LAN配線

2024.05.17

有線LANと無線LANの徹底比較!LAN配線の工事の基礎知識

 

有線LANと無線LANの違いって何?

有線LANと無線LANは、インターネットやネットワーク接続の基本的な手段として広く利用されていますが、その仕組みや特徴には大きな違いがあります。ここでは、その違いについて詳しく説明します。

有線LANは、LANケーブルを使ってデバイスをルーターやスイッチに直接接続する方法です。ケーブルを通じてデータをやり取りするため、通信が非常に安定しており、速度も速いのが特徴です。

一方、無線LAN(Wi-Fi)は、電波を使ってケーブル不要でデバイスをネットワークに接続する方法です。電波を介して通信するため、デバイスの移動が自由で、設置場所に縛られずにインターネットを利用できるのが大きな利点です。しかし、電波の届く範囲や干渉により、通信の安定性が有線LANに比べて劣ることがあります。

このように、有線LANと無線LANは物理的な接続の有無だけでなく、通信の安定性や速度、セキュリティ、利便性といった点でも異なります。用途や環境に応じて、どちらが適しているかを選ぶことが重要です。

 

有線LANと無線LANのメリットとデメリットは?

次に、有線LANと無線LANそれぞれのメリットとデメリットを具体的に見ていきましょう。

有線LANのメリット

1. 安定した通信

有線LANの最大のメリットは、通信の安定性です。物理的なケーブル接続により、データの送受信が途切れることなく、常に安定した速度で通信が可能です。特に、オンラインゲームや動画のストリーミング、大容量ファイルのダウンロードなど、高速かつ安定した通信が求められる用途において有線LANは非常に有効です。

2. 高速なデータ転送

LANケーブルを使用することで、高速なデータ転送が可能になります。特に、カテゴリー6aやカテゴリー7のケーブルを使用すれば、最大10Gbps以上の高速通信が実現できます。これは、無線LANでは達成しにくい速度であり、業務用ネットワークや高性能な家庭内ネットワークに最適です。

3. 高いセキュリティ

有線LANは、物理的にケーブルで接続されたデバイスのみがネットワークにアクセスできるため、セキュリティリスクが低いです。不正アクセスやハッキングのリスクを最小限に抑えることができ、特に企業や機密情報を扱う環境で重要です。

有線LANのデメリット

1. 設置の手間

有線LANを利用するためには、ケーブルの配線が必要です。これにより、部屋のレイアウトや美観が損なわれる可能性があり、設置場所が制限されることがあります。特に、多くの部屋に配線する場合は、工事が必要になることが多く、時間とコストがかかることがあります。

2. 移動の制約

デバイスがケーブルで固定されるため、自由に移動させることが難しくなります。特に、ノートパソコンやタブレットなど、移動が前提のデバイスでは、有線LANの使用が不便に感じられることがあります。

無線LANのメリット

1. 配線不要で設置が簡単

無線LANは、ケーブルを使わずにデバイスをネットワークに接続できるため、設置が非常に簡単です。特に、配線工事が難しい場所や、後からネットワークを追加する場合に非常に便利です。また、部屋のどこでもインターネットを利用できるため、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど、持ち運びが前提のデバイスに最適です。

2. デバイスの自由な移動

無線LANでは、ケーブルに縛られずにデバイスを移動させることができます。家の中やオフィス内でデバイスを自由に移動させながらインターネットを利用できるため、利便性が非常に高いです。

3. 複数のデバイスを簡単に接続可能

無線LANは、複数のデバイスを簡単にネットワークに接続できるため、家庭内やオフィスでの利用に適しています。スマートフォン、タブレット、PC、テレビなど、多数のデバイスを同時に接続する場合に非常に便利です。

無線LANのデメリット

1. 通信の不安定さ

無線LANは電波を利用しているため、障害物や他の電子機器による電波干渉の影響を受けやすく、通信が不安定になることがあります。特に、鉄筋コンクリートの壁や電子レンジ、Bluetooth機器などがあると、電波が弱まり、通信速度が低下したり、接続が途切れたりすることがあります。

2. 速度の制限

無線LANは、有線LANに比べて通信速度が遅くなることがあります。特に、多数のデバイスが同時に接続している場合や、ルーターから離れた場所では、速度が低下することが一般的です。

3. セキュリティリスク

無線LANは、電波が広範囲に広がるため、不正アクセスやハッキングのリスクが高くなります。そのため、強力なパスワード設定や、最新の暗号化技術(WPA3など)の使用が不可欠です。

 

LAN配線の工事を行う際に確認しておきたいポイントは?

