2024.07.23
入退室管理システムとは?仕組み・種類・導入メリットを徹底解説!
入退室管理システムとは?
1. 入退室管理システムの概要
入退室管理システムとは、建物や特定エリアへの出入りを管理し、許可された人だけがアクセスできるようにするシステムです。
オフィス・工場・学校・マンション・データセンター・病院など、セキュリティを強化する必要がある場所に広く導入されています。
このシステムを導入することで、「誰が・いつ・どこに出入りしたのか」を記録し、不正侵入を防ぐことが可能になります。
また、入退室履歴をデータとして管理できるため、労務管理や施設の利用状況の把握にも役立ちます。
2. 入退室管理システムの目的
入退室管理システムの導入目的は、大きく分けて以下の3つです。
2-1. セキュリティ強化
・ 不正な侵入を防ぐ(不審者や関係者以外の入室を制限)
・ 重要エリアの保護(データセンターや機密情報を扱う部屋の管理)
・ 企業資産や個人情報の保護
2-2. 効率的な管理
・ 鍵の管理が不要になる(物理的な鍵の貸し借りの手間が省ける)
・ 入退室履歴をデータ化し、管理が容易に
・ 従業員の勤務状況の記録として活用可能
2-3. コスト削減
・ 鍵の紛失や交換コストの削減
・ 警備員の配置コストを削減できる
3. 入退室管理システムの仕組み
入退室管理システムは、以下の4つの要素で構成されます。
構成要素 | 役割 |
---|---|
認証デバイス | 入室者が本人であることを確認する装置(ICカードリーダー、指紋認証装置など) |
制御装置(コントローラー) | 認証デバイスからの情報を処理し、扉の開閉を制御する機器 |
データ管理システム | 誰が・いつ・どこに入退室したかの履歴を記録・管理する |
通信ネットワーク | クラウド型の場合、インターネットを介してデータを管理・監視 |
入退室時には、認証デバイスで本人確認を行い、制御装置が認証を処理し、許可があれば扉が開くという仕組みになっています。
クラウド型システムを導入すると、スマートフォンアプリで管理したり、遠隔からリアルタイムで監視することも可能です。
4. 入退室管理システムの種類
入退室管理システムには、用途や管理方法に応じた3つのタイプがあります。
4-1. オンプレミス型(自社管理型)
自社サーバーにシステムを構築し、社内で管理するタイプです。
【メリット】
・ データを自社で管理できるため、セキュリティが高い
・ カスタマイズが自由にできる
【デメリット】
・ 初期コストが高い(サーバーや管理システムの導入が必要)
・ 専門知識のある人材が必要
2-2. クラウド型
インターネット経由で管理するタイプで、近年増えているシステムです。
【メリット】
・ 遠隔管理が可能(スマートフォンやPCからリアルタイムで監視できる)
・ 導入・運用コストが比較的安い
【デメリット】
・ インターネット環境に依存する(ネットワーク障害時に使えなくなる可能性)
・ セキュリティリスクがある(クラウド経由の情報漏洩のリスク)
2-3. スタンドアロン型
ネットワークを使わず、単独で動作するタイプです。
【メリット】
・ インターネット不要でセキュリティが高い
・ 低コストで導入できる
【デメリット】
・ リアルタイムでの管理ができない(データを後で手動で確認する必要あり)
・ 複数の拠点で一括管理が難しい
5. どんな場所で使われるのか?
入退室管理システムは、さまざまな業種や施設で活用されています。
【導入事例】
施設の種類 | 主な活用目的 |
---|---|
オフィス・企業 | 社員・来訪者の管理、不正侵入防止 |
工場・倉庫 | 重要エリアへのアクセス制限、従業員の出勤管理 |
マンション・アパート | 住民と訪問者の入室管理、防犯対策 |
データセンター | 重要サーバールームのセキュリティ強化 |
学校・教育施設 | 学生・教職員の出入り管理、安全対策 |
病院・医療施設 | 医療従事者の管理、患者や外部者の不正侵入防止 |
特に、データセンターや工場では厳格なセキュリティが求められるため、生体認証や複数の認証方式を組み合わせたシステムが導入されています。
一方、オフィスやマンションではICカードやスマートフォン認証が主流です。
6. 入退室管理システムの進化
近年、入退室管理システムは進化を遂げており、以下のような最新技術が導入されています。
6-1. AIと顔認証技術の活用
・ AIが顔認証の精度を向上し、マスク着用時でも認証可能に
・ 「なりすまし」対策の強化
6-2. スマートフォンによる遠隔管理
・ スマートフォンアプリで扉の施錠・解錠が可能
・ クラウド連携により、リアルタイムでの管理ができる
6-3. IoT技術との連携
・ 監視カメラやセンサーと連携し、不審な動きを検知
・ 入退室データをビッグデータ分析し、セキュリティ向上に活用
入退室管理システムは、建物や施設のセキュリティを向上させるための重要な仕組みです。
導入することで、不正侵入の防止・効率的なアクセス管理・コスト削減が可能になります。
現在では、クラウド型やAI顔認証を活用したシステムも増えており、より高度なセキュリティ対策が求められています。
目的に応じたシステムを選び、最適な運用方法を考えながら導入を進めることが重要です。
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入退室管理システムの認証って何?
