経費 電気工事

2024.08.12

電気工事費は経費になる?勘定科目・仕訳例と修繕費の判断基準を解説

 

店舗や事務所、工場を運営していると、照明器具の交換、コンセントの増設、分電盤の交換、配線の新設など、さまざまな電気工事が必要になる場面が出てきます。

こうした電気工事の費用は、事業のために支出したものであれば経費にできます。ただし、「工事をした年にすべて経費として計上できるかどうか」は、実は工事の内容によって大きく異なります

同じ「電気工事費」という名目でも、故障箇所を直しただけの工事であれば、その年に全額を経費にできるのが原則です。一方で、新しい設備を設置したり、建物の機能を高めたりする工事であれば、いったん資産として計上し、数年かけて少しずつ経費化していく「減価償却」という手続きが必要になります。さらに、自宅の一部を事務所として使っている場合は、事業用部分と私生活用部分を分ける「家事按分」も欠かせません。

本記事では、電気工事費に使う勘定科目の選び方から、修繕費と資本的支出の見分け方、実際の仕訳例、減価償却の考え方まで、具体例を交えながら順を追って解説します。あわせて記事の後半には、よくある疑問をFAQ形式でまとめています。

なお、税務上の取り扱いは工事の内容や契約条件によって判断が分かれることも多いため、迷った場合は税理士や税務署へ確認することをおすすめします

 

電気工事費は経費にできる?基本の考え方

電気工事にかかった費用が経費になるかどうかは、

1. 支出の目的
2. 事業との関連性
3. 工事によって得られる効果
 
という3つの視点から判断します。
 
事業のために必要な電気工事であれば、修繕費や減価償却費といった形で経費に算入できますが、事業とは関係のない私生活上の支出は経費にはなりません。また、会計でいう「経費にできる」には、工事をした年に全額を計上する方法だけでなく、いったん固定資産として計上し、数年間にわたって減価償却していく方法も含まれる点を押さえておきましょう。

事業に必要な電気工事は経費計上できる

店舗、事務所、工場、倉庫などで事業を営むために必要な電気工事は、原則として事業上の経費として処理できます

たとえば、次のような工事は事業との関連性を説明しやすいケースです。

・ 故障した照明器具を同等品に交換する工事
・ 劣化した配線の一部を補修する工事
・ 業務用機械を稼働させるための専用回路を新設する工事
 
ただし、工事費をその年に全額計上できるかどうかは、工事の目的と内容によって変わってきます。既存設備を元の状態に戻すための修理であれば修繕費として処理できるのが一般的です。一方、新しい設備を設置した場合や、建物の価値・機能・耐久性を高める工事を行った場合は、資本的支出として資産計上し、法定耐用年数に応じて減価償却することになります
 
国税庁も、事業に使用している建物や建物附属設備などについて、通常の維持管理や修理のために支出した費用は必要経費になる一方、価値や使用可能期間を高める部分は資本的支出になると説明しています。国税庁「修繕費とならないものの判定」

私生活だけで使用する設備は経費にならない

個人事業主が自宅で電気工事を行った場合でも、その設備を私生活だけで使うのであれば、工事費を事業の必要経費にすることはできません

たとえば、事業に使っていない寝室の照明交換、家族だけが使う部屋へのコンセント増設、家庭用設備専用の回路工事などは、基本的に家事上の費用として扱われます。

ここで注意したいのは、支払方法だけでは経費かどうかが決まらないという点です。事業用の口座や事業用クレジットカードから支払ったとしても、それだけで経費として認められるわけではありません。重要なのは、その電気工事が事業の遂行に直接必要だったか、事業用として実際に使用しているか、そしてそれを客観的な資料で説明できるかという点です。事業用と説明できない支出を無理に経費へ含めてしまうと、税務調査の際に必要経費として認められない可能性があるため注意しましょう。

自宅兼事務所では家事按分が必要になる

自宅の一部を事務所や作業場として使っている場合は、電気工事費を事業用部分と私生活用部分に分ける「家事按分」が必要です

国税庁は、家事と業務の両方に関係する費用について、取引の記録などに基づき、業務上直接必要だった部分を明確に区分できる場合に限って、その金額を必要経費にできるとしています。国税庁「必要経費の知識」

たとえば、自宅全体の配線を改修した場合は、事務所として使用している床面積の割合などを基準に按分するのが一般的です。自宅の延べ床面積が100平方メートルで、そのうち20平方メートルを事務所として専用使用しているのであれば、床面積を基準とした事業割合は20%になります。

ただし、工事を行った場所が事務所部分だけであれば、工事内容や使用状況によっては、その費用を全額事業用として扱える可能性もあります。反対に、家族も日常的に使用する共用部分の工事費については、床面積、使用時間、電力使用量、専用回路の有無など、合理的で継続して使える基準によって分ける必要があります。

 

 


会計業務の効率化に関するご相談ならびにシステムの導入をお考えの方はコチラをチェック!! <マネーフォワード クラウド会計> 

👉 【マネーフォワード クラウド会計】で経理業務を効率化!

会計ソフト選びに悩むあなたへ

中小企業や個人事業主の皆さん、「経理業務にかける時間がない」「確定申告が不安」「税理士に頼るほどでもないけど手間は減らしたい」…そんな悩みを抱えていませんか?

