キッチンの電気工事リフォーム完全ガイド｜コンセント・照明・IH

キッチンリフォームで「電気工事」が欠かせない理由とは？

キッチンリフォームを検討するとき、多くの方は「システムキッチンのデザイン」や「収納の使いやすさ」に意識が向きます。
しかし、実際に快適で安全なキッチン空間をつくるうえで最も重要なのは『電気工事』です。
電気の配線や電源容量を見直さないまま新しい設備を導入すると、ブレーカーが落ちる・電圧不足で機器が動かない・火災リスクが高まるといった深刻なトラブルを招く可能性があります。

近年のキッチンは、IHクッキングヒーター・食洗機・レンジフード・オーブンレンジ・冷蔵庫など、多くの電化製品を同時に使用する前提で設計されています。
これらの機器は高出力タイプが多く、電源容量（アンペア数）や配線ルートの見直しが不可欠です。
たとえば、IHクッキングヒーターは200Vの専用回路が必要であり、古い住宅では100V回路しか備わっていないケースも少なくありません。
そのまま設置すると、電圧不足で動作不良や過熱・発火の危険性が生じます。

さらに、リフォーム時にはコンセントの位置と数も再設計する必要があります。
トースター・ミキサー・電気ケトルなどの小型家電を頻繁に使う現代のキッチンでは、従来の2〜3口では圧倒的に不足します。
延長コードを多用すると、足元が散らかって見た目が悪くなるだけでなく、発熱やトラッキング火災の原因にもなります。
したがって、最初から適切な位置に十分な数のコンセントを配置することが大切です。

また、見落とされがちなのが照明設備の電気計画です。
作業性を高めるためには、ダウンライト・手元灯・間接照明などを組み合わせた配線設計が求められます。
明るさや色温度、スイッチ位置を含めて、電気工事士による現場確認と設計が必要です。
これにより、影ができにくく、調理しやすい明るいキッチンを実現できます。

さらに重要なのは、安全性の確保です。
水回りに近い場所で電気を扱うため、感電・漏電対策としてアース付きコンセントや漏電ブレーカーの設置が不可欠です。
これを怠ると、見た目が美しくても安全面で致命的な欠陥となりかねません。
プロの電気工事士が関与することで、電気設備の法令遵守・絶縁抵抗測定・安全確認が徹底されます。

要するに、キッチンリフォームにおける電気工事は「デザインを支える土台」であり、「安全と機能を守る要」です。
電気設備を軽視すると、せっかくのリフォームが“使いづらく危険な空間”になるリスクがあります。
逆に、適切な電気工事を行えば、見た目も使い勝手も兼ね備えた理想のキッチンが実現します。

【まとめポイント】

・ 高出力家電対応の電源容量・配線設計が必要

・ コンセント位置や数の最適化で利便性と安全性を確保

・ 照明計画とアース施工で快適かつ安全な作業環境を実現

次の項目「コンセントの位置・数を最適化するポイント」では、実際にどのような配置設計が望ましいかを具体的に解説していきます。

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電気工事はプロに任せるべき理由とは？

「突然、ブレーカーが落ちた」「コンセントが焦げている」「照明がチカチカする」──そんな電気のトラブル、意外と多くのご家庭やオフィスで起こっています。
しかし、これらのトラブルを自分で何とかしようとするのは非常に危険です。電気工事は国家資格が必要な作業であり、誤った対応は感電や火災の原因にもなりかねません。