LAN配線の工事を行う際には、事前に確認しておくべきポイントがいくつかあります。これらのポイントを押さえておくことで、スムーズで効率的な工事が可能となり、後々のトラブルを防ぐことができます。

1. 配線ルートの設計

まず、LANケーブルをどのルートで配線するかを事前に設計します。壁の内部や床下、天井裏を通す場合、既存の構造物に影響を与えないよう注意が必要です。また、配線が露出しないようにするための工夫も必要です。ルート設計には、将来的な拡張性も考慮し、後からケーブルを追加しやすいように計画することが大切です。

2. 使用するケーブルの種類

LAN配線には、使用するケーブルの種類が大きく影響します。カテゴリー5e(Cat5e)、カテゴリー6(Cat6)、カテゴリー6a(Cat6a)など、ケーブルの規格によって通信速度や対応する距離が異なります。特に、高速な通信が必要な場合は、カテゴリー6aやカテゴリー7(Cat7)ケーブルの使用を検討すると良いでしょう。また、ケーブルの品質も重要です。低品質のケーブルを使用すると、ノイズの影響を受けやすく、通信速度や安定性が低下する可能性があります

3. 空配管の有無

空配管とは、ケーブルを通すための管で、まだケーブルが入っていない状態のものを指します。新築やリフォームの際に、将来的な配線の変更や追加を見越して設置されることが多いです。空配管があれば、後からケーブルを追加する際に壁や天井を壊す必要がなく、工事が簡単になります。事前に空配管があるかどうかを確認し、必要に応じて設置を検討しましょう。

4. LANコンセントの設置場所

LANコンセントの設置場所も重要なポイントです。使用するデバイスの位置や数を考慮して、最適な場所に設置することで、配線がスッキリし、使い勝手も向上します。また、将来的なデバイスの増設を見越して、予備のコンセントを設置しておくことも考慮に入れるべきです。特に、家庭内での利用では、各部屋にLANコンセントを設置することで、家中どこでも安定したインターネット接続が可能になります。

5. セキュリティ対策

LAN配線を行う際には、セキュリティ対策も忘れてはなりません。特に、企業やオフィスでの工事では、ネットワークに対する不正アクセスを防ぐための対策が必要です。物理的なセキュリティとして、ケーブルや機器を不正にアクセスできない場所に配置することや、ネットワークの監視システムを導入することが考えられます。

 

空配管って何?LAN配線の工事の前に空配管の有無を確認する

空配管とは、ケーブルを通すためのパイプで、まだケーブルが通っていない状態のものを指します。新築やリフォーム時に、将来の配線変更や追加を容易にするために設置されることが多いです。空配管があることで、後からの配線工事が非常に簡単になり、壁や天井を壊す必要がなくなるため、美観を損なうこともありません。

空配管の利点

1. 将来の拡張が容易

空配管を設置しておけば、将来的に新しいケーブルを追加する際に工事が簡単になります。たとえば、新しい部屋にインターネット接続を設けたい場合でも、空配管があれば既存の配線に追加するだけで済みます。

2. コストの削減

後から大規模な工事を行う必要がないため、長期的に見てコストを削減できます。壁や天井を壊さずに配線を追加できるため、工事費用を大幅に抑えることができます。

3. 美観を保つ

壁や天井を壊さずにケーブルを追加できるため、室内の美観を保つことができます。特に、見た目にこだわる家庭やオフィスでは、空配管を設置しておくことで、ケーブルが露出することなく、すっきりとした空間を維持できます。

空配管の確認方法

LAN配線工事を行う前に、空配管が既に設置されているかどうかを確認することは非常に重要です。設計図や建築図面を確認するか、建築業者やリフォーム業者に問い合わせることで確認できます。もし設置されていない場合は、今後の配線変更を見越して、空配管を追加することを検討すると良いでしょう。

 

 

階をまたいでの有線LAN配線とLANコンセントの増設とは?

