オンラインゲームはLANケーブルで変わる？通信不安定の原因と対策

オンラインゲームの通信トラブルとLANケーブルの関係

オンラインゲームの世界では、通信の安定性が勝敗を左右します。
「回線速度は速いはずなのに、なぜかゲームだけラグい」「突然切断されてしまう」——そんなトラブルの原因は、意外にもLANケーブルまわりに潜んでいることが多いです。
インターネット回線やルーターを見直しても改善しない場合、まず確認すべきは“ケーブルの状態・規格・配線方法”です。
ここでは、オンラインゲームの通信トラブルとLANケーブルの関係を、具体的な原因とともにわかりやすく解説します。

速度が出ない・接続が切れる原因

オンラインゲームで速度が出ない場合、多くの人が「回線が混雑しているのかな？」「ルーターが古いのかも？」と思いがちです。
しかし、実際には LANケーブルがボトルネック になっているケースが少なくありません。

まず挙げられるのが ケーブル規格の不足 です。
いまだにCat5や古いCat5eのケーブルを使っている家庭は多く、この規格では最大1Gbpsの通信が限界です。
光回線の高速プランを契約していても、ケーブルが古ければ 実質的には100Mbps程度しか出ていなかった、というケースも珍しくありません。

さらに、LANケーブルは消耗品であり、見た目に問題がなくても 内部の銅線が劣化して通信が不安定になる こともあります。
特にゲームのようにリアルタイム性が求められる通信では、少しの劣化で

・ キャラクターが瞬間移動する
・ 敵の動きが遅れる
・ 射撃が当たらない
・ 突然サーバーから切断される

といった症状が顕著にあらわれます。

「回線速度は十分なはずなのにおかしい」と感じるなら、まず LANケーブルの規格・劣化・接続状況 を疑うのが正しい判断です。

ケーブル周りの“意外な盲点”

LANケーブルそのもの以外にも、周辺環境のちょっとした問題 が通信不良を引き起こすことがあります。

代表的な盲点は以下のとおりです。

1.　ケーブルが家具や机の脚に押しつぶされている
　　　→ 内部が圧迫されて信号が減衰し、速度が落ちる原因になります。

2.　無理な曲げ方・急な折れ曲がり
　　　→ ケーブル内部の撚り線が歪んで、パケットロスが発生しやすくなります。

3.　電源タップ・家電との距離が近すぎる
　　　→ 電磁ノイズの影響で通信が乱れ、特にFPSや格闘ゲームで影響が大きくなります。

4.　中継アダプタや古いハブを挟んでいる
　　　→ 古い機器が100Mbpsまでしか対応しておらず、通信速度がアダプタ側に引っ張られることがあります。

これらの問題は、ユーザー自身が気づいていないことが多く、ケーブルの取り回しを改善しただけで通信が劇的に安定したという実例は数えきれません。

オンラインゲームにおいては、LANケーブルを“ただつなぐだけ”では十分ではなく、どこを通り、何に触れているか、どんな状態で設置されているかまで気を配ることが重要です。

VDSL・集合住宅で起きやすい現象

集合住宅、特にVDSL方式の建物では、LANケーブルによる影響がさらに強く出ます。

VDSL（電話線を使った集合住宅向けインターネット）は、最大100Mbps〜300Mbps程度に速度が制限されるため、LANケーブル側でのロスがそのまま大きな速度低下として現れます。

集合住宅で起きやすい具体的な現象

・ 夜間に速度が極端に落ちる
・ ゲーム中に「通信が不安定です」という警告が出る
・ 自分だけ突然ラグる
・ 回線は繋がっているのにサーバーから落ちる

これらは、建物全体の利用状況に加えて、宅内配線の古さやLANケーブルの品質不足 が原因として重なっている場合がほとんどです。

特に古い集合住宅では、部屋までの配線ルートが細く、

・ ケーブルが押しつぶされている
・ 壁内で強く曲げられている
・ 古いアナログ配線と近接している

といった問題も起こりがちです。

VDSL環境ではもともとの速度に余裕がないため、LANケーブルの規格と配線品質が速度の限界を決める重要な要素になります。

まとめポイント

オンラインゲームにおける通信トラブルは、回線よりもLANケーブルや配線環境が原因になっていることが多いです。
ケーブルの規格・劣化・曲がり・圧迫・ノイズ・中継機器の有無を見直すだけで、通信品質が大幅に改善される可能性があります。
集合住宅、特にVDSLの場合は影響がさらに大きく、ケーブル選びと配線管理が安定プレイの鍵になります。

