IT環境

2024.06.20

社内ネットワークの通信速度が不安定?原因と対策を徹底解説!

 

社内のネットワークの通信速度が不安定ってどういうこと?

社内ネットワークの通信速度が不安定というのは、インターネットや社内システムへの接続速度が一定でなく、急に遅くなったり、途切れたりする状態を指します。このような問題が発生すると、業務効率が大幅に低下し、ストレスの原因にもなります。

具体的には、以下のような現象が頻発することがあります。

・ ウェブページの読み込みが極端に遅くなる。

・ オンライン会議(ZoomやTeamsなど)中に音声が途切れたり、映像がカクつく。

・ クラウドストレージの同期が進まない、またはエラーが頻発する。

・ ファイルのダウンロードやアップロードに時間がかかり、作業が進まない。

・ 社内システム(ERP、CRMなど)へのログインや操作が遅くなる。

・ VPN接続が頻繁に切断され、リモートワークの業務が中断する。

・ ネットワークプリンタや共有フォルダにアクセスできないことがある。

このような問題が発生すると、業務の進行が妨げられるだけでなく、社内のコミュニケーションにも影響が出るため、迅速な対応が求められます。特に、近年ではテレワークが普及し、クラウドサービスの利用が増えているため、安定したネットワーク環境がより重要になっています。

 

社内のネットワークの通信速度が不安定な原因って何?

社内ネットワークの通信速度が不安定になる原因は複数の要因が絡み合っていることが多く、単一の原因を特定するのが難しい場合があります。ここでは、主な原因を詳細に解説します。

1. ネットワーク機器の性能不足

社内ネットワークの通信が不安定な場合、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の性能がボトルネックになっている可能性があります。

古いルーターやスイッチを使用している

・ 長年使用しているルーターやスイッチは、最新の通信規格に対応しておらず、処理能力が不足していることがあります。

・ 特にWi-Fiルーターの場合、IEEE 802.11acやWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応していない古い機種では通信速度が極端に低下することがあります。

ルーターやスイッチの処理能力を超える通信量

・ ルーターやスイッチには処理できる通信量(スループット)が決まっており、それを超える通信が発生すると遅延やパケットロスが発生することがあります。

・ 例えば、従業員が増えてデバイスの接続数が増加した場合、企業向けの高性能なルーター・スイッチへ交換しなければ処理が追いつかなくなる可能性があります。

2. 帯域幅の不足(回線の混雑)

ネットワークの帯域幅(回線の最大通信容量)が不足すると、社内の全体的な通信速度が低下し、特にピーク時にネットワークが不安定になります。

インターネット回線の契約プランが適切でない

・ インターネット回線の契約プランによっては、通信速度が制限されることがあります。

・ 「ベストエフォート型」の回線では、契約上の最大速度が保証されておらず、利用者が増えると通信速度が著しく低下することがあります。

大量のデータ通信が発生している

・ 社内の複数のPCで大容量のデータをダウンロード・アップロードする作業が同時に行われると、ネットワーク全体の速度が遅くなることがあります。

・ 特に、クラウドストレージ(Google Drive、OneDrive、Dropboxなど)の自動同期や、システムのバックアップ作業が影響を与えることが多いです。

動画配信やオンライン会議の増加

・ ZoomやTeamsなどのオンライン会議ツール、YouTubeなどの動画視聴による通信量の増加が原因で、他の業務に支障をきたすことがあります。

・ 社内でQoS(Quality of Service)の設定を行い、優先すべき通信を指定することで、ネットワークを効率的に管理する必要があります。

3. Wi-Fi環境の問題

社内のネットワークが無線LAN(Wi-Fi)中心で運用されている場合、Wi-Fi特有の問題が通信速度の不安定さに影響を与えることがあります。

電波干渉

・ Wi-Fiの周波数帯(2.4GHz帯、5GHz帯)は、他の無線機器(電子レンジ、Bluetooth機器、他のWi-Fiルーターなど)の影響を受けやすいため、電波干渉による速度低下が発生します。