多階建ての建物において、階をまたいで有線LANを配線することは、各階で安定したネットワーク接続を確保するために重要です。特に、オフィスや大きな家屋では、複数階にわたるネットワークの構築が求められることが多く、その際には適切な配線が必要です。

階をまたぐ配線のポイント

1. ケーブルの選定

階をまたいで配線する場合、ケーブルの長さが重要です。適切な長さのケーブルを選ぶことで、信号の減衰を防ぎ、安定した通信が可能になります。特に、カテゴリー6以上の高品質なケーブルを使用することで、長距離でも高速かつ安定した通信を維持できます。

2. 配線ルートの確認

階をまたいでケーブルを配線する際には、配線ルートの確保が重要です。壁の中や床下、天井を通す場合、既存の配管や空配管を活用できるかどうかを確認し、最適なルートを設計します。また、配線が露出しないようにするためのカバーや配管の使用も考慮しましょう。

3. 信号の安定性

階をまたいでの配線では、信号が弱まることがあります。これを防ぐために、必要に応じてリピーターやスイッチを設置することで、信号の強化や分配を行うことが可能です。特に、広いエリアでの利用や複数のデバイスが接続される環境では、信号の安定性を確保することが重要です。

LANコンセントの増設

LANコンセントの増設も、多階建ての建物においては重要な要素です。各階にLANコンセントを設置することで、どの部屋でも安定したインターネット接続が可能になります。増設の際には、将来的なニーズを見越して、予備のコンセントを設置しておくことが望ましいです。これにより、今後のデバイス増加やネットワーク拡張にも柔軟に対応できます。

 

LAN配線の工事費用の相場は?

LAN配線の工事費用は、使用するケーブルの種類や工事の規模、施工場所によって異なります。一般的に、1部屋あたりの費用は¥10,000〜¥30,000が目安とされています。以下に、費用に影響を与える主な要因を挙げます。

1. ケーブルの種類

使用するケーブルの種類によって費用は大きく異なります。例えば、カテゴリー5e(Cat5e)のケーブルは比較的安価ですが、カテゴリー6aやカテゴリー7のケーブルは高性能である分、コストが高くなります。しかし、これらの高品質なケーブルを使用することで、長期的には安定した高速通信が可能となり、費用対効果が高いと言えます。

2. 配線の距離

配線距離が長くなると、使用するケーブルの量が増えるため、費用が増加します。特に、階をまたいでの配線や広い範囲にわたる配線では、この点が費用に大きく影響します。

3. 空配管の有無

空配管が既に設置されている場合、工事が簡単になり、その分費用が抑えられることがあります。逆に、空配管がない場合は新たに設置する必要があり、そのための追加費用が発生します。

4. 業者の選定

工事を依頼する業者によっても費用は異なります。業者によっては、見積もりやサービス内容が大きく異なるため、複数の業者から見積もりを取って比較することが重要です。また、安価な業者を選んだ場合、品質に問題があることもあるため、費用だけでなく、業者の信頼性や実績も考慮する必要があります

 

LAN配線の工事業者を選ぶ基準って何?

LAN配線工事を依頼する際には、信頼できる業者を選ぶことが成功の鍵となります。以下の基準を参考に、適切な業者を選定しましょう。

1. 実績と評判

まず、業者の実績と評判を確認することが重要です。過去の施工事例や顧客からの評価をチェックし、信頼性の高い業者を選びましょう。口コミやレビューサイトでの評価を確認することで、業者の信頼性やサービスの質を判断することもできます。

2. 見積もりの透明性

見積もりが詳細で、透明性があるかどうかも大切です。見積もりが曖昧であったり、追加費用が発生する可能性がある場合は、後々トラブルになることがあります。事前にしっかりと確認し、不明瞭な点があれば、業者に詳細な説明を求めるようにしましょう

3. 保証制度

工事後の保証があるかどうかも重要なポイントです。万が一、問題が発生した場合に対応してもらえるかを確認しておきましょう。保証期間や対応内容についても事前に確認しておくと、安心して工事を依頼することができます。

4. 提案力

業者が、最適な配線ルートや機器の提案をしてくれるかどうかも選定基準となります。ただ指示に従うだけでなく、プロとしての提案力がある業者が理想です。特に、配線の複雑さや今後のネットワーク拡張を考慮した提案をしてくれる業者は信頼できます

5. アフターサポート

工事後のアフターサポートが充実しているかも確認しましょう。トラブルが発生した際に迅速に対応してくれる業者を選ぶことが、長期的な安心につながります。サポート体制が整っている業者であれば、工事後も安心してネットワークを利用することができます。

 

LAN配線の工事の流れは?

