LANケーブル

2024.06.04

LANケーブルの種類で通信速度はどう変わる?最適な選び方を解説

 

LANケーブルの種類によって通信速度って変わるの?

LANケーブルの種類は通信速度に直接的な影響を及ぼします。LANケーブルは「カテゴリ」という規格で分類され、それぞれのカテゴリごとにサポートされる最大通信速度が決まっています。たとえば、古い規格のCat5ケーブルは最大100Mbpsの通信速度しかサポートできませんが、Cat5eケーブルは最大1Gbps、Cat6ケーブルは最大10Gbpsの通信速度をサポートします。これにより、ケーブルの種類によって通信速度が大きく異なることがわかります。

また、Cat6aやCat7、さらにはCat8などの最新の規格では、さらに高速な通信が可能です。例えば、Cat8ケーブルは最大40Gbpsの通信速度をサポートし、データセンターなどの高負荷なネットワーク環境に適しています。これらの高速ケーブルを利用することで、大容量のデータを迅速に転送することができるため、業務効率の向上にも寄与します

 

通信速度が遅くなる原因って何?

通信速度が遅くなる原因は、LANケーブルの種類や品質だけでなく、複数の要因が絡み合っています。主な原因を以下に挙げます。

古いLANケーブルの使用

古い規格のLANケーブルを使用していると、最大通信速度が制限されます。例えば、Cat5ケーブルでは100Mbpsが限界であり、高速なインターネット回線を持っていても、それを活かしきれません。

ケーブルの物理的劣化

LANケーブルは長期間の使用や過度な曲げによって劣化します。ケーブルが劣化すると、内部の導線にダメージが入り、信号が劣化して通信速度が低下する原因となります。

接続不良

LANケーブルの端子部分が緩んでいたり、接続が不完全であったりすると、データの送受信に障害が発生し、通信速度が低下します。また、LANケーブルがしっかりと差し込まれていない場合、信号が断続的に途切れることがあり、これも速度低下の原因となります。

ネットワーク機器の性能

古いルーターやスイッチングハブを使用していると、それらの機器自体の性能がボトルネックとなり、通信速度が制限されることがあります。特に、ルーターが対応している最大速度が低い場合、どれだけ高速なケーブルを使っても、その速度をフルに活かすことはできません。

ネットワーク環境の混雑

複数のデバイスが同時にネットワークを使用している場合、帯域幅が分散され、通信速度が低下する可能性があります。特に、Wi-Fiを介して多くのデバイスが接続されている場合、有線LAN接続の方が安定した速度を確保できることがあります

 

これらの原因を解消することで、ネットワークのパフォーマンスを向上させることが可能です。通信速度が遅くなる理由を正確に把握し、適切な対策を講じることが重要です。

 

通信速度と伝送帯域の違いって何?

通信速度と伝送帯域は、ネットワークのパフォーマンスを評価する際に重要な指標ですが、これらは異なる概念です。

通信速度

通信速度は、データがネットワーク上で移動する速さを表します。これは通常、Mbps(メガビット毎秒)やGbps(ギガビット毎秒)で表され、ネットワークのスループットとも呼ばれます。簡単に言えば、データが1秒間に移動できるビット数です。

伝送帯域

伝送帯域は、ネットワークが1秒間に伝送できるデータ量の最大値を指します。これもMbpsやGbpsで表されますが、帯域幅が広いほど、多くのデータが同時に送受信できるため、結果的に通信がスムーズになります。帯域幅が広いほど、同時に送受信できるデータ量が増えるため、ネットワーク全体のパフォーマンスが向上します。

 

例えるなら、通信速度がデータの移動速度だとすれば、伝送帯域はそのデータが通る「道路の幅」を意味します。広い道路(伝送帯域)を持つネットワークは、同時に多くのデータを効率よく送受信できるため、結果的に通信速度の向上にも寄与します。

したがって、ネットワークのパフォーマンスを最適化するためには、通信速度と伝送帯域の両方を考慮することが重要です。特に、帯域幅の広いLANケーブルを使用することで、高速かつ安定したネットワーク環境を構築できます。

 

LANケーブルの特徴・特性は?

