LAN

2024.07.06

LANとは?LANの役割とそのメリット・デメリットを徹底比較

 

いわゆるLANって何?

LAN(Local Area Network)とは、限定されたエリア内で複数のデバイスを接続するためのネットワークです。日本語では「局所領域ネットワーク」とも呼ばれ、家庭、オフィス、学校など、比較的小規模な範囲で使用されます。LANの最大の特徴は、物理的に限られたエリア内での通信を行うことです。

インターネットが世界中のネットワークを接続しているのに対し、LANは主に一つの建物内や数部屋にわたる範囲に限定されています。これにより、LAN内の通信は非常に高速かつ安定しており、外部の干渉を受けにくいのが特徴です。LANは、家庭内のパソコン、スマートフォン、プリンタ、ゲーム機などを相互に接続し、ファイル共有やインターネットアクセスを共有するために使われます。

LANは1970年代に初めて登場し、その後、企業や家庭での利用が急速に広まりました。現代では、LANは家庭やビジネスの通信インフラの中心的な役割を果たしており、インターネット接続の基盤としても広く利用されています。

LANの発展

LANは最初、コンピュータ同士を相互接続するための単純な技術でしたが、イーサネット技術の発展により、その利用範囲は飛躍的に広がりました。イーサネットケーブルを使用してデバイスを物理的に接続することで、安定した高速通信が可能になり、LANはオフィスのネットワークインフラとしての地位を確立しました。また、無線LAN(Wi-Fi)の登場により、ケーブルレスでのネットワーク構築が可能となり、スマートフォンやタブレットのようなモバイルデバイスの普及に大きく寄与しています。

 

LANの役割って何?

LANの主な役割は、ネットワーク内のデバイス同士を接続し、情報やリソースを共有することです。家庭や企業では、以下のような具体的な役割を担っています。

1. ファイルやデータの共有

LANを使用することで、同じネットワーク内にある複数のコンピュータやデバイス間でファイルやデータの共有が可能になります。例えば、家庭内で写真やビデオを家族と共有したり、オフィス内でプロジェクトのデータを共同で編集したりすることが簡単にできます。これにより、外部のストレージサービスを使わずに、スムーズなデータのやり取りが実現します。

2. プリンタやスキャナの共有

LANに接続されているプリンタやスキャナを、ネットワーク内の全てのデバイスで共用できる点も大きな利点です。これにより、各デバイスごとにプリンタを設置する必要がなくなり、コスト削減につながります。さらに、無線LANを使用すれば、プリンタの設置場所も柔軟に選べるため、物理的な制約も緩和されます。

3. インターネット接続の共有

LANを利用すると、一つのインターネット回線を複数のデバイスで共有することができます。家庭内では、ルーターを介してインターネットに接続し、複数のスマートフォン、パソコン、ゲーム機などが同時にインターネットにアクセスできる環境を提供します。オフィスや学校などでは、多くのデバイスが同時にインターネットに接続しても、LAN内での通信がスムーズに行われるため、業務や学習の効率が向上します。

4. セキュリティの向上

LANを導入することで、内部ネットワークに対する外部のアクセスを制限し、セキュリティを向上させることが可能です。企業では、外部の不正アクセスやサイバー攻撃を防ぐために、ファイアウォールやアクセス制御をLAN内で設定し、社内データの保護に努めています。また、家庭内でも、インターネット経由での外部アクセスを制限することで、プライバシーを保護し、悪意のある攻撃からデバイスを守ることができます。

 

LANの種類って何があるの?

LANには大きく分けて2つの種類があります。それは、有線LANと無線LAN(Wi-Fi)です。それぞれの特徴や用途について詳しく説明します。

1. 有線LAN

有線LANは、イーサネットケーブルを用いてデバイスをネットワークに接続する方法です。この接続方式は、安定した通信速度と高い信頼性が特徴であり、主にビジネス環境や大容量データを扱う環境で利用されます。イーサネットケーブルは、カテゴリー5e、カテゴリー6、カテゴリー6Aなど、いくつかの種類がありますが、それぞれ対応する通信速度や距離が異なります。

[ 有線LANの特徴 ]

・ 安定性

有線接続は、無線接続に比べて外部の影響を受けにくく、安定した通信が可能です。特に、オンラインゲームや動画のストリーミング、ファイルサーバーへのアクセスなど、安定した高速通信が求められる場面で優れたパフォーマンスを発揮します。