また、以下のようなケースも電気工事の対象です。

・ コンセントやスイッチの増設や移設

・ 照明器具の交換やLED化工事

・ 漏電調査と対応

・ 分電盤やブレーカーの交換

・ エアコン専用回路の新設

こうした専門性の高い電気工事は、必ず資格を持つ業者に依頼することが鉄則です。

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よくある電気工事のトラブル例と対応事例

1.　コンセントが焦げている・熱を持っている

→ 原因：配線の接触不良や電力オーバー
→ 対応：配線の交換、コンセントの安全基準対応への交換

2.　エアコン設置の際に電源が足りない

→ 原因：専用回路が未設置
→ 対応：分電盤から専用回路を新設し、安全に使用可能に

3.　築年数の古い住宅での漏電調査

→ 原因：経年劣化やシロアリによる断線
→ 対応：回路全体のチェック＋絶縁工事を実施し再発防止

このように、住まいの電気に関するお悩みは「電気工事110番」ひとつで解決可能です。

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コンセントの位置・数を最適化するポイント

キッチンリフォームで快適さと安全性を大きく左右するのが「コンセント計画」です。
調理家電や小型機器を効率的に使うためには、適切な位置と十分な数のコンセントを配置することが欠かせません。
しかし、多くの住宅では設計段階でコンセントの数が足りず、リフォーム後に「延長コードだらけになってしまった」という声も少なくありません。
この問題を防ぐには、使用する家電の種類・設置位置・消費電力をすべて考慮したうえで、電気工事士による計画的な配線設計を行う必要があります。

家電の使用シーンから考える最適なコンセント配置

キッチンでは、一度に複数の家電を使用する場面が多くあります。
たとえば、炊飯器・電子レンジ・トースター・ミキサーなどを同時に使うと、1か所に集中した電源ではブレーカーが落ちる可能性があります。
そのため、作業エリアごとにコンセントを分散配置することが理想です。

【キッチン内の主な設置場所と推奨コンセント数】

このように、用途別にエリアを分けて設計することで配線が整理され、作業効率と安全性が大幅に向上します。
特に水回り近くのコンセントは感電防止のためアース付きコンセントの使用が必須です。

延長コードの多用は危険！火災リスクを回避する配線設計

延長コードやタップを多用すると、見た目が乱雑になるだけでなく、発熱やトラッキング火災の原因になります。
湿気の多いキッチンではほこりが溜まりやすく、長期間差しっぱなしにしていると発火リスクが高まるため非常に危険です。
これを防ぐには、リフォーム時に壁面や床下にコンセントを新設し、必要な位置まで配線を延ばす工事を行うことが重要です。

電気工事士による施工では、回路分岐と配線経路の最適化を行い、複数の家電を安全に同時使用できるよう設計します。
たとえば、IHクッキングヒーター用200V回路と一般家電用100V回路を分離することで、過負荷を防ぎ、安定した電力供給を確保できます。

将来の機器増設にも備えた余裕のある設計を

キッチン家電は年々進化しており、今後も新しい機器が増える可能性があります。
リフォーム時には現状だけでなく、将来を見据えた「余裕のある電気配線計画」が求められます。
たとえば、家電棚の内部やカウンター裏など、普段は見えない場所に予備コンセントや空き配線を設けておくと、後からの追加工事が不要になります。

また、USBコンセントやスマートコンセント（IoT対応）を導入すれば、スマートフォン充電やスマート家電連携にも対応でき、次世代型のスマートキッチン化が実現します。

安全性を確保するためのアース施工と防水対策

キッチンのような水・熱・湿気が集中する空間では、安全対策を最優先に考えることが大切です。
特に、食洗機やIHクッキングヒーターなどの高出力家電は、必ずアース線を接続して漏電を防止します。
さらに、防水キャップ付きコンセントや漏電ブレーカーを併用することで、感電や火災のリスクを最小限に抑えることができます。

これらの施工はDIYで行うことができず、電気工事士による専門的な技術と法令遵守が求められる作業です。
リフォーム計画段階からプロに相談し、見た目・利便性・安全性のすべてを両立したコンセント設計を行いましょう。