1. 認証とは?
入退室管理システムにおける「認証」とは、建物や特定のエリアにアクセスしようとする人が適切な権限を持っているかどうかを確認するプロセスのことです。
従来の鍵と異なり、認証システムを用いることで「誰が・いつ・どこに入退室したのか」が記録され、不正アクセスを防ぐことが可能になります。
また、認証方式にはさまざまな種類があり、セキュリティレベルや利便性、コストに応じて適切な方式が選択されます。
2. 認証の仕組み
入退室管理システムの認証は、以下のような仕組みで行われます。
2-1. ユーザーが認証デバイスにアクセス
利用者は、ICカードリーダー・暗証番号入力機・生体認証装置などの認証デバイスにアクセスします。
2-2. 認証情報をシステムが照合
登録されているデータと照合し、一致すればアクセスが許可されます。
2-3. アクセスの可否を判断
・ 一致すれば、制御装置が扉のロックを解除し、入室を許可します。
・ 一致しない場合、扉は開かず、必要に応じて警報を発することもあります。
2-4. 認証履歴を記録
入退室の日時やユーザー情報がシステムに記録され、後から確認することが可能です。
3. 認証の種類
認証方式は、主に以下の4つに分類されます。
認証方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
カード認証 | ICカードや磁気カードをリーダーにかざして認証 | 導入コストが低く、運用が簡単 | カード紛失・貸与のリスク |
暗証番号(PIN)認証 | キーパッドに暗証番号を入力 | 物理的なカード不要 | 番号漏洩のリスク |
生体認証 | 指紋・顔・虹彩などを利用して本人確認 | 偽造が難しく、セキュリティが高い | 導入コストが高い |
スマートフォン認証 | アプリやQRコードを利用 | 利便性が高く、クラウド連携可能 | スマホ紛失時のリスク |
4. 各認証方式の詳細
4-1. カード認証
【概要】
ICカード・磁気カード・非接触ICカードなどを用いて認証する方式です。
社員証や入館証として広く利用されています。
【メリット】
・ 導入が容易で、コストも比較的安い
・ 利用者の負担が少なく、使いやすい
【デメリット】
・ カードの紛失・盗難リスクがある
・ 他人への貸与が可能で、不正利用の可能性がある
4-2. 暗証番号(PIN)認証
【概要】
キーパッドで暗証番号を入力し、認証を行う方式です。
シンプルな仕組みですが、手軽に導入できるため、小規模な施設でよく使用されます。
【メリット】
・ カード不要で、低コストで導入可能
・ 複数人での利用が容易
【デメリット】
・ 暗証番号が漏洩すると誰でも入室可能
・ 定期的な変更が必要で、運用の手間が増える
4-3. 生体認証
【概要】
指紋・顔・虹彩など、人の身体的特徴を利用して認証する方式です。
最近では、AI技術の進化により、顔認証の精度が向上し、マスク着用時でも認証できるシステムが登場しています。
【メリット】
・ カード紛失や貸与のリスクがない
・ 高いセキュリティを実現可能
【デメリット】
・ 導入コストが高い
・ 指の乾燥や顔の変化で認識しにくい場合がある
4-4. スマートフォン認証
【概要】
専用アプリやQRコードを使って認証する方式です。
クラウド型システムと連携することで、リモート管理が可能になります。
【メリット】
・ カード不要で、スマホ一つで管理できる
・ クラウド管理により、リアルタイムで監視可能
【デメリット】
・ スマホの紛失・電池切れ時に認証できない
・ セキュリティ設定が不十分だとハッキングリスクがある
5. 多要素認証(MFA)の重要性
近年では、1つの認証方式だけでは不十分な場合が多く、複数の認証を組み合わせる「多要素認証(MFA)」が重要視されています。
例えば、以下のような組み合わせが考えられます。
【多要素認証の例】
・ ICカード + 暗証番号(カード紛失時の不正利用を防止)
・ 指紋認証 + スマートフォン認証(高セキュリティ環境向け)
・ 顔認証 + QRコード認証(企業のオフィス向け)
多要素認証を導入することで、なりすましや不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。
6. どの認証方式を選ぶべきか?