・ 高いセキュリティ

有線LANは、物理的なケーブルで接続されているため、不正アクセスが発生しにくいです。ネットワークに接続するためには、ケーブルを実際に接続する必要があるため、外部からの攻撃や不正アクセスを物理的に防ぐことができます。

・ デメリット

有線LANの主なデメリットは、ケーブルの敷設が必要な点です。デバイスを移動させる際にはケーブルの再配置が必要になるため、柔軟性に欠ける場合があります。また、ケーブルの長さに制約があるため、広範囲での利用が難しい場合があります。

2. 無線LAN(Wi-Fi)

無線LANは、Wi-Fiとして知られている技術で、デバイス同士をケーブルなしで接続する方法です。Wi-Fiは、無線通信を利用してネットワークを構築するため、物理的な制約が少なく、家庭やオフィスのさまざまな場所でインターネットにアクセスすることができます。

[ 無線LANの特徴 ]

・ 柔軟性

無線LANは、ケーブルが不要なため、デバイスを自由に移動させることができます。スマートフォンやノートパソコンなど、移動が必要なデバイスとの相性が良いです。

・ 利便性

無線LANのもう一つの大きな利点は、簡単にネットワークを構築できることです。Wi-Fiルーターを設置するだけで、家庭やオフィス全体にネットワークが広がり、簡単にインターネットに接続できる環境を整えられます。

・ デメリット

無線LANは、電波干渉や範囲制限などの問題があります。特に、壁や床、他の無線機器が多い環境では、通信速度が低下する可能性があります。また、セキュリティ対策を怠ると、外部からの不正アクセスが発生しやすくなります。

 

 

LAN設定時に必要となる機材は?

LAN(Local Area Network)を設定する際には、ネットワークの規模や使用目的に応じた機材が必要です。LANは、インターネットへの接続や、家庭内やオフィス内でのデータ共有、リソースの共有など、様々な用途で使用されるため、必要な機材の選定はネットワーク環境のパフォーマンスに大きな影響を与えます。

ここでは、LANを設定する際に一般的に必要となる主な機材と、それぞれの役割について詳しく説明します。

1. ルーター

ルーターは、LAN内のデバイスをインターネットに接続するための中心的な機器です。ルーターは、LAN内のデバイス同士が効率的に通信できるように管理し、また外部との通信をルーティング(経路設定)する役割を果たします。家庭やオフィスで最も一般的に使われるネットワーク機器の一つです。

・ インターネット接続の管理

ルーターは、LANとインターネットを接続し、データの流れを管理します。インターネットからのデータをLAN内の各デバイスに振り分ける機能を持っています。

・ IPアドレスの管理

ルーターはLAN内のデバイスにIPアドレスを割り当て、デバイス同士が重複なく通信できるように管理します。動的にIPアドレスを配布するDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)機能が一般的です。

・ セキュリティ機能

ルーターには、ファイアウォール機能やネットワーク上のアクセス制御など、セキュリティ機能が内蔵されています。外部からの不正アクセスや攻撃を防ぐための重要な役割を果たします。

2. スイッチ(ハブ)

スイッチは、LAN内の複数のデバイスを接続し、データの転送を行うための機器です。複数のデバイスが同時にLANに接続できるようにし、データのやり取りを効率化します。スイッチは、データを目的のデバイスにのみ転送するインテリジェントなルーティングを行うため、ネットワークのパフォーマンスを向上させます。

・ 複数デバイスの接続

スイッチは、同時に多くのデバイスをLANに接続するために必要です。ポート数に応じて接続可能なデバイス数が決まります。例えば、8ポートスイッチなら、最大8台のデバイスを接続できます。

・ データ転送の効率化

スイッチは、送信元からのデータを適切な宛先デバイスにのみ転送します。これにより、データの衝突や遅延を防ぐことができ、ネットワーク全体の効率が向上します。

・ 大規模ネットワークの拡張

大規模なLAN環境では、スイッチを複数使用してネットワークを階層的に拡張し、多数のデバイスを同時に接続・運用できるようにします。

3. LANケーブル(イーサネットケーブル)

有線LANを構築する際には、LANケーブル(イーサネットケーブル)が必要です。LANケーブルは、デバイス同士を物理的に接続し、安定した高速通信を提供します。LANケーブルにはいくつかのカテゴリーがあり、それぞれ対応する通信速度や距離が異なります。

