IT環境

2024.06.20

えっ…有線LANなのに遅い・切れる?見落としがちな原因とは

 

有線なのに不安定?LAN接続が不安定になる意外な原因とは?

えっ、有線LANなのに?不安定になる“盲点”とは

「Wi-Fiは不安定だけど、有線LANなら安心でしょ?」そう思っている方は多いのではないでしょうか。

確かに、有線LANは無線に比べて安定性が高く、通信速度も出やすいという特長があります。ところが現実には、「有線なのに通信が遅い」「しょっちゅう切断される」といった不満の声が少なからず聞かれます。

このようなケースでは、一見気づきにくい“意外な原因”が根本に潜んでいることが多いのです。

以下では、有線LANが不安定になる具体的な原因を項目ごとに詳しく見ていきましょう。

ケーブルが原因!?老朽化・断線・品質不足に注意

原因 1:LANケーブルの経年劣化

LANケーブルも消耗品です。

特に、法定耐用年数以上使用されたケーブルは内部の銅線が劣化・酸化し、信号が正常に伝わらなくなるケースが珍しくありません。また、目に見えない「微細な断線」や「ノイズ混入」も通信不良を引き起こします。

原因 2:低品質ケーブルの使用

市販で安価に手に入るLANケーブルの中には、ノイズ耐性が弱く、シールドが不十分な粗悪品も存在します。これらをオフィスや高トラフィック環境で使っていると、外部からの電磁波干渉(EMI)によって通信が乱れることがあります。

原因 3:不適切な配線経路

LANケーブルが電源ケーブルと並走していたり、蛍光灯やモーターの近くを通っていたりする場合、これらの電磁ノイズによって通信が不安定になるリスクが高くなります。

接続機器や設定の落とし穴

原因 4:コネクタの接触不良

LANケーブルの端子(RJ45コネクタ)がしっかりと差し込まれていなかったり、バネが弱くなっていたりすると、わずかな揺れで通信が途切れることがあります。特に、ケーブルの着脱を頻繁に行うオフィスでは、コネクタの摩耗が進行していることが多いため、見逃せないポイントです。

原因 5:ネットワーク機器のデュプレックスミスマッチ

ルーターやスイッチ、PCのLANアダプタが「通信モード(デュプレックス)」を自動設定にしている場合、まれに誤った組み合わせになることがあります。「片方が全二重(Full Duplex)なのに、もう片方が半二重(Half Duplex)」といった状態では、通信が衝突し、パフォーマンスが著しく低下します。

原因 6:ファームウェアやドライバの不具合

ネットワーク機器やPCのLANアダプタのファームウェアやドライバが古いままだと、互換性の問題や不具合が生じ、通信不安定に陥ることがあります。定期的なアップデートは、有線LAN環境においても非常に重要です。

ネットワーク全体の構成ミス

原因 7:スイッチングハブの過負荷

複数の端末が1台のスイッチングハブに集中接続していると、通信が混雑し、パケットロスや速度低下を引き起こす原因になります。特に、安価な非管理型スイッチはトラフィック制御ができないため、人数や機器が増えると一気に通信品質が劣化します。

原因 8:ネットワークループ

無意識のうちに、2本以上のLANケーブルを同じ機器に差してしまうなど、ネットワークループが発生しているケースもあります。この状態では、データパケットが延々とネットワーク内を循環し、帯域を圧迫します。

ループ防止機能(STP)付きスイッチを使用することで対策可能です。

通信回線やプロバイダの外的要因も無視できない

原因 9:LAN外のインターネット回線品質

ローカルネットワークがいくら安定していても、その先のインターネット回線が遅ければ「不安定に感じる」現象が発生します。特に、集合オフィスビルなどで共用の回線を使用している場合、時間帯によって速度低下が顕著になることもあります。

原因 10:ウイルス・スパイウェアの影響

LAN自体の問題ではなく、PCや機器がマルウェアに感染していることが原因で通信が不安定になる場合もあります。不審な通信がバックグラウンドで行われていると、帯域が圧迫され、結果的に通信全体が遅くなることがあります。

意外な原因を見逃さないことが解決への第一歩

以上のように、有線LANが不安定になる原因はケーブルやコネクタなどの“物理的要因”から、機器の設定やネットワーク構成、外部回線の品質まで多岐に渡ります

「有線だから大丈夫」という思い込みは通用せず、目に見えないトラブルの根を丁寧に掘り下げる必要があるのです。もし、複数の端末やエリアで同時にトラブルが発生している場合は、プロによる診断や測定を検討することが早期解決への近道になります。

次の章では、こうした問題をどう改善していけばよいのか、具体的な対策について詳しく解説していきます。

 

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安定しない有線LANを改善する方法とは?