・ 特に、2.4GHz帯は混雑しやすく、通信速度が不安定になることが多いため、可能であれば5GHz帯を利用すると安定性が向上します。

Wi-Fiのアクセスポイントの数が不足している

・ 広いオフィスや複数フロアにまたがる環境では、1台のWi-Fiルーターでは電波が十分に届かず、通信速度が極端に低下することがあります。

・ メッシュWi-FiやWi-Fi中継器を活用して、オフィス全体に均等に電波を行き渡らせる対策が必要です。

Wi-Fiルーターの設置場所が適切でない

・ Wi-Fiルーターが壁際や棚の中に設置されていると、電波が遮られて通信速度が遅くなることがあります。

・ ルーターはなるべくオフィスの中心部や、高い位置に設置すると電波が届きやすくなるため、適切な配置を検討することが重要です。

4. ネットワークの設定ミス

ネットワーク機器の設定が適切でないと、通信がスムーズに行われずに不安定になることがあります。

IPアドレスの競合

・ 同じIPアドレスを複数のデバイスが使用していると、通信が途切れる原因になります。

・ DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバーの設定を適切に行い、各デバイスに正しいIPアドレスを割り当てることが重要です。

ファイアウォールやセキュリティソフトの影響

・ 過度に厳しいセキュリティ設定(パケットフィルタリングや通信制限)があると、一部の通信が遮断されてネットワークが遅くなることがあります。

・ 必要な通信を許可する設定を見直し、セキュリティと通信速度のバランスを取ることが大切です。

5. ネットワークケーブルやハードウェアの問題

有線LANを使用している場合でも、以下のようなハードウェアの問題が通信速度の不安定さを引き起こすことがあります。

LANケーブルの劣化や規格の違い

・ 古いLANケーブル(CAT5など)を使用していると、通信速度が制限されることがあります。

・ 現在の主流はCAT6以上(1Gbps対応)であり、高速通信が求められる場合はCAT6AやCAT7への交換が推奨されます。

ネットワーク機器の発熱による性能低下

・ ルーターやスイッチが高温になると、処理能力が低下して通信速度が不安定になることがあります。

・ 定期的なメンテナンスや、適切な換気を行い、機器が正常に動作する環境を整えることが重要です。

 

社内ネットワークの通信速度が不安定な原因はネットワーク機器の性能不足、帯域幅の不足、Wi-Fi環境の問題、設定ミス、ハードウェアの問題など、複数の要因が絡み合っています。特に、Wi-Fi環境の最適化や適切な帯域幅の確保、ネットワーク機器の性能向上が重要です。

 

社内ネットワークについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください

中小企業のためのネットワーク構築:小規模と大規模の違いとは?

 

インターネット回線が不安定な場合も原因として考えられるの?

社内ネットワークの通信速度が不安定な原因を探る際、インターネット回線自体が不安定である可能性も考慮する必要があります。社内ネットワークの問題とインターネット回線の問題は似たような症状を引き起こすため、原因を特定するためには、どこで問題が発生しているのかを見極めることが重要です。

1. インターネット回線の帯域制限(プロバイダー側の制限)

インターネット回線を契約しているプロバイダーによっては、特定の時間帯に帯域制限をかけることがあります。これは、回線の混雑を避けるための措置ですが、結果として通信速度が遅くなる原因となります。

ピーク時間帯(昼休みや夕方)に速度が遅くなる

・ 企業のインターネット回線は、多くの従業員が同時に使用するため、特定の時間帯に通信速度が極端に低下することがあります。

・ 特に、ベストエフォート型のインターネット契約では、契約上の最大速度が保証されておらず、混雑時に実効速度が著しく低下する可能性があります。

契約プランによる制限

・ 一部のインターネットプロバイダーでは、一定のデータ使用量を超えると通信速度が制限されるプランを提供しています。

・ 大量のデータ通信(動画会議、大容量ファイルのやり取り、クラウドサービスの利用)が多い場合、プロバイダー側の帯域制限によって速度が低下している可能性があります。