その悩み、【マネーフォワード クラウド会計】がすべて解決してくれるかもしれません。

マネーフォワード クラウド会計とは?

マネーフォワード クラウド会計は、株式会社マネーフォワードが提供するクラウド型の会計ソフトです。
ブラウザやスマートフォンアプリから簡単に操作でき、帳簿作成や仕訳、確定申告まで対応。
業種や規模を問わず、幅広いユーザーに支持されています。

主な対象者

・ フリーランス、個人事業主

・ 中小企業経営者

・ スタートアップ企業

・ 経理担当者不在の企業

特徴 1:自動で帳簿作成・仕訳!手間いらずの自動化機能

マネーフォワード クラウド会計の最大の特徴は、「自動化」です。

・ 銀行口座やクレジットカードと連携

・ AIによる学習機能

特徴 2:いつでもどこでもアクセス可能なクラウド型

クラウド会計ソフトの利点は、場所やデバイスを選ばず利用できることです。

特徴 3:経理初心者でもわかりやすい操作画面とサポート体制

UI(ユーザーインターフェース)は非常に直感的で、経理の知識がない人でも安心して使える設計です。

マネーフォワード クラウド会計の導入メリットまとめ

・ 経理作業を自動化し、手間を圧倒的に削減

・ クラウド対応で場所を選ばず作業できる

・ 初心者でも使いやすい操作性

・ 税理士との情報共有もスムーズ

こんな方におすすめ!

・ 会計作業が苦手な個人事業主

・ 経理担当がいない中小企業経営者

・ 会計ソフトの乗り換えを検討している方

・ オンラインで完結したいリモートワーカーや副業者

クラウド会計なら「マネーフォワード」で間違いなし!

【マネーフォワード クラウド会計】は、シンプルで高機能。しかも自動化が優れているため、初心者にもプロにも強い味方です。
今や経理業務は「手間をかけるもの」から「自動で済ませるもの」へと進化しています。

その第一歩として、ぜひ【マネーフォワード クラウド会計】の導入を検討してみてください!

👇 詳細は下のリンクから / 今すぐチェックを!!

会計業務の効率化に関するご相談ならびにシステムの導入をお考えの方はコチラをチェック!! <マネーフォワード クラウド会計> 


 

 

電気工事費に使う主な勘定科目

電気工事費に使う勘定科目は、工事業者が請求書に記載した名称だけで自動的に決まるものではありません。工事の目的、設備の使用期間、工事後に機能が向上したかどうかなどを確認したうえで、実態に合った勘定科目を選ぶ必要があります

主な勘定科目を整理すると、次のようになります。

工事の内容主な勘定科目基本的な処理
故障や劣化を直す工事修繕費原則として工事した年の経費
少額の電球や交換部品消耗品費購入した年の経費
新設した照明・配線・分電盤建物附属設備固定資産として減価償却
製造機械専用の電気設備機械装置固定資産として減価償却
独立して使用できる防犯カメラなど工具器具備品固定資産または少額資産として処理

 

勘定科目の名称にはある程度の幅がありますが、同じ内容の取引には同じ勘定科目を使い、継続性のある処理を行うことが大切です。以下、それぞれの科目について詳しく見ていきましょう。

修理や原状回復は「修繕費」

故障した設備を修理する場合や、劣化した設備を元の状態に戻す場合には、一般的に「修繕費」を使用します。切れた配線の補修、故障したブレーカーの修理、破損した照明器具の同等品への交換などが該当します。

修繕費に該当すれば、原則として工事を行って費用が確定した年または事業年度に、全額を必要経費または損金として計上できます。ただし、請求書に「修理費」「修繕工事」と記載されていても、実際には設備の機能や価値を高める工事であれば、資本的支出として扱わなければならない点に注意が必要です

少額の備品や部品は「消耗品費」

電球、蛍光灯、配線用の小さな部品、延長コードなど、比較的少額で短期間に消耗する物品を購入した場合は、「消耗品費」を使うことがあります。既存の照明設備に取り付ける電球や蛍光灯は、建物と一体になった設備そのものではなく、交換を前提とする部品として扱われることが一般的だからです。

ただし、照明器具の本体、配線、制御装置などをまとめて新設した場合は、単なる消耗品の購入ではなく、建物附属設備として資産計上する可能性が高くなります。消耗品費と修繕費のどちらを使うかについて明確な区分がないケースもありますが、部品の購入が中心なら消耗品費、修理作業が中心なら修繕費と考えると整理しやすくなります

新設した電気設備は「建物附属設備」

建物に固定された照明設備、屋内配線、分電盤、受変電設備などを新たに設置した場合は、「建物附属設備」として資産計上するのが一般的です。建物附属設備とは、建物の機能を補うために取り付けられ、建物と一体になって使用される設備を指します。

建物附属設備として計上した電気工事費は、工事した年に全額を経費にするのではなく、法定耐用年数に応じて毎年少しずつ減価償却していきます。国税庁が示す主な耐用年数では、建物附属設備に該当する電気設備のうち、蓄電池電源設備は6年、その他の電気設備は15年とされています。国税庁「減価償却のあらまし」関連リンク:主な減価償却資産の耐用年数表ただし、設備の構造、用途、設置方法によって分類が変わることがあるため、「電気工事はすべて15年」と一律に判断しないよう注意しましょう。

機械専用の電気工事は「機械装置」に含める場合がある

工場や作業場で特定の機械を稼働させるためだけに行った配線工事や専用回路工事は、「機械装置」の取得価額に含める場合があります。たとえば、大型の製造機械を導入するために、その機械専用の配線、制御盤、電源装置を設置したケースが該当します。

機械を使用するために直接必要な工事費は、機械本体の購入代金と一体の取得価額として扱う可能性があります。一方、工場内の複数の設備へ電気を供給する共通配線や、建物全体に関係する分電盤は、建物附属設備として分けることがあります。判断するときは、その設備が特定の機械だけに従属しているか、建物全体で使う設備か、機械を撤去しても独立して利用できるかを確認しましょう

 

 

リフォームにおける配線工事について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください!!