一時しのぎではなく“根本解決”を目指すべき理由

有線LANの不安定さに悩まされている場合、一時的な再起動やケーブルの抜き差しだけでは根本的な解決にはなりません

たとえ改善したように見えても、再び同じようなトラブルが発生する可能性が高いからです。したがって、問題の原因を正確に突き止め、それに対する最適な対策を講じることが極めて重要です。

ここでは、実際に多くの現場で効果が認められている具体的な改善方法を、項目ごとに詳しく紹介します。

改善策 1:LANケーブルをカテゴリ6A以上に交換する

最も手軽でありながら効果的なのが、LANケーブルの交換です。

現在もCat5eやCat6ケーブルを使用している場合、Cat6A以上のシールド付きケーブルに交換するだけで、ノイズ干渉を大幅に軽減できる可能性があります。

【LANケーブル性能比較表】

カテゴリ最大通信速度周波数帯域特徴
Cat5e1Gbps100MHz古い環境向け、ノイズに弱い
Cat61Gbps250MHz標準的な社内LAN構成向け
Cat6A10Gbps500MHz高速通信・ノイズ対策◎
Cat710Gbps600MHz業務用・STP推奨環境

 

ケーブルの劣化や内部断線は見た目では判断できないため、導入後5年以上経っている場合は、まず疑ってみるべきです。

改善策 2:配線ルートと敷設方法を見直す

LANケーブルの品質が良くても、敷設経路に問題があると通信が不安定になることがあります。

特に以下のような配線環境は要注意です。

・ 電源ケーブルと並走している(ノイズ干渉)

・ 蛍光灯、モーター、電子レンジの近くを通っている

・ ケーブルが途中で何度も折れ曲がっている(伝送ロス)

・ ケーブル長が100mを超えている(信号減衰)

このような場合は、配線経路を再設計し、ノイズ源からできるだけ距離をとるよう施工をやり直す必要があります。また、ケーブルクランプや配線ダクトを活用して物理的に安定した状態を維持することも重要です。

改善策 3:ルーター・ハブを最新モデルに更新する

通信機器の老朽化も、有線LANの不安定さに直結する大きな要因です。

古いルーターやスイッチングハブは、通信処理能力やポート性能に限界があり、多数の端末が同時にアクセスするとデータ処理が追いつかなくなります。

特に、以下のような機器は交換を検討すべきです。

・ 購入から5年以上経過している

・ ギガビット(1000BASE-T)に対応していない

・ 管理機能(VLAN、QoS)がない非管理型スイッチ

また、PoE(Power over Ethernet)対応スイッチに更新することで、今後のIPカメラやIoT機器導入にも柔軟に対応できます。

改善策 4:ネットワーク設定の最適化とファームウェア更新

有線LANの安定性は、物理的な配線だけでなく、論理的な設定の整備によっても向上します。

以下の項目を確認・調整することで、通信の安定性が劇的に改善されるケースが多々あります。

【設定確認ポイント】

・ デュプレックスモードの固定設定(Full Duplex推奨)

・ IPアドレスの競合防止(静的IP設定またはDHCP管理)

・ ルーターやスイッチのファームウェアを最新版に更新

・ トラフィック分散のためのVLAN設定

・ 不正アクセス対策のセキュリティポリシー設定

特に、「なんとなく初期設定のまま使っている」場合は、通信品質に悪影響を及ぼしている可能性が高いため、早急に見直す必要があります。

改善策 5:スイッチングハブの階層構成を導入する

中小規模以上のオフィスでは、ネットワーク機器の階層化が重要です。

すべての端末を1台のハブに接続する構成では、トラフィックが集中し、帯域の取り合いが発生してしまいます。

これを防ぐためには、以下のような階層構成の導入が効果的です。

【階層型ネットワーク構成の例】

・ コア層

・ ディストリビューション層

・ アクセス層

このように構成することで、ネットワーク負荷が分散され、安定した通信環境が実現できます。

改善策 6:プロによる現地調査と再配線工事を依頼する

上記の改善策を試してもなお通信不安定が続く場合、社内対応では限界があると判断し、専門業者に診断を依頼すべき段階です。

専門業者であれば、以下のようなプロフェッショナルな対応が可能です。

・ LANテスターによるケーブル品質チェック

・ 通信トラフィックの可視化や解析(スループット、パケットロス)