認証方式を選ぶ際は、以下のポイントを考慮する必要があります。
ポイント | 考慮すべき点 |
---|---|
セキュリティレベル | 重要エリアなら生体認証や多要素認証が必要 |
利便性 | カード認証やスマートフォン認証が操作しやすい |
コスト | 小規模ならPIN認証、大規模ならクラウド型が適切 |
管理のしやすさ | 遠隔管理が必要ならクラウド型システムを選択 |
企業や施設の特性に応じて、最適な認証方式を選定することが重要です。
入退室管理システムの認証は、建物や施設のセキュリティを向上させる重要なプロセスです。
認証方式には、カード・PIN・生体認証・スマートフォン認証などの複数の選択肢があり、用途やリスクに応じた適切な方式を選ぶことが求められます。
さらに、多要素認証(MFA)を導入することで、セキュリティを強化し、不正アクセスのリスクを最小限に抑えることが可能です。
導入前に、施設の規模や運用方法を考慮し、最適な認証方式を選ぶことが重要です。
★ 入退室管理のスマホ活用について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください
入退室管理をスマホで行う時代へ!導入事例と技術の進化を紹介
入退室管理システムのメリットって何?
1. セキュリティの強化
入退室管理システムの最大のメリットは、不正侵入を防ぎ、建物や施設のセキュリティを向上させることです。
従来の鍵を使った入退室管理では、鍵の紛失や複製のリスクがあり、不正侵入を完全に防ぐことは困難でした。
しかし、入退室管理システムを導入することで、ICカード・生体認証・暗証番号などを組み合わせた高度な認証方式を使用し、不正アクセスのリスクを最小限に抑えることができます。
また、特定のエリアへのアクセス制限を行うことで、機密情報や貴重品を守ることが可能です。
例えば、データセンターやサーバールーム、研究施設では、特定の従業員しか入室できないように設定することで、情報漏洩や機器の盗難を防止できます。
セキュリティ強化のポイント
・ 不正な入室を防止(鍵の紛失や貸与リスクを低減)
・ 入退室履歴の記録と監視(リアルタイムで異常を検知可能)
・ アクセス権限の細かい設定が可能(部署ごと・個人ごとに制限)
2. 管理の効率化
入退室管理システムを導入すると、従来の鍵管理に比べて運用の手間が大幅に軽減されます。
例えば、従業員が退職した場合、従来の鍵管理では鍵を回収する必要があり、紛失した場合は鍵の交換や新たな鍵の配布が必要でした。
しかし、入退室管理システムでは、システム上で該当者のアクセス権限を削除するだけで、簡単に管理が可能になります。
また、クラウド型の入退室管理システムを利用すれば、管理者が遠隔からアクセス権の変更や監視が可能になり、管理業務の負担をさらに軽減できます。
管理の効率化ポイント
・ 鍵の受け渡しが不要(権限の変更で即対応可能)
・ リアルタイムでの管理が可能(クラウド型なら遠隔操作も対応)
・ 履歴データの分析が容易(不審な入退室を即時チェック)
3. コスト削減
入退室管理システムの導入により、鍵の交換・警備コストの削減が可能になります。
例えば、従来の鍵管理では、紛失時に鍵の作り直しやシリンダー交換が必要になり、その都度コストが発生します。
また、物理的な警備員を配置する場合、人的コストがかかるため、効率的な運用が求められます。
一方、入退室管理システムを導入すると、紛失時でも簡単にカードを無効化したり、新しいアクセス権を発行できるため、物理的な鍵の交換費用が不要になります。
さらに、セキュリティレベルが向上することで、警備員の配置を減らし、人的コストを削減することも可能です。
コスト削減のポイント
・ 鍵の交換コストが不要(システム上で管理可能)
・ 警備員の配置を減らせる(遠隔監視システムの導入で負担軽減)