【まとめポイント】

・ 用途別に分けた配置設計で同時使用時の電力負荷を分散

・ アース、防水、漏電ブレーカーの施工で安全性を確保

・ 将来の家電増設を見据えた余裕のある配線計画が理想

次の項目「照明計画の基本｜ダウンライト・間接照明・手元灯の配置」では、快適な調理空間を演出するための照明デザインと、照度・配線工事の実例について詳しく解説します。

★ 新築住宅における電気工事について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください！！

新築住宅の電気工事で後悔しない！暮らしやすさを左右する設計のコツ

照明計画の基本｜ダウンライト・間接照明・手元灯の配置

キッチンリフォームを成功させるためには、照明の明るさ・位置・種類を設計段階でしっかりと計画することが欠かせません。
料理のしやすさや空間の雰囲気は、照明計画の質によって大きく変わるからです。
「おしゃれなキッチンにしたのに、作業台が暗くて見づらい」「光の向きで影ができてしまう」といった失敗例も多く見られます。
こうした問題を防ぐには、照明の配置・照度・色温度を電気工事士と共に設計することが重要です。

ダウンライト｜すっきりとした空間と作業性を両立

ダウンライトは天井に埋め込むタイプの照明で、キッチン全体を明るく均等に照らす役割を持ちます。
特にリビングと一体化したオープンキッチンでは、空間を広く見せ、デザイン性を損なわない点が大きな魅力です。

配置の基本は、シンク・コンロ・調理台の3点を中心に均等な間隔で設置することです。
照明の角度を誤ると手元に影が落ちやすくなるため、壁面やレンジフードの反射を考慮した照射角度を選ぶことがポイントです。
また、LEDダウンライトを採用すれば消費電力を抑えつつ長寿命を実現でき、電気代の節約にもつながります。

照度の目安としては、作業エリア500〜700lx（ルクス）・全体照明300〜500lxが理想です。
必要に応じて調光機能付きダウンライトを導入すれば、料理中は明るく、食後は落ち着いた雰囲気に切り替えることも可能です。

間接照明｜空間に奥行きと温かみを与える

間接照明は、光を壁や天井に反射させて柔らかい明かりを演出する照明手法です。
キッチンでは、吊戸棚下やカウンター下、天井のコーブ部分などに設置すると、陰影のある立体的な空間を作り出せます。
また、夜間には常夜灯として優しい明かりを残せるため、安全面でも有効です。

LEDテープライトやバーライトを使用すれば、細いスペースにも簡単に設置でき、メンテナンス性にも優れるのが特徴です。
光の色温度は電球色（2,700〜3,000K）を選ぶと、リラックスできる温かみのある雰囲気になります。
一方、作業性を重視する場合は、昼白色（約5,000K）が明るくはっきりした印象を与えます。

また、間接照明を設置する際は、電源位置とスイッチの配線ルートを事前に設計しておくことが重要です。
リフォーム後に配線を追加しようとすると、壁の開口や天井の補修が必要になり、余分な費用が発生します。
そのため、電気工事士による現場調査と配線図の作成を早い段階で行うことが成功のカギです。

手元灯｜作業のしやすさと安全性を高める実用照明

キッチン照明の中でも、特に重要なのが手元灯（ワークライト）です。
調理や包丁作業を行うシンク・作業台エリアは、影が落ちやすく細かい作業が多いため、局所的に明るい光を当てる照明が必要になります。

設置の基本は、吊戸棚の下や壁面にバーライトを設置する方法です。
この位置であれば、手や体の影が作業台にかかりにくく、均等に明るさを確保できます。
手元灯の明るさは500〜700lx程度が目安で、昼白色LED（4,000〜5,000K）を使用すると色味の再現性が高く、食材の色が自然に見えます。

また、人感センサー付き照明を採用すれば、調理中や夜間に自動点灯して利便性が向上します。
電源は専用回路を設けるのが望ましく、他の家電と同じ回路に接続すると負荷オーバーで照明が暗くなる場合もあるため注意が必要です。