・ 構内LANの経路設計と再施工

・ セキュリティを考慮した再構成提案

・ 導入後の保守や点検契約による継続サポート

自社内で試行錯誤する時間を短縮し、トラブルの再発防止につなげる意味でも、プロの介入は大きなメリットとなります。

有線LANの改善は“未来への投資”

有線LANの不安定さは、単に「つながらない」「遅い」という不便にとどまらず、業務効率や信頼性、顧客対応力にまで悪影響を与える重大なリスクですだからこそ、表面的な対症療法ではなく、構造的な見直しとプロの力を借りた改善が不可欠となるのです

次の章では、さらに安定した通信環境をつくるための設計の考え方と、トラブルを未然に防ぐためのポイントを詳しく解説していきます。

 

 

社内ネットワークについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください

中小企業が今すぐ取り組むべきネットワーク構築|成功のカギとは?

 

通信不良を防ぐ!安定した有線LANを実現するには?

一時的な復旧ではなく“計画的な通信基盤”が求められる時代に

業務用ネットワークにおいて通信不良は、単なるトラブルではなく「業務停止リスク」そのものです

たとえば、社内で使用している会計システムや顧客管理ソフトがクラウド上にある場合、通信が数分でも止まるだけで重大な業務遅延や情報漏洩のリスクにつながります。したがって、通信不良を防ぐためには、「運用しながら守る」視点と、「構造から見直す」視点の両方を取り入れた施策が重要です。

ここでは、安定した有線LANを実現するための具体策を、予防と改善の両面から詳しく紹介します。

ポイント 1:通信の“見える化”を行う

まず第一に重要なのが、社内ネットワークの状態を“把握できる状態”にしておくことです。

ネットワークが不安定になった際、「どの機器で」「いつ」「どのような不具合が起きているか」を即座に判断できる環境が整っていなければ、適切な対処は不可能です。

通信監視を実現する代表的なツール・手段

・ SNMP(Simple Network Management Protocol)によるトラフィック監視

・ Zabbix、PRTGなどの監視ツールの導入

・ ポートミラーリングを用いたパケットキャプチャ

・ ログ収集ツールによるトラブル兆候の早期検出

こうした監視体制を整備することで、通信エラーやパフォーマンス劣化の前兆を“数字”で把握できるようになり、未然防止が可能になります。

ポイント 2:“セグメント分割”によるトラフィックの平準化

近年のオフィスネットワークでは、PC・プリンタ・スマートフォン・監視カメラ・IoT機器など、さまざまなデバイスがLANに接続されています。その結果、通信トラフィックが集中しやすくなり、一部の端末だけ極端に遅くなる、あるいは一時的に接続不能になるといった問題が発生します。

解決策:VLANの活用によるセグメント分割

・ 社員用端末、来客用端末、監視カメラを論理的に分離

・ 各セグメントに帯域制限や優先通信設定(QoS)を適用

・ セキュリティポリシーによるアクセス制御

このような対策により、業務系通信の安定性を確保しながら、他のトラフィックの影響を最小限に抑えることが可能になります。

ポイント 3:PoE対応で機器管理を効率化

近年では、監視カメラやIP電話、無線アクセスポイントなどのLAN機器において、PoE(Power over Ethernet)対応が標準となりつつあります。

これは、LANケーブル1本で通信と電源供給の両方をまかなう仕組みであり、配線の簡素化・故障時の管理性向上・導入コストの削減など、さまざまなメリットがあります。

安定性向上におけるPoEの利点

・ 電源トラブルを1箇所で集中管理できる

・ UPSとの連動により、停電時でも一部機器を稼働継続できる

・ スイッチ側で機器の死活監視が可能になる

これにより、ネットワーク全体の信頼性が大幅に向上するとともに、トラブル対応の迅速化にもつながります。

ポイント 4:“予備構成”と“冗長化”で止まらないネットワークを作る

有線LANの構成において、「1本のケーブルに依存している」「1台のスイッチが壊れたら終わり」という状態は、非常にリスクが高い構成です。

そのため、予備回線・冗長構成の導入は、今や必須とも言える施策です。

実用的な冗長構成の例

・ コアスイッチを2台冗長化し、片方に障害が出ても通信を維持

・ 主要端末を複数のネットワークセグメントに接続してフェイルオーバー

・ ネットワーク機器用のUPS導入による瞬断防止

このような構成を取ることで、機器の障害や外部トラブルにも動じない強固な通信基盤を実現できます。

ポイント 5:プロによる年次点検・配線チェックの導入

ハード面・ソフト面での対策を講じても、時間の経過とともにLAN環境は少しずつ劣化していきます。そのため、定期的な専門業者による点検・保守契約の導入が、安定した通信を維持する上で非常に重要です。