・ システム導入後の運用コストが低い(クラウド型ならサーバー管理不要)
4. 労務管理の最適化
入退室管理システムは、従業員の出勤・退勤の記録にも活用できます。
例えば、従業員がICカードや生体認証で入室すると、その時間が自動的に記録されるため、タイムカードや手書きの出勤簿が不要になります。
さらに、勤怠管理システムと連携すれば、残業時間の管理や不正な打刻の防止が可能になり、正確な勤務状況を把握できます。
特にフレックスタイム制やシフト勤務を導入している企業では、正確な入退室記録が労務管理の効率化に直結します。
労務管理の最適化ポイント
・ 出勤・退勤の記録を自動化(タイムカード不要)
・ 不正な勤怠打刻を防止(本人認証で確実に記録)
・ 残業時間や労働時間の正確な把握が可能
5. 災害・非常時の安全確保
入退室管理システムは、災害や緊急時の安全確保にも役立つ機能を備えています。
例えば、火災や地震が発生した場合、システムを利用すれば施設内に誰がいるかをリアルタイムで把握し、迅速な避難誘導が可能になります。
また、入退室履歴を活用することで、災害時の安否確認にも役立つため、安全対策としても重要な役割を果たします。
さらに、非常時にはシステムが自動的に扉を開放し、スムーズな避難をサポートすることも可能です。
災害・非常時の安全対策
・ リアルタイムで施設内の人数を確認可能
・ 避難時の安否確認に活用できる
・ 非常時には自動で扉を開放し、安全な避難をサポート
入退室管理システムには、セキュリティ向上・管理の効率化・コスト削減・労務管理の最適化・災害時の安全確保といった多くのメリットがあります。従来の鍵管理では対応しきれなかった不正侵入のリスクや管理の手間を大幅に軽減し、施設や企業の安全性と運用効率を向上させることが可能です。
特に、クラウド型の入退室管理システムは、遠隔管理や勤怠管理との連携ができるため、より効率的な運用が可能になります。導入を検討する際は、施設の規模や目的に応じて適切なシステムを選定し、運用の最適化を図ることが重要です。
次の章では、入退室管理システムの具体的な導入手順について詳しく解説していきます。
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入退室管理システムの導入ってどうやるの?
1. 入退室管理システム導入の流れ
入退室管理システムを導入するには、事前準備からシステム選定、設置工事、運用開始までの一連のステップを適切に進めることが重要です。
【導入の主な流れ】
ステップ | 内容 |
---|---|
① 目的・要件の整理 | どのような施設に導入するのか、どのレベルのセキュリティが必要かを決定 |
② システムの選定 | 認証方式や管理方法を選び、クラウド型かオンプレミス型かを決定 |
③ 設置環境の確認 | 既存の扉や電気配線、ネットワーク環境を調査 |
④ 導入業者の選定 | 設計・施工を担当する業者を選ぶ |
⑤ システムの設置・工事 | 認証デバイスや制御装置を設置し、動作テストを実施 |
⑥ 運用開始・従業員教育 | システムを運用し、利用者への説明を行う |
2. 目的・要件の整理
入退室管理システムを導入する前に、どのような目的で導入するのか、どのような機能が必要かを明確にすることが重要です。
主な目的
・ セキュリティの強化(不正侵入を防ぐ、アクセス制限を設ける)
・ 入退室履歴の管理(誰が・いつ・どこに出入りしたかを記録する)
・ 労務管理の最適化(出退勤管理と連携し、労働時間を把握する)
・ コスト削減(鍵の管理を不要にし、警備員の配置を減らす)
要件の整理ポイント
・ 対象エリアはどこか?(全社導入か、一部エリアのみか)
・ どの認証方式を採用するか?(ICカード、PIN、顔認証、スマホ認証など)
・ 管理はクラウド型かオンプレミス型か?
・ 導入コスト・運用コストはどの程度か?