2. インターネット回線の品質(回線の種類による影響)

インターネット回線の種類によって、通信の安定性や速度が大きく変わります。回線の品質が低い場合、社内のネットワークに関係なくインターネットが遅くなることがあります。

回線の種類安定性通信速度特徴
光回線高い最大10Gbps最も安定しており、法人向けにも適している
CATV(ケーブルテレビ回線)中程度最大1Gbps同一エリア内で利用者が多いと速度が低下しやすい
ADSL低い最大50Mbps電話回線を利用するため距離によって速度が大きく変動
モバイル回線(5G/4G LTE)中程度最大1Gbps(理論値)回線状況や電波干渉の影響を受けやすい
VDSL(マンションタイプの光回線)中程度最大100Mbps同一建物内で共有するため混雑しやすい

 

光回線が最も安定しており、高速な通信が可能

・ 企業向けの専用回線を契約することで、安定した速度を確保しやすくなる。

3. プロバイダーやルーターのDNS設定の影響

インターネット接続にはDNS(Domain Name System)サーバーが関与しています。プロバイダーのDNSサーバーの応答速度が遅いと、ウェブサイトの読み込みが遅くなったり、インターネット全体の動作が不安定になることがあります。

・ DNSサーバーをGoogle Public DNS(8.8.8.8)やCloudflare(1.1.1.1)に変更することで改善する場合がある

・ プロバイダーの提供するDNSサーバーが混雑している場合、より応答速度の速いDNSサーバーに変更することで、通信速度が改善されることがあります。

4. インターネット回線の物理的な障害

社内のネットワークではなく、インターネット回線自体に障害が発生している可能性も考えられます。

プロバイダーの障害

・ インターネットプロバイダーが通信障害を起こしていると、社内のネットワーク環境に問題がなくても通信が遅くなったり、途切れたりすることがあります。

・ プロバイダーの公式サイトなどで障害情報を確認することが重要です。

回線の劣化や断線

・ 光ファイバー回線やLANケーブルが物理的に破損していると、通信が途切れたり遅くなったりすることがあります。

・ 特に屋外に敷設された光回線は、工事や自然災害の影響を受けることがあるため、定期的なチェックが必要です。

 

社内ネットワークの通信速度が不安定な場合、インターネット回線自体が原因になっている可能性もあるため、以下のポイントを確認しましょう。

・ インターネットのピーク時間帯に速度が低下する場合は、プロバイダーの帯域制限を疑う。

・ 光回線以外の回線(CATV、ADSLなど)は混雑や回線品質の影響を受けやすい。

・ DNSサーバーを変更することで速度が改善する可能性がある。

・ プロバイダーの障害情報を確認し、回線トラブルの有無を調査する。

 

 

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不安定な社内のネットワークの通信速度を改善する方法って何かあるの?

社内ネットワークの通信速度が不安定な場合、原因を特定し、それに応じた対策を講じることが重要です。ここでは、ネットワークの不安定さを改善するための具体的な方法を詳しく解説します。

1. ネットワーク機器のアップグレード

社内のネットワーク機器が古い場合、最新の機器に交換することで大幅に通信速度が向上し、安定性も向上します。

ルーターの見直し

Wi-Fi 6対応ルーターへの交換

・ ルーターがWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)以前の規格しか対応していない場合、新しいWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応のルーターに交換することで、通信速度と安定性が向上する。

