
漏電とは?電気工事の現場で考える“正しい意味”
漏電とは、本来電気が流れるべき導線から電流が外へ漏れてしまう現象を指します。
電気工事の現場では、漏電を単なる機器トラブルではなく、住宅全体の安全性に深く関わる重大な設備異常として扱います。
なぜなら、漏電は目に見えにくくても、感電事故や電気火災につながる危険性が極めて高いためです。
一般家庭では、ブレーカーが落ちたり家電の動作が不安定になったりすることで初めて異常に気づくケースが多く、早期発見が難しい点が特に危険と言えます。
電気工事士は、こうした“目に見えないトラブル”を正確に検知するため、専門工具や測定器を用いて設備の状態を細かく診断します。
そのため、漏電の正しい意味を理解しておくことは、家庭の安全管理に必要な基礎知識と言えます。
漏電が起こるメカニズム
漏電が起こるメカニズムは、電流が本来とは違う経路へ流れてしまうことにあります。
電気は常に“抵抗が低い場所”を通ろうとするため、絶縁が弱った部分や水分が付着した部分があると、そちらへ電流が逃げてしまいます。
この状態が続くと、配線内部や接続部に異常な熱が発生し、設備の劣化・発熱・ショートなどのトラブルにつながります。
漏電が発生する典型的な要因には、次のようなものがあります。
【漏電が起こる主な要因】
・ 被覆(絶縁体)の劣化やひび割れ
・ 水分や湿気による配線の腐食や浸水
・ 家電内部の基盤故障や断線
・ 屋外コンセントの防水不良による雨水侵入
これらの状態は外から確認しにくいため、漏電は“静かに進行するトラブル”と呼ばれます。
特に築年数が古い住宅や湿気の多い環境では、知らないうちに漏電が進んでいることも多く、注意が必要です。
感電・火災につながる理由
漏電が危険とされる理由は、感電事故と電気火災のリスクが高まるためです。
電気が不適切な経路に流れると、その経路に触れた人体が電流の通り道となり、強い電撃を受ける恐れがあります。
特に濡れた手・湿った床・屋外での作業などでは抵抗値が下がるため、わずかな漏電でも深刻な事故に直結します。
火災リスクにおいては、漏電によって異常電流が流れ続けることで、電線・コンセント・接続部に熱が蓄積し発火に至るケースがあります。
とくに古い絶縁材(ゴム・布など)は熱に弱く、小さなショートがそのまま火災へ発展することもあります。
電気工事士は現場で漏電を確認すると、必ず「熱の発生は無いか」「焼損跡は無いか」「水分の影響が無いか」を細かく診断します。
それほど、漏電は“感電と火災が同時に起こり得る危険性の高い異常”なのです。
一般的な誤解と正しい理解
漏電には、一般の方が抱きやすい誤解が多くあります。
こうした誤解は対応を遅らせ、事故リスクを高める原因になりかねません。
そこで、よくある誤解と正しい理解を以下にまとめます。
【漏電に関する誤解と正しい理解】
| よくある誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| ブレーカーが落ちても上げれば大丈夫 | 原因を調査せず復旧すると危険が増す |
| 古い家電でも動くなら安全 | 動作とは別に内部が劣化して漏電していることが多い |
| 目に見えないから問題ない | 漏電は見えないからこそ危険度が高い |
| 雨の日だけ落ちるのは偶然 | 雨水侵入による典型的な漏電症状 |
漏電は自然に改善することはなく、放置すれば必ず悪化します。
そのため、異常を感じた時点で対処することが、家庭を守る最も確実な方法です。
電気工事士が口をそろえて「漏電は早期発見が命」と言う理由は、感電・火災のリスクを未然に防げる唯一の手段だからです。
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電気工事はプロに任せるべき理由とは?