3. システムの選定
目的と要件が明確になったら、次にどの入退室管理システムを採用するかを決めます。
システム選定のポイントとしては、以下の点が挙げられます。
2-1. 認証方式の選定
認証方式 | 特徴 | おすすめの用途 |
---|---|---|
ICカード認証 | 使いやすく、比較的低コスト | 一般的なオフィスや工場 |
暗証番号認証 | 簡単に導入可能だが、漏洩リスクあり | 小規模オフィスや短期利用 |
生体認証 | 高セキュリティだが、導入コストが高い | データセンター・研究所 |
スマートフォン認証 | 遠隔管理が可能で、利便性が高い | クラウド型オフィス、シェアオフィス |
2-2. クラウド型 or オンプレミス型
管理方式 | 特徴 | 適した環境 |
---|---|---|
クラウド型 | 遠隔管理が可能、リアルタイム監視、低コスト | 複数拠点を持つ企業・シェアオフィス |
オンプレミス型 | 自社でデータ管理、高いセキュリティ | データセンター・機密性の高い企業 |
【システム選定時のポイント】
・ 導入目的に合った認証方式を選ぶ
・ 遠隔管理が必要ならクラウド型を検討
・ セキュリティが重要なら多要素認証(MFA)を採用
4. 設置環境の確認
入退室管理システムをスムーズに導入するためには、既存の設備や環境が対応可能かを事前に確認することが重要です。
確認すべきポイント
・ ドアの種類(自動ドア・手動ドア・引き戸など)
・ 配線の有無(制御装置や通信設備を設置できるか)
・ ネットワーク環境(クラウド型ならWi-Fiや有線LANが必要)
・ 停電時の対策(バックアップ電源の有無)
既存設備の改修が必要な場合
・ 扉の変更(電気錠の取り付け)
・ 通信環境の強化(Wi-FiやLANケーブルの敷設)
・ バックアップ電源の導入
5. 導入業者の選定
システムの設計や施工を依頼する業者選びも重要なポイントです。
業者を選ぶ際は、実績・サポート体制・費用のバランスを考慮することが大切です。
【業者選定のポイント】
・ 過去の実績が豊富な業者を選ぶ
・ アフターサポートが充実しているか確認
・ 費用対効果を考慮し、最適な提案をしてくれる業者を選ぶ
6. システムの設置・工事
導入が決まったら、入退室管理システムの設置工事を行います。
この段階では、認証デバイス・制御装置・ネットワーク接続の設定などを実施します。
主な設置工事
・ 認証デバイスの取り付け(ICカードリーダー・顔認証機など)
・ 電気錠の設置(扉の種類に応じて施工)
・ 制御装置の設定(システムと扉の連携設定)
・ ネットワーク接続(クラウド型ならWi-Fi接続が必要)
設置後は、動作確認を行い、正常にシステムが機能するかをテストします。
7. 運用開始・従業員教育
システムの設置が完了したら、運用を開始し、従業員に利用方法を周知します。
運用開始時のチェックリスト
・ 各ユーザーのアクセス権限の設定
・ 入退室履歴の記録テスト
・ 緊急時の対応マニュアル作成
・ 従業員への利用説明(トレーニング)
利用者にとって分かりやすく、ストレスなく使える運用体制を構築することが重要です。
入退室管理システムの導入は、目的の明確化・システム選定・設置環境の確認・適切な業者の選定・システムの設置と運用開始の流れで進めることが重要です。
特に、認証方式の選定やクラウド型・オンプレミス型の選択によって運用方法が大きく変わるため、導入前の検討が不可欠です。
次の章では、導入業者の選び方について詳しく解説します。
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保護者も安心!塾の入退室管理のシステム導入のメリットとは
入退室管理システムの導入ってどんな業者に依頼すればいいの?
1. 入退室管理システム導入業者の種類
入退室管理システムの導入には、専門的な知識や技術が必要なため、信頼できる業者に依頼することが重要です。
業者選びを誤ると、システムの不具合・設置ミス・アフターサポートの不備などのトラブルが発生し、運用に支障をきたす可能性があります。
入退室管理システムを導入できる業者は、主に以下の3つのタイプに分類されます。
業者の種類 | 特徴 | 適した導入環境 |
---|---|---|
セキュリティ専門業者 | 入退室管理システム、防犯カメラ、警備システムを総合的に扱う | 企業・工場・マンション |
電気工事業者 | 配線・電気錠の設置が得意、機器の取り付けや設定を担当 | 既存設備があるオフィスや施設 |
クラウド型システム提供業者 | クラウド管理が得意、遠隔監視・リモート管理が可能 | 多拠点展開の企業やシェアオフィス |
2. 業者選定時のチェックポイント
入退室管理システムの業者を選ぶ際には、以下のポイントをチェックすることが重要です。
2-1. 施工実績が豊富か
入退室管理システムの導入は、建物の構造や利用目的に応じた最適なシステム設計が必要です。
経験豊富な業者であれば、施設の規模やセキュリティ要件に応じた適切な提案が可能です。
【チェックポイント】
・ 導入実績が豊富か?
・ 過去の導入事例があるか?
・ 自社と同じ業種・規模の施設での施工経験があるか?
2-2. アフターサポートが充実しているか
入退室管理システムは、導入後もトラブル対応や運用サポートが必要です。
特に、以下のようなサポート体制が整っている業者を選ぶことが重要です。
【チェックポイント】
・ 障害発生時の対応スピードは早いか?
・ 定期メンテナンスが提供されているか?
・ サポート窓口の対応時間(24時間対応か)?