リフォームで配線工事は必要?費用相場・注意点・業者選びを徹底解説

 

電気工事費が修繕費になるケース

修繕費とは、固定資産の通常の維持管理や、故障・破損した部分を元の状態へ戻すための支出です。修繕費に該当する電気工事費は、原則として工事を行った年または事業年度に全額を経費計上できます。ただし、修繕費になるかどうかは、工事の名称ではなく、実際の作業内容と工事後の状態をもとに判断される点を忘れないようにしましょう。

故障した照明器具を同等品に交換する

故障した照明器具を、機能や性能がほぼ同じ製品へ交換する工事は、一般的に修繕費として処理しやすいケースです。交換の目的が、照明設備の性能向上ではなく、使用できなくなった設備を元の状態へ戻すことにあるためです。

以前とまったく同じ製品が販売されていない場合でも、現在販売されている一般的な同等品へ交換しただけであれば、直ちに資本的支出になるとは限りません。ただし、照明器具の配置変更、台数の増加、自動調光設備の追加などを同時に行い、建物全体の機能を大きく向上させた場合は、資本的支出に該当する可能性があります。

劣化した配線を補修する

経年劣化した配線の一部を補修し、安全に使用できる状態へ戻す工事は、一般的に修繕費として処理します。被覆が傷んだ電線の交換、接続不良部分の修正、断線箇所の補修などが該当します。これらの工事は、建物に新しい機能を加えるものではなく、既存の電気設備を維持するために行うものだからです。

一方、建物全体の配線を新しい規格へ変更した場合や、電気容量を大幅に増やす工事を行った場合は、単なる補修ではなく、設備の価値や機能を高める資本的支出と判断される可能性があります。

分電盤やブレーカーの故障部分を修理する

分電盤の一部やブレーカーが故障し、その故障部分だけを修理・交換した場合は、修繕費として扱うのが一般的です。修理後の電気容量や機能が工事前とほぼ変わらず、正常な状態へ戻しただけであれば、原状回復を目的とする工事と考えられます。

しかし、既存の分電盤を容量の大きな製品へ交換し、これまで使用できなかった大型機械を動かせるようにした場合は、建物の機能が向上しています。このような工事は、「交換」という名称であっても、建物附属設備として資産計上する可能性があります。

建物の維持管理を目的として工事する

漏電事故を防ぐための点検・補修や、老朽化した電気設備を安全な状態に保つための工事は、通常の維持管理に該当することがあります。国税庁は、通常の維持管理や原状回復に必要な支出を修繕費とし、価値を高めたり耐久性を増したりする部分を資本的支出として区分しています。

また、個人事業者の場合、一つの修理・改良の金額が20万円未満である場合や、おおむね3年以内の周期で行われる修理などについては、一定の取扱いにより修繕費にできる基準があります。修繕費と資本的支出のどちらか明らかでない支出についても、60万円未満、または対象資産の前年末の取得価額のおおむね10%以下である場合には、一定の要件のもとで修繕費として処理できる基準が示されています。国税庁「修繕費とならないものの判定」

ただし、これらの金額基準だけを先に当てはめるのではなく、まずは工事の実態から、修理なのか機能向上なのかを確認することが大切です

 


会計業務の効率化に関するご相談ならびにシステムの導入をお考えの方はコチラをチェック!! <マネーフォワード クラウド会計> 


 

電気工事費が資本的支出になるケース

資本的支出とは、固定資産の価値を高めたり、使用可能期間を延ばしたりするための支出です。電気工事費が資本的支出に該当する場合は、原則として固定資産に計上し、耐用年数に応じて減価償却します。工事費の金額だけでなく、新しい設備を追加したか、性能が大きく向上したか、長期間にわたって効果が続くかを確認する必要があります

新しい電気設備を設置する

これまで存在しなかった電気設備を新しく設置した場合は、資本的支出または新規の固定資産として処理するのが一般的です。新しい店舗へ照明設備、分電盤、配線、非常灯などを設置する工事が典型例です。

新設工事によって、建物が事業用の店舗や事務所として使用できる状態になるため、工事の効果は将来にわたって続きます。この場合は、支払った工事費を建物附属設備などに計上し、供用を開始した時点から減価償却します。

コンセントや専用回路を新たに増設する

既存のコンセントを修理するだけでなく、新しい場所へコンセントや専用回路を増設した場合は、資本的支出に該当する可能性があります。増設によって使用できる機器が増えたり、建物の利便性が高まったりするためです。

特に、大型機械、業務用エアコン、厨房機器などを使用するために新設した専用回路は、設備投資の一部として扱われることがあります。ただし、少額で軽微な工事であり、税務上の少額資産に関する要件を満たす場合は、一度に経費へ算入できる可能性もあります。

