社内のネットワークの通信速度が不安定な原因って何?
社内ネットワークの通信速度が不安定になる原因は複数の要因が絡み合っていることが多く、単一の原因を特定するのが難しい場合があります。ここでは、主な原因を詳細に解説します。
1. ネットワーク機器の性能不足
社内ネットワークの通信が不安定な場合、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の性能がボトルネックになっている可能性があります。
古いルーターやスイッチを使用している
・ 長年使用しているルーターやスイッチは、最新の通信規格に対応しておらず、処理能力が不足していることがあります。
・ 特にWi-Fiルーターの場合、IEEE 802.11acやWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応していない古い機種では通信速度が極端に低下することがあります。
ルーターやスイッチの処理能力を超える通信量
・ ルーターやスイッチには処理できる通信量(スループット)が決まっており、それを超える通信が発生すると遅延やパケットロスが発生することがあります。
・ 例えば、従業員が増えてデバイスの接続数が増加した場合、企業向けの高性能なルーター・スイッチへ交換しなければ処理が追いつかなくなる可能性があります。
2. 帯域幅の不足(回線の混雑)
ネットワークの帯域幅(回線の最大通信容量)が不足すると、社内の全体的な通信速度が低下し、特にピーク時にネットワークが不安定になります。
インターネット回線の契約プランが適切でない
・ インターネット回線の契約プランによっては、通信速度が制限されることがあります。
・ 「ベストエフォート型」の回線では、契約上の最大速度が保証されておらず、利用者が増えると通信速度が著しく低下することがあります。
大量のデータ通信が発生している
・ 社内の複数のPCで大容量のデータをダウンロード・アップロードする作業が同時に行われると、ネットワーク全体の速度が遅くなることがあります。
・ 特に、クラウドストレージ(Google Drive、OneDrive、Dropboxなど)の自動同期や、システムのバックアップ作業が影響を与えることが多いです。
動画配信やオンライン会議の増加
・ ZoomやTeamsなどのオンライン会議ツール、YouTubeなどの動画視聴による通信量の増加が原因で、他の業務に支障をきたすことがあります。
・ 社内でQoS(Quality of Service)の設定を行い、優先すべき通信を指定することで、ネットワークを効率的に管理する必要があります。
3. Wi-Fi環境の問題
社内のネットワークが無線LAN(Wi-Fi)中心で運用されている場合、Wi-Fi特有の問題が通信速度の不安定さに影響を与えることがあります。
電波干渉
・ Wi-Fiの周波数帯(2.4GHz帯、5GHz帯)は、他の無線機器(電子レンジ、Bluetooth機器、他のWi-Fiルーターなど)の影響を受けやすいため、電波干渉による速度低下が発生します。
・ 特に、2.4GHz帯は混雑しやすく、通信速度が不安定になることが多いため、可能であれば5GHz帯を利用すると安定性が向上します。
Wi-Fiのアクセスポイントの数が不足している
・ 広いオフィスや複数フロアにまたがる環境では、1台のWi-Fiルーターでは電波が十分に届かず、通信速度が極端に低下することがあります。
・ メッシュWi-FiやWi-Fi中継器を活用して、オフィス全体に均等に電波を行き渡らせる対策が必要です。
Wi-Fiルーターの設置場所が適切でない
・ Wi-Fiルーターが壁際や棚の中に設置されていると、電波が遮られて通信速度が遅くなることがあります。
・ ルーターはなるべくオフィスの中心部や、高い位置に設置すると電波が届きやすくなるため、適切な配置を検討することが重要です。
4. ネットワークの設定ミス
ネットワーク機器の設定が適切でないと、通信がスムーズに行われずに不安定になることがあります。
IPアドレスの競合
・ 同じIPアドレスを複数のデバイスが使用していると、通信が途切れる原因になります。
・ DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバーの設定を適切に行い、各デバイスに正しいIPアドレスを割り当てることが重要です。
ファイアウォールやセキュリティソフトの影響
・ 過度に厳しいセキュリティ設定(パケットフィルタリングや通信制限)があると、一部の通信が遮断されてネットワークが遅くなることがあります。
・ 必要な通信を許可する設定を見直し、セキュリティと通信速度のバランスを取ることが大切です。
5. ネットワークケーブルやハードウェアの問題
有線LANを使用している場合でも、以下のようなハードウェアの問題が通信速度の不安定さを引き起こすことがあります。
LANケーブルの劣化や規格の違い
・ 古いLANケーブル(CAT5など)を使用していると、通信速度が制限されることがあります。
・ 現在の主流はCAT6以上(1Gbps対応)であり、高速通信が求められる場合はCAT6AやCAT7への交換が推奨されます。
ネットワーク機器の発熱による性能低下
・ ルーターやスイッチが高温になると、処理能力が低下して通信速度が不安定になることがあります。
・ 定期的なメンテナンスや、適切な換気を行い、機器が正常に動作する環境を整えることが重要です。
社内ネットワークの通信速度が不安定な原因はネットワーク機器の性能不足、帯域幅の不足、Wi-Fi環境の問題、設定ミス、ハードウェアの問題など、複数の要因が絡み合っています。特に、Wi-Fi環境の最適化や適切な帯域幅の確保、ネットワーク機器の性能向上が重要です。
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