・ リモート対応やオンサイト対応の可否
2-3. コストパフォーマンスが適切か
導入費用は業者によって異なるため、複数の業者から見積もりを取得し、比較検討することが重要です。
ただし、安すぎる業者は施工の質が低かったり、アフターサポートが不十分だったりする可能性があるため注意が必要です。
【見積もり時のチェックポイント】
・ 初期導入費用だけでなく、運用コストも含めて検討
・ 追加費用の発生条件を明確に確認
・ 安すぎる業者は質が低い可能性があるため注意
2-4. 最新技術に対応しているか
近年の入退室管理システムは、クラウド型やスマートフォン連携、AI顔認証などの最新技術が採用されています。
導入後の拡張性や最新技術への対応を考慮し、柔軟なシステム提案ができる業者を選ぶことが重要です。
【チェックポイント】
・ クラウド型システムに対応しているか?
・ スマートフォン認証やAI顔認証など最新技術に対応しているか?
・ 将来的なシステム拡張が可能か?
3. 業者ごとの選定基準
入退室管理システムの導入業者には、それぞれ得意分野があります。
導入する施設の用途や求めるセキュリティレベルに応じて、適切な業者を選ぶことが大切です。
3-1. セキュリティ専門業者
おすすめの施設
・ 企業オフィス
・ マンション、アパート
・ 工場、倉庫
選定基準
・ 防犯カメラや警備システムと統合できるか?
・ セキュリティの専門知識が豊富か?
・ 24時間の監視サービスがあるか?
3-2. 電気工事業者
おすすめの施設
・ 既存オフィスのリフォーム時
・ 工場、病院などの大規模施設
選定基準
・ 電気錠や配線工事の経験が豊富か?
・ 建物構造に応じた施工ができるか?
・ 設置後のメンテナンス対応があるか?
3-3. クラウド型システム提供業者
おすすめの施設
・ シェアオフィス
・ 多拠点の企業
・ 遠隔管理が必要な施設
選定基準
・ クラウド管理のノウハウがあるか?
・ 遠隔管理機能が充実しているか?
・ アップデートや機能追加が可能か?
4. 業者選定の流れ
実際に業者を選ぶ際は、以下の手順で進めるとスムーズです。
4-1. 業者リストの作成
・ インターネットや口コミ、業者紹介サイトで候補をリストアップ
4-2. 資料請求・問い合わせ
・ 施工実績や対応範囲を確認し、問い合わせを行う
4-3. 現地調査と見積もり取得
・ 実際に建物の環境を見てもらい、適切な提案を受ける
4-4. 提案内容の比較
・ 費用、セキュリティレベル、アフターサポートの充実度を比較
4-5. 契約・施工開始
・ 業者を選定し、契約後に工事を実施
入退室管理システムの導入は、施設のセキュリティを向上させ、管理業務を効率化する重要な投資です。
しかし、業者選びを間違えると、施工不良やアフターサポート不足などの問題が発生し、運用に支障をきたす可能性があります。
適切な業者を選定するためには、
・ 施工実績が豊富で信頼できるか?
・ アフターサポートが充実しているか?
・ 最新技術に対応し、将来的な拡張が可能か?
・ コストパフォーマンスが適切か?
といったポイントをしっかり確認し、慎重に判断することが重要です。
次の章では、入退室管理システムを導入する際に注意すべきポイントについて詳しく解説していきます。
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入退室管理システムを導入する際に注意することって何?
1. セキュリティリスクの考慮
入退室管理システムを導入する最大の目的はセキュリティの強化ですが、適切に設計・運用しなければ、逆にリスクを招く可能性があります。
1-1. 認証方式の選定ミスに注意
認証方式を適当に選ぶと、不正アクセスのリスクが高まるため、施設の用途や重要度に応じた認証方式を選定することが重要です。
【リスクと対策】
・ PINコードのみの認証 → 暗証番号が漏洩すると簡単に不正侵入されるため、ICカードや生体認証を併用する
・ ICカードのみの認証 → カードの貸与や紛失のリスクがあるため、PINコードとの二重認証を導入する
・ 生体認証のみの認証 → 機器の認識エラーやシステム障害時に入室できない可能性があるため、ICカードやPINをバックアップとして用意する
1-2. 停電やネットワーク障害時の対応
クラウド型の入退室管理システムでは、インターネット環境がダウンするとシステムが機能しなくなるリスクがあります。