4. Wi-Fiアクセスポイント(無線LANの場合)

無線LAN(Wi-Fi)を使用する場合は、Wi-Fiアクセスポイントが必要です。Wi-Fiアクセスポイントは、無線信号を使ってデバイスをネットワークに接続し、ケーブルなしで通信できる環境を提供します。家庭用では、ルーターに無線LAN機能が内蔵されていることが一般的ですが、大規模な環境では専用のWi-Fiアクセスポイントを複数設置することが推奨されます。

・ Wi-Fiルーター

家庭や小規模オフィスでは、Wi-Fiルーター1台でインターネット接続と無線LAN機能を併用できる場合が多いです。これにより、スマートフォンやノートパソコンなど、モバイルデバイスが自由にネットワークに接続できます。

・ メッシュWi-Fiシステム

広範囲に無線LANを提供する必要がある場合、メッシュWi-Fiシステムが有効です。複数のアクセスポイントが互いに連携して、広い範囲にわたって安定したWi-Fi接続を提供します。

5. NAS(ネットワークアタッチトストレージ)

NAS(Network Attached Storage)は、LANに接続された共有ストレージのことで、ネットワーク内の全てのデバイスからアクセスできる外部ストレージです。ファイルサーバーとしての役割を果たし、複数のユーザーが同時にデータにアクセス・保存することができます。

・ データの集中管理

NASを使用することで、家庭やオフィス内でのデータを一元的に管理し、バックアップやファイル共有が容易になります。

・ リモートアクセス

NASにはリモートアクセス機能が備わっていることが多く、外出先からでもネットワーク経由でデータにアクセスすることが可能です。

6. ファイアウォール

ファイアウォールは、LANを外部のインターネットからの不正アクセスや攻撃から守るためのセキュリティ装置です。特に、企業や家庭で重要なデータを保護する場合は、専用のファイアウォール機器を設置することが推奨されます。多くのルーターには基本的なファイアウォール機能が内蔵されていますが、企業などでは専用ファイアウォールが導入されることが多いです。

・ 外部からの攻撃を遮断

ファイアウォールは、外部からの不正な通信を検出し、ネットワーク内のデバイスを守ります。

・ ネットワークトラフィックの監視

特定の通信を許可またはブロックするルールを設定し、LANのセキュリティを向上させます。

 

LANを構築する際に必要となる機材は、ルーター、スイッチ、LANケーブル、Wi-Fiアクセスポイント、NAS、ファイアウォールなど、ネットワーク環境や目的に応じたものが含まれます。これらの機器を正しく選定し、適切に設定することで、安定した通信環境とセキュリティを確保し、LAN内での効率的なデータ共有やインターネット接続が可能になります。

 

 

LANのセキュリティってどうなっているの?

LAN(Local Area Network)のセキュリティは、外部からの不正アクセスを防ぎ、データの安全性を確保するために非常に重要です。特に、ネットワークがインターネットに接続されている場合や無線LAN(Wi-Fi)を使用している場合、セキュリティ対策が不十分だと、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まります。

LANのセキュリティは、基本的には有線LANと無線LANの2つに大きく分けられ、それぞれ異なる脅威や対策があります。ここでは、LANのセキュリティに関連する主な要素と、それぞれの対策について詳しく説明します。

1. 有線LANのセキュリティ

有線LANでは、デバイスが物理的なケーブルで接続されているため、外部からの直接的な攻撃は難しいとされています。しかし、社内や家庭内の不正アクセスや、外部からの間接的な攻撃がないわけではありません。以下は、有線LANのセキュリティに関連する主な対策です。

[ ファイアウォール ]

ファイアウォールは、LAN内のデバイスを外部のインターネットからの不正アクセスや攻撃から守るための重要なセキュリティ装置です。ファイアウォールは、許可された通信のみを許可し、疑わしい通信を遮断します。多くのルーターにはファイアウォール機能が標準で内蔵されており、外部からの攻撃や不正アクセスを自動的に防いでいます。

・ 外部からの攻撃を遮断

外部の不正な通信をブロックし、LAN内のデバイスを保護。

・ ルール設定

特定のIPアドレスやポート番号に基づくルールを設定し、特定の通信を許可または拒否することが可能。

[ アクセス制御 ]