プロが行う主な点検項目

・ LANケーブルの信号減衰測定

・ コネクタ部分の接触確認や酸化チェック

・ 配線ルートの変更提案や遮蔽対応

・ ネットワーク構成図の整備や更新

・ 設備投資計画のアドバイス(次世代対応)

通信トラブルが起こる前に、未然に発見し対策できる体制を整えておくことで、安定稼働の時間を最大限に引き伸ばすことができます。

安定通信は“ビジネスの根幹”を守る基盤になる

有線LANの通信不良は、単に「ネットが遅い」という問題ではなく、業務効率・取引の信頼・トラブル対応力に直結する経営課題ですそのため、安定した通信を実現するためには、ハード面の刷新だけでなく、ネットワーク構成の合理化・監視体制の整備・将来を見据えた運用体制づくりが求められます

次のセクションでは、オフィスにおける有線LANトラブルの特徴と、専門業者に依頼すべき具体的なタイミングや判断基準について解説してまいります。

 

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オフィスの有線LANが不安定?業者に依頼すべきタイミングとは?

「不安定なまま使い続ける」ことが最も危険

有線LANのトラブルが発生した際、多くの企業がまず「自社での対応」を試みます。

社内のIT担当者や、PCに詳しいスタッフが再起動やケーブル交換を行い、一時的に改善したように見えるケースは確かに存在します。しかし、根本原因を突き止めずにそのまま運用を続けていると、ある日突然、重要な業務がストップするような致命的なトラブルに発展しかねません。

「原因が分からない」「いつまた起きるか分からない」状態が続くのであれば、それはすでに“プロに頼るべきタイミング”に来ているのです

業者に依頼すべき代表的な症状とその理由

症状 1:一部の端末やエリアだけ通信が極端に遅い/切れる

このような現象は、配線経路の劣化・ノイズ干渉・スイッチポートの障害など、目に見えない場所で発生している問題が原因であることが多く、社内で特定するのは非常に困難です。

プロであれば、LANケーブルテスターやパケットモニターなどを使用して、物理・論理の両面からトラブル箇所を特定できます。

症状 2:曜日や時間帯によって通信が遅くなる

特定の時間帯(たとえば午前10時や午後3時)に通信が不安定になる場合、ネットワーク帯域の過負荷やVLAN構成の不備、機器の処理能力不足が考えられます。

このような場合、ネットワーク全体のトラフィック解析が必要になりますが、専門的な知識とツールがなければ的確な分析は困難です。

症状 3:トラブルの原因が分からず、復旧と再発を繰り返している

有線LANに関するトラブルが“何度も繰り返されている”にもかかわらず、原因がはっきりしないという状況は、構造的な問題が隠れている可能性が極めて高いです。

その場しのぎの対応を続けるより、プロの診断を受けて根本的に改修する方が、結果的にコストも抑えられ、業務も安定化します。

業者依頼による調査・対応の具体例

有線LANの診断・改善を行う専門業者は、単に「ケーブルを張り替えるだけ」ではありません。多角的かつ論理的なアプローチで、ネットワーク全体を最適化してくれます。

ステップ 1:現地調査・ヒアリング

・ 通信の不具合が起きている状況の確認

・ 配線ルートの目視調査や断線リスクの点検

・ 使用している機器の確認と性能診断

ステップ 2:機器診断・測定

・ LANケーブルの信号損失やノイズ検出(LANテスター)

・ 通信速度やパケットロスの測定(スループットテスト)

・ スイッチ/ルーターのログ確認とファームウェア診断

ステップ 3:改善提案・工事

・ 経年劣化した配線の刷新(Cat6A以上推奨)