照明スイッチと配線の設計も忘れずに

照明計画では、スイッチの位置と操作性も重要なポイントです。
たとえば、ダウンライト・間接照明・手元灯を個別にON/OFFできる配線設計にしておくと、シーンに合わせた光の調整が可能になります。
また、玄関側・リビング側のどちらからも操作できるように、3路スイッチ配線を採用するのもおすすめです。

これらの施工は見た目以上に複雑で、回路図・負荷計算・電圧確認が必要です。
したがって、照明設備の設置・配線は必ず電気工事士に依頼しましょう。

【まとめポイント】

・ ダウンライトで空間全体の明るさとデザイン性を両立

・ 間接照明で温かみのある演出と夜間照明を確保

・ 手元灯で作業性と安全性を向上

・ スイッチや配線設計で操作性と使い勝手を最適化

次の項目「IHクッキングヒーター設置時の配線・ブレーカー工事」では、電気容量の確認や200V回路の設計、ブレーカー増設の注意点について、電気工事士が行う専門的施工内容を詳しく解説します。

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IHクッキングヒーター設置時の配線・ブレーカー工事

近年のキッチンリフォームでは、ガスコンロからIHクッキングヒーターへの切り替えが急増しています。
IHは掃除がしやすく、火を使わない安全性が高い調理機器として人気ですが、導入の際には必ず専門的な電気工事が必要になります。
なぜなら、IHクッキングヒーターは一般的な家電とは異なり、高出力の電力（約5,000〜6,000W）を必要とするためです。

IH設置に必要な電源は「200V専用回路」

IHクッキングヒーターは、一般的な家庭用コンセント（100V）では十分な出力が得られません。
卓上タイプなど一部の機種を除き、ビルトインタイプや2～3口タイプのIHクッキングヒーターは200V電源が必要です。
そのため、分電盤からIH専用の200V回路を新たに引き込む電気工事が不可欠となります。

この工事では、まず分電盤内にIH専用ブレーカー（漏電遮断器付き推奨）を設け、そこからIH設置位置までVVFケーブルなどの200V専用配線を敷設します。
配線は「2芯＋接地線（アース）」構成が一般的です。

配線の太さ（線径）は、機器の消費電力と配線距離、敷設条件によって決まります。
たとえば、6,000Wクラス（200V・30A程度）のIHヒーターでは、一般的にVVF2.0mm（断面積約3.5mm²）のケーブルが使用されます。
配線距離が長い場合や、断熱材貫通などによる放熱条件が厳しい場合は、5.5mm²へのサイズアップを検討します。
なお、配線設計では電圧降下が2〜3％以内に収まるように、電気工事士が正確に計算して選定を行います。

また、IHクッキングヒーターには接地（アース）線の接続が法令で義務付けられています。
金属製の筐体を持つ機器のため、万一漏電が発生した場合でも、電流が地中へ逃げることで人体への感電を防止できます。
アース端子付きの200V専用コンセント、または直結配線方式を採用し、確実な接地工事を行うことが安全確保の基本です。

ブレーカー工事で安全性と安定性を確保

IHクッキングヒーターを新設する際には、専用ブレーカーの増設または交換が必要です。
通常の住宅では30A（アンペア）契約が一般的ですが、IHを設置することで電気容量が足りなくなるケースが多く見られます。
そのため、契約アンペアの変更や分電盤の容量アップ工事を同時に行うのが理想です。

【IHクッキングヒーターに必要な電気容量の目安】

電気工事士は、分電盤内でIH専用ブレーカーを設け、回路を他の家電と分離させる施工を行います。
これにより、IH使用時に他の家電が影響を受けず、安定した電力供給が可能となります。

また、施工後は絶縁抵抗値・電圧・漏電チェックを行い、法定基準に適合しているかを確認します。
この確認作業を怠ると、発火やショート、ブレーカー作動の誤作動といったトラブルが発生するおそれがあります。