アクセス制御とは、LANに接続できるデバイスやユーザーを制限するための手段です。これにより、許可されたデバイスだけがLANに接続し、他の不正なデバイスやユーザーがネットワークに侵入するのを防ぎます。

・ MACアドレスフィルタリング

MACアドレスに基づいてデバイスを認証し、指定されたデバイスだけがネットワークに接続できるようにします。

・ ユーザー認証

特定のユーザーにだけアクセス権を与え、許可されたユーザーのみがネットワークに接続できるように設定します。

[ ネットワーク分離 ]

ネットワーク分離とは、LAN内のネットワークを複数のセグメントに分けることで、セキュリティリスクを低減する手法です。例えば、社内ネットワークとゲストネットワークを分離し、ゲストユーザーが内部の重要なリソースにアクセスできないようにします。これにより、万が一、一部のネットワークが侵害されても、他のネットワークへの被害が及ぶことを防ぐことができます。

2. 無線LAN(Wi-Fi)のセキュリティ

無線LANは、電波を使ってデバイスを接続するため、有線LANと比べて外部からのアクセスが容易になります。そのため、無線LANでは特にセキュリティ対策が重要です。以下は、無線LANのセキュリティに関する主要な対策です。

[ 暗号化 ]

無線LANの通信は、必ず暗号化する必要があります。暗号化されていない無線LANでは、電波を受信できる範囲にいる誰でもネットワークにアクセスすることができ、通信内容が傍受されるリスクがあります。現代の無線LANでは、以下の暗号化プロトコルが推奨されています。

・ WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)

無線LANで最も広く使われている暗号化方式で、強力な暗号化を提供します。

・ WPA3

WPA2の後継として登場した暗号化方式で、さらにセキュリティが強化されています。特に、パスワードが弱い場合でも、外部からの侵入を防ぐ機能が追加されています。

[ パスワード管理 ]

無線LANのセキュリティを強化するためには、強力なパスワードの設定が欠かせません。簡単なパスワードやデフォルトの設定をそのまま使用していると、外部から簡単に侵入されてしまう可能性があります。パスワードは、英数字の組み合わせや特殊文字を含む複雑なものに設定することが重要です。

・ 定期的な変更

ネットワークのパスワードは、定期的に変更することでセキュリティを強化します。

・ 複雑なパスワード

予測されにくい複雑なパスワードを設定することで、外部からの侵入を防ぎます。

[ SSIDの非公開 ]

SSID(Service Set Identifier)は、無線LANネットワークの識別名です。デフォルトで公開されているSSIDを非公開にすることで、外部から無線LANネットワークを見つけにくくすることができます。これにより、悪意のあるユーザーが無線LANに接続しようとする行為を減少させることができます。

[ ゲストネットワークの分離 ]

企業や家庭でゲストにWi-Fiを提供する場合、ゲスト用のネットワークを分離することでセキュリティを高めることができます。ゲストネットワークを分離することで、ゲストが使用するネットワークと社内ネットワークを分け、内部データへのアクセスを防ぐことができます。

3. ネットワーク監視とログ管理

LANのセキュリティを強化するためには、ネットワーク監視やログ管理も重要です。ネットワーク内で異常な活動や不正アクセスの兆候をいち早く察知し、対応することが求められます。多くのルーターやスイッチには、ネットワークの通信ログを保存する機能があり、これを定期的に確認することで、セキュリティの問題を早期に発見できます。

・ 通信の監視

ネットワーク内で発生するすべての通信を監視し、不正なアクセスや異常な動作を検知します。

・ ログの定期的な確認

通信ログを定期的に確認し、疑わしいアクセスや通信を特定します。

 

LANのセキュリティは、有線LANと無線LANの両方に対策が必要です。有線LANは物理的なアクセスが必要なためセキュリティリスクは低いものの、無線LANは電波を使うため外部からの侵入リスクが高まります。これらのリスクを軽減するために、ファイアウォール、暗号化、アクセス制御などの対策を講じることが重要です。セキュリティを確保することで、LANは家庭や企業のデータを守り、安心して使えるネットワーク環境を提供します。

 

 

LAN使用時に気をつけることは?