・ Wi-Fi 6は、従来のWi-Fi規格に比べて、複数のデバイスが同時に接続しても速度低下が少ないという特徴がある。

法人向けルーターの導入

・ 家庭用のルーターではなく、法人向けの高性能ルーターを導入すると、より多くのデバイスを同時に接続しても安定した通信が可能。

・ 例えば、FortiGate(フォーティゲート)やCisco(シスコ)のルーターは、セキュリティ機能も強化されており、安定性が高い。

スイッチの交換

ギガビット対応スイッチの導入

・ 古いスイッチを使用していると、最大通信速度が100Mbpsに制限されている可能性がある。

・ ギガビット(1Gbps)以上の対応スイッチに交換することで、社内ネットワーク全体の通信速度が向上する。

PoE(Power over Ethernet)対応スイッチの活用

・ Wi-FiアクセスポイントやIP電話、監視カメラなどをPoE対応スイッチに接続すると、電源ケーブルが不要になり、配線の管理がしやすくなる。

2. 帯域幅の増強(インターネット回線の見直し)

社内のネットワークが安定しない場合、インターネット回線の契約プランを見直すことで改善できる可能性があります。

回線速度の確認と変更

現在のインターネット回線の実効速度を確認

・ Speedtest.netなどの速度測定ツールを使用して、実際の通信速度を測定する。

・ 契約しているプランの最大通信速度と比較し、実効速度が極端に遅い場合はプラン変更を検討する。

回線の増強(法人向け専用回線の導入)

・ 通信速度が安定しない場合、「光回線の法人向け専用プラン」への切り替えを検討するのも有効。

・ NURO Bizやフレッツ光ネクスト ビジネスタイプなどの法人向け回線は、帯域幅が広く安定した通信が可能。

回線の冗長化

・ 1本のインターネット回線だけでは、障害が発生した際に業務が停止するリスクがあるため、回線を2本用意して冗長化するのも有効な手段。

・ 例えば、メイン回線を光回線(NTTフレッツ光)、バックアップ回線をモバイル回線(5G)とすることで、万が一の回線トラブル時にも通信を継続できる。

3. Wi-Fi環境の最適化

無線LAN環境を最適化することで、通信速度の安定性を向上させることが可能です。

Wi-Fiルーターの適切な配置

オフィスの中心部にWi-Fiルーターを設置

・ 壁や家具などの障害物を避け、電波が広がりやすい場所にルーターを配置する。

・ 可能な限り高い位置に設置すると、電波が届きやすくなる。

メッシュWi-Fiの導入

・ 広いオフィスやフロアが複数ある場合、メッシュWi-Fiを導入すると通信が安定する。

・ Google Nest Wi-FiやTP-Link DecoなどのメッシュWi-Fiシステムを活用すると、複数のアクセスポイントが連携して最適な通信経路を自動で選択する。

電波干渉の対策

Wi-Fiのチャンネルを手動で設定

・ Wi-Fiの周波数帯(2.4GHz帯、5GHz帯)で、チャンネルが重複すると通信が不安定になるため、ルーターの管理画面から最適なチャンネルを選択する。

有線LANの活用

・ 重要な業務(オンライン会議、データ転送など)には可能な限り有線LANを利用することで、通信の安定性を確保できる。

4. ネットワークの管理と最適化

ネットワークの管理を適切に行うことで、通信速度の低下を未然に防ぐことができます。

トラフィック管理(QoS設定)

重要な通信を優先する

・ オンライン会議やクラウドサービスの通信を優先し、YouTubeやSNSの通信を制限することで、業務に必要な通信が安定する。

不要なデバイスの制限

Wi-Fiに接続する不要なデバイスを減らす

・ スマートフォンやタブレットなど、業務に直接関係のないデバイスを制限することで、ネットワークの負荷を軽減できる。

 

社内ネットワークの通信速度を安定させるためには、ネットワーク機器のアップグレード、インターネット回線の増強、Wi-Fi環境の最適化、トラフィック管理の見直しなど、複数の対策を組み合わせることが重要です

次の章では、有線LANでの接続でも安定しない場合の対策について詳しく解説します。

 

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有線LANでの接続でも安定しない場合ってどうすればいいの?