既存住宅での200V化工事の流れ

古い住宅やアパートでは、分電盤や配線が100V専用設計のままになっているケースが多くあります。
そのため、IH導入時には以下のような流れで200V化工事を行います。

【200V配線工事の流れ】

1.　現在の分電盤・電気容量の調査

2.　契約アンペアの確認と必要容量の算定

3.　電力会社への容量変更申請

4.　専用ブレーカー・200V回路の増設

5.　アース線の新設または接地工事

6.　IHコンセントの設置・通電テスト

この工事は、資格を持たない一般人が行うことは法律で禁止（電気工事士法）されています。
特に200V電源は感電リスクが高いため、必ず有資格の電気工事士に依頼し、施工品質を確保することが大切です。

電気容量不足を防ぐための契約アンペア見直し

IHを導入した際、他の家電（エアコン・電子レンジ・洗濯機など）を同時使用すると、ブレーカーが頻繁に落ちる現象が起こる場合があります。
これは単純に電気の総使用量が契約容量を超えていることが原因です。

この問題を根本的に解決するには、契約アンペアの見直し（40A→50Aや60Aへ変更）が有効です。
電力会社への申請と、分電盤側のブレーカー容量交換を行うことで、高負荷家電を安心して同時稼働できる環境が整います。
容量アップ工事はおおよそ5〜10万円前後が目安ですが、分電盤の交換を伴う場合は15万円を超えるケースもあります。

安全施工とメンテナンスの重要性

IHクッキングヒーターの電気工事では、施工後の安全確認と定期点検も欠かせません。
ケーブルの緩み・接触不良・アース線の断線などは、長期的に見ると発熱・焼損の原因となります。
そのため、リフォーム後も年に1回程度の点検を行うと安心です。

また、IH専用コンセントの接点にホコリが溜まるとトラッキング火災の危険があるため、定期的な清掃も心がけましょう。
これらの点検・メンテナンスも含めて、電気工事士と長期的に付き合える施工会社を選ぶことが、快適なキッチンを保つ秘訣です。

【まとめポイント】

・ IH設置には200V専用回路とブレーカー増設が必須

・ アース線接続と絶縁検査で感電や漏電リスクを防止

・ 契約アンペアの見直しで同時使用時のブレーカー落ちを防ぐ

・ 施工後も定期点検や清掃で長期的な安全性を維持

次の項目「レンジフードや食洗機に必要な電源容量とは？」では、IH以外の高出力家電に対応するための電源設計と専用回路の必要性について、実際の消費電力データを基に詳しく解説します。

★ 電気工事におけるトラブルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください！！

電気工事のトラブルを防ぐ！原因別の対処法と再発防止のポイント

レンジフードや食洗機に必要な電源容量とは？

キッチンリフォームの際に忘れがちなのが、レンジフードや食洗機の電源容量の確認です。
これらの機器は調理の快適さを支える重要な存在ですが、電気の使い方を誤るとブレーカーが落ちたり、最悪の場合は配線が過熱して火災の危険もあります。
見た目のデザインや機能だけでなく、消費電力と電源設計を理解したうえで適切な電気工事を行うことが、安全で長持ちするキッチンをつくるポイントです。

レンジフードの消費電力と電源設計のポイント

レンジフード（換気扇）は、一般的には100〜200W前後の消費電力で動作します。
一見すると小さな電力に思えますが、最近の高性能モデルではLED照明・自動洗浄・高静圧ファンなどが搭載されており、300Wを超える製品も珍しくありません。

特に注意すべきなのは、他の家電と同じ回路で使用している場合です。
例えば電子レンジやトースターと同じ回線にレンジフードをつないでしまうと、同時使用時に過負荷となり、ブレーカーが作動することがあります。
これを防ぐためには、専用回路またはブレーカー容量の見直しを行う必要があります。