建物の機能や価値を向上させる

電気容量の増加、照明制御システムの導入、電源設備の高性能化など、建物の機能や価値を高める工事は資本的支出になる可能性があります。たとえば、一般的な照明設備に人感センサーや一括制御機能を加え、建物全体の照明を自動管理できるようにする工事が挙げられます。

また、単相電源しかなかった建物へ動力用の三相電源を導入し、新たな機械設備を使用できるようにした場合も、機能向上と判断されやすいでしょう。工事前にはなかった機能が追加され、将来の事業活動へ継続して効果をもたらす場合は、固定資産としての処理を検討します。

設備の使用可能期間を延長させる

電気設備を大規模に改修し、その設備を使用できる期間が明らかに延びた場合は、資本的支出として扱われる可能性があります。部分的な修理ではなく、主要な配線、制御盤、電源設備などをまとめて更新したケースが代表例です。

工事によって安全性が回復しただけなのか、従来より長期間にわたって設備を使用できるようになったのかを確認する必要があります。資本的支出と判断した金額は、新たな減価償却資産を取得したものとして扱い、原則として対象となる設備の種類や耐用年数に基づいて減価償却します。国税庁「資本的支出を行った場合の減価償却」

修繕費と資本的支出を見分けるポイント

修繕費と資本的支出は、電気工事費の処理で特に迷いやすい区分です。基本的には、元の状態へ戻す工事は修繕費、新しい機能や価値を加える工事は資本的支出と考えますただし、実際の工事には修理と改良が混在することもあるため、見積書や工事前後の状態を含めて判断することが重要です

確認項目修繕費と考えやすい状態資本的支出と考えやすい状態
工事の目的故障・劣化の修理新設・増設・改良
工事後の性能おおむね元の水準明らかに向上
電気容量変更なし大幅に増加
使用できる設備変更なし新しい機械を使用可能
効果の内容維持・原状回復価値向上・長寿命化
設置範囲故障部分だけ建物全体を大規模に更新

工事の目的が修理か機能向上かを確認する

最初に確認したいのは、電気工事を行った目的です。故障、破損、劣化などを直すための工事であれば修繕費と考えやすくなります。一方、店舗の改装、新しい設備の導入、業務拡大などに合わせて行った工事は、資本的支出と判断される可能性が高くなります。

社内の稟議書、工事業者とのメール、工事計画書などにも工事目的を具体的に記載しておくと、後から会計処理の根拠を説明しやすくなります。

工事前後で設備の性能が変わったか確認する

工事前後の性能を比較することも、修繕費と資本的支出を分ける重要なポイントです。同じ容量のブレーカーへ交換しただけであれば、原状回復として修繕費に該当しやすくなります

これに対して、電気容量を増やし、大型の機械や厨房設備を使用できるようにした場合は、設備の機能が明らかに向上しています。電気容量、照度、回路数、制御機能、使用可能な機器などを工事前後で比べると、判断の根拠を具体化できます。

工事金額だけで判断しない

工事費が高額だから資本的支出、少額だから修繕費とは限りません大規模な建物では、原状回復のための電気工事でも高額になることがあります。反対に、金額が比較的小さくても、新しい設備を設置して建物の機能を高めた場合は、固定資産として扱う可能性があります。

税務上は一定の金額基準も設けられていますが、まずは工事内容の実態を確認し、そのうえで形式的な判断基準を検討するという流れが適切です。

見積書の工事項目を具体的に確認する

修繕費か資本的支出かを判断するには、工事内容と金額が分かる見積書が欠かせません。「電気工事一式 1,000,000円」のような記載だけでは、どの作業が修理で、どの設備が新設されたのかを確認できません。

見積書には、照明器具、分電盤、配線、コンセント、専用回路、材料費、撤去費、取付工事費などを分けて記載してもらいましょう。修繕部分と増設部分が混在している場合は、それぞれの金額を分けてもらうことで、修繕費と資本的支出を合理的に区分できます。修繕費か資本的支出かは、請求書の名目だけではなく実際の工事内容によって判断されるため、作業内容と金額が分かる資料を用意することが重要です

 


会計業務の効率化に関するご相談ならびにシステムの導入をお考えの方はコチラをチェック!! <マネーフォワード クラウド会計> 


 

電気工事の種類別に見る勘定科目

同じ電気工事でも、交換、修理、増設、新設のどれに当たるかによって、使用する勘定科目が変わります。ここでは、代表的な電気工事について、考えられる勘定科目と判断のポイントを紹介します。なお、以下の区分は一般的な目安であり、実際の工事規模、設備の独立性、設置目的によって異なる場合があります。

照明器具・LED交換工事

切れた電球や蛍光灯を交換した場合は、消耗品費または修繕費として処理することが一般的です。既存の照明設備には手を加えず、蛍光灯だけを蛍光灯型LEDランプへ交換した場合も、一定の事実関係のもとでは修繕費として扱うことができます。

国税庁の質疑応答事例では、照明設備そのものには工事を行わず、蛍光灯100本を蛍光灯型LEDランプへ取り替えた事例について、総額1,100,000円の費用を修繕費として処理することが相当とされています。国税庁「蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合」