LANを使用する際には、セキュリティや接続の安定性を保ちつつ、効率的にネットワークを運用するための重要なポイントに気をつける必要があります。LANの構築や使用時には、物理的なネットワーク環境やソフトウェアによる対策など、多方面にわたる注意が必要です。ここでは、LANを安全かつ効率的に使用するための具体的なポイントを挙げていきます。

1. ケーブルの取り扱い(有線LANの場合)

有線LANを使用する場合、LANケーブルの取り扱いが非常に重要です。LANケーブルは、物理的にデバイス同士を接続するため、正しく配線されていないと通信速度の低下や接続の不安定さを引き起こす可能性があります。

ケーブルの損傷に注意

ケーブルが曲がったり、押しつぶされたりすると、内部の導線が損傷し、通信品質が低下する恐れがあります。ケーブルは柔軟に取り扱い、無理な取り回しや急な曲げを避けることが重要です。

劣化したケーブルは交換する

古いケーブルや、損傷しているケーブルは、通信速度の低下や接続の途切れを引き起こす原因になります。特に経年劣化したケーブルは定期的に交換することが推奨されます。

カテゴリーの確認

LANケーブルには、カテゴリ(Category, CAT)によって通信速度や対応距離が異なります。高速な通信を行う場合、カテゴリー5e以上のケーブルを使用し、10Gbps以上の高速通信には、カテゴリー6Aやカテゴリー7のケーブルが推奨されます。

2. 無線LAN(Wi-Fi)の電波干渉を防ぐ

無線LAN(Wi-Fi)を使用する場合、電波の状態がネットワークの安定性に大きく影響します。電波干渉が発生すると、通信速度が低下したり、接続が不安定になることがあります。無線LANの電波干渉を防ぐための具体的な対策は以下の通りです。

ルーターの設置場所

Wi-Fiルーターの設置場所は非常に重要です。ルーターはできるだけ障害物が少なく、家の中央に設置することで、家全体に均等な電波を届けることができます。壁や家具、家電製品が電波の障害となるため、これらの影響を受けにくい場所に設置しましょう。

他の無線機器との干渉を避ける

電子レンジやBluetooth機器など、同じ周波数帯域(2.4GHz帯)を使用するデバイスがあると、Wi-Fiの電波に干渉を引き起こすことがあります。こうしたデバイスはWi-Fiルーターから距離を取るか、5GHz帯のWi-Fiを使用することで、干渉を避けることができます。

Wi-Fiチャネルの設定

無線LANには、複数のチャネル(チャンネル)が用意されています。周囲に他のWi-Fiネットワークが存在する場合、同じチャネルを使用すると干渉が発生します。Wi-Fiルーターの設定で、他のネットワークと異なるチャネルに変更することで、干渉を避けて通信を安定させることができます。

3. セキュリティ設定の最適化

LANを安全に使用するためには、セキュリティ対策が不可欠です。特に無線LAN(Wi-Fi)は、外部からのアクセスを受けやすいため、強固なセキュリティ設定が求められます。以下のセキュリティ対策を実施することで、LANの安全性を高めることができます。

WPA3またはWPA2暗号化の使用

無線LANは、必ず暗号化して通信を行う必要があります。暗号化されていないWi-Fiネットワークでは、第三者が簡単にアクセスでき、通信内容が盗み見られるリスクがあります。WPA3またはWPA2を使用することで、より安全な通信環境を確保できます。

強力なパスワードの設定

Wi-Fiネットワークのパスワードは、長く、複雑で予測しにくいものに設定しましょう。簡単なパスワードやデフォルトのパスワードを使用することは避け、定期的に変更することが推奨されます。

SSIDの非公開設定

Wi-Fiネットワークの名前(SSID)はデフォルトでは公開されていますが、これを非公開設定にすることで、第三者がネットワークを見つけにくくすることができます。SSIDを非公開に設定することは、不正アクセスを防ぐための一つの手段です。

4. ファームウェアのアップデート

ルーターやスイッチなどのネットワーク機器には、定期的にファームウェアを更新する必要があります。ファームウェアの更新は、セキュリティの脆弱性を修正したり、新しい機能を追加するために重要です。

定期的な更新

メーカーから提供されるファームウェアアップデートは、ネットワーク機器のセキュリティを保つために重要です。定期的にアップデートを確認し、最新のバージョンに保つようにしましょう。