また、電気錠が主流となるため、停電時の対応策を考えておく必要があります。
【対策】
・ 無停電電源装置(UPS)を設置し、一定時間システムが稼働するようにする
・ クラウド型の場合はローカルバックアップ機能があるシステムを選ぶ
・ 停電時に解錠できるバックアップキーやマニュアルを用意する
1-3. データの管理とプライバシー保護
入退室管理システムでは、従業員や利用者の入退室履歴が記録されるため、個人情報の取り扱いにも注意が必要です。
特に、クラウド型システムでは、外部からの不正アクセスによるデータ漏洩のリスクも考慮しなければなりません。
【対策】
・ システムにログインできる管理者を限定し、アクセス権限を細かく設定
・ ログデータの暗号化と、定期的なデータバックアップを実施
・ セキュリティ対策が施されたクラウドサービスを選択する
2. 運用面での注意点
システムの導入が完了しても、運用を適切に行わなければ効果が半減してしまいます。
特に、運用ルールの設定・周知を徹底し、適切に管理することが重要です。
2-1. アクセス権限の適切な管理
導入時にアクセス権限を設定しても、組織の変更や従業員の入れ替わりが発生すると、適切な管理が求められます。
権限が適切に管理されていないと、退職した従業員がシステムにアクセスできる状態が続いてしまうリスクがあります。
【対策】
・ 定期的にアクセス権限を見直し、不必要なアカウントを削除する
・ 異動、退職時の権限変更を迅速に実施できる体制を構築する
・ 重要エリアへのアクセスは、特定の管理者のみが制御できるようにする
2-2. 利用者の教育とルールの徹底
どれだけ高度なシステムを導入しても、利用者の運用ミスがあるとセキュリティの効果が低下します。
例えば、ICカードの貸し借りや、PINコードのメモ書き放置などは重大なセキュリティリスクになります。
【対策】
・ 入退室管理システムの利用ルールを策定し、定期的に周知する
・ ICカードの貸し借りを禁止し、違反時の対応ルールを明確化
・ PINコードの定期変更を義務化し、書面での保存を禁止
2-3. システムの定期メンテナンス
システムは導入すれば終わりではなく、定期的な点検・メンテナンスが必要です。
システムの不具合が発生すると、入退室ができなくなり、業務に支障をきたす可能性があります。
【対策】
・ 定期的にシステムの動作確認を実施し、不具合がないかをチェック
・ バックアップデータの取得を定期的に行い、万が一の障害時に備える
・ 故障や不具合が発生した場合の対応手順をマニュアル化
3. 法規制やガイドラインへの対応
入退室管理システムの導入・運用においては、法律や業界ガイドラインに準拠することも重要です。
3-1. 労働基準法・個人情報保護法への対応
入退室履歴は、労働時間の管理に利用できる一方で、個人情報としての取り扱いが求められます。
不適切な管理を行うと、法律違反となるリスクがあるため、慎重な対応が必要です。
【対応策】
・ 入退室履歴を労働時間管理に利用する場合は、従業員の同意を得る
・ 個人情報として適切に管理し、無関係な者が履歴を閲覧できないようにする
・ データの保存期間を定め、不要なデータは適切に削除する
入退室管理システムの導入は、セキュリティ強化や管理効率の向上といったメリットをもたらしますが、適切な運用ができなければ逆にリスクを生む可能性があります。
特に、認証方式の選定ミス・システム障害時の対応・データ管理の不備などに注意し、適切な対策を講じることが重要です。
【導入時の注意点まとめ】
・ 認証方式はセキュリティレベルに応じて慎重に選ぶ
・ 停電、ネットワーク障害時の対策を講じる
・ 入退室データの管理とプライバシー保護を徹底する
・ 運用ルールを策定し、利用者への周知を徹底する
・ システムの定期メンテナンスを行い、障害に備える
・ 法規制やガイドラインに準拠した運用を行う
適切な設計と運用を行うことで、入退室管理システムの効果を最大限に発揮することができます。
次の章では、ここまでの内容を総括し、入退室管理システム導入の重要ポイントを改めて整理します。
★ オフィスの入退室管理について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください
オフィスの入退室管理を効率化!セキュリティ強化と勤怠管理の最適解
まとめ
1. 入退室管理システムとは?