一方、照明器具本体、配線、制御装置などをまとめて新設・更新した場合は、建物附属設備として資産計上する可能性があります。したがって、「LEDに交換したから修繕費」と一律に判断せず、ランプだけの交換なのか、照明設備全体の工事なのかを確認することが大切です

コンセントの修理・増設工事

壊れたコンセントを同等品へ交換するだけであれば、修繕費として処理しやすい工事です。一方、コンセントを新しい場所へ増設した場合や、専用回路を新設した場合は、建物の利便性や機能を高める工事として、建物附属設備に該当する可能性があります。

ただし、軽微で少額な工事については、取得価額や申告方法などの条件により、一度に経費計上できる場合があります。複数のコンセントをまとめて設置した場合は、1口ごとの金額ではなく、工事全体が一つの設備として機能しているかを確認しなければなりません。

分電盤・ブレーカーの交換工事

故障したブレーカーだけを同等品へ交換する場合は、一般的に修繕費として処理します老朽化した分電盤を同程度の容量と機能を持つ製品へ交換した場合も、原状回復として修繕費に該当する可能性があります

これに対して、契約容量の増加、回路数の増設、大型機械への対応などを目的として高性能な分電盤へ交換した場合は、建物附属設備として資産計上することを検討します。分電盤交換では、交換前後の容量、回路数、用途を工事業者へ確認し、その内容を見積書へ記載してもらうと判断しやすくなります。

配線の補修・新設工事

断線や接触不良などを直すための部分的な配線工事は、修繕費に該当しやすい工事です。一方、新しい機械、照明、コンセントなどを使用するために配線を新設した場合は、建物附属設備または機械装置の取得価額へ含める可能性があります。

建物全体の古い配線を更新した場合は、安全性の回復を目的とする修繕部分と、容量増加や機能向上に当たる部分が混在することがあります。このような工事では、見積書を工区や作業内容ごとに分け、修繕費と資本的支出を区分できるようにしておくことが重要です

防犯カメラ・インターホンの設置工事

防犯カメラを新しく購入して設置した場合は、一般的に「工具器具備品」などの固定資産として扱います。カメラ本体、録画装置、モニターなどが独立して使用できる場合は、建物附属設備ではなく、器具備品として分類することがあります。

ただし、建物全体に固定配線を行い、入退室管理設備や警報設備と一体化している場合は、設備全体の構成を確認する必要があります。インターホンについても、単体の機器交換であれば修繕費や器具備品、新しい配線を含む大規模な設備導入であれば固定資産になる可能性があります。

LAN・電話・通信設備の配線工事

LAN配線や電話配線を新設した場合は、通信設備、器具備品、建物附属設備などとして資産計上する可能性があります。ルーター、ハブ、無線LAN機器など、単独で使用できる機器は器具備品として扱うことが一般的です。

一方、壁や天井の内部へ恒久的に設置する配線や配管は、建物と一体となった設備として判断される場合があります。既存配線の断線を修理しただけであれば修繕費になりますが、通信速度の向上や接続範囲の拡大を目的として設備全体を更新した場合は、資本的支出を検討しましょう。

太陽光発電・蓄電池の設置工事

太陽光発電設備や蓄電池を新たに設置した場合は、原則として固定資産に計上して減価償却します太陽光発電設備は、事業内容や電力の使用目的によって、機械装置などに分類されることがあります

一般的な太陽光発電設備で使用される耐用年数として17年が挙げられますが、発電した電力を特定の製造設備だけで使用する場合などは、事業の種類に応じた別の耐用年数が適用される可能性があります。国税庁「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」また、建物附属設備としての蓄電池電源設備には、一般的な電気設備とは異なる耐用年数が設定されているため、太陽光パネル、パワーコンディショナー、蓄電池、配線工事を一律に処理しないことが大切です

 

 

電気工事費の仕訳例

電気工事費の仕訳は、修繕費、消耗品費、固定資産、家事按分のどれに該当するかによって異なります。以下では、税込経理を採用し、工事代金を普通預金から支払った場合を想定して仕訳例を紹介します。実際には、消費税の経理方式、支払方法、事業形態によって仕訳が変わるため、自社の会計処理へ合わせて調整してください。

修繕費として処理する場合

事務所で故障した照明器具を同等品へ交換し、工事費165,000円を普通預金から支払った場合は、次のように仕訳します。

借方金額貸方金額
修繕費165,000円普通預金165,000円

 

この工事が既存設備の原状回復を目的としており、機能や価値を大きく高めていない場合は、修繕費として全額を計上します。工事代金を後日支払う場合は、工事完了時に貸方を未払金として計上し、支払時に未払金を普通預金へ振り替えます。

消耗品費として処理する場合

事務所で使う交換用LED電球を22,000円で購入した場合は、次のように仕訳します。

借方金額貸方金額
消耗品費22,000円普通預金22,000円

 

交換部品として購入した少額の電球や配線部品は、消耗品費として処理することがあります。取付作業を電気工事業者へ依頼し、部品代と工事費が一体になっている場合は、取引の中心が物品購入なのか修理作業なのかを確認し、消耗品費または修繕費を選びます。

建物附属設備として資産計上する場合

店舗へ新しい照明設備と配線を設置し、工事費660,000円を支払った場合は、次のように仕訳します。

借方金額貸方金額
建物附属設備660,000円普通預金660,000円

 