自動更新設定の確認

一部のルーターやネットワーク機器には、自動更新機能が搭載されています。この機能を有効にすることで、手動での更新を忘れることなく、常に最新の状態を保つことができます。

5. ゲストネットワークの分離

家庭やオフィスでゲストにWi-Fiを提供する場合、ゲストネットワークと自分のネットワークを分離することが重要です。ゲスト用に別のネットワークを設定し、ゲストが内部の重要なリソースにアクセスできないようにすることで、ネットワークのセキュリティを強化できます。

ゲストネットワークの設定

多くのWi-Fiルーターには、ゲストネットワークを提供する機能があります。この機能を利用して、ゲスト用のWi-Fiネットワークを作成し、プライベートなネットワークとは切り離して運用しましょう。

アクセス制限

ゲストネットワークには、インターネットアクセスのみ許可し、内部リソース(ファイルサーバーやプリンタなど)へのアクセスを制限することで、セキュリティリスクを最小限に抑えることができます。

6. ネットワークトラフィックの監視

LAN内で発生するネットワークトラフィックを定期的に監視することは、セキュリティを強化するために役立ちます。異常なトラフィックや不正アクセスの兆候が見られた場合、早期に対応することで、被害を未然に防ぐことができます。

ルーターのログ機能

多くのルーターには、ネットワークのログを記録する機能があります。このログを定期的に確認し、通常とは異なる通信が行われていないかチェックすることが重要です。

ネットワークモニタリングツールの活用

大規模なネットワークでは、専用のネットワークモニタリングツールを使用して、リアルタイムでトラフィックを監視し、異常を検知することができます。

 

LAN使用時に気をつけるべきポイントは、物理的なネットワーク機器の取り扱いから、セキュリティ対策、通信の安定性の確保まで多岐にわたります。適切なケーブルの取り扱いや電波干渉の対策、そしてセキュリティ設定の強化を行うことで、安定したネットワーク環境を維持し、外部からの不正アクセスを防ぐことができます。また、ファームウェアの定期的なアップデートやゲストネットワークの分離など、最新の技術を取り入れることも、ネットワークの安全性と効率性を高めるために重要です。

 

 

LANって今後どうなっていくの?

LAN(Local Area Network)は、私たちの生活やビジネスの基盤を支える重要なネットワーク技術ですインターネットやデータ通信の需要が増え続ける中、LANの技術も進化し続けています。今後、LANはより高速化され、より多くのデバイスを接続し、より安全で効率的な通信を実現する方向に進むと予測されます。ここでは、今後のLAN技術の進化や展望について、具体的なトピックを紹介します。

1. 高速化と帯域幅の拡大

インターネットの使用が日々増加している現代では、LAN技術の高速化がますます求められています。特に、4K/8Kの高解像度動画のストリーミングや、クラウドベースのサービス、ビッグデータの活用など、膨大なデータをやり取りする場面が増えているため、LANの通信速度が今後も向上していくことは避けられません。

10Gbpsイーサネット

現在、家庭用のLANでは1Gbpsが一般的ですが、企業やデータセンターでは10Gbpsの高速イーサネットが広く使われています。今後、この技術はさらに一般家庭や中小企業にも広がり、データの高速通信がより手軽に利用できるようになると期待されています。

25Gbps、40Gbps、100Gbpsイーサネット

大規模なデータセンターやクラウドプロバイダーでは、すでに100Gbpsの高速イーサネットが導入されています。データ量が急増する中、これらの技術は今後も拡大し、特に5GやAIの普及に伴い、さらなる帯域幅の拡大が進むと予測されています。

Wi-Fi 6EおよびWi-Fi 7の登場

無線LANの技術も、より高速かつ安定した通信を目指して進化しています。特に、Wi-Fi 6Eは6GHz帯の周波数帯域を利用することで、従来のWi-Fi 5やWi-Fi 6よりもさらに高速で安定した通信を提供します。さらに、Wi-Fi 7が登場すれば、最大で30Gbpsに迫る高速通信が可能となり、LANの無線化が進むでしょう。

2. IoT(モノのインターネット)とスマートデバイスの拡大

今後、LANはますます多くのIoTデバイスをサポートするようになると予測されています。IoTは、日常の物理的なデバイスがインターネットに接続される技術であり、家庭内の家電製品やセンサー、セキュリティ機器などがLANを介して互いに通信し合い、生活を自動化・効率化してくれます。

