ルーター設定に問題がある
ルーター側の設定に不備がある場合も、接続トラブルの原因となります。
ルーターを一度再起動してみることで、一時的な不具合が解消されるというケースも少なくありません。いわゆる「電源の入れ直し」は、意外と多くのネットワークトラブルに効果的な対処法です。
DHCP設定の確認方法
DHCP機能が正しく動作しているかどうかは、ルーターの管理画面から確認できます。
DHCPの割り当て範囲や、有効・無効の状態を確認し、必要に応じて設定を見直しましょう。割り当て可能なIPアドレスの数が上限に達している場合、新しく接続しようとした機器にアドレスが割り振られず、接続エラーが発生することもあります。
以下に、トラブルの原因と対処法を一覧表としてまとめておきます。
| トラブルの原因 | 主な対処法 |
|---|---|
| LANケーブルの故障 | 別のケーブルに交換して再接続する |
| IPアドレスの重複 | 重複していない番号へ変更する |
| ドライバーが古い | 公式サイトから最新版を再インストール |
| ファイアウォールの影響 | 例外設定を追加、または一時無効化して確認 |
| ルーター設定の不備 | ルーターを再起動し、設定を再確認する |
| DHCP設定の不具合 | 割り当て範囲や有効・無効の状態を確認する |
LAN工事が必要になるケースとは?
状況によっては、複合機の設定だけでなく、ネットワーク環境そのものを整備するLAN工事が必要になることがあります。ここでは、代表的な五つのケースを紹介します。
オフィス新設
オフィスを新たに開設する際には、当然ながらゼロからLAN配線を構築する必要があります。
複合機の設置場所を見据えたうえで、あらかじめ配線ルートを計画しておくことが重要です。後から配線を追加しようとすると、床や壁を再度開けなければならず、余計な費用と手間がかかってしまうため、初期段階での綿密な計画が欠かせません。
オフィス移転
オフィスを移転する場合も、新しい物件に合わせたLAN配線の再構築が求められます。
移転先の建物構造によっては、想定していた場所にケーブルを通せないといった問題が発生することもあります。移転が決まった時点で、早めに専門業者へ現地調査を依頼しておくと、スムーズな移行が実現しやすくなります。
配線増設
社員数の増加や部署の拡大にともない、既存の配線だけでは足りなくなるというケースもよく見られます。
この場合は、既存の配線を活かしつつ、必要な箇所だけを増設するという工事が行われます。全面的な再工事に比べて費用を抑えられることが多いため、まずは既存設備の活用を検討するとよいでしょう。
ハブ増設
接続機器の台数が増えた場合には、スイッチングハブの増設が必要になることもあります。
既存のハブのポート数を確認し、不足があれば早めに対応しておくことで、突発的な接続不能トラブルを未然に防ぐことができます。
ネットワーク速度改善
「複合機の印刷が遅い」「ネットワークがよく重くなる」といった悩みがある場合は、ネットワーク速度の改善を目的とした工事が有効な解決策となります。
配線の劣化や機器の老朽化が原因となっているケースも多く、古いカテゴリーのLANケーブルを最新規格へ交換するだけでも、体感速度が大きく改善することがあります。
LAN工事を業者へ依頼するメリット
LAN工事は自分たちで対応することも不可能ではありませんが、専門業者へ依頼することで得られるメリットは数多く存在します。
配線を美しく施工できる
専門業者に依頼すれば、配線を整理された状態で美しく施工してもらえます。
見た目が整うだけでなく、配線が乱雑な状態を避けられることで、断線や接触不良といったトラブルの早期発見にもつながるという実用的な利点もあります。
通信トラブルを防げる
専門知識を持った業者であれば、通信トラブルが起きにくい配線設計を行ってくれます。
電源ケーブルなど、ノイズの影響を受けやすい配線ルートを避けるといった細やかな配慮をしてもらえる点も、素人には難しい大きな魅力といえるでしょう。
将来的な増設にも対応しやすい
業者に依頼する際には、将来的な機器の増設を見据えた設計を提案してもらえることもあります。
あらかじめ余裕を持った配線計画を立てておくことで、後々の追加工事にかかる手間と費用を大幅に減らせるでしょう。
セキュリティ対策も相談できる
配線工事だけでなく、ネットワーク全体のセキュリティ対策についても相談できるという点も、業者へ依頼する大きなメリットです。
不正アクセス対策やウイルス対策、さらにはVPN構築の提案など、幅広い視点からアドバイスを受けられます。
複合機をLAN接続するときの注意点
複合機をLAN接続する際には、いくつか注意しておきたいポイントがあります。ここで一つずつ確認しておきましょう。
固定IPにするべき?