社内ネットワークの通信速度を安定させるために有線LANを使用するのは有効な手段ですが、それでも通信が不安定な場合があります。有線接続であっても速度が低下したり、断続的に接続が切れる場合は、ネットワーク機器や配線のトラブルが原因になっている可能性が高いです。ここでは、具体的な改善策を詳しく解説します。

1. LANケーブルの種類と劣化の確認

有線LANが不安定な場合、使用しているLANケーブルが古かったり、規格が適切でないことが原因になっている可能性があります。

適切なLANケーブルを使用する

LANケーブルには規格があり、古いケーブルを使用していると通信速度が制限されてしまいます。

LANケーブルの種類最大通信速度最大周波数特徴
CAT5100Mbps100MHz古い規格であり、現在の高速通信には不向き
CAT5e1Gbps100MHz企業ネットワークでは最低限必要な規格
CAT61Gbps250MHz安定性が高く、比較的ノイズの耐性が強い
CAT6A10Gbps500MHz10Gbps通信に対応、将来の拡張を考えるなら推奨
CAT710Gbps600MHzノイズ耐性が強く、長距離でも安定
CAT840Gbps2000MHzデータセンター向け、社内ネットワークではオーバースペックの可能性

 

・ CAT5のケーブルを使用している場合、最大速度が100Mbpsに制限されるため、必ずCAT6以上のケーブルに交換する。

・ CAT6AやCAT7を使用すれば、10Gbps通信にも対応でき、将来的な拡張にも有利。

LANケーブルの劣化

・ LANケーブルは経年劣化するため、破損や断線がある場合は、新しいものに交換する。

・ ケーブルが折れ曲がったり、圧力がかかると内部の銅線が損傷し、通信が不安定になる。

・ 特に長距離配線(10m以上)では、ノイズの影響を受けにくいシールド付き(STP)のケーブルを使用することが推奨される。

2. ハブやスイッチングハブの確認

ネットワークにスイッチングハブ(LANハブ)を使用している場合、ハブの性能や接続台数によって通信が不安定になることがある。

ハブの性能不足

・ 古いハブや低性能のハブを使用していると、接続デバイスが増えると通信が遅くなることがある。

・ 100Mbps対応のハブではなく、最低でも1Gbps対応のギガビットスイッチングハブを使用する。

ハブの接続台数を確認

・ スイッチングハブは接続台数の上限を超えると、ネットワーク全体が遅くなることがある。

・ カスケード接続(ハブを連続して接続すること)を避ける。例えば、ハブA → ハブB → ハブC という接続をすると、通信がボトルネックになり、速度が低下することがある。ハブはルーターやメインのスイッチに直接接続することが望ましい。

3. ネットワーク機器(ルーター・スイッチ)の設定を見直す

ルーターやスイッチの設定が適切でないと、有線LANの通信が不安定になることがあります。

QoS(Quality of Service)の設定

・ ルーターやスイッチの管理画面でQoS(通信の優先順位設定)を有効にすると、重要な通信(オンライン会議や業務用アプリ)を優先できる。

・ トラフィック制御を適切に行うことで、帯域の使用率を最適化し、通信の安定性を確保できる。

VLAN(仮想LAN)の活用

・ 社内ネットワークのトラフィックが多い場合、VLANを設定してセグメント(部署ごとなど)を分けると、負荷が分散され、安定性が向上する。

・ VLANを活用することで、不要なブロードキャスト(全端末に届く通信)を削減し、通信がスムーズになる。

4. ループ防止(ネットワークループのチェック)

ネットワークが不安定になる原因として、LANケーブルがループ(無限ループ状態)しているケースがある。

ネットワークループの原因

・ スイッチングハブに同じLANケーブルを2本接続してしまうと、ループが発生しネットワークが不安定になる。

・ LANケーブルの接続ミスが原因で、社内ネットワーク全体がダウンすることもある。

ループ防止機能(STP)の活用

・ ネットワーク機器にSTP(Spanning Tree Protocol)を有効にすると、自動的にループを検出して通信の安定性を確保できる。

5. ファームウェアとドライバーの更新

ルーターやスイッチ、PCのネットワークアダプターのファームウェアやドライバーが古いと、通信が不安定になることがある。

・ ルーターのファームウェアを定期的に更新することで、最新のセキュリティ対策と通信安定化の機能が適用される。

・ PCのLANドライバーが古い場合、メーカーの公式サイトから最新のドライバーをダウンロードして更新する。

 