・ スイッチの分散配置やVLAN導入によるトラフィック改善

・ コアスイッチの冗長化やPoE配線の導入

これらの対応により、単なる修復にとどまらず、将来を見据えたネットワーク設計が実現できるのです。

「社内対応の限界」を見極めるための判断基準

業者に依頼すべきか迷った場合は、次のチェックリストを参考にしてください。

【業者依頼の判断チェックリスト】

 チェック項目
1.トラブルの原因が1週間以上特定できていない
2.3ヶ月以内に2回以上同じようなトラブルが発生している
3.通信速度が1Gbpsに届いていない端末が複数存在する
4.配線やスイッチが何年使われているか把握できていない
5.業務が完全に止まったことがある(社内システム含む)

 

2項目以上に該当する場合は、専門業者による診断と改善を強く推奨します。

業者依頼は“コスト”ではなく“投資”

LANの安定化にかかる費用を「コスト」と捉えるのではなく、業務効率・トラブル防止・セキュリティ強化につながる“投資”として考えることが大切です

実際に、業者に依頼したことで次のような成果を得られた企業は数多く存在します。

・ 月に3回発生していたシステム停止がゼロに

・ 遅延による作業効率低下が解消され、年間300時間の作業時間を短縮

・ 顧客対応中の通信切断が解消され、クレームゼロを実現

一時的な支出であっても、長期的には確実に“回収できる投資”となるのが、LAN構成の最適化なのです

 

次章では、「有線LANの配線はプロに任せた方がいいの?」という疑問に対して、施工精度や安全性、そして長期運用の観点からなぜプロ施工が有利なのかを具体的に解説していきます。

 

 

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電気工事で忘れてはいけない!ネットワーク工事の必要性と基礎知識

 

有線LANの配線はプロに任せた方がいいの?

DIY施工が引き起こす“通信の落とし穴”

最近では、LAN配線を自社で施工しようと考える企業も増えています。

「LANケーブルを買ってきて繋ぐだけでしょ?」「業者に頼むよりコスト削減できるはず」と思うかもしれません。しかし実際には、素人施工による配線トラブルが安定性の大きな妨げになっているケースが非常に多いのです

一見、きちんと繋がっているように見える配線でも、内部断線・曲げ角度の違反・シールド不足・規格不適合のコネクタ使用など、外から見えないミスがネットワークの不安定化を招いていることが少なくありません。

プロ施工とDIYの違いは“見えない技術”にある

【プロに任せた場合の特徴】

項目プロ施工の内容
配線ルートの設計電磁干渉を回避した動線でルートを設計し、ノイズによる通信障害を防止
ケーブルの選定使用環境に応じてCat6A〜Cat7の高品質シールド付きケーブルを選定
結線の技術テスターで端子ごとの導通・反射・損失をチェックし、施工品質を数値で証明
機器構成とセグメント化VLAN・QoS設定まで含めたネットワーク最適化提案を実施
安全と法令の遵守必要に応じて電気工事士資格を有した技術者が施工を担当

【DIY配線のリスク】

・ ケーブルが電源線と干渉してノイズ障害を引き起こす

・ 100m以上の配線で信号減衰が発生し通信断が頻発

・ RJ45端子の結線ミスや緩みによって通信がブツブツ切れる

・ 将来的な拡張や増設を見越した構成ができず再施工コストが発生

このように、目に見えない品質や信号処理能力の差が、安定通信の成否を大きく左右するのです。

LAN配線には“資格”と“経験”が必要な理由

一部のLAN配線工事には、電気工事士などの国家資格が必要とされるケースがあります。

たとえば以下のような作業では、DIYでは困難な施工や無資格者の施工では法的にNGの場合などがあります。

・ モール内や壁中へのLANケーブル敷設

・ 天井裏や床下を経由するケーブル設計

・ 電源との一体化(PoE対応機器の設置)

・ ビル共用設備(IDF/MDF)との接続作業

さらに、配線の工事品質は“実績と経験”がものを言う分野です。

配線の引き回し1つとっても、施工環境・電波状況・将来の拡張性まで加味した最適設計が求められるため、経験豊富なプロによる対応が圧倒的に有利になります。

プロ施工の大きなメリット:中長期コストの最小化

初期費用だけを見れば、自社で施工するほうが安く済むように感じるかもしれません。

しかし、後から通信トラブルが頻発して対策に工数とコストを割き続けるようでは、トータルでは大きな損失につながります。

【プロ施工による中長期的メリット】

・ ネットワークトラブルが激減し、業務停止リスクを回避

・ 故障や断線の予兆を早期に発見し、予防保守が可能

・ 配線図や構成図が整理され、社内IT資産の管理が容易に

・ 拡張やレイアウト変更時も最低限の手間とコストで対応可能

このように、プロに任せることで長期的な安定運用とコスト最適化が同時に実現できるのです。

「任せる」という選択が“安心”を生む

社内のIT環境は、近年ますます複雑化しています。

クラウドサービス、IP電話、監視カメラ、IoT機器…これらをすべて安全・安定に運用していくためには、LANという「情報インフラの土台」がしっかりしていることが前提です