入退室管理システムは、建物や特定エリアへのアクセスを制限し、許可された人のみが出入りできるようにするセキュリティシステムです。
オフィス・工場・学校・マンション・データセンター・病院など、多くの施設で導入されており、以下の目的で活用されています。
・ セキュリティの強化(不正侵入の防止、機密情報の保護)
・ 管理の効率化(鍵の管理不要、入退室履歴の記録)
・ コスト削減(警備員配置の削減、鍵の交換コスト削減)
従来の物理的な鍵と異なり、デジタル管理が可能で、入退室履歴の記録・遠隔管理・スマートフォン連携などの高度な機能を備えています。
2. 入退室管理システムの仕組みと認証方式
入退室管理システムは、以下の4つの要素で構成されます。
構成要素 | 役割 |
---|---|
認証デバイス | 利用者が本人であることを確認(ICカードリーダー、指紋認証、顔認証など) |
制御装置(コントローラー) | 認証デバイスからの情報を処理し、扉の開閉を制御 |
データ管理システム | 入退室履歴を記録・管理 |
通信ネットワーク | クラウド型の場合、インターネットを介してデータ管理 |
認証方式には以下の種類があり、セキュリティレベルや運用のしやすさに応じて選択されます。
認証方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ICカード認証 | カードをかざして認証 | 簡単・低コスト | 紛失・貸与リスク |
暗証番号(PIN)認証 | キーパッドで番号入力 | 物理キー不要 | 番号漏洩のリスク |
生体認証(指紋・顔) | 指紋や顔で認証 | 高セキュリティ | 高コスト・認識エラー |
スマートフォン認証 | アプリやQRコードを使用 | 遠隔管理可能 | スマホ紛失時のリスク |
特に近年では、AIを活用した顔認証や、多要素認証(MFA)の導入が進んでおり、セキュリティを強化するために複数の認証を組み合わせるケースが増えています。
3. 入退室管理システムの種類と用途
入退室管理システムには、主に以下の3つの種類があり、用途に応じて適切な方式を選択する必要があります。
システム種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
オンプレミス型 | 自社サーバーで管理 | 高セキュリティ・カスタマイズ可能 | 初期コストが高い・運用負担大 |
クラウド型 | インターネット経由で管理 | 遠隔監視・低コスト | ネットワーク障害のリスク |
スタンドアロン型 | 独立したシステムで運用 | インターネット不要で安全 | リアルタイム監視不可 |
近年では、遠隔監視やスマートフォン連携が可能なクラウド型システムが主流になっており、多拠点管理を容易にするために採用されています。
4. 入退室管理システム導入のメリット
4-1. セキュリティの強化
・ 不正アクセスの防止(ICカード・生体認証などによる高セキュリティ認証)
・ 入退室履歴の記録(リアルタイムでのログ管理)
・ アクセス制限の細分化(特定の部署・エリアごとに設定可能)
4-2. 管理の効率化
・ 鍵の紛失、貸与リスクの排除(カードやPINのデジタル管理)
・ アクセス権限の遠隔管理(クラウド型なら即時設定変更が可能)
・ 労務管理の最適化(入退室記録を勤怠管理システムと連携)
4-3. コスト削減
・ 警備員の配置コスト削減(監視カメラとの連携で効率化)
・ 鍵の交換、管理コスト削減(物理的な鍵不要)
・ システムの遠隔メンテナンスが可能(クラウド型なら保守費用を抑えられる)
4-4. 災害・非常時の安全確保
・ 災害時のリアルタイム人数把握
・ 非常時の自動解錠機能
・ 避難経路の確保、管理
5. 入退室管理システム導入の流れ
導入には以下のステップが必要です。
1. 目的と要件の整理(セキュリティレベル・管理方法の決定)
2. システムの選定(クラウド型・オンプレミス型の選択)
3. 設置環境の確認(扉・ネットワーク・電源設備の調査)
4. 導入業者の選定(施工実績・アフターサポートの確認)
5. システムの設置・工事(認証デバイス・制御装置の設置)
6. 運用開始と従業員教育(アクセス権限の設定・利用者説明)
導入後の運用ルールを明確にし、定期的なメンテナンスを行うことで、安定した運用が可能になります。
6. 入退室管理システム導入時の注意点
導入の際には、以下のリスクと対策を考慮する必要があります。
・ 認証方式の選定ミス → PIN単独ではなく、多要素認証(MFA)を導入
・ 停電、ネットワーク障害時の対応 → 無停電電源装置(UPS)やバックアップキーの用意
・ データ管理とプライバシー保護 → 適切なアクセス権限設定とデータ暗号化
・ 従業員の利用ルールの徹底 → ICカード貸与禁止、暗証番号の定期変更
・ 定期メンテナンスの実施 → システム障害を未然に防ぐための点検・保守計画
また、法規制(個人情報保護法・労働基準法)に準拠した運用が求められるため、データの取り扱いにも注意が必要です。
入退室管理システムは、セキュリティの向上、管理の効率化、コスト削減、労務管理の最適化、非常時の安全確保など、多くのメリットを提供します。しかし、適切な設計と運用ができなければ、逆にリスクを生む可能性もあります。
そのため、導入前には目的の明確化・システム選定・設置環境の確認・業者の選定・セキュリティ対策・運用ルールの策定を慎重に行うことが重要です。
近年では、クラウド型のシステムやAI顔認証などの最新技術が登場し、より高度なセキュリティ対策が可能になっています。企業や施設のニーズに合わせて最適なシステムを選び、適切な運用を行うことで、最大限の効果を得ることができるでしょう。