複合機のIPアドレスは、基本的に固定IPアドレスにしておくことをおすすめします。
動的IPアドレスのままだと、ルーターの再起動などのタイミングでアドレスが変わってしまい、パソコン側の印刷設定がうまく機能しなくなる恐れがあるためです。
パスワード管理
複合機のWi-Fi接続に使用するパスワードは、定期的に見直し、適切に管理することが大切です。
簡単に推測されるパスワードは避け、英数字や記号を組み合わせた複雑なものを設定するようにしましょう。
ファームウェア更新
複合機本体のファームウェアは、常に最新の状態に保つことが望ましいです。
古いファームウェアのままでは、セキュリティ上の脆弱性が放置されてしまう可能性があります。メーカーからの更新通知には、なるべく早めに対応することをおすすめします。
定期メンテナンス
ネットワークにつながった複合機は、定期的なメンテナンスを行うことで、長く安定して稼働させることができます。
内部の清掃やトナー交換だけでなく、ネットワーク設定の見直しも定期的に行うとよいでしょう。
UPS導入も検討する
停電などによる突然の電源断は、複合機やネットワーク機器の故障の原因となることがあります。
無停電電源装置(UPS)を導入しておくことで、こうしたリスクを軽減し、大切なデータの消失や機器の破損を防ぐことができます。
複合機とLAN環境を長く快適に使うポイント
最後に、複合機とLAN環境を長期にわたって快適に使い続けるためのポイントを紹介します。
定期点検
複合機やネットワーク機器は、定期的な点検を行うことでトラブルの予兆を早期に発見できます。
異音や動作の遅さなど、些細な変化も見逃さないようにすることが、大きな故障を未然に防ぐ第一歩となります。
ネットワーク監視
社内ネットワークの状態を常時監視できる仕組みを整えておくことで、障害発生時にも迅速な対応が可能になります。
近年では、比較的安価な監視ツールも増えており、中小企業でも導入しやすい環境が整いつつあります。
バックアップ
複合機のスキャンデータや設定情報は、万が一に備えて定期的にバックアップを取っておくことが重要です。
トラブル発生時にも、設定情報を含めてスムーズに復旧できる体制を整えておきましょう。
周辺機器との連携
複合機は、単体で使うだけでなく、サーバーやクラウドサービスと連携させることで、さらに利便性が高まります。
社内システムとの連携を検討することで、より効率的な業務フローを構築できるでしょう。

よくある質問(FAQ)
Q1. 複合機はWi-Fiだけでも利用できますか?
はい、多くの複合機はWi-Fi接続のみでも十分に利用可能です。
ただし、大量の印刷を頻繁に行う環境では、通信の安定性を重視して有線LANを選ぶ方が安心といえるでしょう。
Q2. LANケーブルはCAT5eでも十分ですか?
一般的な事務作業であれば、CAT5eでも問題なく利用できます。
ただし、より高速で安定した通信を求める場合は、上位規格である「CAT6」以上のケーブルを選ぶことをおすすめします。
Q3. IPアドレスは固定にするべきですか?
複合機については、基本的に固定IPアドレスにしておく方が運用が安定します。
動的IPアドレスのままだと、印刷設定が突然使えなくなるといったトラブルにつながりやすいためです。
Q4. 複数のパソコンから同時に印刷できますか?
はい、LAN接続された複合機であれば、複数のパソコンから同時に印刷指示を送ることが可能です。
ただし、印刷ジョブが集中した場合は、順番に処理されるため多少の待ち時間が発生することもあります。
Q5. LAN接続するとスキャンも共有できますか?
はい、LAN接続を行うことで、スキャンしたデータを共有フォルダやサーバーへ直接送信できるようになります。
紙の書類をわざわざ持ち運ぶ必要がなくなるため、業務効率の向上につながります。
Q6. 複合機の寿命は何年くらいですか?
一般的に、複合機の寿命は5年から7年程度とされています。
使用頻度やメンテナンスの状況によって、寿命は前後することがあります。
Q5. LAN工事の費用相場はいくらですか?
LAN工事の費用は、オフィスの規模や配線距離によって大きく異なりますが、小規模なオフィスであれば数万円から、大規模なオフィスでは数十万円以上かかることもあります。
正確な費用を知りたい場合は、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
Q6. 古い複合機でもLAN接続できますか?
複合機がネットワーク機能を搭載していれば、古い機種であってもLAN接続は可能です。
ただし、あまりに古い機種の場合は、対応していないセキュリティ規格があるなど、制約が生じることもあります。
まとめ
この記事では、複合機のLAN接続について、基本知識から具体的な設定手順、トラブル対処法、そしてLAN工事の必要性まで、幅広く解説してきました。
複合機を正しくLAN接続することで、オフィス全体での機器共有が実現し、印刷やスキャンといった日常業務の効率が大きく向上します。
有線LANと無線LANにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、自社のオフィス環境や利用状況に合わせて最適な方式を選ぶことが大切です。
また、接続トラブルが発生した際には、ケーブルの状態やIPアドレスの重複、ドライバーのバージョンなど、基本的な部分から順番に確認していくことで、多くの問題は解決できるでしょう。
もし自社だけでの対応が難しいと感じた場合は、専門業者へLAN工事や設定を相談することも、有効な選択肢の一つです。
この記事が、複合機とネットワーク環境をより快適に整えるための一助となれば幸いです。
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