LANケーブルには、いくつかの重要な特徴や特性があります。これらを理解することで、ネットワークのニーズに応じた最適なケーブルを選択することが可能です。

ケーブルの構造

LANケーブルは通常、ツイストペア(より対線)構造を採用しています。この構造では、2本の導線が互いにツイストされ、外部からの電磁干渉(EMI)やクロストークを軽減します。このため、安定した通信を実現できます。

シールドの有無

LANケーブルにはシールド付き(STP)とシールドなし(UTP)の2種類があります。シールド付きケーブルは、外部の電磁ノイズや干渉を防ぐため、ノイズの多い環境での使用に適しています。一方、シールドなしケーブルは軽量で柔軟性があり、一般的な家庭用として広く使用されています。

ケーブルの長さ

ケーブルの長さは通信性能に影響を与える要因の一つです。長すぎるケーブルは信号の減衰を引き起こし、通信速度が低下する可能性があります。一般的に、100メートルを超える長さのケーブルを使用する場合は、中継器やスイッチを介して信号を増幅する必要があります。

コネクタの種類

LANケーブルの端には、一般的にRJ45コネクタが使用されています。このコネクタは、ネットワーク機器と簡単に接続できる標準的なインターフェースです。高性能なケーブルでは、さらに頑丈で接触不良を防ぐ設計のコネクタが採用されていることもあります。

柔軟性と耐久性

LANケーブルの材質や設計により、柔軟性や耐久性が異なります。例えば、屋外での使用を想定したケーブルは、耐候性や耐UV性が高く、長期間にわたり劣化しにくい特性を持っています。また、頻繁に動かす必要がある環境では、柔軟性の高いケーブルを選ぶことが重要です。

 

これらの特徴を考慮して、使用環境や用途に適したLANケーブルを選ぶことが、最適なネットワークパフォーマンスを確保するための鍵となります。

 

 

LANケーブルのカテゴリ(規格)って何?

LANケーブルのカテゴリ(規格)は、ケーブルがサポートする最大通信速度と伝送帯域幅を規定する重要な指標です。これらの規格は「Cat」(Categoryの略)と呼ばれ、次のように分類されます。

Cat5

最大100Mbpsの通信速度、100MHzの帯域幅。古い規格で、現在ではあまり使用されていませんが、一部の家庭や小規模オフィスでまだ使用されていることがあります。

Cat5e

最大1Gbpsの通信速度、100MHzの帯域幅。Cat5の改良版で、ギガビットイーサネットをサポートしています。現在、最も広く使用されている規格の一つです。

Cat6

最大10Gbpsの通信速度、250MHzの帯域幅。Cat5eよりも高い周波数帯域を持ち、高速なデータ転送を実現します。オフィスや中規模以上のネットワークでよく使用されます。

Cat6a

最大10Gbpsの通信速度、500MHzの帯域幅。Cat6の改良版で、ノイズ耐性が向上しており、長距離でも安定した通信が可能です。

Cat7

最大10Gbps以上の通信速度、600MHzの帯域幅。シールド構造が標準装備されており、非常に高いノイズ耐性を持ちます。データセンターや産業用ネットワークで使用されることが多いです。

Cat7a

最大10Gbps以上の通信速度、1000MHzの帯域幅。シールド構造が標準装備されており、非常に高いノイズ耐性を持ちます。データセンターや産業用ネットワークで使用されることが多いです。

Cat8

最大40Gbpsの通信速度、2000MHzの帯域幅。最新の規格で、非常に高速な通信を要求される環境に適しています。データセンターや高負荷なネットワークインフラでの使用を目的としています。

 

これらのカテゴリは、それぞれの用途や必要とされる通信速度に応じて選択されるべきです。特に、将来的なネットワークの拡張を見据えて、余裕を持った規格を選ぶことが推奨されます。

 

LANケーブルのカテゴリの見分け方は?