【レンジフードのタイプ別・推奨電気仕様】

また、レンジフードの設置位置が高所になる場合には、天井裏や壁内部の配線延長工事が必要になることもあります。
この際、配線の被覆材質や接続部の処理が不適切だと熱や湿気の影響で劣化が早まり、漏電事故の原因になります。
そのため、防湿仕様ケーブルの選定や、電線の結線部分を電線管内に収める施工が推奨されます。

食洗機の電源容量は「専用回路」が必須

食洗機はキッチン家電の中でも特に消費電力が大きい機器です。
ビルトインタイプでは一般的に1,000〜1,400W（最大1,500W）の電力を使用します。
加熱乾燥機能付きモデルでは、さらに負荷が高くなるため、専用回路を設けることが原則です。

もし、既存のコンセントから延長して接続してしまうと、配線容量オーバーで過熱・絶縁破損・火災の危険が発生します。
また、水気が多い場所での電気使用になるため、感電や漏電のリスクも高まります。
このため、食洗機にはアース線の接続と漏電遮断ブレーカーの設置が必須です。

【食洗機のタイプ別・推奨電源仕様】

食洗機は起動時に瞬間的に電流が増加するため、ブレーカー容量に余裕を持たせる設計が必要です。
電気工事士は、家全体の電力バランスを見ながら専用回路の分岐設計を行い、他の大型家電（IH・冷蔵庫・エアコン）との同時使用に備えます。

アース・防水・安全対策を徹底して施工する

レンジフードや食洗機はどちらも水分・蒸気・油煙が発生する環境で使用されるため、電気設備の防水・絶縁処理が特に重要です。
接続コンセントには防水キャップ付きタイプを使用し、プラグ部分が湿気で劣化しないようにします。
さらに、アース線を確実に接続することで、漏電時の感電事故を防止します。

また、リフォームの際に配線を延長する工事を行う場合は、結線部を絶縁スリーブと電線管で保護する必要があります。
これらの施工は資格がないと行えないため、必ず電気工事士に依頼しましょう。

電源容量の見直しがリフォーム成功のカギ

キッチン全体で使用する電力量が増えると、家庭全体の契約アンペアが不足するケースが多発します。
レンジフード・食洗機・IHヒーターを同時に使用した場合、合計で7,000〜8,000Wを超える負荷がかかることもあります。
そのため、リフォーム前には電気容量アップ工事（契約アンペア変更）を検討することが大切です。

電力会社への申請を行い、40A→50Aや60Aへ切り替えることで、ブレーカーが落ちるストレスを解消できます。
また、同時に分電盤・配線・ブレーカーを一体的に更新することで、キッチン全体の安全性と将来の増設対応力が向上します。

【まとめポイント】

・ レンジフードは他家電と併用せず専用回路を推奨

・ 食洗機は1,000W超の高負荷機器のため専用ブレーカーが必須

・ 防水、アース、漏電ブレーカーで安全性を確保

・ 契約アンペアを見直し、余裕のある電力設計で快適なキッチンを実現

次の項目「電気容量アップ工事の流れと費用目安」では、実際に電気容量を引き上げる際の工事手順・申請方法・費用相場を詳しく解説します。

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電気容量アップ工事の流れと費用目安

キッチンリフォームでIHクッキングヒーターや食洗機、レンジフードなどを導入すると、既存の電気容量では電力が足りなくなるケースが多く発生します。
電気容量が不足すると、複数の家電を同時に使ったときにブレーカーが頻繁に落ちてしまうことがあり、調理のストレスや作業効率の低下を招きます。
こうした問題を根本的に解決するのが、「電気容量アップ工事」です。

この工事は単にブレーカーを交換するだけでなく、分電盤・配線・電力契約の見直しまでを含む総合的な電気設備改修を意味します。
以下では、工事の具体的な流れ・必要な申請手続き・費用相場をわかりやすく解説します。