この時点では、660,000円の全額を費用にはせず、固定資産として貸借対照表へ計上します。その後、設備を事業に使用し始めた日から、法定耐用年数や償却方法に基づいて減価償却費を計上します。仮に耐用年数15年の定額法で、期首から1年間使用した単純な例では、取得価額へ所定の償却率を乗じて、その年の減価償却費を計算します。

自宅兼事務所で家事按分する場合

自宅全体の電気配線を220,000円で修理し、合理的な基準に基づく事業使用割合が40%だった場合、事業分は88,000円です。個人事業主が私生活分を事業主貸として処理する場合は、次のような仕訳が考えられます。

借方金額貸方金額
修繕費88,000円普通預金220,000円
事業主貸132,000円  

 

計算式は、220,000円×40%=88,000円となります。資本的支出に該当する工事を家事按分する場合は、固定資産として計上したうえで、減価償却費のうち事業使用割合に相当する金額を必要経費へ算入する方法などを検討します。

 


会計業務の効率化に関するご相談ならびにシステムの導入をお考えの方はコチラをチェック!! <マネーフォワード クラウド会計> 


 

電気工事費と減価償却の関係

電気工事によって新しい設備を取得した場合や、既存設備の価値を高めた場合は、工事費を固定資産として計上します。固定資産へ計上した金額は、使用する設備の耐用年数に応じて、減価償却費として各年または各事業年度へ配分します。減価償却は、支払った費用を複数年に分けて経費にする仕組みであり、最終的に経費になる総額を単純に増やす制度ではない点に注意しましょう。

固定資産として計上するケース

新しい照明設備、分電盤、受変電設備、屋内配線、電源設備などを設置した場合は、固定資産として計上するのが一般的です。また、既存の設備を改良し、価値や使用可能期間を高めた資本的支出についても、固定資産として減価償却します。

一方、使用可能期間が1年未満の資産や、取得価額が10万円未満の減価償却資産は、一定の条件のもとで取得した年の必要経費へ算入できます。取得価額が10万円以上20万円未満の資産には、一定の要件を満たすことで、3年間にわたって均等に経費へ算入する一括償却資産の制度もあります。

設備の取得価額に含める工事費

固定資産の取得価額には、設備本体の購入代金だけでなく、その設備を事業で使用できる状態にするために直接必要となった費用も含めます。たとえば、業務用機械を購入し、その機械を動かすために専用配線や設置工事が必要だった場合は、工事費を機械の取得価額へ含める可能性があります。

運搬費、取付費、試運転費などについても、資産を使用できる状態にするため直接必要だった費用であれば、取得価額を構成します。請求書を設備代と工事費に分けるだけで、工事費を自動的に修繕費へ変更できるわけではない点に注意しましょう。

法定耐用年数を確認する方法

法定耐用年数は、減価償却資産の種類、構造、用途をもとに確認します。建物附属設備の一般的な電気設備は15年、蓄電池電源設備は6年とされています。

ただし、防犯カメラ、通信機器、機械専用設備、太陽光発電設備などは、建物附属設備ではなく、器具備品や機械装置に分類されることがあります。まずは設備が独立して使用できるか、建物と一体になっているか、特定の機械へ従属しているかを確認し、そのうえで該当する耐用年数を調べましょう。

少額減価償却資産に該当する場合

取得価額が一定額未満の減価償却資産には、通常の減価償却とは異なる処理を選べる場合があります。2026年4月1日以後に取得した資産については、一定の青色申告を行う中小企業者や個人事業主が、取得価額40万円未満の少額減価償却資産を取得して事業に使用した場合、年間合計300万円を上限として、取得価額の全額を必要経費または損金へ算入できる特例があります。

2026年度税制改正では、従来の30万円未満から40万円未満へ基準が引き上げられ、適用期限も3年間延長されています。中小企業庁「少額減価償却資産の特例」ただし、40万円ちょうどの資産は「40万円未満」に該当せず、青色申告、事業供用、年間限度額、従業員数などの要件も確認しなければなりません。

また、この特例によって全額を必要経費にした資産は、原則として償却資産税の申告対象となるため、所得税・法人税だけでなく地方税の取扱いにも注意が必要です

 

個人事業主が電気工事費を経費にする方法

個人事業主が電気工事費を経費にする場合も、基本的な考え方は法人と同じです。ただし、自宅兼事務所の家事按分、開業前の支出、賃貸物件の工事など、個人事業主ならではの判断が必要になる場面があります。経費計上するときは、事業との関連性を説明できる資料を残し、私生活分を含めないことが重要です

店舗や事務所の工事費

事業専用の店舗や事務所で行った電気工事は、私生活用の部分が含まれていなければ、原則として事業用の支出として処理できます。故障した照明や配線の修理は修繕費、新しい照明設備や分電盤の設置は建物附属設備などに区分します。

賃料と一緒に電気工事費を支払った場合でも、工事費の内容が分かる請求書や明細書を受け取り、家賃と分けて記帳しましょう。固定資産として計上する設備については、固定資産台帳へ取得日、取得価額、耐用年数、事業供用日などを記録します。

自宅兼事務所の工事費

自宅兼事務所で行った工事費は、事業に使用する部分だけを必要経費へ含めます。按分基準には、床面積、使用時間、使用日数、電力使用量、専用回路の有無などを使用できます。