▼ LAN配線に関するご相談や工事の依頼をお考えの方はコチラをチェック！！　＜電気工事110番＞ ▼

👉 LAN配線でネットが快適に！通信トラブルを防ぐなら【電気工事110番】にお任せ

LANケーブルのチェック方法

オンラインゲームの通信トラブルは、LANケーブルの規格や品質だけでなく、実際の配線状態や接続方法も大きく影響します。
前章では、速度低下やラグの原因がケーブルそのものだけでなく、「曲がり」「ノイズ」「圧迫」などの環境要因に潜んでいることを解説しました。
ここからは、オンラインゲームの通信を安定させるために必須となる“自宅のLANケーブル周辺を正しく点検する方法”を、具体的な手順とあわせて深掘りしていきます。

配線ルートを確認する

LANケーブルのチェックでまず行うべきは、どこをどう通ってゲーム機器まで配線されているかの確認です。
多くの家庭では、見た目をすっきりさせるためにケーブルを家具の裏や床の隙間に押し込んでいる場合が少なくありません。
しかし、この「隠す配線」が、オンラインゲームの通信を不安定にする原因になりやすいのです。

確認すべきポイント

・ ケーブルが家具の脚に押しつぶされていないか
・ ラグや速度低下が発生している時間帯にケーブルが動いていないか
・ カーペットの下を通して踏まれていないか
・ 壁際で急な折れ曲がりをしていないか

LANケーブルは、内部に複数の撚り線（よりせん）がバランスよく配置されて初めて高速通信が成立します。
それが物理的に圧迫されると、信号の伝わり方が乱れて速度が大幅に低下します。

また、長すぎるケーブルをそのままクルクル巻いている場合も要注意です。
巻き癖の強いケーブルは、内部がねじれることで信号ロスが増え、FPSやリアルタイムゲームでラグが出やすくなることがあります。

配線ルートを一度見直すだけで通信が改善するケースはとても多く、「回線を変えずにラグが解消した」というユーザーも珍しくありません。

中継アダプタ・分岐の有無を確認

LANケーブルが直接ルーターから接続されているように見えても、実際には途中に中継アダプタ や小型のスイッチングハブが挟まっている家庭は多いです。
オンラインゲームの通信では、こうした「余計な機器」が予期せぬボトルネックになります。

典型的な悪影響

・ 古いアダプタが100Mbpsしか対応しておらず全体の速度が制限される
・ 分岐により信号が不安定になりパケットロスが増える
・ 中継機器の電源が弱く通信断が発生する
・ 安価なハブの処理能力不足でラグが起こる

特に注意したいのは、古い100Mbps対応ハブがどこかで現役のまま使われているケースです。
光回線もLANケーブルも高性能なのに速度が出ない場合は、ほぼ確実にこれが原因です。

オンラインゲームをする場合は、

・ 中継アダプタを外す
・ 分岐は避けて直結する
・ 必要なら2.5Gbps以上対応のハブに置き換える

この3点が通信安定の基本となります。

「ルーター →（直接）→ ゲーム機」というシンプルな構成が、もっとも安定したゲーム通信を実現します。

断線・劣化の見分け方

LANケーブルは経年劣化するため、見た目がきれいでも内部が痛んでいる場合があります。
特に、ゲームで頻繁にケーブルを動かす環境では、思っている以上に消耗が早く進みます。

劣化・断線している可能性が高い症状

・ 通信速度が急に半分以下に落ちる
・ ゲーム中だけ切断される
・ ケーブルを少し動かすと接続が瞬断する
・ 差し込み部分が緩い、カチっと固定されない
・ ケーブルに触れたとき「バリッ」と硬い感触がある（硬化）

さらに、LANケーブルの外皮が硬くなっている場合は、内部が折れていることが多く、Cat6以下のケーブルで長期間使用したものほど劣化しやすい傾向があります。

断線は目視で判断しづらいため、

・ 別のLANケーブルに交換して改善するか
・ 速度測定を行い異常が出るか

をチェックすると見分けやすいです。

ゲーム用途であれば、3〜5年を目安に交換するのが適切です。
劣化したケーブルを使い続けてもメリットはなく、むしろ通信の不安定さが増すだけです。

まとめポイント

LANケーブルのチェックは、オンラインゲームの通信安定化において最も費用対効果の高い対策の1つです。
配線ルートや中継アダプタの見直し、劣化チェックを行うことで、ルーターの買い替えよりも劇的な改善を実感できるケースが多いのが特徴です。