その土台をつくる役割を、信頼できる専門業者に任せることは、単なる作業の委託ではなく“ビジネス基盤を守る重要な戦略的判断”なのです

次の章では、なぜ社内LANが不安定になりやすいのか、その構造的な理由と、配線工事の必要性についてさらに深掘りしていきます。

 

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社内LANが安定しない理由と配線工事の必要性とは?

安定しないのは「LANのせい」ではなく「構造のせい」かもしれない

社内LANの通信が不安定だと感じたとき、多くの担当者が真っ先に疑うのは「ケーブルの断線」「機器の故障」など、目に見える物理的な要因です

確かに、それらも一因にはなります。しかし、実際の現場では「構造的な問題」や「設計段階の不備」が、通信不良の本質的な原因であるケースが非常に多いのです

つまり、LANが安定しない根本の理由は、配線の劣化ではなく“配線のあり方そのもの”にあると言っても過言ではありません。

“昔のまま”が生む3つのリスクとは?

リスク 1:構成が時代に合っていない

10年以上前に構築されたLAN配線は、当時の通信量や端末数を基準に設計されていることが多く、現在のクラウド利用やIoT機器の多接続には対応しきれていません。

・ 1Gbps対応のはずのネットワークが、スイッチの能力不足で実質100Mbps以下に制限されている

・ 会議室や共用スペースで、想定以上の端末数が同時接続しボトルネックが発生している

・ サーバールームからのケーブルが星形でなく“だらだら接続”になっており、トラブル箇所が特定できない構成になっている

このような構成では、どれだけ機器を交換しても本質的な改善にはつながりません。

リスク 2:配線が“見えないところ”で劣化している

特にビルの天井裏やOAフロアの床下に敷設されたLANケーブルは、長年放置されているケースが多く、誰も正確なルートや長さを把握できていないこともあります。

・ ケーブルの外皮が破れて湿気が侵入している

・ 蛍光灯のインバータや電源線に接近し、ノイズ干渉が発生している

・ 長距離配線で信号減衰が進行している

このような見えないリスクを放置したままでは、断続的な通信トラブルに悩まされ続けることになります。

リスク 3:施工記録や配線図が残っていない

意外に多いのが、「どのケーブルがどの部署に繋がっているのか誰も分からない」という状態です。

特に旧オフィスを引き継いで使用している場合や、増設を繰り返している場合は、配線の全体像が不明瞭になっていることが珍しくありません。

その結果、

・ 機器を入れ替えるたびにLANが不安定になる

・ 端末移動や拠点拡張のたびに施工業者に手間とコストがかかる

・ トラブルが起きても“どこを見ればよいのか”分からず復旧に時間がかかる

といった悪循環が発生します。

配線工事の必要性=“ネットワークの見える化”と“再構築”

こうしたリスクを根本から取り除くには、社内LANの再配線工事と構成見直しが必須です。単にケーブルを引き直すだけでなく、通信経路・セグメント・管理手法まで含めた“全体設計の再構築”が求められます。

配線工事で得られる主なメリット

・ 現状の配線ルートや機器構成が“見える化”される

・ LANのループや帯域の偏りなど、構造上の問題が解消される

・ 将来的な拡張性や柔軟性を備えたネットワーク設計が可能になる

・ トラブル発生時の復旧スピードが飛躍的に向上する

このように、配線工事は単なる“工事”ではなく、IT基盤を再構築するプロジェクトと捉えるべきなのです。

工事の最適なタイミングとは?