有線LANを使用していても通信が不安定な場合、LANケーブルの規格や劣化、スイッチングハブの性能、ネットワーク機器の設定、ネットワークループの発生などが原因である可能性が高い。具体的には以下の対策を講じることで、通信の安定性を向上させることができる。

・ 高性能LANケーブルに交換する。

・ 100Mbps対応の古いハブではなく、ギガビットスイッチングハブを使用する。

・ ネットワークの負荷を分散するためにQoSやVLANを活用する。

・ ネットワークループを防ぐためにSTPを有効にする。

・ ルーターやネットワークアダプターのファームウェア・ドライバーを定期的に更新する。

次の章では、ネットワークの通信速度やインターネット回線が安定しないトラブルを未然に防ぐ方法について詳しく解説します。

 

 

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ネットワークの通信速度やインターネットの回線が安定しないといったトラブルを未然に防ぐ方法って何かあるの?

社内ネットワークの通信速度やインターネット回線が不安定になると、業務の効率が低下し、大きなストレスにつながります。そのため、トラブルが発生する前に予防策を講じることが重要です。ここでは、通信トラブルを未然に防ぐための具体的な対策を詳しく解説します。

1. ネットワークの定期的な点検と監視

ネットワークの不具合を事前に察知し、予防するためには、定期的な点検と監視が不可欠です。

ネットワーク監視ツールの導入

ネットワーク監視ツールを導入すると、通信速度の変動や異常なトラフィックをリアルタイムで監視でき、問題を早期に発見できるようになります。

おすすめのネットワーク監視ツール

・ PRTG Network Monitor(企業向けの包括的な監視ツール)

・ Nagios(オープンソースの高度な監視ツール)

・ Zabbix(スケーラブルで詳細な監視が可能)

・ SolarWinds Network Performance Monitor(リアルタイム監視と詳細なレポートが可能)

これらのツールを使用することで、以下のような点を監視できる

・ 各デバイスのネットワーク使用率

・ ルーターやスイッチの負荷状態

・ 通信エラーやパケットロスの発生状況

・ 帯域の使用状況

速度テストの実施

定期的にインターネットの速度テストを行い、回線のパフォーマンスを確認することで、異常を早期に発見できます。

Speedtest.net や Fast.com を利用し、以下の項目をチェックする

・ ダウンロード速度

・ アップロード速度

・ レイテンシー(Ping値)

・ ジッター(通信のブレ)

社内のネットワーク全体を測定する場合、iperf(アイパーフ)などのツールを使用すると詳細な通信品質をチェックできる。

2. ネットワーク機器の計画的な更新

ネットワーク機器が老朽化すると、通信速度の低下や機器の故障につながるため、定期的な機器の更新が必要です。

おおよその機器の寿命と更新サイクル

・ ルーター・Wi-Fiアクセスポイント:3~5年

・ スイッチングハブ:5~7年

・ LANケーブル:10~20年(ケーブルの曲げや断線がなければ長持ちする)

Wi-Fiの最新規格への対応

無線LANを使用する場合、最新のWi-Fi規格に対応したルーターを導入することで通信の安定性を確保できる。

Wi-Fi規格最大通信速度特徴
Wi-Fi 4(802.11n)600Mbps古い規格で、通信が混雑しやすい
Wi-Fi 5(802.11ac)6.9Gbps現在も多くのオフィスで使用されるが、最新規格には劣る
Wi-Fi 6(802.11ax)9.6Gbpsより多くのデバイスを接続しても安定する
Wi-Fi 6E(802.11ax)9.6Gbps(6GHz帯)さらに高速で、電波干渉が少ない

 

Wi-Fi 6E対応ルーターを導入すると、6GHz帯を利用できるため、混雑が少なく安定した通信が可能。

3. 帯域の適切な管理(QoS設定)