次章では、さらに踏み込み、「ゲーム用途に最適なLANケーブルの選び方」を、カテゴリ・帯域幅・シールド構造の観点から解説していきます。

★ ゲーム機器等におけるLANケーブルの選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください！！

LANケーブルの用途別選び方｜家庭・オフィス・ゲーム機器に対応

改善のためのLANケーブル選び

前章では、LANケーブルの配線ルートや中継アダプタ、断線・劣化といった「今ある環境の見直し」がオンラインゲームの通信安定に大きく関係することを解説しました。
しかし、根本的に通信品質を改善するには、そもそもケーブルそのものの性能を見直すことが非常に重要です。
オンラインゲームは、小さな遅延やパケットロスがプレイ感に直結するため、「どのLANケーブルを選ぶか」で快適さが大きく変わります。
ここからは、ゲーム用途に最適なLANケーブルの選び方をカテゴリ・構造・長さ・耐久性 といったポイントに沿って詳しく解説します。

ゲーム用途に向いたカテゴリ

LANケーブルには複数の「カテゴリ（Cat）」があり、カテゴリごとに最大通信速度や帯域幅が異なります。
ゲームの通信を安定させるためには、Cat6A以上の上位規格を選ぶことが推奨されます。

【カテゴリごとの性能比較（ゲーム用途に最適化）】

ゲームに必要なのは「絶対速度」よりも安定性と帯域の余裕です。
たとえば、FPS・TPS・MOBAなどリアルタイム通信が多いゲームでは、瞬間的に大量のデータがやり取りされます。
帯域が狭いケーブルだと、この瞬間の通信で詰まりが起こり、

・ 入力遅延
・ 弾が当たらない現象
・ キャラクターの瞬間移動
・ サーバーとの同期ずれ

などのストレスを引き起こします。

「とりあえずCat6でOK？」と考える人は多いですが、長期間使う前提ならCat6Aが最もコスパが良く、将来の高速回線にも確実に対応できる ため強く推奨されます。

シールドの必要性

LANケーブルにはUTP（ノンシールド）とSTP（シールド）の2種類があります。
オンラインゲーム用途で選ぶなら、配線環境に応じてシールドの有無が通信の安定性を左右するため無視できません。

UTP（シールドなし）

・ 一般家庭でよく使われる
・ ノイズに弱いが扱いやすい
・ ケーブルが柔らかく配線しやすい

STP（シールドあり）

・ 外部ノイズの影響を大幅に軽減
・ 電源タップ付近や家電密集地で効果を発揮
・ ケーブルが少し硬めで取り回しに注意

オンラインゲームは一瞬の遅延も影響するため、電子レンジやテレビ、電源ケーブルの近くを通る配線の場合はSTP（シールド）を強く推奨 します。

特に集合住宅や壁際配線では、電気配線が近接していることが多く、シールドの有無が通信安定に直結します。
ただし、家庭用ルーターの多くはUTP前提で設計されており、STPを使う場合はアース付き機器が理想である点も念頭に置いてください。

長さ・柔らかさ・耐久性のポイント

LANケーブルの性能は規格だけで決まるわけではありません。
実際の使用環境に応じて、長さ・柔らかさ・耐久性を適切に選ぶことで、ゲーム通信はさらに安定します。

1.　長さは「必要最小限＋余裕少し」が理想

長すぎるケーブルは信号減衰を起こしやすく、特に安価なケーブルほど 5〜10mを超えると品質低下が目立ちます。
また、長すぎることで配線が雑になり、折れ曲がりや圧迫の原因にもなります。

ゲーム用途なら
　→ 1〜3m：最も安定
　→ 5m以上：良いケーブルの選定が必須

「長さを短くしただけでラグが消えた」というケースはよくあります。

2.　柔らかいケーブルは断線しにくく扱いやすい

硬すぎるケーブルは取り回しが悪く、家具の裏で 急激な曲げ・圧迫が起こりやすい ため断線しやすい傾向があります。
オンラインゲーム環境では機器の移動が多いので、ある程度柔らかいケーブルを選ぶと長持ちします。

特にCat7やCat8は硬いものが多いため、「性能は高いけれど使いづらい」と感じやすい点に注意してください。

3.　耐久性はゲーミング環境の必須要素

ケーブルを頻繁に抜き差しする場合や、椅子の脚が届く場所を通る場合は、耐久性の高い外皮素材を選ぶことが重要です。

・ 二重被覆
・ ナイロンメッシュ加工
・ 曲げに強い柔軟素材
・ 断線に強い段差ガード付き

こういった製品は通常のケーブルよりやや高価ですが、買い替え頻度が減り結果的にコスパが良いというメリットがあります。

まとめポイント

LANケーブルは、オンラインゲームの通信品質を大きく左右する重要な要素です。
カテゴリ（Cat6A以上）、シールドの有無、長さ、柔らかさ、耐久性といった複数の観点から最適な製品を選ぶことで、ラグ・遅延・切断といったトラブルを根本から改善できます。

次章では、さらに踏み込み、「LANケーブル以外の要因（ルーター・回線・LANポートの規格）」について解説し、ゲーム通信を総合的に安定させるための対策を紹介します。