スマートホームの普及

スマートホーム技術が進化する中、家庭内のすべてのデバイスがLANに接続され、照明やエアコン、ドアロックなどが一元管理されるようになります。これにより、ユーザーはスマートフォンや音声アシスタントを使って、自宅のデバイスを遠隔操作したり、エネルギー消費を最適化できるようになります。

工業用IoT(IIoT)の発展

製造業や工場では、機器やセンサーがLANに接続され、リアルタイムでデータを収集・管理することが一般的になっています。これにより、生産効率の向上や予防保守、品質管理が進み、IoTデバイスの利用はさらに拡大していくでしょう。

3. セキュリティの強化

LANが今後も成長を続ける中で、セキュリティの重要性も増しています。特に、無線LANの普及やIoTデバイスの増加に伴い、ネットワークの安全性を確保するための対策が不可欠です。

WPA3の普及

現在、無線LANのセキュリティにはWPA2が主流ですが、今後はより強力な暗号化を提供するWPA3が普及していくでしょう。WPA3は、ネットワークへの不正アクセスを防ぎ、パスワードの強度に依存しないより堅牢なセキュリティを提供します。

ゼロトラストモデルの導入

ゼロトラストモデルとは、「ネットワーク内部であっても信頼しない」という考え方に基づいたセキュリティモデルです。従来のネットワークセキュリティは「LAN内部のデバイスは信頼できる」と仮定していましたが、今後はLAN内でも厳密な認証を行い、常にアクセス権限をチェックするセキュリティアプローチが広がると考えられます。

ネットワーク分離

企業や家庭では、LANを複数のネットワークに分割し、セキュリティを強化する傾向があります。たとえば、スマートデバイス専用のネットワークを作り、IoTデバイスが外部ネットワークと通信する際のリスクを低減させることが一般的になっています。

4. エッジコンピューティングとの統合

今後、LANはエッジコンピューティングの発展とも密接に関連していきます。エッジコンピューティングは、データの処理をクラウドではなく、デバイスの近く(エッジ)で行う技術であり、遅延を最小限に抑え、リアルタイムのデータ処理を可能にします。これにより、スマートデバイスやIoT機器のレスポンスが向上し、ネットワーク全体の効率が上がります。

リアルタイムのデータ処理

工場や自動運転車、医療分野などで、リアルタイムのデータ処理が必要な場面では、LANを利用したエッジコンピューティングが重要な役割を果たすようになります。これにより、データの送信や応答にかかる時間が短縮され、効率的な運用が可能になります。

クラウドとエッジの連携

LANを利用したエッジコンピューティングは、クラウドと連携して動作します。エッジ側でリアルタイム処理を行い、クラウドに必要なデータのみを送信することで、クラウド上の負荷を軽減しつつ、高速な処理を実現します。

5. 環境に配慮したネットワーク技術

LAN技術も、今後はエネルギー効率の向上や持続可能なネットワーク運用を目指して進化していくでしょう。特に、エネルギー効率の良いネットワーク機器や省エネ技術が開発され、環境負荷を減らしながら高速で安定した通信を提供する方向に進化すると考えられます。

省エネ対応のネットワーク機器

今後のネットワーク機器は、使用していないポートや機能を自動的に停止して電力を節約するなど、エネルギー効率に配慮した設計が進んでいくでしょう。これにより、企業や家庭での電力消費を抑えながらも、安定したLAN環境が実現します。

持続可能なネットワークインフラ

グリーンITの観点から、LANの運用においても再生可能エネルギーの利用や、廃棄物の削減を目指す取り組みが進んでいます。これにより、より環境に優しいネットワークインフラの構築が期待されています。

 

LANは今後、より高速かつ安定した通信を提供し、IoTやスマートデバイスの普及、エッジコンピューティングの発展とともに、私たちの生活やビジネスを支える基盤として進化していくでしょう。また、セキュリティの強化や環境に配慮した技術が加わることで、LANはより安全で持続可能なネットワークへと進化することが期待されています。

 

 

まとめ

LANは、現代社会において欠かせない通信インフラです。有線LANと無線LAN、それぞれの特性を理解し、適切な利用方法を選択することで、効率的かつ安全なネットワーク環境を構築することができます。LANの進化に伴い、今後もさらに高速で安定したネットワーク環境が提供されることが期待されます。

 

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