たとえば、事務所専用室のコンセントを増設した場合は、その工事が事務所部分だけに関係していることを図面や写真で確認できれば、事業との関連性を説明しやすくなります。自宅全体の分電盤を交換した場合は、事業用と生活用の両方へ効果が及ぶため、合理的な割合による家事按分が必要です。

開業前に行った電気工事

開業前に行った電気工事であっても、開業する事業のために必要な支出であれば、税務上の処理対象になりますただし、開業前に支払った費用をすべて「開業費」へまとめられるわけではありません

新しく設置した照明、配線、分電盤などが固定資産に該当する場合は、開業費ではなく建物附属設備などに計上し、事業で使用し始めた日から減価償却します。一方、固定資産の取得に当たらない開業準備のための少額な支出については、開業費や各費用科目として処理する可能性があります。開業日前の工事であっても、見積書、請求書、領収書、振込記録、工事写真などは保存しておきましょう。

賃貸物件で行った電気工事

借りている店舗や事務所で電気工事を行った場合は、誰が工事費を負担し、設備を所有し、退去時にどのように扱うのかを確認します。借主が費用を負担して建物へ新しい電気設備を取り付けた場合は、借主側で固定資産として計上し、減価償却することがあります。

国税庁は、借りている建物へ設置した造作について、建物の耐用年数、造作の種類、用途、材質などを考慮し、合理的に耐用年数を見積もる考え方を示しています。また、建物附属設備に当たる造作については、その建物附属設備の耐用年数によって償却するとされています。国税庁「他人の建物に対する造作の耐用年数」貸主が工事費を負担した場合や、退去時に借主へ工事費が精算される場合は処理が変わるため、賃貸借契約書や工事承諾書も確認しましょう

 

 

電気工事費を経費計上するときの注意点

電気工事費の税務処理では、工事を行った事実だけでなく、その工事が修理、改良、新設のどれに当たるのかを説明できる資料が必要です。特に高額な工事や、修繕部分と増設部分が混在する工事では、見積書、契約書、写真などを組み合わせて記録を残しましょう。資料を工事直後に整理しておけば、決算や確定申告の際に勘定科目を判断しやすくなります。

見積書・契約書・請求書を保存する

電気工事費を経費計上する場合は、見積書、注文書、契約書、納品書、請求書、領収書、振込明細などを保存します。見積書には工事の予定内容、請求書には実際に完了した工事内容が記載されるため、可能であれば両方を残しましょう。追加工事や仕様変更があった場合は、変更後の見積書やメールなども保存します。電子メールやPDFで受け取った請求書などは、電子帳簿保存法の対象となるため、所定の方法で電子データを保存する必要があります。

材料費と工事費の内訳を確認する

請求書に「電気工事一式」としか記載されていない場合は、材料費と工事費の内訳を工事業者へ確認しましょう。さらに、照明、配線、分電盤、コンセントなど、設備や作業項目ごとの金額が分かると、会計処理を判断しやすくなります。部品代が少額でも、その部品を新しい固定設備として機能させるために多額の設置工事が必要だった場合は、部品代と工事費を合わせて取得価額を判断することがあります。少額資産に該当するかを判断するときも、設備を事業で使用できる状態にするまでの費用を含めた取得価額を確認することが重要です

工事前後の写真を残す

工事前後の写真は、原状回復だったのか、設備の増設・改良だったのかを説明する有力な資料になります。故障箇所、劣化した配線、交換前の分電盤、新設したコンセントの位置などを撮影しておきましょう。写真には撮影日、工事場所、設備名などを記録し、見積書や請求書と対応させて保存すると確認しやすくなります。建物全体の工事では、平面図や配線図へ工事箇所を書き込んでおく方法も有効です。

事業との関連性を説明できるようにする

電気工事費を必要経費へ算入するには、事業との関連性を説明できなければなりません。「作業用機械を導入するため」「店舗の照明が故障したため」「顧客用の防犯設備を整えるため」など、工事の目的を具体的に記録しておきましょう。自宅兼事務所の場合は、工事した場所が事業専用部分なのか、家族と共用する部分なのかも明確にします。工事の目的、使用場所、使用者、事業使用割合を整理しておくことで、経費計上の根拠を示しやすくなります

判断が難しい場合は税理士へ確認する

電気工事には、修繕と改良が一つの契約へ含まれているケースが少なくありません。また、建物附属設備、機械装置、器具備品のどれに分類するかによって、耐用年数や減価償却費が変わります。高額な工事、建物全体に及ぶ工事、賃貸物件の造作、自宅兼事務所の大規模工事などは、契約前または決算前に税理士へ相談すると安心です。相談するときは、見積書、工事図面、工事前後の写真、賃貸借契約書などを用意すると、工事の実態に沿った回答を得やすくなります。

 

電気工事と経費に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、電気工事費の経費計上について、個人事業主や中小企業から寄せられやすい疑問へ回答します。実際の処理は工事内容や設備の使用状況によって異なるため、以下は一般的な判断の目安としてご確認ください。