LANケーブルのカテゴリを見分ける方法にはいくつかありますが、最も簡単なのはケーブル自体に印字されている情報を確認することです。多くのLANケーブルには、そのカテゴリ番号(Cat5e、Cat6など)がプリントされています。この印字を確認することで、ケーブルの規格を特定できます。

ケーブル表記の確認

ケーブルの外装には通常、カテゴリ番号や製品名が印字されています。この表記を見ることで、使用しているケーブルの規格を簡単に確認できます。

コネクタの形状と構造

高いカテゴリのケーブル、特にCat7以上は、通常のRJ45コネクタとは異なる構造を持つことがあります。例えば、シールド付きのコネクタや、より堅牢な構造を持つコネクタが使用されていることがあります。

色の違い

一部のメーカーは、カテゴリごとに異なる色を使用していることがあります。例えば、Cat6ケーブルは青色、Cat7ケーブルは黒色など、カテゴリに応じて色分けされている場合がありますが、これは標準化されたものではないため、必ずしも信頼できる方法ではありません。

 

これらの方法を組み合わせて、自分が使用しているケーブルのカテゴリを正確に把握し、必要に応じて適切なケーブルに交換することが推奨されます

 

カテゴリの数字が大きいほど通信速度も速くなる?

一般的に、カテゴリの数字が大きいほど、通信速度や伝送帯域幅が向上する傾向にあります。例えば、Cat5eケーブルは最大1Gbpsの通信速度をサポートしますが、Cat6ケーブルにアップグレードすると、最大10Gbpsの通信速度が可能になります。

これは、カテゴリごとにサポートする周波数帯域が異なるためです。高い周波数帯域をサポートするケーブルは、より高速なデータ転送が可能であり、結果として通信速度が向上します。また、シールド性能やノイズ耐性も向上するため、特にノイズの多い環境や長距離伝送が必要な場合には、高いカテゴリのケーブルが推奨されます。

ただし、実際の通信速度は他の要因(ルーターやスイッチの性能、ネットワーク設計など)にも依存します。例えば、古いルーターを使用している場合、どれだけ高性能なケーブルを使っても、その速度をフルに発揮することはできません。ネットワーク全体を見直し、適切な機器とケーブルを選択することが重要です。

 

LANケーブルの正しい選択は通信速度の改善につながる

LANケーブルの選択は、通信速度の改善に直結する重要な要素です。低いカテゴリのケーブルを使用している場合、それがボトルネックとなり、通信速度が制限されることがあります。特に、ギガビットやそれ以上の速度を求めるネットワーク環境では、Cat5e以上のケーブルが推奨されます。

最新の高性能ケーブルを選ぶことで、ネットワークのパフォーマンスを最大限に引き出すことが可能です。例えば、データセンターや企業ネットワークでは、Cat6aやCat7、さらにはCat8ケーブルを使用することで、将来的な拡張や高負荷のデータトラフィックにも対応できます。

また、適切なケーブル選択だけでなく、ケーブルの設置環境や長さにも注意を払うことが重要です。短距離の配線には柔軟なケーブルを、長距離の配線にはシールド付きの高性能ケーブルを使用するなど、環境に応じた選択が求められます。

LANケーブルの選択は、ネットワーク全体の品質を左右する重要な決定です。正しいケーブルを選ぶことで、快適で効率的なネットワーク環境を実現することができます

 

 

まとめ

LANケーブルの種類や規格は、通信速度に大きな影響を与える重要な要素です。古い規格のケーブルを使用していると、通信速度が制限され、インターネットや社内ネットワークのパフォーマンスが低下する可能性があります。一方で、最新の規格に対応した高性能ケーブルを使用することで、ネットワーク全体の効率が向上し、業務の生産性を高めることができます。

通信速度が遅くなる原因や、LANケーブルの特徴、カテゴリの見分け方を理解し、最適なケーブルを選択することで、ネットワーク環境を最適化することが可能です。適切なケーブルの選択は、安定した通信速度と高い信頼性を確保し、長期的なネットワーク運用の基盤となります

LANケーブルの選択は、見落とされがちな要素ですが、その影響は大きいです。ネットワークの現状を見直し、最適なLANケーブルを選ぶことが、より良いネットワーク環境の構築につながるでしょう

 

PoEとは? LANケーブルで電源供給する仕組みとその利便性
一覧へ戻る
LANケーブルの耐用年数はどれくらい?適切な処分方法もご紹介

関連記事