ステップ 1：現状調査と契約アンペアの確認

まず行うべきは、現在の契約アンペアと電気使用量の確認です。
一般家庭では30A契約が多いですが、IHや食洗機などの高出力家電を導入する場合、40A〜60Aへの変更が必要になることがあります。

【契約アンペア別の使用可能電力の目安】

この確認作業では、ブレーカー容量・分電盤構造・電線径なども同時にチェックします。
古い住宅では電線が細かったり、分電盤の容量が小さい場合があり、そのまま容量を上げると配線過熱や火災リスクが生じるため、電気工事士による安全点検が不可欠です。

ステップ 2：電力会社への容量変更申請

容量アップを行う場合、電力会社への申請が必須です。
契約アンペアを上げると、電力量契約の内容が変更されるため、工事前に申請と承認手続きを済ませる必要があります。

電力会社は申請内容に基づいて、供給設備（引込線・メーター容量）が対応可能かを確認します。
もし既存の引込線が細い場合は、引込線交換工事（幹線改修）が追加で発生します。
この作業は高所での電線作業となるため、専門資格を持つ電気工事士のみが対応可能です。

ステップ 3：分電盤・ブレーカーの交換工事

電力会社の承認が下りたら、次に行うのが分電盤・ブレーカーの交換工事です。
容量アップに対応するため、分電盤内により大きなアンペア対応のメインブレーカー（例：60A対応）を設置します。
また、IH・食洗機・レンジフードなどの高出力機器には専用回路を個別に設けることで、過電流による遮断を防ぎます。

このとき、ブレーカーの種類（漏電ブレーカー・安全ブレーカーなど）や、回路数の増設も同時に行うのが一般的です。
電気工事士は、負荷計算・配線ルートの再設計・アース接続の確認までを一貫して実施します。

ステップ 4：通電確認・安全試験の実施

分電盤工事が完了したら、通電テストと安全確認を行います。
具体的には以下の項目をチェックします。

【安全試験の内容】

・ 各回路の電圧値・電流値が規定範囲内か

・ 絶縁抵抗測定（漏電リスクの有無）

・ ブレーカー作動試験（遮断性能の確認）

・ アース線の導通チェック

・ 電源極性（極性反転）の確認

これらの測定結果がすべて基準を満たしていれば、電力会社との契約変更を正式に完了し、容量アップ後の電気使用が可能になります。

費用の目安と工期の目安

電気容量アップ工事の費用は、住宅の構造や設備状況によって異なりますが、以下が一般的な目安です。

【電気容量アップ工事の費用目安】

工期は半日〜1日程度で完了することが多いですが、幹線改修や分電盤交換を伴う場合は1〜2日かかるケースもあります。
また、リフォームと同時に行うと効率的で、壁や天井を開ける手間が減るため費用削減にもつながります。

電気容量アップ工事で得られるメリット

電気容量を上げることで、キッチンだけでなく家庭全体がより快適になります。
具体的なメリットは以下のとおりです。

・ IH、食洗機、電子レンジを同時に使用してもブレーカーが落ちない

・ 電圧安定による家電の寿命延長、動作効率の改善

・ 将来的な家電追加（乾燥機やエアコン増設）にも対応

・ 安全基準を満たす最新分電盤で火災リスクを低減

これらの効果により、日常のストレス軽減と住宅の資産価値向上が期待できます。

【まとめポイント】

・ 容量アップ工事は申請から分電盤交換までが一連の流れ

・ 電気工事士による安全点検と回路設計が不可欠

・ 費用相場は¥50,000〜¥150,000前後、工期は1日前後

・ ブレーカー落ち防止、安全性、快適性を同時に実現できる

次の項目「DIYは危険！キッチン電気工事は必ず電気工事士に依頼を」では、無資格で電気工事を行う危険性や、法令・安全面のリスクについて詳しく解説します。

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DIYは危険！キッチン電気工事は必ず電気工事士に依頼を

キッチンリフォームの際、「コンセントを増やしたい」「照明を付け替えたい」と考え、DIYで電気工事を行おうとする方が少なくありません。
しかし、これは非常に危険な行為です。
電気配線やブレーカーに関わる工事は、資格を持つ「電気工事士」しか行ってはいけないと法律で定められています。
その理由は、感電や火災など命に関わる事故のリスクが高いためです。