質 問回答の要点
Q1. 電気工事費は全額を一度に経費にできますか?修繕費に該当すれば工事した年に全額経費計上できるが、新設・機能向上を目的とする工事は固定資産として減価償却するのが基本
Q2. 電気工事費には何の勘定科目を使いますか?修理・原状回復は修繕費、少額部品は消耗品費、新設した照明・配線・分電盤は建物附属設備、機械専用設備は機械装置に含める場合がある
Q3. LED照明への交換は修繕費になりますか?ランプだけの交換なら修繕費になりやすいが、照明設備全体を更新した場合は建物附属設備になる可能性がある
Q4. コンセントの増設費用は経費になりますか?修繕費や建物附属設備として経費にできるが、新設・増設は資本的支出に該当する可能性がある
Q5. 自宅兼事務所の電気工事費は経費にできますか?事業使用部分は必要経費にできるが、自宅全体に関わる工事は床面積などの合理的基準で家事按分が必要
Q6. 賃貸店舗の電気工事費は誰が経費にできますか?原則として工事費を負担した側が経費または固定資産として処理する。契約内容の確認が必須
Q7. 電気設備は何年で減価償却しますか?建物附属設備の一般的な電気設備は15年、蓄電池電源設備は6年が目安。設備の種類によって異なる

Q1. 電気工事費は全額を一度に経費にできますか?

電気工事費が修繕費に該当する場合は、原則として工事を行った年または事業年度に全額を経費計上できます。一方、新しい設備の設置や機能向上を目的とする工事は、固定資産として計上し、耐用年数に応じて減価償却することが一般的です。取得価額が10万円未満の資産、一括償却資産、一定の青色申告者が利用できる少額減価償却資産の特例などに該当すれば、通常の減価償却とは異なる処理を選べる場合があります。

Q2. 電気工事費には何の勘定科目を使いますか?

修理や原状回復を目的とする工事には「修繕費」、交換用の少額部品には「消耗品費」を使用することが一般的です。新しい照明、配線、分電盤などを設置した場合は「建物附属設備」、特定の製造機械専用の設備であれば「機械装置」に含める可能性があります。独立して使用できる防犯カメラ、録画装置、通信機器などは「工具器具備品」として扱うことがあります。

Q3. LED照明への交換は修繕費になりますか?

既存の照明設備そのものへ特別な工事を行わず、蛍光灯だけを蛍光灯型LEDランプへ交換した場合は、修繕費として処理できる可能性があります。ただし、照明器具本体、配線、制御装置などをまとめて交換し、照明設備全体の機能を向上させた場合は、建物附属設備として資産計上する可能性があります。「LEDへの変更」という名称だけで判断せず、ランプだけを交換したのか、設備全体を更新したのかを確認しましょう。

Q4. コンセントの増設費用は経費になりますか?

事業で使用するコンセントの増設費用は、修繕費、建物附属設備、減価償却費などの形で経費にできます。ただし、新しいコンセントや専用回路の増設は、建物の機能を高める工事として資本的支出に該当する可能性があります。軽微で少額な工事については、一度に経費計上できる制度を利用できる場合もあるため、工事全体の取得価額と申告条件を確認してください。

Q5. 自宅兼事務所の電気工事費は経費にできますか?

事業で使用する部分については、必要経費へ算入できます。自宅全体に関係する工事は、床面積、使用時間、電力使用量などの合理的な基準によって家事按分します。事務所専用室だけの工事であり、事業専用であることを図面や写真などで説明できる場合は、その実態に応じて事業用部分を判断します。

Q6. 賃貸店舗の電気工事費は誰が経費にできますか?

原則として、工事費を負担した側が、その工事内容に応じて経費または固定資産として処理します。借主が自ら費用を負担して新しい設備を設置した場合は、借主が固定資産として計上し、減価償却することがあります。貸主が費用を負担した場合や、退去時に工事費が精算される場合は処理が異なるため、賃貸借契約書、工事承諾書、費用負担に関する合意内容を確認してください。

Q7. 電気設備は何年で減価償却しますか?

建物附属設備に該当する一般的な電気設備は、法定耐用年数15年が一つの目安です。建物附属設備に該当する蓄電池電源設備は6年とされています。ただし、太陽光発電設備、通信設備、防犯カメラ、機械専用設備などは、機械装置や器具備品として別の耐用年数を使用する場合があります。設備名だけで判断せず、構造、用途、設置方法、事業内容を確認したうえで耐用年数を決めましょう。

 

まとめ|電気工事費は工事の目的と内容から適切に経費処理しよう

電気工事にかかった費用は、事業に必要な支出であれば、修繕費、消耗品費、減価償却費といった形で経費にできます故障や劣化を直して元の状態へ戻す工事は修繕費、新しい設備の設置や機能向上を目的とする工事は建物附属設備などの固定資産として扱うのが基本の考え方です

ただし、修繕費と資本的支出は、工事金額や請求書の名称だけでは判断できません。工事の目的、工事前後の性能、設備の使用可能期間、事業との関連性などを具体的に確認する必要があります。また、自宅兼事務所で行った電気工事は、事業使用割合に応じた家事按分が欠かせません。

見積書には「電気工事一式」ではなく、設備、材料、作業内容、金額の内訳を記載してもらい、契約書、請求書、工事前後の写真などと一緒に保存しておきましょう。適切な勘定科目と減価償却方法を選び、判断の根拠を残しておくことが、正確な確定申告と税務上のトラブル防止につながります

 


会計業務の効率化に関するご相談ならびにシステムの導入をお考えの方はコチラをチェック!! <マネーフォワード クラウド会計> 


 

ビジネスフォン工事で失敗しない!配線・費用・機種選びのポイント
一覧へ戻る
電気工事で変わるLAN配線!オフィスの高速ネットワーク設計術

関連記事