「突然、ブレーカーが落ちた」「コンセントが焦げている」「照明がチカチカする」──そんな電気のトラブル、意外と多くのご家庭やオフィスで起こっています。
しかし、これらのトラブルを自分で何とかしようとするのは非常に危険です。電気工事は国家資格が必要な作業であり、誤った対応は感電や火災の原因にもなりかねません。
また、以下のようなケースも電気工事の対象です。
・ コンセントやスイッチの増設や移設
・ 照明器具の交換やLED化工事
・ 漏電調査と対応
・ 分電盤やブレーカーの交換
・ エアコン専用回路の新設
こうした専門性の高い電気工事は、必ず資格を持つ業者に依頼することが鉄則です。
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よくある電気工事のトラブル例と対応事例
1. コンセントが焦げている・熱を持っている
→ 原因:配線の接触不良や電力オーバー
→ 対応:配線の交換、コンセントの安全基準対応への交換
2. エアコン設置の際に電源が足りない
→ 原因:専用回路が未設置
→ 対応:分電盤から専用回路を新設し、安全に使用可能に
3. 築年数の古い住宅での漏電調査
→ 原因:経年劣化やシロアリによる断線
→ 対応:回路全体のチェック+絶縁工事を実施し再発防止
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家庭でよくある漏電の原因ランキング
前章までで、漏電の仕組みや危険性、そして誤解されがちなポイントを解説しました。
ここからは、実際の電気工事の現場でも発生率が高い“家庭内で起こりやすい漏電原因ランキング”を紹介します。
漏電は多くの場合、日常の中に潜んでいる小さな劣化や見落としが引き金になります。
原因を知っておくことで、事前の予防や早期発見につながり、感電・火災といった重大リスクを回避する強力な対策になります。
また、ここで挙げる原因はすべて専門家の点検現場で頻発するものであり、家庭で気付きやすい“典型例”として非常に有用です。
【家庭で多い漏電原因ランキング】
| 順位 | 漏電原因 | 特徴・リスク |
|---|---|---|
| 1位 | 家電・延長コードの劣化 | 配線断線・内部故障による漏電が最多 |
| 2位 | 屋外コンセントの雨水侵入 | 雨天時に漏電ブレーカーが落ちる典型 |
| 3位 | 老朽化した配線・ブレーカー | 見えない場所で進行し火災に直結 |
| 4位 | 水回り(浴室・洗面所・キッチン) | 湿気が多く発生率が高い危険エリア |
家電・延長コードの劣化
家庭で最も多い漏電原因は、家電や延長コードの劣化です。
コード内部の銅線が断線したり、被覆が破れたりすると、電流が外に漏れやすくなり、漏電ブレーカーが作動する典型的な症状が発生します。
特に危険なケースとして、以下のような状況が挙げられます。
【漏電が発生しやすい家電の状態】
・ 古い家電のコードが固くなりひび割れが進行
・ 家具の重みでコードが圧迫された状態が長期間続く
・ 延長コードを束ねたまま使用し発熱
・ ペットがコードを噛んで被覆が損傷
特にドライヤー・電子レンジ・ヒーターのような高負荷の家電は、コードへの負担が大きく、内部で熱劣化が急速に進む特徴があります。
また、家電自体が動作していても、内部基盤が湿気や経年で劣化して微弱漏電を起こし、突然ブレーカーが落ちることも珍しくありません。
電気工事士の現場でも、家電の交換だけで漏電が解消されるケースは非常に多いため、「古い家電=漏電リスクが高い」と考えておくことが安全につながります。
屋外コンセント・雨水侵入
続いて多いのが、屋外コンセントに雨水が侵入するケースです。
屋外コンセントは防水仕様になっているものの、パッキンの劣化、カバーの閉め忘れ、長期使用による腐食などにより、わずかな隙間から雨水が入り込み漏電を引き起こします。
次のような環境や行動が漏電の原因になりやすい傾向があります。
【雨水侵入で漏電が起きやすい状況】
・ 雨天時に屋外の電源タップを使用
・ イルミネーションや高圧洗浄機などを屋外で使用
・ コンセントカバーのパッキンが劣化
・ 外壁に沿った配線が雨で濡れる構造になっている
屋外の漏電は、地面の湿気や水分によって抵抗値が低下するため、少量の水分でも大きな電流が流れやすい点が特徴です。
そのため、ブレーカーが強く落ちる、雨の日だけ電気が止まるといった症状があれば、屋外設備の水分侵入を疑うことが非常に重要です。
電気工事士が緊急対応で駆けつけるケースの多くは、雨水が原因の漏電であり、「雨の日だけ電気が落ちる」=屋外コンセントの典型症状といえます。
老朽化した配線・ブレーカー
築年数が長い住宅では、壁・床下・天井裏に隠れた配線の劣化が漏電の原因になることがあります。
この劣化は目視確認が難しく、住人が気付いた時には漏電がかなり進行しているケースも多いです。
配線劣化の主な原因は以下の通りです。
【配線・ブレーカー劣化の典型例】
・ 絶縁被覆の乾燥やひび割れ
・ 湿気による腐食やカビの進行
・ ブレーカー内部の接点劣化
・ 旧式配線(ゴム絶縁など)が長期間そのまま
こういった劣化が進むと、電線内部でショートが起こり、発火に直結するリスクが著しく高まります。
特に1980年代以前の住宅では、2020年代以降の家電負荷に耐えられないケースも多く、“築年数が古い=漏電リスクが高い” と考えることが重要です。
また、漏電ブレーカー自体が古い場合、本来作動すべきタイミングで動かない最悪のケースも起こり得るため、早めの点検が必要です。
水回り(浴室・洗面所・キッチン)
家庭の中でも漏電が起きやすく、かつ危険度が高いのが水回りです。
水は電気を通しやすく、わずかな湿気でも漏電の引き金になります。
特に以下のようなケースは要注意です。
【水回りで漏電が起きやすい状況】
・ 浴室乾燥機や換気扇内部の結露
・ 洗面所コンセントに水滴が付着
・ キッチン家電(電子レンジ・冷蔵庫)の結露や油汚れ
・ 水漏れで床下に水分が溜まり配線に接触
水回りは常に湿気が高いため、軽微な漏電でも感電リスクは上昇します。
また、湿気による腐食が進行すると、金属部分が電流の通り道になり、火花・異臭・発熱が発生することもあります。
電気工事士の判断では、水回りでの漏電は“家庭内で最も危険度の高いカテゴリーのひとつ”とされ、緊急性の高いトラブルとして扱われます。

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