「今すぐ配線工事をすべきかどうか?」と迷う方も多いかと思います。

以下のような状況が1つでも当てはまる場合、再構築の検討を強くおすすめします。

【配線工事が必要なシグナル】

・ 月に1回以上、通信トラブルや再起動対応が発生している

・ スイッチやルーターのLEDランプが頻繁に点滅しすぎている

・ ネットワーク構成図が存在せず、誰も現在の構成を把握していない

・ 新拠点や新部署の設置にあたり、配線ルートの確保が困難になっている

・ オフィス移転、レイアウト変更、リフォームを予定している

とくに移転やレイアウト変更時は、配線ルートを抜本的に見直す最大のチャンスです。このタイミングで再構築しておけば、以後5年〜10年の安定運用と設備資産の整備が一気に進みます。

今こそ、構造を“整える”ことが安定化の第一歩

社内LANの不安定さは、表面的な問題ではなく、構造・設計・可視性の3点すべてが絡む「システムの深部」にある問題ですだからこそ、改善には時間も手間もかかりますが、配線工事を通じてその基盤を整えることが、あらゆるトラブルを“未然に防ぐ仕組み”を構築する最短ルートです

次章では、今後のビジネス環境の変化を踏まえながら、「有線LANの不安定さ」は将来的にどう変わっていくのか?という視点から、今後の展望と対策を深掘りしていきます。

 

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有線LANにおける不安定さって今後どうなっていくの?

有線LANの安定性は“永遠”ではない

かつて「安定した通信」といえば、迷いなく有線LANが選ばれる時代がありました。

現在でも、有線LANは無線LANよりも通信品質が高く、速度やセキュリティにも優れるという点で、多くの企業や施設に採用されていますしかし、その有線LANもまた、今後の通信環境の変化に対して“常に安定している”とは限らなくなってきています

技術の進化、接続端末の多様化、そしてオフィスの在り方の変化など、さまざまな要素が影響を与え、有線LANの構築・運用にも新たな課題が生まれつつあるのです。

今後、有線LANに求められるものは“速さ”より“柔軟性”

従来、有線LANにおいて最も重視されていたのは「高速かつ安定した通信」でした。

そのため、1Gbps対応のCat6ケーブルやギガビットスイッチを中心に構成されるネットワークが標準となっていました。しかし、テレワークの普及やクラウドサービスの定着、さらにはIoTデバイスの拡大により、ネットワークの“柔軟性”が新たな要件として求められるようになっています。

具体的に求められる柔軟性とは?

・ 社員のフリーアドレス化による端末の移動や接続先変更への即時対応

・ 新たなサービス(Zoom、Teams、VPNなど)の増加によるトラフィック変動への適応力

・ デバイス増加(監視カメラ、センサー、会議システム)に対応できる拡張性と構成管理力

今後は、単に「ケーブルで繋がっていれば安定する」という時代ではなく、動的な業務環境に対応できるネットワーク構成の“再設計”がカギとなるのです。

技術進化が“新たな不安定さ”を生む可能性も

技術が進化すればするほど、それに伴う構成ミス・設定不備・物理的制限も増えていきます。

たとえば、次のような変化は、LANに新たな不安定要因を持ち込むリスクがあります。

1. 10Gbps通信の普及と旧インフラのギャップ

現在、企業の中でも10Gbps対応の高速ネットワーク機器やサーバーを導入するケースが増えてきています。しかし、既存のCat5e/Cat6の配線環境では、通信速度に限界があるばかりか、誤認識や不安定動作の原因になります。

2. PoE給電の高度化

PoE機器の高出力化により、1本のLANケーブルに流れる電流が増加し、ケーブル自体の発熱や信号干渉が発生するケースもあります。このような課題に対応するためには、より高グレード(Cat6A以上)のケーブルと、高耐久の端子構成が必要不可欠になります。

3. ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)の台頭

ネットワーク制御がソフトウェア中心になっていく中で、設定や更新ミスが致命的なトラブルを引き起こすリスクも高まります。人の手による管理から、運用ルール・自動化ポリシーへの移行が急務となるでしょう。

今後の有線LANは「ハイブリッド運用」が前提になる

完全無線化を目指す企業も少なくありませんが、依然として有線LANの必要性は高く、むしろ“無線と有線の併用=ハイブリッドネットワーク”が今後の主流になると考えられています。

ハイブリッド型ネットワークの具体例

利用エリア推奨ネットワーク構成
会議室・共有エリアWi-Fi6対応の無線ネットワーク
執務スペース有線LAN(PoE対応)+セグメント管理
サーバールーム高速有線LAN(10Gbps)+冗長構成
セキュア業務用PCVLANで分離された物理LAN+アクセス制限設定

 