社内ネットワークを安定させるためには、帯域(通信の使用量)を適切に管理し、重要な通信を優先させることが重要です。

QoS(Quality of Service)の活用

QoS設定を行うことで、業務に必要な通信を優先し、不必要な通信を制限することが可能です。

・ オンライン会議や業務用クラウドサービスを最優先

・ SNSや動画視聴などの不要な通信を制限

・ VPN接続を安定させるため、優先順位を高める

これにより、重要な業務が通信の影響を受けずに安定して運用できる。

4. 冗長化(バックアップ回線の確保)

万が一の回線障害に備え、メイン回線とは別の回線を用意することで、通信が完全に停止するリスクを軽減できます。

デュアルWANの活用

デュアルWAN対応のルーターを使用すると、2本のインターネット回線を同時に接続し、負荷を分散したり、回線障害時に自動で切り替えたりすることができる。

・ メイン回線:光回線(フレッツ光、NURO Bizなど)

・ バックアップ回線:モバイル回線(5G/4G LTE)や別のプロバイダーの光回線

回線の種類を分ける

同じプロバイダーの回線を2本契約しても、障害時には両方の回線が影響を受けるため、異なる事業者の回線を利用するのが望ましい。

5. セキュリティ対策の強化

ウイルスやサイバー攻撃による通信障害を防ぐために、適切なセキュリティ対策を講じることが必要です。

ファイアウォールとUTMの導入

・ ファイアウォールを強化し、不正アクセスを防ぐ

・ UTM(統合脅威管理)を導入し、ウイルス・不正通信をブロック

定期的なセキュリティチェック

・ 社員の端末(PC・スマートフォン)のウイルス対策ソフトを最新の状態に保つ

・ 不審なネットワーク接続がないか定期的にログを確認する

 

社内ネットワークやインターネットの回線を安定させるためには、事前の対策が重要です。以下の施策を講じることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

・ ネットワーク監視ツールを導入し、リアルタイムで異常を検知

・ 定期的な速度テストを実施し、通信状態をチェック

・ ネットワーク機器(ルーター・スイッチ)の定期的な更新

・ Wi-Fi環境を最新規格(Wi-Fi 6E)に対応させる

・ QoS設定で業務に必要な通信を優先

・ バックアップ回線を確保し、障害時でも業務を継続できる環境を構築

・ セキュリティ対策を強化し、不正アクセスやウイルスの影響を最小限に抑える

次の章では、本記事の内容を総括し、最も効果的な対策についてまとめます。

 

 

ネットワーク設備についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください

ネットワーク設備とは?ビジネスにおけるネットワーク設備の最適化術

 

まとめ

本記事では、社内ネットワークの通信速度が不安定になる原因と、その改善策、さらには未然に防ぐ方法について詳しく解説しました。ネットワークの不安定さは、業務効率の低下やストレスの増大を引き起こし、特にテレワークの普及やクラウドサービスの利用増加によって、その影響がますます大きくなっています。ここで、記事の要点を総括し、最も効果的な対策についてまとめます。

1. 社内ネットワークの通信速度が不安定になる原因とは?

社内ネットワークの通信速度が不安定になる主な原因は、以下のようなハードウェアやソフトウェア、設定の問題が絡み合って発生することが多いです。

主な原因

・ ネットワーク機器の性能不足(古いルーターやスイッチの利用、処理能力の限界)

・ 帯域幅の不足(回線の混雑)(インターネット契約プランの影響、同時接続台数の増加)

・ Wi-Fi環境の問題(電波干渉、アクセスポイント不足、ルーターの設置場所)

・ ネットワークの設定ミス(IPアドレスの競合、不適切なセキュリティ設定)

・ ネットワークケーブルやハードウェアの問題(劣化したLANケーブル、スイッチの発熱による性能低下)