LAN配線工事には、以下のステップが一般的に含まれます。

1. 事前調査と打ち合わせ

工事を始める前に、業者と事前調査や打ち合わせを行います。この段階で、配線ルートや使用するケーブル、設置場所などを決定します。また、工事のスケジュールや作業時間についても確認しておくことが重要です。

2. 配線ルートの設計

次に、打ち合わせ内容に基づいて、配線ルートを設計します。壁の中や床下、天井を通す場合は、最適なルートを設計し、既存の構造物や配管に影響を与えないようにします。また、将来的な拡張性も考慮し、空配管の設置やケーブルの追加が容易なルートを選定します。

3. ケーブルの配線

設計したルートに沿って、ケーブルを配線します。この際、必要に応じて配管を使用したり、壁に穴を開ける作業が行われます。配線が終わったら、ケーブルをLANコンセントに接続し、必要な場所でインターネット接続ができるようにします。

4. LANコンセントの設置

ケーブルを配線した後、各部屋や必要な場所にLANコンセントを設置します。設置場所は、事前に打ち合わせた内容に基づいて決定され、使い勝手を考慮して配置されます。

5. 接続と動作確認

配線が完了したら、各デバイスを接続して動作確認を行います。インターネットが正常に接続できるか、速度や安定性を確認します。また、セキュリティ設定やネットワークの最適化も行い、問題がないことを確認します。

6. 最終チェックと報告

工事が完了したら、最終チェックを行い、問題がないことを確認します。その後、工事内容を報告し、保証書や工事完了書を受け取ります。また、工事後のアフターサポートについても確認しておくと良いでしょう。

 

LAN配線の工事ってDIYでできるの?

LAN配線の工事は、DIYで行うことも可能ですが、いくつかの注意点があります。

1. 技術的な知識が必要

LAN配線には、ケーブルの選定や配線ルートの設計など、専門的な知識が必要です。技術的な知識が不足していると、配線がうまくいかず、通信が不安定になるリスクがあります。特に、複雑な配線や長距離の配線を行う場合には、専門的な知識と経験が求められます

2. 必要な工具の準備

DIYで配線工事を行う際には、LANケーブルの圧着工具やテスターなど、専門的な工具が必要です。これらの工具を揃えるには、費用がかかることを考慮しましょう。また、工具の使い方を理解していないと、配線作業がうまくいかず、トラブルの原因となることがあります。

3. 配線の美観を保つ

DIYで行うと、配線が露出してしまい、美観を損ねることがあります。配線を隠す工夫が必要となります。たとえば、モールや配線カバーを使用して、ケーブルが目立たないようにすることが考えられます。

4. 配線ミスのリスク

配線ミスが起こると、通信のトラブルが発生する可能性があります。特に、配線の取り回しが複雑な場合や、ケーブルの長さが足りない場合には、配線ミスが発生しやすくなります。ミスを避けるためにも、作業前にしっかりと計画を立て、必要な材料や工具を準備しておくことが重要です。

 

 

まとめ

有線LANと無線LANには、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。LAN配線の工事を行う際には、これらの違いを理解し、自分に合った方法を選ぶことが重要です。また、工事を依頼する際は、事前の確認事項をしっかりと把握し、信頼できる業者に依頼することが成功の鍵となります。DIYでの配線も可能ですが、技術的な知識や工具が必要なため、慎重に判断しましょう。LAN配線は、長期的な視点で考えた場合、快適で安定したネットワーク環境を構築するための重要な投資となります。

 

LANケーブルを壁の中に配線する理由と具体的な手順とは?
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