このように、エリアや目的に応じて最適なネットワークを柔軟に組み合わせることが、安定性と拡張性を両立する最善策になります。

有線LANの未来=“維持するために変える”という選択

「有線LANは安定している」という言葉は、それを“きちんと維持・運用・再構築している”場合にのみ成り立つ前提です

今後、以下のような取り組みが必須になります。

・ 5〜10年ごとの配線見直しと機器更新

・ トラフィックの見える化と予兆検知の導入

・ 将来の増設・移転を想定した構成とルール作り

・ プロによる定期的な点検や運用パートナー体制の確立

これらを継続的に行っていくことで、有線LANは今後も“安心・安全な業務インフラ”として企業活動を支え続けることができるのです

 

次章では、ここまで解説してきた内容を踏まえて、有線LANの不安定さに悩まされないための総括と今後の実践ポイントを「まとめ」として展開いたします。

 

 

ネットワーク設備についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください

ネットワーク設備とは?ビジネスにおけるネットワーク設備の最適化術

 

まとめ

有線LANの“不安定”は、単なるトラブルではなく“構造的な課題”である

ここまでの解説を通して明らかになったのは、「有線LANが不安定になる原因は、単一ではなく複合的である」という事実です

一見シンプルに見えるLAN配線ですが、そこにはケーブルの劣化や設置環境のノイズ、ネットワーク機器の性能、構成の偏り、管理体制の不備といった、さまざまな要因が絡み合っています

そしてその根本には、「長年見直されていないネットワーク設計」と「曖昧な運用ルール」という、構造的な課題が存在しているのです。

有線LANを安定化させるための6つの実践ポイント

1. LANケーブルはCat6A以上・STP仕様の高品質なものを使用する
  → 物理的なノイズ・断線リスクを大幅に軽減できます。

2. 電源線や高周波機器から離したルート設計を行う
  → ノイズ干渉を回避し、長期的な安定通信を実現します。

3. 機器のデュプレックス設定やファームウェアを定期的に確認・更新する
  → 設定ミスや古い仕様によるトラブルを未然に防ぎます。

4. スイッチングハブの階層化とVLANによるセグメント分離を導入する
  → トラフィックの偏りを防ぎ、複数端末の同時利用に強くなります。

5. トラブルが続くようであれば、迷わず専門業者に診断・再設計を依頼する
  → 社内対応の限界を越えて、根本解決へと導けます。

6. オフィス移転やレイアウト変更時には必ずLAN構成を見直すこと
  → 構造的な見直しを行う最大の好機となります。

安定したLAN環境は“企業の基盤力”に直結する

近年のビジネスでは、社内外とのやり取りはもちろん、クラウドサービスの常用・リモートワーク・IoT活用など、ネットワークへの依存度がかつてないほど高まっています。つまり、有線LANが安定していることは、もはや“通信インフラの一部”というだけでなく、企業競争力そのものを左右する要素になっているのです。

・ クライアントへの迅速な対応
・ 営業資料やファイルの円滑な共有
・ セキュリティリスクの最小化
・ 緊急時の復旧スピードの向上

これらすべては、「通信が止まらないこと」=「有線LANの安定性」が実現してこそ成立する業務基盤なのです。

有線LANは“手をかけ続けるべきインフラ”である

有線LANは、Wi-Fiとは異なり、物理的な強度やセキュリティ面において今後も有効な通信手段であり続けるでしょう。しかし、それは「設置したままでよい」「昔のままで問題ない」という意味ではありません。

むしろ今後は、

・ 10Gbps化への対応

・ PoE機器の拡大

・ SDN(ソフトウェア定義ネットワーク)との連携

・ ゼロトラストネットワーク構成との併用

など、新たな通信要件と向き合う必要が出てきます。

だからこそ、有線LANは“放置するもの”ではなく“育てていくべきネットワークインフラ”として、定期的に見直しと再設計を行っていく姿勢が求められるのです。

最後に:通信の安定性は、企業の“信用”をつくる

有線LANの不安定さに悩まされるということは、それだけでビジネスの信用を損なうリスクがあるということです

お客様との会議中に接続が切れた。
社内でデータの共有ができない。
クラウドの会計システムが止まった。

こうした1つひとつの“小さな不安定さ”が、やがて大きな信頼の崩壊につながるかもしれません。

だからこそ、通信インフラを軽視せず、しっかりと向き合い、計画的にメンテナンス・改善を重ねていくことが、これからの企業に求められる姿勢です

 

“今のままで何となく使えている”ではなく、“明日も、1年後も、10年後も安定して使える”LAN構成へ。
その第一歩として、ぜひ一度、自社の有線LAN環境を見直してみてはいかがでしょうか?

 

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