・ 特に、ネットワーク機器のアップグレードとWi-Fi環境の最適化が大きな改善につながるため、まずはこれらの要因を見直すことが重要です。

2. インターネット回線の影響も考慮すべき

社内ネットワークだけでなく、インターネット回線そのものが不安定な場合も、通信速度の低下や接続の途切れが発生することがあります。

インターネット回線の影響

・ プロバイダーによる帯域制限

・ 回線の種類と品質の影響

・ DNSサーバーの応答速度

・ 回線の物理的障害

インターネット回線の影響を最小限に抑えるために、法人向け専用回線やバックアップ回線を検討するのも有効です。

3. 不安定な社内ネットワークを改善する方法

社内ネットワークの不安定さを解消するためには、適切な機器の導入や設定の見直し、トラフィックの管理が重要です。

具体的な改善策

✔ ネットワーク機器のアップグレード

 ・ Wi-Fi 6対応ルーターへの交換

 ・ 1Gbps対応のギガビットスイッチングハブの導入

 ・ 法人向け高性能ルーターの導入(FortiGateやCisco製品)

✔ 帯域幅の増強

 ・ インターネット回線の契約プランを見直す(専用回線の導入を検討)

 ・ QoS設定で重要な通信を優先(オンライン会議、業務アプリなど)

✔ Wi-Fi環境の最適化

 ・ メッシュWi-Fiの導入(広いオフィスでも安定した通信)

 ・ 電波干渉の回避(Wi-Fiのチャンネル変更、5GHz帯の活用)

 ・ ルーターの適切な設置(オフィスの中心に設置、高い位置に設置)

✔ 有線LANの最適化

 ・ CAT6以上のLANケーブルを使用する(古いCAT5ケーブルは交換)

 ・ スイッチの適切な配置と設定(ネットワークループを防ぐ)

 ・ QoSやVLANを活用して負荷を分散する

4. ネットワークトラブルを未然に防ぐ方法

ネットワークの通信速度を安定させるためには、トラブルが発生する前に予防策を講じることが最も重要です。

トラブルを未然に防ぐ具体的な対策

✔ ネットワークの定期点検と監視

 ・ ネットワーク監視ツールを導入(PRTG Network Monitor、Nagios、Zabbix)

 ・ 定期的に速度テストを実施(Speedtest.net、Fast.com)

✔ ネットワーク機器の計画的な更新

 ・ ルーター・Wi-Fiアクセスポイントは 3~5年ごとに更新

 ・ スイッチングハブは 5~7年ごとに交換

 ・ LANケーブルも 劣化したものは交換(CAT6A以上を推奨)

✔ 冗長化(バックアップ回線の確保)

 ・ メイン回線(光回線) + バックアップ回線(5G/4G LTE) の併用

 ・ デュアルWANルーターを導入し、自動で回線を切り替えられるようにする

✔ セキュリティ対策の強化

 ・ ファイアウォールとUTMの導入(不正アクセスをブロック)

 ・ 定期的なセキュリティチェック(ウイルス対策ソフトの更新、不審なネットワーク接続の監視)

5. まとめ:社内ネットワークを安定させるための最優先事項

社内ネットワークの通信速度を安定させるためには、以下の5つのポイントを最優先で取り組むことが重要です。

1. ネットワーク機器の性能を見直し、必要に応じてアップグレードする

2. Wi-Fi環境を最適化し、電波干渉やアクセスポイント不足を解消する

3. 帯域幅を適切に管理し、QoS設定で重要な通信を優先する

4. インターネット回線の品質を確認し、必要なら法人向け回線やバックアップ回線を導入する

5. ネットワーク監視ツールを導入し、定期的に速度や機器の状態をチェックする

特に、ネットワークの安定性を確保するためには、ハードウェアの更新と設定の最適化が不可欠です。これらの対策を実施することで、業務の効率を向上させ、社内のストレスを軽減し、よりスムーズなIT環境を実現できます。

ネットワークの安定性は、企業の生産性向上に直結します。今すぐ自社のネットワーク環境を見直し、安定した通信環境を整えましょう!

 

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