▼ LAN配線に関するご相談や工事の依頼をお考えの方はコチラをチェック！！　＜電気工事110番＞ ▼

LANケーブル以外の要因も確認する

前章では、ゲーム通信を安定させるためのLANケーブル選びの重要性について解説しました。
しかし、オンラインゲームの通信品質はLANケーブルだけで決まるものではありません。
通信経路を広く見渡すと、ルーターの処理能力・ONUの世代・プロバイダ回線の品質・LANポートの規格など、複数の要素が複雑に関係しています。
LANケーブルを高性能なものに交換しても改善しない場合は、これらの機器側がボトルネックになっている可能性が高いです。

ここからは、オンラインゲームの安定性に深く関わる「ケーブル以外の重要チェックポイント」を、具体的に整理していきます。

ルーター・ONUの性能

オンラインゲーム環境において、ルーターとONU（光回線終端装置）の性能は非常に重要です。
特に古いルーターを使い続けている家庭では、ゲーム通信が想定以上に低速化しているケースが多いです。

よくあるボトルネック

・ 古いルーターが 1Gbpsまでしか対応していない
・ 同時接続台数が多く、処理能力が不足している
・ 安価なルーターが ゲーム通信の優先度制御（QoS）に対応していない
・ ONUが旧式で、回線の性能を出し切れていない

また、ルーターは長時間稼働するため、放熱が不十分な環境では性能が低下し通信が不安定になるという見落としがちな要因もあります。

オンラインゲーム向けには、最低でも以下の性能を備えたルーターが理想です。

ゲーム向けルーターの最低ライン

・ 2.5Gbps以上のWAN/LANポート搭載
・ 複数デバイスを同時処理できる高性能CPU搭載
・ QoS（ゲーム優先機能）対応
・ IPv6（IPoE）に最適化されている

LANケーブルを上位規格に交換しても、ルーター側が古ければボトルネックは解消されません。
まずはルーターとONUの世代・性能をチェックすることが重要です。

プロバイダ回線の速度

どれだけLANケーブルやルーターを見直しても、回線そのものが混雑していれば速度は出ません。
特に集合住宅では、夜間になると「速度が極端に落ちる」「ゲーム中だけ不安定になる」という現象が広く発生します。

回線が原因の典型的症状

・ 夜間にpingが急上昇する
・ FPSでヒット判定がズレる
・ 味方や敵が瞬間移動する
・ ダウンロードに時間がかかる

特にポイントとなるのは接続方式です。

PPPoE（従来方式）

・ 利用者が多いと混雑しやすい
・ 夜間に速度が大幅に低下しやすい
・ ゲームとの相性が悪い場合がある

IPv6（IPoE方式）

・ 混雑の影響を受けにくい
・ 夜間でも速度が安定しやすい
・ オンラインゲームとの相性が良い

ゲーム用途では、IPv6接続（IPoE）対応のプロバイダを選ぶことが通信安定の大きなカギになります。

また、プロバイダによっては“実測値が極端に低いエリア”があり、回線を乗り換えるだけで劇的に安定したという例も多数あります。

LANポートの規格（1Gbps / 2.5Gbps / 10Gbps）

最後に見逃せないのがデバイス側のLANポートの性能です。
LANケーブルをいくら上位規格にしても、PCやゲーム機のポートが旧規格なら性能を引き出すことはできません。

よくあるパターン

・ PCは10Gbps対応なのに、ルーターは1Gbpsまで
・ ルーターは2.5Gbps対応なのに、ケーブルはCat5eのまま
・ ゲーム機のLANポートは1Gbpsなのにケーブルだけ高性能

どこか1つでも規格が低ければ、全体がその規格の速度に制限されるため注意が必要です。

規格ごとの特徴

・ 1Gbps：一般家庭の標準、ゲームは問題なく動作
・ 2.5Gbps：混雑時の安定性が格段に向上、最新のゲーミングPC向け
・ 10Gbps：大容量データ通信や配信向け、超高速だが機器が必要

近年は、コスパの良い 2.5Gbps対応ルーター が増えており、「ゲームのラグを減らす目的」なら最もメリットの大きい選択肢といえます。

まとめポイント

LANケーブルを改善しても問題が続く場合は、

・ ルーターの処理能力
・ ONUの世代
・ プロバイダ回線の接続方式（PPPoE / IPv6）
・ 機器のLANポート規格

といったケーブル以外の通信要素がボトルネックになっている可能性が高いです。
これらの要素を総合的に見直すことで、オンラインゲームの通信品質は飛躍的に安定します。

★ LANケーブルの正しい配線方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください！！

LANケーブルの正しい配線方法とは？壁内・床下・天井ルートも解説