無資格の電気工事は「電気工事士法」で禁止されている

日本では、電気工事を行う際に「電気工事士法」という法律が適用されます。
この法律では、次のように明確に規定されています。

　　　　　“一般の人が自分の住宅でも電気配線工事を行うことは原則として禁止”

つまり、たとえ自宅であっても、無資格者が配線をいじる・ブレーカーを交換する・コンセントを増設する行為は違法です。
違反した場合は、罰金や懲役刑の対象となることもあります。

法律で厳しく定められているのは、それだけ電気工事が危険で専門的な作業だからです。
配線1本の接続ミスや絶縁不良でも、ショート・感電・火災事故に直結する恐れがあります。
特にキッチンは水気が多く、湿気や蒸気が発生するため、一般家庭の中でも最もリスクの高い場所といえます。

感電・火災・漏電事故は「わずかな施工ミス」から起きる

電気工事をDIYで行うと、以下のような具体的なリスクが生じます。

【DIYによる電気工事の主な危険】

・ 感電事故：通電中の配線に触れることで、重度のやけどや心停止を起こす可能性

・ 火災事故：接続が緩い、絶縁が不十分な状態で発熱し、壁内部で出火

・ 漏電事故：アース線未接続により、キッチン家電の筐体が帯電して感電リスクが上昇

・ 機器破損：電圧や極性の誤配線によるIHヒーターや照明器具の故障

・ ブレーカー異常作動：過電流や短絡で頻繁に落ちる、最悪作動しない

特にIHクッキングヒーターや食洗機などの200V機器を扱う場合、感電時には命に関わる高電圧が流れます。
「見よう見まねでできそう」と思っても、一瞬の判断ミスが重大事故につながるのです。

電気工事士に依頼することで得られる「3つの安心」

キッチンリフォームにおける電気工事は、必ず有資格の電気工事士に依頼することが大切です。
プロに依頼することで、次の3つの安心が得られます。

【電気工事士に依頼するメリット】

電気工事士は、施工完了後に絶縁抵抗測定・電圧確認・接地抵抗試験（アース導通試験）などの安全確認を行い、配線や機器の状態を数値で検証して安全性を証明します。
このような工程はDIYでは絶対に再現できません。

「費用を抑えたいDIY」より「安全を守るプロ施工」を選ぶべき理由

DIYで電気工事を行う理由の多くは、「費用を抑えたい」「業者を呼ぶのが手間」といった動機です。
しかし、電気工事のトラブルは後から修理費が数倍以上に膨らむことも珍しくありません。
たとえば、壁内で発熱した配線が焦げてショートすると、壁一面の張り替えや分電盤交換が必要になるケースもあります。
さらに、DIY施工による事故は火災保険の補償対象外となる場合が多く、結果的に損失が大きくなるのです。

費用面だけでなく、家族の安全と住宅全体の信頼性を守る意味でも、専門業者への依頼が最善の選択です。
特に、キッチンのような高負荷・高湿度エリアでは、電気工事の質が生活の安全性を左右するといっても過言ではありません。

【まとめポイント】

・ 無資格での電気工事は法律で禁止されている行為

・ DIY施工は感電、火災、漏電事故のリスクが極めて高い

・ 電気工事士に依頼することで安全、法令遵守、品質保証が得られる

・ 短期的な節約よりも「安全投資」としてプロ施工を選ぶべき

次の項目「まとめ｜快適で安全なキッチンを電気工事で実現する」では、これまでの内容を踏まえ、リフォーム全体を通じた最適な電気設計の考え方と成功ポイントを整理して解説します。

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